質の高い住宅なら金利が下がる!「フラット35」Sとは?

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全期間固定型の住宅ローンとして人気の高いフラット35には、一定の基準を満たす住宅を購入する場合にのみ、金利引き下げの特典が受けられる制度「フラット35」Sがあります。フラット35Sが適用される住宅の条件や、メリット・デメリットなどについて解説します。

01フラット35Sとは?

フラット35Sとは、フラット35を申し込んだ人が省エネルギー性や耐震性などを備えた高品質な住宅を取得する場合に、借入金利が一定期間、年に0.25%引き下げられる制度です。

フラット35Sには、取得する住宅の品質に応じてフラット35S<金利Aプラン>とフラット35S<金利Bプラン>があり、それぞれ金利が引き下げられる期間が次のように定められています。

フラット35Sの種類 金利引き下げ期間 金利引き下げ幅
フラット35S<金利Aプラン> 当初10年間 ▲0.25%/年
フラット35S<金利Bプラン> 当初5年間

一定期間とはいえ、年0.25%の金利引き下げによる節約効果は大きく、住宅支援機構の試算によると、例えば以下の場合では、フラット35とフラット35S<金利タイプA>では、総返済額に70万円以上も、<金利タイプB>でも40万円近い差が生じることになります。

試算例

  期間 借入金利/年 毎月の返済額 総返済額 フラット35との差額
フラット35 全期間 1.24% 8万8082円 3699万4468円
フラット35S<金利Aプラン> 当初10年間 0.99% 8万4545円 3627万8333円 -71万6135円
11年目以降 1.24% 8万7110円
フラット35S<金利Bプラン> 当初5年間 0.99% 8万4545円 3660万8518円 -38万5950円
6年目以降 1.24% 8万7600円

※3000万円を借入期間35年、建設費・購入価額に対してフラット35の借入額の占める割合である融資率が9割以下、元利均等返済、借入金利年1.24%、ボーナス返済なしで借りた場合

出典:住宅金融支援機構フラット35Sの毎月の返済額・総返済額の試算

なお、この制度は2022年3月31日までの申し込み受付分に適用されます。また、フラット35Sには予算金額があり、予算金額に達する見込みとなった場合は受け付け終了となります。

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02高品質な住宅を選ぶメリット

フラット35Sの技術基準をクリアした高品質な住宅を選ぶメリットは、安心して住むことができて、一定期間、金利引き下げの特典が受けられることだけではありません。長期優良住宅に認定された住宅には、さらに下記のようなメリットもあります。

住宅ローン控除(減税)などの恩恵も

高品質な住宅の中でも、国が定める一定の基準を満たす住宅は所管行政庁に「長期優良住宅」と認定され、フラット35Sの金利Aプランが適用されます。一般の住宅と比較すると、税制面でもより大きなメリットを受けることができます。

住宅ローン控除の特例

返済期間が10年以上の住宅ローンを借りて住宅を取得すると、住宅ローン控除制度が適用され、入居した年から10年間にわたって所得税の控除を受けることができます。2019年の消費増税時、特例として住宅ローン控除の期間が10年間から13年間に延長されました。特例を受けるためには、新築注文住宅は2021年9月末、マンションや分譲住宅、リフォームでは2021年11月末までに契約を結び、2022年12月31日までに入居することが条件となっています。

住宅ローン控除では、一般的な住宅の場合、控除の上限は「年末時点のローン残額の1%(上限40万円/年)」ですが、長期優良住宅の場合は50万円/年となります。

したがって、一般的な住宅では10年間で受けられる最大控除額が400万円であるのに対し、長期優良住宅では10年間で最大500万円の控除が受けられることになります。

特例での11年目から13年目までの控除額は「住宅ローンの年末残高×1%」か「住宅の取得価格(上限は一般住宅が4000万円、長期優良住宅は5000万円)×2%÷3」のいずれかの小さい方となりますが、ここでも長期優良住宅は有利となっています。

認定住宅新築等特別税額控除

個人が長期優良住宅や認定低炭素住宅(以下、認定住宅)を新築、または新築後、使われたことのない認定住宅を取得して入居した場合、認定基準に適合するためにかかる標準的な費用(かかり増し費用)の10%に相当する金額(上限650万円)を、その年の所得税から控除することができます。この控除が受けられるのは、購入または取得した認定住宅に居住を開始した年のみで、控除を受けるには以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 認定住宅を新築、または新築後未入居の長期優良住宅を取得した場合
  • 新築または取得の日から6カ月以内に住み始めていること
  • 控除を受ける年の合計所得が3000万円以下であること
  • 新築または取得した認定住宅の床面積が50㎡以上であり、その半分以上を本人の居住に使用していること
  • 新築または取得した認定住宅に入居した年とその前後2年ずつの計5年間、その他の家屋や土地などについて「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」や「居住用財産の譲渡所得の特別控除」を受けていないこと

なお、認定住宅新築等特別税額控除を受けた場合、住宅ローン控除は受けられないことに注意が必要です。住宅ローン控除はローンを組んでいる人が受けられるものですが、認定住宅新築等特別税額控除は住宅ローンを組んでいなくても受けられるものです。

固定資産税の軽減措置の延長

2022年4月まで、一般的な住宅の場合、一戸建ては新築・取得から3年間、マンションは5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減される措置が取られていますが、長期優良住宅の場合は軽減措置が受けられる期間が、一戸建ては5年間に、マンションは7年間に延長されます。

不動産取得税控除枠の拡大

現在、一般的な住宅の場合、一戸建ては新築・取得から3年間、マンションは5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減される措置が取られていますが、長期優良住宅の場合は軽減措置が受けられる期間が、一戸建ては5年間に、マンションは7年間に延長されています。

登録免許税の税率引き下げ

不動産の登記にかかる登録免許税の税率の引き下げの軽減措置を2022年3月31日までを受けることができますが、ここでも長期優良住宅は一般の住宅に比べて有利になっています。引き下げ後の税率は登記の種類、住宅の種類によって以下のようになります。

登記の種類 住居の種類 税率(一般住宅) 税率(長期優良住宅)
保存登記 マンション・一戸建て 0.15% 0.1%
移転登記 マンション 0.3% 0.1%
一戸建て 0.3% 0.2%
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03フラット35Sを利用できる住宅の条件は?

ここまで見てきたとおり、たくさんのメリットがある高品質住宅ですが、フラット35Sを利用するためには、具体的にどのような点が「高品質」であればよいのでしょうか。フラット35Sを利用できる住宅の条件について詳しくみていきましょう。

まず、フラット35Sの利用には、フラット35の利用に必要な技術基準(住宅の規模、省エネルギー性、耐久性など)を満たしていることが前提条件になります。

例えば省エネルギー性では壁・床・天井などに所定の厚さの断熱材を施工する断熱等性能等級2相当の基準を設けているため夏涼しく、冬は暖かい快適な室内となるというメリットがあります。耐久性では、劣化対策等級2かつ維持管理に関する技術基準を定め、基準を満たした住宅では、長く安心して暮らせるというメリットがあります。


そのうえで、フラット35Sでは<金利プランA>、<金利プランB>それぞれに、以下のような条件が課されています。

フラット35S<金利プランA>の利用条件(新築・中古共通基準、以下①~④のいずれか1つ以上を満たすこと)

省エネルギー性 ①一次エネルギー消費量等級5の住宅(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅を含む)
耐震性 ②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅。建築基準法が求めている地震の1.5倍の大きな力が働いた時も倒壊や崩壊しない基準
バリアフリー性 ③高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可)。床の段差をなくし、手すりを設けるほか、寝室やトイレ、浴室などに介助用のスペースを十分に設けたお年寄りにも優しい住宅
耐久性・可変性 ④長期優良住宅

フラット35S<金利プランB>の利用条件(新築・中古共通基準、以下①~⑥のいずれか1つ以上を満たすこと)

省エネルギー性 ①断熱等性能等級4の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅②建築物エネルギー消費性能基準を満たす住宅
耐震性 ③耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅。建築基準法が求めている地震の1.25倍の大きな力が働いた時も倒壊や崩壊しない基準④免震建築物
バリアフリー性 ⑤高齢者等配慮対策等級3以上の住宅。<金利プランA>の基準に近い、お年寄りにも優しい住宅
耐久性・可変性 ⑥劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などについては、一定の更新対策が必要)

なお、フラット35Sはフラット35と同様に、新築だけでなく中古住宅の取得にも利用できますが、その場合は金利プランA・Bともに、上記の「新築・中古共通基準」、もしくは下記の「中古タイプ基準」のうちいずれかを満たす必要があります。

フラット35S中古タイプ基準(以下の①~④のいずれか1つ以上を満たすこと)

省エネルギー性 ①二重サッシまたは複層ガラスを使用した住宅
耐震性 ②建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅(省エネルギー対策等級2以上または断熱等性能等級2以上)または「中古マンションらくらくフラット35」のうち、フラット35S(省エネルギー性に適合するもの)として登録した住宅
バリアフリー性 ③浴室および階段に手すりを設置した住宅
耐久性・可変性 ④屋内の段差を解消した住宅

フラット35の技術基準も、フラット35S利用時の条件も専門的で、一般の生活者には判断がつかないものが多いので、フラット35やフラット35Sを利用して住宅を新築・取得したい場合は建築業者やハウスメーカー、不動産業者と相談しながら新築や購入を進めると良いでしょう。

また、マンションについては、新築、中古とも適合している物件をフラット35のウェブサイトから検索できます。フラット35Sが適用されているかどうかは、検索結果から確認できます。

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04フラット35のスゴいポイント:フラット35S

  • 一定の基準を満たす住宅を購入すると一定期間借入金利引き下げ
  • 住宅ローン控除の上限があがるなど長期優良住宅に住むことの恩恵も

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