12020(令和2)年3月までの不動産価格の推移

家の適切な購入時期について理解する前に、まずは不動産価格の推移について知っておきましょう。

なぜ不動産価格の推移が重要かと言うと、「マイホームの購入価格に大きく影響する」からです。不動産価格は需要と供給のバランスによって大きく左右されます。たとえ同じ構造で同じ面積の建物だとしても、立地条件が違えば不動産価格も変わります。

例えば駅前の繁華街と郊外の不便な場所とでは、一般的に前者の方が不動産価格は高くなるでしょう。社会や経済情勢の変化によっても不動産のニーズは変わるので、最新の不動産価格の推移を知った上で今後の状況を予測することが重要です。

全国の不動産価格指数の推移

出典:国土交通省「不動産価格指数

国土交通省の「令和2年3月・第1四半期分の不動産価格指数」によると、2010(平成22)年平均を100とすると戸建て住宅はほぼ横ばいですが、マンション(区分所有)は151.7%とかなり伸びています。

出典:国土交通省「不動産価格指数

過去のデータを見ても、戸建住宅はそれほど変わっていないにもかかわらず、マンション(区分所有)は2013(平成25)年前半ごろから右肩上がりが続いている状況です。今後もこのままの推移が続くとは限りませんが、マンション(区分所有)の価格は一昔前に比べてかなり高くなっているという点だけはまず理解しておきましょう。

住宅ローンの変動金利の推移は?今後どうなる?

住宅の購入価格は、金利の影響も強く受けます。金利が高くなればなるほど返済利息が増えてしまい、住宅ローンのトータルでの総支払額も増えてしまうでしょう。

住宅ローンの金利には、主に変動金利と固定金利の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。しかし住宅の購入において、特に注意しなければいけないのは変動金利です。なぜなら固定金利は契約時点で基本的に総返済額が確定しますが、変動金利は経済情勢による金利の変動によって、契約当初に想定していたより総支払額が増える可能性があるからです。

2020(令和2)年7月時点での日本における住宅ローン金利は、史上まれにみる超低金利になっています。契約当初の金利がより低い、変動金利の住宅ローンのなかには金利1%を下回るケースがあるのも事実です。日本の金利が低いのは、基本的に政府が市場に出回るお金を増やして景気を良くしようと考えているからです。

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

※出典:住宅金融支援機構ホームページ

一般的に金利は不景気のときには経済活動が活発になるように低くなり、好景気のときには過剰なバブルを防ぐために高くなります。今後の日本の景気がどのようになるか、確実なことは誰にも分かりません。しかし一つだけ確かなのは、「2020(令和2)年前半から流行している新型コロナウイルスによる経済への悪影響はしばらく続く」という点です。

新型コロナウイルスによってダメージを受けた日本経済の回復には、2~3年という年単位の歳月が必要だと多くのエコノミストは指摘しています。また新型コロナウイルスに効くワクチン開発が遅れれば、さらに長い期間にわたって景気の低迷が続くかもしれません。そうした点を考えると短期的に景気が上向く状況は考えにくく、しばらくは低金利の状態が続くと予測できます。

2家を買うタイミングはいつが適切?

家の購入にあたって、不動産価格や金利の推移を知っておく重要性について理解できたでしょうか。不動産価格と金利の推移を理解しておけば、いわゆる「高い買い物」をするリスクを低減できます。ただし目先のお金の問題ばかりに気をとられてしまうと、自分の人生において最適なタイミングで家を買うチャンスを逃してしまうかもしれません。家の購入タイミングには自身の収入や年齢、ライフプランなども加味して検討することが重要です。そこで実際に家を買った人たちのデータをもとに、家の購入における現状について考察していきます。

家を買う年代は30代が最多!

家を購入するタイミングで多くの人が気になるのは「他の人はどれくらいの年齢で家を買っているのか」ではないでしょうか。

世帯主の年齢

世帯主の年齢

出典:国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査報告書」を参考に編集者が作成

国土交通省の「平成30年度 住宅市場動向調査報告書」によると、分譲戸建て住宅を購入した人の平均年齢は39.7歳となっています。また注文住宅(新築)、分譲マンションや中古戸建住宅といったカテゴリーでも、30代で購入する人が最も多い結果となりました。

その理由として考えられるのは「住宅ローンの返済年数」との関係です。一般的に住宅は高価なため、そのローンは期間を30~35年程度と長めに設定しないと買えないケースが多くあります。40代でそのような長期の住宅ローンを組むと、多くの人は定年を過ぎてもなおローンを払い続けなければなりません。30代で住宅ローンを組めば、在職中に完済できるケースは増えるでしょう。

退職時に多少残債があっても、退職金で一括返済できる人もいるかもしれません。しかし退職金があてにできないなどの理由で、退職前に住宅ローンの完済を目指すなら、30代で家を購入するのは理にかなっていると言えるでしょう。

分譲マンション購入者の世帯平均年収は840万円

住宅の中でも近年、価格の高騰に拍車がかかっているのが分譲マンションです。上述したように、不動産価格の推移でも2010(平成22)年から比べてマンション(区分所有)のみが大きく価格が上昇していました。価格が高騰している理由は、立地や売買のしやすさなどから、不動産としてのニーズが高まっていることが影響していると考えられます。

平均年収

平均年収

出典:国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査報告書」を参考に編集者が作成

国土交通省の「平成30年度住宅市場動向調査報告書」によると、分譲マンションを購入した人の平均世帯年収(税込み)は最も高く840万円となっています。次いで注文住宅(三大都市圏)が 779 万円、分譲戸建て住宅が738万円と続きます。注文住宅でも全国平均では平均世帯年収は705万円になります。

注文住宅の年間返済額は116.5万円

国土交通省の「平成30年度住宅市場動向調査」によると、年間返済額はそれぞれ注文住宅116.5万円、分譲戸建住宅116.7万円、分譲マンション130.9万円となっています。また中古では戸建住宅が115.3万円、マンションが104.3万円です。不動産価格の推移や購入者の平均年収と同じように、やはり新築の分譲マンションの返済額が突出して高いことが分かります。

住宅ローン年間返済額(万円)

住宅ローン年間返済額

出典:国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査報告書」を参考に編集者が作成

分譲マンションの年間返済額が高い理由としては、不動産の購入価格そのものが高いことが原因でしょう。同調査の購入資金に関する事項を見てみると、「注文住宅や分譲戸建住宅がおよそ3500万円~4000万円」「中古戸建住宅や中古マンションが2800万円程度」なのに対して、分譲マンションはおよそ4500万円です。

分譲マンションは不動産価格そのものが高い物件が多いことから、年間返済額も高い傾向にあると考えられます。

購入検討のきっかけは「結婚」、次いで「第1子出生」

住宅の購入は一般消費者にとって非常に大きな買い物なので、人生計画(ライフプラン)に合わせて購入することが重要です。株式会社リクルート住まいカンパニーが住宅の購入・建築を検討している人を対象に行った「住宅購入・建築検討者」調査(2019年版)によると、住宅の購入を検討するきっかけは「『結婚』が最多(17.8%)。ついで『第一子出生』(14.6%)が多い」ようです。

出典:株式会社リクルート住まいカンパニー「住宅購入・建築検討者」調査(2019年度)

この調査から、ライフスタイルの変化をきっかけとして購入する人が多いことが分かります。

特に近年の日本では家族構成に対する考え方も多様化しており、女性の社会進出なども相まって欲しい子どもの数には個人差があるのが現実です。一度住宅を購入してしまうと、間取り変更には多額の費用がかかります。配偶者となるパートナーとしっかり話し合った上で、自分たちに合った住宅を購入する人が多いのでしょう。

また厚生労働省が公表している2015(平成27)年の「人口動態統計」によると、平均初婚年齢は男性31.1歳、女性29.4歳と男女ともに30歳前後となっています。上述した住宅ローンの完済時期も考慮して、結婚を機に住宅購入を考える人が多いと言えます。

住宅ローン金利の安さ

家を購入するタイミングとして、住宅ローン金利が低い時期を狙うのは重要です。仮に3000万円の住宅ローンを組んだ場合(35年返済、固定金利1.0%、元利均等方式、ボーナス返済なし)、総返済金額はおよそ3557万円です。同じ条件で金利を0.1%下げるだけで総返済金額はおよそ3500万円となり、50万円以上も減ります。

特に近年ではネット銀行が手掛ける住宅ローンが普及し始めており、低い金利で利用できるようになってきています。ネット銀行の金利が低い理由は、「徹底して経費を抑制しているから」です。

ネット銀行の多くは独自のATMを持っておらず、コンビニや他の金融機関と提携して共通したATMを活用しています。また実店舗での営業も行っていないので、人件費を抑制できる点も特徴です。ネット上ですべての手続きが完結するので、日頃忙しい人は利用を検討してみましょう。

住宅ローン減税が有利

住宅の購入には消費税がかかります。厳密には土地に対して消費税が課税されることはありませんが、建物部分や不動産会社へ支払う仲介手数料などは課税対象です。

一般的に住宅の購入は数千万円単位のお金が必要になるので、たとえ数パーセントであったとしても消費税増税の影響を強く受けます。そのため政府は、2019(平成31・令和元)年10月に行われた消費税増税をきっかけにして住宅の購入件数が減少することを危惧しており、さまざまな購入支援制度を実施しています。

支援制度には住宅ローン減税をはじめ、たくさんの種類がありますが、減税や購入にかかる資金の一部を補填(ほてん)してくれるので、上手に利用すればお得に住宅を購入できるでしょう。制度の詳細については後ほど解説しますが、購入支援制度が充実している時期を逃さず家を購入するのも一つの選択肢だと言えます。

3どうなる?2020(令和2)年以降の不動産価格の動向

上述したように、不動産価格は需要と供給に大きな影響を受けます。家の購入を考えている人なら、2020(令和2)年になってから起こったコロナ禍やオリンピック延期といった大きな出来事が不動産価格にどのような影響を与えるのか気になるのではないでしょうか。そこで今後の不動産価格の動向について、予測解説していきます。

コロナショックによって不動産価格は下がると予想

結論から言うと、コロナショックによって不動産価格は下落すると予想されています。なぜ不動産価格が下落するかと言うと、「首都圏における不動産のニーズが減る」と考えられるからです。

新築マンション価格は主に首都圏を中心として、右肩上がりの傾向が続いてきました。今後も同じ傾向が続くと考える人もいるかもしれませんが、それはあくまでも従来と同じ生活を続けた場合の話です。たとえビジネスであっても人と人の接触が大幅に制限され、新しい生活様式が求められるようになる今後は、今までとは違うライフスタイルが定着する可能性があります。

実際に既存のビジネスモデルが通用しないと感じた企業は、パソコンやスマホを活用したリモートワークに活路を見出しています。もともと働き方改革の影響によって、多くの企業がリモートワークには関心を抱いていましたが、コロナショックが起こるまではまだ検討段階の企業もたくさんありました。しかしコロナショックが起きたことで、いやが応でも取り組まなければならない課題になりつつあります。

リモートワークが普及した場合、労働者は職場という縛りから解放され、自宅やカフェなどで仕事ができるようになります。その結果、通勤を考えて都心部で暮らす必要がなくなり、首都圏のマンションを中心としたニーズは減っていくでしょう。また雇用者である企業も、社員がリモートワークへシフトした結果、オフィスで物理的に働く社員が減ればオフィス面積を減らせます。ニーズが少なくなれば、当然ながら不動産価格は下落します。

またオリンピックの延期も、不動産価格を下落させる恐れのある要因の一つです。オリンピック延期が決まったのは2020(令和2)年3月下旬であり、オリンピックのために建設されていたマンションの多くはすでに購入者が決まっていました。その点だけを考えれば、直接的な不動産価格下落の要因にはならないかもしれません。

しかしオリンピックの延期で、景気の先行きに不透明感が増したことは事実です。仮に中止という事態になれば、オリンピックで見込めるはずだった外国からの観光客が来なくなり、日本の景気にとって悪影響を与えます。結果的に日本国内の企業業績や投資環境が悪くなり、不動産価格も下落に転じる可能性が高くなるでしょう。

従来から不動産業界では「オリンピック後に不動産価格が下落するのではないか」という心配の声がありました。今回のコロナショックは、それが現実のものとなる可能性をさらに強くさせたと言えます。一部の超優良物件を除いて、全般的に不動産価格は下落する可能性が高まっていると考えられるでしょう。

4住宅購入で使える補助金・住宅ローン控除まとめ

消費税増税や地球温暖化の影響を考慮して、政府や地方自治体はさまざまな補助金や控除制度を創設しています。しかし、補助金や控除制度は、利用する人自らが手続きしないと対象にならないケースがほとんどです。せっかくお得な制度があるにもかかわらず、利用しないのはもったいないので、概要について知っておきましょう。

すまい給付金

消費税増税における住宅購入者の負担を減らすために、一定の条件を満たす人へ用意されたのが「すまい給付金」です。2014(平成26)年4月に行われた消費税5%から8%へのアップを機会に創設され、消費税が10%になった2019(平成31・令和元)年10月以降も2021(令和3)年12月まで継続することが決まっています。

給付額は収入の目安によって「給付基礎額」が決まり、そこへ不動産の持分割合を掛けたものです。基本的には収入が少ない人ほど多く受け取れる仕組みです。例えば夫の収入額の目安が450万円以下のモデル世帯(妻は収入がない夫婦及び中学生以下の子ども2人)が、消費税10%のときに住宅を購入した場合、給付基礎額は50万円になり、夫が単独で購入したなら、持分割合は夫100%です。夫が50万円×100%で、50万円の全てを受け取れます。

持分割合とは、「所有権の割合」のことです。相続や住宅ローンの関係などで不動産登記を共有していなければ、基本的には100%になります。

ZEH(ゼッチ)補助金

ZEH(ゼッチ)補助金は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称。簡単に言うと断熱、省エネ、創エネの性能を供え「自宅で消費するエネルギーを自宅で作り、消費量の収支がゼロになる」ことを目的にした補助金です。

地球温暖化の影響を憂慮する環境省、国土交通省、経済産業省が連携して取り組む制度になっています。補助金額は戸建住宅と集合住宅によってそれぞれ異なり、省エネに貢献する度合いによっても「ZEH」「ZEH+」というようにランク分けがされるなど、細かく決まっています。例えば戸建住宅で「ZEH」に該当した場合は、1戸あたり60万円が補助されます。

地域型住宅グリーン化事業補助金

地域型住宅グリーン化事業補助金も、基本的には環境負荷の低減を目的にして作られた制度で、「低炭素住宅」や「長期優良住宅」に認定された住宅に対して補助金が支給されます。ただし、あらかじめ国土交通省の採択を受けた事業者グループが供給する住宅に限られます。

補助金の上限は該当する住宅のタイプによって異なり、例えば長寿命型(長期優良:木造、新築)なら最大で1戸あたり110万円が支給されます。また地域の活性化や高齢化社会への対策として、「地域材の過半利用」や「特定のもの2つ以上を住宅内に複数箇所設置」によって、それぞれ20万円や30万円が上乗せされる場合もあります。

家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金

環境にやさしい住宅の導入を目的にした補助金としては「家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金」も挙げられます。家の購入を検討している人なら「エネファーム」というシステムを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

エネファームとは、酸素と水素を原料にして、電気や熱を作るクリーンエネルギーシステムです。家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金は、そのエネファームを導入する住宅に対して補助金を支給します。補助金額は、エネファームの導入にあたって必要だった費用から判定する「基本補助額」と、住宅の条件によって支給される「追加補助額」を合わせて決める仕組みです。最大で7万円がもらえるので、エネファームを導入する予定がある人は忘れずに利用しましょう。

各自治体の補助金制度もチェックしよう

住宅関連の補助金には国が創設した制度以外にも、都道府県や市区町村が独自に取り組んでいるものもあります。

例えば東京都千代田区では、「次世代育成住宅助成」という制度があり、月額で最高8万円の助成金を受け取れます。利用にあたっては一定の条件が定められていますが、利用者の家族構成などによっては非常に助かる制度です。同じような制度は各都道府県や市区町村で行われているケースもあるので、まずは購入予定住居の住所地を管轄する役所のホームページを確認してみましょう。

ただし、国の補助金を財源とする自治体の支援制度は、国の補助金制度との併用が原則不可能です。両方を利用したい場合は、確認してみるとよいでしょう。

【2020(令和2)年12月末まで】住宅ローンの控除期間が10年間から13年間に延長!

ほとんどの人は、家の購入にあたって住宅ローンを利用するでしょう。その場合に「確定申告することで所得税や住民税の還付が受けられる」のが住宅ローン控除です。どれくらい戻ってくるかというと、「年末時点における住宅ローン残高の1%相当分(上限は1年あたり40万円)」になります。

例えば2020(令和2)年12月31日時点で3000万円の住宅ローン残高がある場合、2021(令和3)年2月中旬~3月中旬にかけて行われる確定申告で届け出をすれば、30万円が所得税から還付される仕組みです。仮に納めている所得税が30万円に満たない場合は、住民税からも税額控除されます。

もともと住宅ローン控除の控除期間は10年間でした。しかし、2019(平成31・令和元)年10月の消費増税による住宅市場への悪影響を考慮して、2019(平成31・令和元)年10月~2020(令和2)年12月末日に入居した人に限り、控除期間が13年間となっています。控除期間が3年延びたことにより、所得税・住民税の還付総額がさらに増えてメリットが大きいので、住宅ローンを組む予定の人は詳しい利用方法について調べておきましょう。

5家購入のタイミングを逃さないよう情報収集を!

家を買うタイミングは、一般的に30代で購入する人が多いようです。ただし適切なタイミングは人それぞれ異なり、慎重に判断することが重要だと言えます。大切なのは人生計画(ライフプラン)に沿って物件価格を見極め、今後の不動産価格や金利の推移、補助金や助成金の情報などを頭に入れながら総合的に判断することです。「自分にとってベストなタイミング」で購入できるように、情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。