マイホーム購入の平均年齢は何歳?住宅購入の決め手は?

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マイホームは何歳で購入すればいいのでしょうか。住宅を購入した人たちの平均年齢を紹介し、何が購入の決め手になるのかを検証し、さまざまな観点からマイホーム購入にベストな年齢を考えてみました。

01住宅購入者の平均年齢

国土交通省の調査によると、世帯主が初めて住宅を購入した時の平均年齢は、以下の通りでした。

住宅のタイプ 平均年齢 世帯年収
注文住宅 40.0歳 733万円(三大都市圏は816万円)
分譲戸建住宅 37.2歳 703万円
分譲マンション 39.5歳 852万円
中古戸建住宅 43.2歳 652万円
中古マンション 43.6歳 710万円

出典:国土交通省住宅局「令和3年度住宅市場動向調査報告書

新築の一戸建て(注文/分譲)、マンションでは、40代以下が最も多く、中古の一戸建て、中古マンションでは少し年齢は高めとなっていますが40代の前半までに住宅を購入した人が多くなっていることがわかります。

また、世帯年収については注文住宅(三大都市圏)が816万円と最も高く、最も低いのは、中古戸建住宅が652万円ということが調査からわかりました。

02住宅購入の決め手は?

住宅の購入にあたって、決め手となるのはどのようなことでしょうか。

購入と賃貸のコストを比較

住宅を購入するか、それとも賃貸住宅に住み続けるかを考えるときには、それぞれのコストを比較することが大切です。

住宅を購入する場合は、購入にあたっての資金計画を立てることが必要です。住宅ローンを組むことが一般的ですが、年間の返済額を確認し、購入の際にかかる諸費用も考えておかなければなりません。マンションの場合は管理費や修繕積立金などが必要となります。また、購入した不動産にかかる税金もチェックしておきます。

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賃貸住宅では家賃と更新料、今後のライフスタイルの変化に伴って転居する場合は、そのための敷金や礼金の支払いを考えておく必要があります。

そうしたコストを細かく計算する前に、インターネットのサービスを利用して、今、払っている家賃を元に購入する場合をイメージしてみましょう。

「スゴい住宅ローン探し」の住宅ローンシミュレーションには、「借入可能額シミュレーター」があります。現在の家賃を入力して、返済期間などを入力すると借入可能額がわかります。まずは、このようなサービスを利用することから、検討をスタートすることをおすすめします。

子どもの誕生などライフスタイルの変化

ライフスタイルの変化も住宅購入のきっかけとなるものです。

国土交通省は、世帯人数に応じて、豊かな生活の実現を前提とした、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積(誘導居住面積水準)を示しています。

世帯人数別の住戸専用面積(例)

単身 2人 3人 4人
誘導居住
面積水準
一般型※1 55 75(75) 100
(87.5)
125
(112.5)
都市居住型※2 40 55(55) 75(65) 95(85)

※1 一般型は郊外や都市部以外での一戸建て住宅居住を想定
※2 都市居住型は都市とその周辺での共同住宅居住を想定
※(カッコ)内は、3~5歳児が1名いる場合

出典:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)における水準について

家族が増えていくと、子育てや教育に適した環境のために必要な住宅の面積が増えていくことがわかります。子供の誕生も、購入の判断の決め手となりそうです。

老後は高齢者対応設備が整った家が必要

子どもが独立し老後を迎えると、高齢者に対応した設備の準備が必要になります。

内閣府が全国の60歳以上を対象に行った「平成30年度・高齢者の住宅と生活環境に関する調査」で、現在の住居に関して困っていることを複数回答で聞いたところ、「何も問題点はない」と答えた人は65.5%に上りました。

一方で「住まいが古くなりいたんでいる」が14.1%、「住宅の構造(段差や階段など)や造りが高齢者には使いにくい」が8.3%、「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」が5.4%と、高齢者に適した設備でないことに不安を感じる人がいることがわかります。その解決方法として、最も多かったのが「リフォーム」の37%で、介護施設への入居や子や孫などとの同居を大きく上回っています。

現在の住居で困っていること

現在の住居で困っていること

出典:内閣府「平成30年度・高齢者の住宅と生活環境に関する調査」P63、P65

リフォームでは「浴室・トイレの改良」、「手すりの設置」、「段差の解消」、「廊下などが車椅子で通行可能な広さ」などいわゆるバリアフリーへの対応が主になりますが、いずれも賃貸住宅で実現することは困難です。老後の暮らしを考えることも、住宅購入を考えるきっかけの一つといえるでしょう。

03若いうちに購入した方が良いといわれるのはなぜ?

住宅を購入するなら、若いうちの方が良いといわれることがありますが、その理由について考えてみましょう。

完済年齢が早くなり、老後の負担が少ない

住宅を購入するとき、多くの人が住宅ローンを利用します。国土交通省の調査結果によると住宅ローンの返済期間は、中古一戸建て住宅、中古マンション以外は返済期間が30年超になっています。

住宅別住宅ローンの返済期間

返済期間
注文住宅(建築) 32.1年
注文住宅(土地) 33.8年
分譲一戸建て住宅 32.7年
分譲マンション 31.5年
中古一戸建て住宅 28.1年
中古マンション 28.9年

出典:国土交通省住宅局「令和元年度住宅市場動向調査報告書」p43

つまり、住宅ローンを利用する人の多くは、住宅を購入した年齢から30年後以降にローンの返済が終わることになります。30歳で住宅ローンを組むと完済するのは60歳以降、40歳で住宅ローンを組むと完済するのは70歳以降ということになります。

2025年にはすべての企業で、希望する人は65歳まで定年延長となりますが、定年後も返済し続けることに不安を感じる人は多いと思います。

若いうちに住宅を購入すると、住宅ローンを完済する年齢が早くなり、老後の負担が軽くなるというメリットがあります。

0440歳、50歳を超えてからの住宅購入のリスク

逆に年齢が上がるほど、住宅購入はリスクが大きくなるといわれますが、本当なのでしょうか。なぜそのようにいわれているのかについて、考えてみましょう。

健康リスクなどの観点で住宅ローンが組めない場合がある

国土交通省の調査結果によると、住宅ローンの利用率は新築の注文住宅では78.6%、分譲一戸建て住宅では69.3%、分譲マンションでは61.7%となっています(無回答を除く)。

住宅種類別住宅ローン利用の有無

  住宅ローンあり 住宅ローンなし 無回答
注文住宅 76.0% 13.9% 10.1%
分譲一戸建て住宅 69.3% 12.2% 18.5%
分譲マンション 61.7% 20.4% 17.8%
中古一戸建て住宅 48.4% 26.1% 25.4%
中古マンション 49.4% 27.7% 22.9%

出典:国土交通省住宅局「令和元年度住宅市場動向調査報告書」p42

住宅ローンは高額の借入金を長期間にわたって返済をしていくため、ほとんどの金融機関は契約者に団体信用生命保険(団信)に加入することを求めます。

団信に加入するためには、健康状態を告知する必要がありますが、健康状態に問題ありと判断された場合には、団信への加入が認められないことがあります。団信に加入できないと住宅ローンを利用した購入が困難になります。

一般的には年齢を重ねるごとに既往症のある人や、健康に不安を持つ人が多くなるために、年齢が住宅購入のリスクとなる可能性があります。

また、ほとんどの金融機関では住宅ローンの完済時の年齢を75歳から80歳未満に設定しています。しかし完済する年齢が高くなると、住宅ローンの審査が厳しくなるだけではなく、返済そのものが難しくなる可能性があります。

一方で年齢が高くなってから住宅ローンを組み、完済時の年齢を低くし、返済期間を短くすると返済額が多くなってしまいます。

住宅ローンを組むときに必要な団体信用生命保険(団信)とは
[基礎知識] 2023.06.08

05マイホーム購入は何歳がベスト?

では、マイホームはいくつで購入するのがベストなのでしょうか。

住宅ローン利用の完済時期を考えると、上記で説明したように若いうちに購入する方が良いといえます。

しかし、若いうちに十分な自己資金を貯めることは簡単ではなく、無理して住宅ローンを借りると、返済額が大きくなり経済的な負担が増します。

また、そうした時期は、転職や独立など自身の状況が変わる可能性があります。そうした変化には住宅を購入するのではなく、賃貸住宅に住んでいた方が柔軟に対応できます。

このように、何歳で住宅を持つのがベストなのかを決めることは、それぞれの状況により異なるため簡単ではありません。

あらゆる人に共通して言えるのは、自身のライフプランをしっかりと考え、できるだけ資金を貯めて、さまざまな選択肢に対応できるようにしておくことではないでしょうか。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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