1団体信用生命保険(団信)とは

住宅の購入は高額であるため、多くの方は一括での支払いではなく、住宅ローンを利用します。しかし、住宅ローンは誰でも利用できる訳ではなく、さまざまな条件があります。その条件の一つとしてあるのが、団体信用生命保険に加入することです。

団体信用生命保険に加入せずに住宅ローンを借りられる金融機関もありますが、ほとんどの金融機関では住宅ローンを借りる際の必須条件となっているため、金融機関を選ぶ際の選択肢に影響が出てきます。

ですから、住宅ローンを検討する際、この団体信用生命保険に加入できるかどうかは重要な要素になります。ここでは、そもそも団体信用生命保険とはいったいどういうものなのか、何を保障してくれるのかなどを紹介していきます。

団体信用生命保険(団信)の仕組み

団体信用生命保険(団信)の仕組み

団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が万が一死亡してしまったとき、または高度な障害状態になってしまったときに、残りの住宅ローンの支払いを肩代わりしてくれる生命保険です。

住宅ローンは20年や30年と、長期にわたって支払います。その間、予期せぬ出来事が起き、住宅ローンの契約者に万が一何かあったときに、支払えなくなった残りの住宅ローンを残された家族が支払っていくのは難しくなる場合があります。もし住宅ローンを支払えなくなれば、購入した住宅を手放さなければいけません。

そうした事態を避けるためにも加入しておくのが、団体信用生命保険です。

団体信用生命保険に加入しておくことで住宅ローン契約者に万が一のことがあっても、保険会社から金融機関に住宅ローンが支払われます。団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者に万が一のことが起きたときに、そういったリスクから守るための保険です。

そして、団体信用生命保険の仕組みはどのようになっているのかというと、先述したように住宅ローンの契約者が万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローンが支払われます。住宅ローンを借り入れした人が団体信用生命保険の被保険者となり、金融機関が生命保険会社と契約することで万が一のリスクに備えることができます。

ほとんどの金融機関では、団体信用生命保険に加入することが必須となっていて、保険料は金利に含まれており金融機関が負担します。中には、フラット35のように団体信用生命保険への加入を任意としているところもあります。

団体信用生命保険(団信)の種類と保障内容

団体信用生命保険には、死亡・高度障害以外の保障も豊富にあり、いくつかの種類があります。

<団体信用生命保険の種類と概要>

保障内容
団体信用生命保険 死亡・高度障害
ガン保障特約付
住宅ローン
がんと診断された場合
3大疾病保障特約付
住宅ローン
団信の保障内容

3大疾病
(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)
8大疾病保障特約付
住宅ローン
団信の保障内容

3大疾病
(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)と
5疾患
(糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎臓病)
ワイド団信 糖尿病や肝機能障害などで
団信に加入できない人でも加入できる団信。
※必ず加入できる訳ではない
  • 通常の団体信用生命保険
  • ガン保障特約付き住宅ローン
  • 3大疾病保障特約付き住宅ローン
  • 8大疾病保障特約付き住宅ローン
  • ワイド団信

何種類かある中でいくつかピックアップしましたが、以上について詳しく説明していきます。

【通常の団体信用生命保険】
通常の団体信用生命保険では、住宅ローンの契約者が万が一亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまったときに、残りの住宅ローンが支払われる仕組みです。気になる保険料ですが、通常の団体信用生命保険であれば、別途支払いは不要となっています(フラット35を利用する場合は別途保険料を負担する)。保障内容は「死亡・高度障害」です。

【がん保障特約付き住宅ローン】
がん保障特約付き住宅ローンとは、がんと確定診断された場合に、残りの住宅ローンが支払われる仕組みです。保険料は金利に上乗せされることが多く、だいたい年0.1%~0.3です。各金融機関によって異なるので、確認が必要です。以前にがんになったことがある人は加入できないので注意しましょう。

【3大疾病保障特約付き住宅ローン】
3大疾病保障特約付き住宅ローンは、通常の団体信用生命保険の保障内容(死亡・高度障害)に加えて、「3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)の所定の状態」になったときでも、残りの住宅ローンが支払われる仕組みです。

保険料は金利に上乗せされる形になっています。金融機関によって金利に上乗せされる保険料は異なりますが、だいたい年0.25%~0.3%上乗せしている場合が多いようです。ただし、先述したように金融機関によって異なりますので、自分が借りる金融機関に確認する必要があります。

【8大疾病保障特約付き住宅ローン】
8大疾病保障特約付き住宅ローンは、通常の団体信用生命保険の保障内容(死亡・高度障害)に加えて、「8大疾病で所定の状態」になったときも残りの住宅ローンが支払われる仕組みです。8大疾病とは何のことかというと、3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)と5疾患(糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎臓病)のことを指しています。慢性膵炎を除いた7大疾病保障特約付き住宅ローンという商品もあります。

こちらも金融機関によって上乗せされる保険料が異なるので、各金融機関に確認しましょう。

【ワイド団信】
住宅ローンは健康状態が良好でないと加入できないため、健康状態が悪いと加入できず住宅ローンを借りることができません。ワイド団信は、通常の団体信用生命保険に加入できない人のために加入条件が緩和された団体信用生命保険です。例えば、「糖尿病」や「肝機能障害」抱えている人でも加入できる場合もあります。ただし、必ず加入できる訳ではありませんので注意してください。

団体信用生命保険に加入できないとフラット35を利用することもできますが、団体信用生命保険に加入したいということであれば、ワイド団信で審査してみるという選択肢もあります。

団体信用生命保険(団信)の事例

主要の金融機関のうち、いくつか具体的な例を見ていきましょう。それぞれの保険料や保証内容を参考にしてみてください(いずれも2018年12月12日時点)。

【住信SBIネット銀行】
・団体信用生命保険
保険料:不要
保障内容:住宅ローンを返済中に死亡、所定の高度障害状態または治癒の効果がないなどの重度のガンと判断された場合などに残りの住宅ローンを完済。

・全疾病保障
保険料:不要
保障内容:どんな病気・ケガでも保障。万が一働けなくなった場合には、月々の返済額を保障し、働けないまま12カ月が経過したら住宅ローンの残高が0円に。

・全疾病保障・ガン診断給付金付(女性限定)
保険料:不要
保障内容:女性のみ通常の「全疾病保障」に加えて「ガン診断給付金特約」を基本付帯として借り入れが可能。

以上のように住信SBIネット銀行は通常の団体信用生命保険に加えて、8大疾病保障以上に保障してくれる「全疾病保障」という商品があります。さらには女性限定で「ガン診断給付金特約」があり、いずれも保険料が不要です。

【三菱UFJ銀行】
・団体信用生命保険
保険料:不要
保障内容:死亡・高度障害状態になったときに残りの住宅ローンが支払われる。

・7大疾病保障付住宅ローン
保険料:住宅ローン金利+年0.3%
保障内容:3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)に加えて、4つの生活習慣病(高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変)を保障。

・ワイド団信
保険料:住宅ローン金利+年0.3%(保障内容)健康上の理由により、通常の団体信用生命保険に加入できなかった人でも、場合によっては加入できる。死亡・高度障害状態になったときに残りの住宅ローンが支払われる。

三菱UFJ銀行を見ると、通常の団体信用生命保険のほかに、7大疾病保障やワイド団信があります。そのほか、健康上の理由から団体信用生命保険に加入できなくても、ワイド団信なら加入できる場合もあります。

これらの保障内容や保険料は都度更新されることもあるので、利用する際には改めて内容を確認する必要があります。

2団体信用生命保険(団信)に加入する際の注意点

住宅ローンを利用するには、団体信用生命保険への加入はほとんどの金融機関において必須です。しかし、団体信用生命保険はどんなリスクもカバーできる訳ではありません。

団体信用生命保険に加入してから後で「知らなかった」とならないように、団体信用生命保険に加入する前に確認しておきたいポイントをいくつかピックアップして紹介します。

団体信用生命保険(団信)でカバーできないリスク

団体信用生命保険(団信)でカバーできないリスク

団体信用生命保険では、死亡・高度障害状態のときに保険金が支払われます。また、3大疾病なども保障されますが、万が一のときのリスクをカバーしてくれる団体信用生命保険ですが、カバーできないリスクもあります。

病気やケガによって長期間働けなくなることもあり、その期間は支払えなくなる恐れがあります。ほとんどの団体信用生命保険では、そういったときには保険金が支払われません。長期間の病気やケガに備えて、就業不能保険に加入しておくか、一部保障してくれる金融機関のところで加入するなど、万が一のために準備しておくことも大切です。

他の生命保険との補償の重複

生命保険の必要保障額

すでに民間の生命保険に加入している場合、団体信用生命保険の保障内容が重複してしまうと、不要な保険料を支払うことになります。住宅ローンを借りる際には、生命保険の内容も見直すことをオススメします。

健康状態によって加入できない可能性

団体信用生命保険は誰でも加入できる訳ではなく、健康状態によっては加入できないこともあります。契約する際には、自身の健康状態の告知が必要になります。健康告知をして、団体信用生命保険の加入が認められなかった場合は住宅ローンの借り入れが難しくなります。もし加入が難しい場合は、団体信用生命保険への加入を任意としているフラット35を検討したり、ワイド団信なら加入できる場合もありますので、もし加入できなかったとしても、そのほかの選択肢を検討、または相談してみるといいでしょう。

年齢条件が付いている場合がある

団体信用生命保険への加入条件として、健康状態のほかにも年齢条件が付いていることもあります。例えば、住宅金融支援機構のフラット35の団体信用生命保険を見てみると、

【「申込書兼告知書(機構団信)」の記入日現在、満15歳以上満70歳未満(満70歳の誕生日の前日まで)の方】

となっています。ただ、住宅ローン自体借りられる年齢であれば、ほぼ問題ないのではないでしょうか。

特約は後からセットにできない

団体信用生命保険の注意点としてほかにあるのは、特約は後から付けることができないことです。団体信用生命保険の特約をむやみに付けるのはオススメしませんが、何を付けたらいいのかわからず迷ってしまい、あとから検討して付けようと思ってもそれはできません。ですから、後悔のないように事前にしっかり検討し、自分たちだけで考えるのが不安であれば、専門家や金融機関に相談するなどして選択していきましょう。

3団体信用生命保険(団信)を選ぶコツ

団体信用生命保険には、さまざまな特約付きの商品があります。ただ、生命保険でも保障されることもあるので、一体どちらで保障しておくべきなのか迷うこともあるかもしれません。団体信用生命保険とほかの生命保険を比較するときのポイントなどを紹介します。

団体生命保険と他の生命保険を比較するポイント

団体信用生命保険で保障するべきなのか、生命保険で保障するべきなのか、比較するポイントは以下の通りです。

・両方に加入した場合の保険料がどちらがお得かシミュレーションする
比較するポイントはまず、保険料です。長期間にわたって支払っていく中でのシミュレーションをする必要があります。仮に35年保険料を支払い続けた際にどちらが多く保険料を支払うことになるのかを確認しましょう。

・保険の特徴で検討する
両方の保険の特徴を知って、検討することも大切です。例えば、団体信用生命保険で保険が降りたときに受け取るのは「家」です。それに対して生命保険は「現金」を受け取ることもできます。まとまったお金が必要な場合は、家よりも現金を優先させたいので生命保険がいいでしょう。ほかにも保険の加入のタイミングの違いなどもあるので、保険料に加えて必要性を考えて選ぶ必要があります。

・カバーできないリスクを考慮する
団体信用生命保険は、死亡・高度障害状態やガンなどを保障してくれます。ですが、団体信用生命保険ではカバーできないリスクがあります。長期間にわたっての病気やケガによって働けなくなった場合に住宅ローンを支払えなくなる恐れがあります。そのときのリスクを団体信用生命保険では一部を除きカバーできないため、就業不能保険に加入するなど検討しましょう。

・生命保険に加入するタイミングを考える
団体信用生命保険の特約は住宅ローンの借り入れ時のみ加入できます。借り入れ後にやっぱり特約を付けたいと思っても加入することができません。それに対して、生命保険はいつでも加入することができます。もし、今は必要ないと思うなら無理に加入せず、いつでも加入できる生命保険を検討するのも一つです。

特約付きの団信を検討する際のポイント

病気はいつ起こるか分かりませんし、起こらないことももちろんあります。ただ、万が一のときに困ってしまうことは避けたいですから、できる限り特約は付けた方がいいと思うかもしれません。特約付きの団体信用生命保険を検討する際のポイントをご紹介していきたいと思います。

・保険金の支払い条件を確認する
団体信用生命保険の特約を付けることによって、死亡・高度障害状態のとき以外で、ガンや脳卒中なども保障の対象となります。ですが、それぞれ具体的な支払い条件があるため、支払い対象となるのかどうか確認してから加入する必要があります。

例えば、住宅金融支援機構の「ガン」の場合だと、保障開始日前に所定の悪性新生物と診断確定されていた場合や保障開始日からその日を含めて90日以内に所定の悪性新生物と診断確定された場合、保障開始日からその日を含めて90日以内に診断確定された所定の悪性新生物の再発・転移等と認められる場合には保険金が支払われないなど条件があります。

これらの支払い対象や条件は、申し込む金融機関に確認が必要です。

・一般の生命保険の特徴やメリット・デメリットと比較する
団体信用生命保険でガンなどが保障されるのはあくまでも住宅ローンの返済期間中で、万が一のときには住宅ローンは支払われますが、治療費は支払われません。反対に一般の生命保険であれば治療費はまかなえますが、残りの住宅ローンは支払われません。そういったことを考慮して特約も付けるのかどうか検討する必要があります。

団体信用生命保険の支払い対象やメリット・デメリットを踏まえた上で、よく検討するようにしましょう。