住宅ローン控除で住民税はいくら減額できる?控除の条件を解説

2021.08.06 9

マイホーム購入には多額のお金がかかるものの、そのうちの一部は減税制度によって還付される場合があります。そうした制度の代表格が、いわゆる「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。しかし、住宅ローン控除を利用すると所得税だけでなく、住民税の節税につながるケースもあるのをみなさんはご存じでしょうか。そこでこの記事では、住宅ローン控除で住民税が控除されるケースについて詳しく解説していきます。

01住宅ローン控除で住民税が減税となる条件とは?

まず、誤解のないように説明しておきますが、住宅ローン控除は原則として「所得税を対象にした減税制度」です。本来納める所得税よりも住宅ローン控除額のほうが多くなった場合に限り、住民税から差し引くことが認められています。

住宅ローン控除はマイホームの購入後、2014(平成26)年4月1日から2021(令和3)年12月末までに居住開始した場合、その後10年間にわたり控除が適用されます。消費税10%が適用された住宅を購入して2019(平成31・令和元)年10月1日から2020(令和2)年12月31日までに入居した場合には、消費税アップの影響を軽減させる措置として控除期間が13年になる特例措置があります。

この特例措置は、以下のとおり延長されます。

新型コロナウイルスの影響で入居が遅れる場合(コロナ特例)

入居期限:2021(令和3)年12月31日まで

<適用要件となる契約期日>

  • 注文住宅の新築:2020(令和2)年9月末まで
  • 分譲住宅・既存住宅取得、増改築等:2020(令和2)年11月末

令和3年度税制改正による経済対策としての延長

入居期限:2022(令和4)年12月31日まで2年延長

<適用要件となる契約期日>

  • 注文住宅の新築:2020(令和2)年10月~2021(令和3)年9月末
  • 分譲住宅・既存住宅取得、増改築等:2020(令和2)年12月~2021(令和3)年11月末

具体的な控除額は、毎年の年末時点における住宅ローン残高と住宅の取得費用のうち低い金額(以下年末残高等)の1%相当額です。控除額は入居後10年目までは1年ごとに最大40万円(認定長期優良住宅等の場合は最大50万円)、11~13年目はいずれか少ない額が1年の上限になります。

  • 年末残高等(上限4000万円)×1%
  • 建物購入価格(上限4000万円)×2%÷3

利用できればトータルで大きな節税につながるでしょう。

このように住宅ローン控除は住宅関連の減税措置のなかでもかなり大きな効果が期待できる制度である分、人によっては控除額が本来納める所得税額を超えてしまうケースがあります。そのようなときに限り、所得税で控除しきれなかった金額を上限の範囲内で翌年度の住民税から差し引くことが認められているわけです。

住民税から控除される場合の上限額は、住宅を購入または新築したときの消費税率によって異なります。消費税8%または10%が適用された住宅を購入したケースでは、「前年度の所得税の課税総所得金額等×7%(上限:13万6500円)」、それ以外の税率が適用された物件を購入したケースでは「前年度の所得税の課税総所得金額等×5%(上限:9万7500円)」です。

仮に2019(平成31・令和元)年9月1日に入居した人の年末時点での住宅ローン残高が3000万円で住宅の取得費用より低い場合、所得税の控除可能額は30万円(3000万円×1%)です。このケースで住宅ローン控除適用前の前年の所得税額が25万円であれば、所得税から控除しきれなかった5万円は住民税の控除対象になります。ただし、控除できるのは上限額以内でかつ実際に支払う住民税の金額までとなります。

そもそも住宅ローン控除とは?

もともと住宅ローン控除は、住宅ローンを利用する一般消費者の住宅購入を推進するために設けられた制度です。住宅ローンを利用すると、元本だけでなく金利も支払わなければいけません。金利負担の金額は、借入額や借入期間、適用利率などによって異なりますが、トータルで数百万円程度かかるケースも多いでしょう。住宅ローン控除はそうした住宅購入者の金利負担を税金面で軽減することを目的に導入されました。

2020(令和2)年4月1日現在の法令下での住宅ローン控除を適用するための要件は、以下のとおりです。

  1. 新築または取得の日から6カ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいる
  2. 控除を受ける年分の合計所得金額が、3000万円以下
  3. 新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住のためのもの
  4. 新築または取得のための一定の借入金が10年以上にわたり分割して返済する方法になっている
  5. 居住した年前後一定期間内で、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない

2021(令和3)年度税制改正以降は、上記3の面積要件が緩和され、新築または取得した住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満についても適用可能となりました。その場合には、合計所得金額は1000万円以下が適用要件となります。上記1の入居要件も、新型コロナウイルスの影響などにより、一定の要件のもとに延長されています。

例えば、2021(令和3)年11月末までに一般の分譲住宅を購入し、2022(令和4)年12月末までに入居すれば、住宅ローン控除額は居住後最初の10年目までに最大400万円、11年目から13年目までの3年間で最大80万円、合計最大で480万円になります。その場合、金利負担は大きく軽減されることがわかります。また、所得税から控除しきれなかった金額は住民税からも差し引かれるなど、控除額の無駄が生じにくい点もメリットです。

このようにメリットの大きい住宅ローン控除ですが、適用を受けるためには会社員であっても1年目は確定申告をしなければいけません。そこで、具体的にどのような手続きが必要になるかについて、次段落で解説します。

02住宅ローン控除で住民税を減らす際に手続きは必要?

住宅ローン控除の適用を受けるには個人事業主やフリーランスはもちろん、会社員であっても1年目は原則的に確定申告で申請することになります。確定申告の際には、所得の計算に使用する「確定申告書(A書式)」以外に、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」「住宅ローンの年末残高証明書」などが必要です。加えて、「源泉徴収票」や「不動産売買契約書のコピー」「建物および土地の登記事項証明書」など、たくさんの書類を提出しなければいけないので、早めに準備しましょう。

ただし、会社員の2年目以降の申請は年末調整で行えるように配慮されています。年末調整での申告は、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と「住宅ローンの年末残高証明書」を提出するだけです。1年目の確定申告は手間がかかりますが、2年目以降はかなり簡略化されるため、頑張って手続きをしましょう。

なお、住民税を管轄しているのは市区町村ですが、確定申告書を税務署に提出すると、そのデータが各市区町村へ送られるようになっています。そのため、住宅ローン控除を活用して住民税から差し引かれる場合でも、確定申告とは別に市区町村へ届出をする必要はありません。住宅ローン控除を受けるための確定申告方法の詳細が知りたい方は、下記の関連記事を参考にしてください。

課税明細や住民税の課税決定通知書に控除された金額が記載

確定申告や年末調整を無事に済ませたら、その内容に従って市区町村が住民税を計算します。結果については、毎年5~6月ごろ住所地に届く「住民税決定通知書(課税明細)」で通知されるので忘れずに確認しましょう。住民税決定通知書には納めなくてはいけない住民税の金額だけでなく、前年の所得(収入)や所得控除額など、算出の基礎になった金額も記載されています。

住民税決定通知書を確認する際のポイントは、住宅ローン控除が所得控除ではなく、税額控除である点です。税金の控除には大きく分けて所得額から差し引く所得控除と、納税する税金から差し引く税額控除の2つがあります。住宅ローン控除は所得控除ではなく、税額控除の欄に記載されているので、チェックしてみましょう。

03マイホームの購入・建築時には住宅ローン控除を活用しよう

住宅ローン控除は住宅購入者の金利負担を軽減するために導入された制度です。住宅購入にあたっては節税につながるさまざまな制度が用意されていますが、そのなかでも比較的大きな節税効果を期待できるうえ、所得税から差し引けなかった金額は住民税からも控除してくれます。利用するには会社員であっても1年目に限り確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で申告できます。マイホームの購入・建築時には、住宅ローン控除の利用を積極的に検討しましょう。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

事前審査・相談

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0