1住宅ローン金利の最新動向(2018年12月)

住宅ローンとは、新しく住居を購入する際や、特定のリフォーム工事を行う際に所得税控除を受けられる制度です。住宅ローンを利用する際には、金利が一定の固定金利型と、経済状況などで金利が変動する変動金利型の2種類があり、どちらかを選ぶことになります。

住宅ローンを借り入れている間が固定金利の場合は、毎月のローン返済額が変わらないため、資金計画を立てやすいというメリットがあります。一方で変動金利の場合は、固定金利よりも金利が低く、支払う利息が少なくて済む可能性があります。

変動金利は名前の通り、常に変動しますので、最新の動向について注視する必要があります。また、住宅ローンの融資を受ける金融機関によっては、設定金利が異なりますので、住宅ローンを利用する際は複数の金融機関を比較した上で検討する必要があります。

近年は今までにないほど「低金利」といわれていますが、では変動金利の最新状況や主要銀行の動向はどのようになっているのでしょうか。

変動金利の最新トピックス

それではまず、変動金利の最新の動向(2018年12月16日現在)について紹介します。変動金利は固定金利と比べると金利が低いという特徴がありますが、住宅ローンを扱っている金融機関が多いことから、金利は1%を大きく割り込んでいる状況です。

2018年11月の中旬ごろの長期金利の推移をみると、0.1%前後で水準を保っていますが、11月の下旬には0.1%以下となっており、12月16日時点では、0.05%まで下がっています。
日銀がマイナス金利の導入を発表した2016年1月末以来、住宅ローンにおける金利は低水準のままとなっています。

一方、変動金利が影響を受けやすいとされる、現在の短期金利の推移をみると、マイナス金利のままとなっているため、変動金利の最新の傾向と特徴としては、以下のことがいえます。

  • 短期金利の水準はマイナス金利のまま
  • 2020年ごろまでは現在の水準が維持される見込み

住宅ローンでもし変動金利を選ぶ場合は、金利上昇リスクについて検討する必要がある一方、現在は日銀のマイナス金利政策の導入により、史上最低水準の低金利となっているため、固定金利と変動金利の金利が実際にはどれくらいの差があるのか、事前に確認した上で金利を選択するのがいいでしょう。

主要銀行の変動金利動向

それでは次に、住宅ローンを扱っている主な主要銀行における、変動金利の動向について紹介します。前述した通り、変動金利においては1%を割り込んでいる状況なため、多くの銀行がほぼ横ばい状態となっています。

じぶん銀行
(全期間引下げプラン 変動金利)
0.457%
住信SBIネット銀行
(通期引下げプラン 変動金利)
0.447%
新生銀行
(半年型 変動金利)
0.600%
三菱UFJ信託銀行
(三菱UFJネット専用住宅ローン 変動金利)
0.525%
イオン銀行
(定率型 変動金利)
0.520%
りそな銀行
(全期間型 変動金利)
0.470%

(2018年12月21日現在)

※上記は新規借入の金利です。主要銀行のうち、金利が低い金融機関を取り上げています。
※上記の金利は表面金利のため、保証料などによっては金利に上乗せされる場合もあります。いずれも詳細は各金融機関の公式Webサイトなどをご確認ください。

2016年7月から、現在の2018年12月にかけて、主な金融機関の変動金利は、0.4%~0.6%を維持する傾向にあり、費用などを含んだ実質金利は、約0.5%~0.9%となっています。

例えば、35年間の返済期間で借入金額が3,000万円だった場合、変動金利が0.5%で継続した場合は、総返済額は約3,271万円となります。しかし、固定金利で年1.34%の場合では、総返済額は3,760万円となり、その差は約500万円にもなります。このまま低金利が続くことを考えると、変動金利で住宅ローンを組むことは合理的な選択といえるかもしれません。しかし、もし変動金利が上昇した場合は、その分のリスクも高くなるといえます。

2住宅ローンの変動金利とは

住宅ローンには、前述した通り固定金利と変動金利の2種類のタイプがあります。固定金利には、さらに「固定金利期間選択型」と「全期間固定金利型」のタイプがありますが、固定金利期間中は金利の水準が大幅に上昇したとしても、金利は見直されることがないため、毎月のローン返済額は変わりません。

一方で、住宅ローンにおける変動金利とは、金利が変動するタイプのことをいい、固定金利と比べると金利が低いのが特徴です。金利は半年ごとに見直されるため、毎月の返済額が変わる可能性がありますが、変動金利には固定金利にはない条件なども設定されているため、特徴を前もって理解する必要があります。

変動金利の概説

住宅ローンで変動金利を選択した場合は、「金利が半年ごとに見直される」と前述しましたが、たとえ金利が変更されたとしても、返済額の見直しは5年に一回という決まりがあり、さらに返済額が増える場合は、従来の返済額の1.25倍の金額までと定められています。つまり、半年ごとに金利が見直されても、返済額が変更されるまでに、資金を準備することができます。

未払い利息の仕組み

仮に、毎月の返済額が10万円だった場合は、返済の内訳が「利息6万、元金4万」だったのが、金利が上昇することによって「利息8万円、元金2万円」になり、さらに金利上昇が続くと、毎月10万円の返済がすべて利息となってしまいます。そしてまた金利が上昇すれば毎月返済額を超えてしまい、その超えてしまった部分が「未払い利息」となるのです。

金利が上昇することで返済額に占める利息の割合が多くなり、元金の返済額がなかなか減らないケースもあることから、金利の上昇が大きい場合は、毎回の返済額で利息を払うことができず、「未払い利息」が発生します。金利が下がれば返済額は少なくなりますが、金利が上昇することで、返済額が増えることとなるため、あらかじめ余裕資金などの貯えをする必要があるでしょう。

例えば、住宅ローンを借りる契約者が夫婦共働きで資金に余裕がある場合などは、もし金利が上昇したとしても、返済額が増える前に余裕資金を使って繰り上げ返済を行えば、元金分を減らすことができるため、金利の上昇を抑えることができます。また、住宅ローンの借入金が少ない場合は、金利の上昇で受ける経済的負担は少ないといえるでしょう。

変動金利の金利が決まる仕組み

住宅ローンにおける変動金利は、「短期プライムレート」と呼ばれる、企業を対象とした融資に使われるレートが基準となっています。民間銀行が信頼のおける企業に対して融資を行う際は、返済能力が十分に保証されているため、低金利で融資を行いますが、住宅ローンを借りるのは個人の契約者なため、短期プライムレートよりも高い金利設定となります。

2018年12月時点における現在の住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートに1%を上乗せした2.475%となっています。短期プライムレートは日銀が決める政策金利を元にして決められるため、もし日銀が政策金利を引き上げた場合は、連動している短期プライムレートや住宅ローンの変動金利も上昇することになります。

現在は政策金利が0.1%です。住宅ローンの変動金利は短期プライムレートに1%を上乗せした金額となるため、2.475%となっています。もし政策金利が0.3%となった場合は、住宅ローンもプラス0.2%金利が上がるため、2.675%に上昇します。金利が決まる仕組みというと一見計算が難しそうに感じるかもしれませんが、公表されている短期プライムレートを確認すれば、すぐに算出することができます。

住宅ローンを行う民間銀行は、日銀から融資を受けることで、住宅ローンの貸し出しを行っています。政策金利は、日銀が民間銀行に貸し出す際の金利のことで、民間銀行は日銀から借りた金利と、個人に貸し出す住宅ローンの金利の差額で収益を上げています。政策金利は住宅ローン以外の金利の基準にもなっており、政策金利に何%上乗せするかが、それぞれのローンの金利を決めています。

ここで一つ注意したいのが、前述した政策金利や短期プライムレートを元に決められた金利が、あくまで変動金利の「基準金利」となることです。例えば、実際に住宅ローンを借りる際には、基準金利の2.475%から、「優遇金利」を引いた金額が適用されます。優遇金利とは、住宅ローンを借りる契約者が一定の条件を満たすことで適用される金利のことで、先ほど紹介した基準金利から優遇金利を差し引いた数が、ローン返済時の金利となります。

例えば、基準金利が2.475%で、優遇金利が2.0%の場合は、0.475%が返済時の金利となります。

  • 基準金利 − 優遇金利 = 返済時の金利

優遇金利は金融機関の各種キャンペーンなどによって適用される金利なため、優遇金利が大きいほど、返済額が減ることになります。住宅ローンで変動金利を選ぶ際は、優遇金利に適用期間が設けられている場合があるため、優遇金利が全期間なのか、それとも一定期間なのか、プランの内容について確認するようにしましょう。

近年の変動金利動向

住宅ローンにおける変動金利は、民間金融機関の変動金利推移をみると、2009年以降金利は2.475%のままだといいます。低金利時代といわれていながらも、金利が下がるわけではなく実質固定化されている背景には、短期プライムレートが変動していないことが理由となっています。

過去の変動金利の推移をみてみると、「バブル期」といわれていた1989年~1993年頃の変動金利は、8.5%という高水準でした。これは、1985年、円高に対処することを目的に、日銀が民間銀行に貸し出す金利を2.5%から6.0%まで引き上げる措置をとっていたためで、銀行で扱う住宅ローンの金利も上昇し、その影響で住宅ローンを借りる人もいなくなってしまいました。

現在は2.475%ですので、その差は約3.4倍となります。仮に8.5%の金利を住宅ローンで返済していくと仮定した場合、借入金額が5,000万円、返済期間が35年間を条件とすると、月々の返済金額は373,430円、総返済額は約1.5億円にまでなります。

しかし、バブル経済は「不動産総量規制」と「公定歩合引き下げ」によって終わりを迎えます。
不動産融資総量規制とは、不動産の売買に規制を設ける制度のことで、不動産の需要が減り、結果として不動産価値が下がる結果となりました。2000年以降になると、現在の水準に近い金利となり、さらに住宅ローンを扱っている金融機関が優遇金利を設定したことにより、住宅ローンの金利は低金利へとなっていきました。

さらに、2016年には、政府が「マイナス金利政策」を導入しています。マイナス金利政策はゼロ金利政策を加速させる政策ですので、住宅ローンの金利は更に低下することになりました。

変動金利のメリット・デメリット

では次に、変動金利のメリットとデメリットについて紹介します。住宅ローンの変動金利型タイプは多くの金融機関が扱っていますが、定期的に金利が見直されることによって、金利が動く可能性があるため、返済額が下がるメリットもあれば、逆に金利が増えて返済額が大きくなるデメリットもあります。

過去最低水準の低金利といわれている変動金利ですが、これから住宅ローンの金利について検討する方は、低金利で得られるメリットについて十分に検討し、さらに金利以外にかかる手数料などを見込んだうえで、住宅ローン金利を選ぶようにしましょう。

もし毎月の住宅ローンの返済額が上がっても、預貯金などで対処することができるという方や、ローンの返済金額や返済期間が少ない場合などは、金利も少ないため、変動金利が向いているといえます。しかし、借入額や返済期間、年収などの条件によっては、変動金利よりも固定金利を選ぶのがいい場合もあります。経済的な負担を十分に考慮した上で、変動金利について検討するようにしましょう。

変動金利のメリット

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変動金利のメリットとしては、まとめると以下のようになります。

  • 固定金利よりも金利が低い設定となっている。
  • この先金利が上昇しない場合は、ずっと低金利のまま。

変動金利型は住宅ローンを借りている途中で金利が変動していくタイプですが、前述した通り、半年ごとに金利が見直されたとしても、低金利の状態が続けば大きな変化はないといえるでしょう。短期金利と呼ばれる、取引期間が一年未満の金利は、短期プライムレートに連動し、変動金利にも影響を及ぼします。しかし、短期プライムレートもここ数年ほとんど変化していないという状況をみると、住宅ローンをある程度の期間は低金利で借りることが可能といえます。

もともと固定金利よりも低い設定となっている変動金利は、ローンの返済期間が短かったり、借入金額が少ない場合などは、金利が上昇するリスクも少ないことから、低金利を考慮して利息を少しでも低く抑えたい方にはおすすめの金利といえるでしょう。

変動金利のデメリット・リスク

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一方で、変動金利のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 数年後など、ローン返済中に金利が上昇するリスクがある。
  • 金利が上昇することで予想よりも返済額が増え、返済が苦しくなる。

変動金利の場合は、毎年4月と10月に金利が見直されるのが一般的といわれていますが、金利が変わる場合は借りたときから数えて6年目に変更されます。金利が上昇したとしても、毎月の返済額が1.25倍以上にはならないというルールはありますが、毎月の返済額に上限はあっても、金利には上限がありません。つまり、金利が上がり続けることで、毎月の返済額からは先に利息が引かれていき、残った金額から元金が引かれることになります。

金利が上がり、さらに元金の減りが遅くなることで、「未払い利息」が発生し、最終的な総返済額も増えていくことになります。金利の状況はあくまでこれからも変動していく可能性があることを十分に考慮した上で、変動金利が固定金利かを選択する必要があるでしょう。

当初予定していた返済額が多くなってしまった場合は、家計や生活にも影響しますので、長期間に渡る住宅ローンの利息については、近年の経済状況や金利の特徴をしっかりと理解した上で決める必要があります。