住宅ローンで印鑑証明が必要なタイミングは?登録方法や準備すべき枚数などを解説します

8

住宅ローンを契約する際には住民票や源泉徴収票、本人確認書類など用意すべき書類が多岐に渡ります。中でも普段あまり使うことのない、印鑑登録証明書が必要なタイミングについて気になる人も多いかもしれません。 そこで本記事では、印鑑登録証明書の概要をはじめ、「住宅ローンのどのタイミングで印鑑登録証明書が必要になるのか」を解説していきます。印鑑登録証明書の必要枚数や有効期限、初めて印鑑証明を行う場合の手順についても説明するので参考にしてください。

01住宅ローンの手続きでは印鑑登録証明書が必要になる

住宅ローンの手続きでは、印鑑登録証明書が必要になります。まずは印鑑登録証明書の概要と、必要な理由について解説します。

印鑑登録証明書とは?

印鑑登録証明書とは、「自治体に登録した印鑑(実印)が本人のものであること」を証明する公的な書類です。登録できる印鑑は1人1個と定められています。ほかにも、以下のような条件があります。

  • 印影を鮮明に表した印鑑であること(変形しやすいゴム印や連続スタンプは不可)
  • 住民票に記載されているフルネーム、名字、下の名前のいずれかを表した印鑑であること
  • 一辺の長さは8ミリメートル以上、25ミリメートル以内

基本的に印鑑登録の手続きは、住民票の登録がある市区町村の役所で行います。その際は印鑑以外にも、マイナンバーカードや運転免許証といった本人確認書類が必要です。

初めて印鑑登録を行う人は、「4. 初めて印鑑登録を行う場合について」で詳しく登録方法を記載しているので、こちらをチェックしてください。

住宅ローンの手続きにおいて印鑑登録証明書が必要になる理由

基本的に住宅ローンの手続きでは、金融機関に印鑑登録証明書を提出します。住宅ローンを契約する際に押す印鑑が、「自治体に登録された実印かどうか」を証明するためです。

また金融機関によっては、住宅ローンの審査時にも印鑑登録証明書が必要になるケースがあります。住宅ローンは高額かつ長期的な契約なので、金融機関は審査において契約者本人の身元確認を行います。その一環として、印鑑証明書による本人確認が実施される場合があるからです。

02印鑑登録証明書が必要になるタイミング

印鑑登録証明書の提出が必要なタイミングとして、「不動産会社との売買契約時」「金融機関との住宅ローン締結時」「司法書士との面談時」があります。

まずは不動産会社と売買契約を締結する際、印鑑登録証明書を提出します。売買契約では、重要事項説明書や売買契約書に実印を押さなければなりません。その際の証明として、印鑑登録証明書の提出を求められます。

次に住宅ローンを契約する際、金融機関へ印鑑登録証明書を提出します。保証人や担保提供者がいる場合は、その分の印鑑登録証明書も必要です。前述したように、住宅ローンの審査時にも必要なケースがあるので、事前に金融機関に確認するとよいでしょう。

最後に、住宅ローン契約を結んだ後、同時に抵当権設定登記を行う必要があります。通常は金融機関が指定した司法書士が代わりに行ってくれますが、登記手続きに必要な書類の一つに印鑑証明書があるため、忘れずに準備しておきましょう。

03必要枚数や有効期限は?

ここでは、印鑑登録証明書の必要枚数と有効期限について解説します。余裕を持って準備するためにも、内容を押さえてください。

印鑑登録証明書は最低でも5枚用意しておくのが安心

印鑑登録証明書は5枚以上用意しておくと安心です

まずは住宅取得時に不動産会社へ提出する分として1枚必要です。

次に、住宅ローン用として4枚準備します。3枚は金融機関(うち1枚は保証会社分)残り1枚は司法書士に提出する分です。ただし、審査段階での提出が不要な場合、金融機関への提出は2枚で構いません。不動産会社や金融機関によって必要な枚数は異なるため、事前に確認してください。

なお、契約者が複数だったり、保証人や担保提供者がいたりという場合、それぞれの分の印鑑登録証明書が追加で必要です。

印鑑登録証明書の有効期限は一般的に発行から3ヶ月

印鑑登録証明書自体に有効期限はありません。しかし、基本的に不動産会社や金融機関は有効期限を設定しています。なぜなら、不動産登記法など関連した法律にて有効期限が決められているからです。したがって、早めに印鑑登録証明書を準備すると、期限切れの可能性があるので注意してください。

具体的な期限は不動産会社や金融機関によって異なります。発行から3ヶ月以内の場合もあれば、6ヶ月以内というケースもあります。発行から1ヶ月以内というケースも考えられるので、事前に確認したうえで準備しましょう。

04初めて印鑑登録を行う場合について

初めて印鑑登録を行う場合の手順と注意点について解説します。具体的な流れと注意点を理解することでスムーズに登録できるでしょう。

印鑑登録を行う手順

印鑑登録を行う手順として、まずは以下の準備が必要です。

  • 登録する印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、顔写真つき住民基本台帳カードなど)

上記を持参し、住民票がある市区町村の役所で手続きを行うと即日登録できます。

次に、顔写真つきの本人確認書類はないものの、保証人をつけられる場合の持ち物は以下です。

  • 登録する印鑑
  • 顔写真のない本人確認書類(健康保険証、年金手帳など2点)
  • 保証人の実印
  • 保証人の印鑑登録証明書(保証人の住民票が他の市区町村にある場合)

上記の場合も即日登録が可能です。

最後に、顔写真つきの本人確認書類を用意できず、保証人もいないケースです。この場合は役所に二度、行かなければなりません。一度目の持ち物は、以下の通りです。

  • 登録する印鑑
  • 顔写真のない本人確認書類(健康保険証、年金手帳など2点)

一度目の手続きを行った後、照会文書(回答書)が郵送されてくるので、必要事項を記入して再び役所へ行きましょう。その際も「登録する印鑑」と「顔写真のない本人確認書類」を持参する必要があります。

なお、本人に事情がある場合は、代理人による登録も可能です。この場合も代理人は役所に二度、行く必要があります。

印鑑登録を行う場合の注意点

前述したように印鑑登録を行う際は、必ずしも即日登録できるとは限りません。

顔写真つきの本人確認書類があり、本人が役所で手続きを行えば即日登録は可能です。しかし、顔写真つきの本人確認書類がなく、保証人もいない場合は時間がかかります。代理人が手続きを行う場合も同様です。

そのため、物件の申し込みや住宅ローンを契約する予定日から逆算し、余裕を持って印鑑登録を行うとよいでしょう。

また、自治体によって代理人の条件が異なる場合があるので注意してください。具体的な代理人の条件に関しては、自治体のホームページで確認することをおすすめします。

05住宅ローンの借り換え時に印鑑証明書は必要?

住宅ローンの借り換え時にも印鑑登録証明書は必要です。枚数や期限に関しては、初回の住宅ローン契約と同じです。基本的には、発行から3ヶ月以内の印鑑登録証明書を4枚、用意するとよいでしょう。ただし、借り換え先の金融機関によっても異なるので、事前確認を行ってください。

06まとめ

印鑑登録証明書とは、実印を証明するための書類です。不動産会社と売買契約を結ぶ際や、住宅ローンの契約時などに必要になります。必要な枚数は状況や金融機関によって異なるものの、発行から1ヶ月以内のものを4~5枚用意するとよいでしょう。

市区町村の役所で印鑑登録の手続きを行う際は、顔写真つき身分証明書の有無や、保証人をつけられるかどうかで異なります。場合によっては役所に二度、足を運ぶことになるので注意してください。

初めての住宅ローン契約では、「早めに必要書類を用意したい…!!」と気持ちが焦るかもしれません。しかし印鑑登録証明書は手続きに応じて有効期限が決められているため、早めに用意すると有効期限が切れてしまうことがあります。その点にも注意しながら、用意するタイミングをしっかり押さえておきましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

関連キーワード

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0