【世帯年収900万円】住宅ローンの借入可能額と適正額とは?無理のない返済額や期間を紹介

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世帯年収900万円の場合、住宅ローンの借入可能額はいくらなのでしょうか。また、適正額はどのくらいなのでしょうか。 本記事では、借入金額別の返済イメージを交えながら、年収900万円の住宅ローンについて解説していきます。月々の返済額を決めるポイントについても説明するので参考にして下さい。

01世帯年収900万円が組める住宅ローンとは?

まずは世帯年収900万円で組める住宅ローンの「借入可能額」と「平均借入額」について解説します。

借入可能額は約8000万円

年収900万円で組める住宅ローンの借入可能額は約8000万円です。ただし条件によっても異なります。

まずは返済負担率の考慮が大切です。返済負担率とは、年収に占める住宅ローン返済額の割合のことをいいます。

フラット35の返済負担率は「年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上は35%以下」となっています。年収900万円の場合は「年315万円=900万円×35%」が上限です。月に換算すると、約26万円の返済額になります。

次にフラット35の金利ですが、融資率9割以下で最も多い金利は年1.84%です(2024年3月時点)。

上記の条件をもとに35年ローンを組む場合、借入可能額は8046万円になります(フラット35の借入可能額は8000万円)。

世帯年収900万円の平均借入額は5261万円

世帯年収900万円の借入可能額は約8000万円ですが、毎月26万円の返済は負担が大きいのではないでしょうか。そのため、実際の借入金額は低く見積もることが大切です。

住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」によると、2022年度の返済負担率の平均は23.1%となっています。

年収900万円の場合、「207万9000円=900万円×23.1%」が平均返済負担率にもとづいた年間の返済額です。年間207万9000円は、月に換算すると約17万円になります。

上記をもとに、先ほどと同じ条件(固定金利1.84%・返済期間35年)でシミュレーションすると、借入可能額は5261万円となります。

02住宅ローン借入金額別の返済イメージ

住宅ローン借入金額別の返済イメージとして、借入金額4000万円と6000万円のケースで考えてみましょう。

借入金額4000万円の場合

まずは借入金額4000万円の場合の「月々の返済額」と「生活レベル」について解説します。

住宅ローンの月々の返済額は金利や返済期間によって変わります。あくまでも概算になりますが、借入金額4000万円でフラット35を利用した場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。

【借入金額4000万円の場合】※金利は年1.84%でシミュレーション

返済期間 返済総額 毎月の返済額
35年 5429万円 13万円
30年 5209万円 14万5000円

このように、借入金額4000万円で返済期間35年と30年のケースでは、月々の返済額はそれぞれ13万円と14万5000円となり、返済期間5年を減らすと毎月1万5000円の負担が増える計算です。

住宅ローンを組んだ場合の生活レベル

年収900万円で住宅ローンを組んだ場合の生活レベルを解説します。前述した住宅ローンの月々の返済額同様、あくまでも概算ですが参考にしてください。

年齢40歳以上65歳未満の会社員と仮定した場合の税金・社会保険料は以下のとおりです。

項目 金額
所得税 63万9600円(復興税込み)
住民税 53万4500円(調整控除後)
雇用保険 5万4000円
健康保険 53万1900円
厚生年金 71万3700円

上記の金額を合計すると、税金・社会保険料を合わせて年間247万3700円になります。

年収900万円から247万3700円を差し引くと手取り年収は652万6300円となり、月に換算すると約54万円です。

借入金額4000万円の毎月の返済額は返済期間35年で13万円、返済期間30年で14万5000円でした。

上記を手取り月収54万円から差し引くと、返済期間35年の場合は41万円、返済期間30年の場合は39万5000円になります。

したがって、月40万円前後が生活レベルといえるでしょう。

借入金額6000万円の場合

次に借入金額6000万円の場合の「月々の返済額」と「生活レベル」について解説します。

次は借入金額6000万円の月々の返済額を見てみましょう。借入金額4000万円と同じようにフラット35を金利年1.84%で利用した場合の返済額シミュレーションで、あくまでも概算の数字です。

【借入金額6000万円の場合】※金利は年1.84%でシミュレーション

返済期間 返済総額 毎月の返済額
35年 8143万円 19万4000円
30年 7813万円 21万8000円

このように、借入金額6000万円で返済期間35年と30年のケースでは、月々の返済額はそれぞれ19万4000円と21万8000円になります。借入金額4000万円と比較すると、月々の返済額は6~7万円ほど上がる計算です。

住宅ローンを組んだ場合の生活レベル

前述したように年収900万円の手取り年収は652万6300円で、月に換算すると約54万円でした。

借入金額6000万円の毎月の返済額は、返済期間35年で19万4000円、返済期間30年で21万8000円です。

手取り月収54万円から差し引くと、返済期間35年の場合は34万6000円、返済期間30年の場合は32万2000円となります。

したがって、月35万円前後が生活レベルといえるでしょう。

なお、各種住宅ローンのシミュレーションに関しては、以下の住宅ローンシミュレーションも参考にしてください。

03月々の返済額を決めるポイント

年収900万円の人が月々の返済額を決めるポイントについて解説します。無理なく返済するために必要な情報なので参考にして下さい。

片方の収入で返済できる金額にする

夫婦でペアローンを組む場合は、メリットとデメリットを理解しましょう。

ペアローンのメリットは、夫と妻の年収を合算して住宅ローンを組めることです。たとえば、夫の年収が500万、妻の年収が400万円の場合、世帯年収900万円で住宅ローンを組めます。

一方のデメリットとしては、将来の不確実性が挙げられます。現在は夫婦で収入があっても、今後どちらかが仕事を辞めるかもしれません。その場合、月々の返済負担が重ければ、支払いに窮するリスクがあるでしょう。

そのため、「将来的に世帯収入が減るかもしれない」ことを考慮したうえで、片方の収入で返済できる借入金額を考えることが大切です。

定年までに完済できる金額にする

定年までに完済できる借入金額にすることも大切です。基本的に定年後は、収入が低下します。先ほど生活レベルについて説明しましたが、あくまでも年収900万円を維持できる場合です。定年後は十分な貯蓄がない限り、同一の生活レベルを維持するのは困難でしょう。

そのため、「定年までに完済できるかどうか?」という視点を重視して借入金額を検討しましょう。

頭金を上手に活用する

無理のない住宅ローン返済を考える場合、頭金の準備も1つの方法です。基本的に頭金の額が多ければ多いほど、月々の返済額を減らせます。

ただし、頭金の準備にこだわりすぎると、住宅ローンを組む時期を逃す可能性があります。また、頭金を入れすぎて貯蓄がない場合、万が一の事態に対処しづらくなるので、バランスを取った金額の設定が大切です。

04まとめ

年収900万円の住宅ローン借入可能額は約8000万円ですが、理想的な借入金額は約5000万円です。

また月々の返済額を決めるポイントとして、夫婦どちらかの収入で返済できる金額、定年までの完済、頭金の活用があります。具体的に借入可能額をシミュレーションしたい方は、以下の住宅ローンシミュレーションをお試しください。金利タイプ別などさまざまな条件で借入可能額が算出できます。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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