世帯年収500万円で借入可能な住宅ローンはいくら?

2021.06.08 10

「夫婦合わせて世帯年収500万円だけど、住宅ローンはいくらまで借りられるのか?」「無理なく返済できる借入額っていくらだろう?」。住宅ローンの支払いは期間が長くなるため、起こり得るさまざまな状況を想定した上で世帯に合った借り入れプランを検討したいですよね。今回は、世帯年収500万円で住宅ローンを組む場合の借入上限額や、現実的な借入額はいくらなのかを解説します。

01世帯年収500万で住宅ローンはいくら組める?

住宅ローンの借入額を決める際は、年収の何倍まで借りられるかを表す「年収倍率」や他のローン返済額を含めて年間返済額を計算する「返済負担率(返済比率)」を目安にします。住宅ローンでの借入額を増やしたい場合は、連帯保証人あるいは連帯債務者として配偶者の年収も合算可能です。年収倍率と返済負担率について、詳しく説明します。

年収倍率から考える

年収倍率とは、購入しようとする住宅価格が年収の何倍かを示す倍率です。ここでいう年収(年間収入の合計額)とは、手取額ではなく、社会保険料や税金が引かれる前の総支給額(源泉徴収票の「支払金額」)を用います。「年収倍率=住宅購入価額÷現時点での年収」という計算式で算出可能です。

年収倍率は、金融機関が住宅ローンの融資審査をする際の、融資可能額を判断する基準としても用いられます。年収倍率の平均は6.5倍程度ですが、月々の返済額を考えて住宅ローンの借入額は年収の5~6倍程度とするのが一般的です。

ちなみに独立行政法人住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査」によると、全国平均の年収倍率と所要資金は次のとおりです。

  年収倍率 所要資金
土地付注文住宅 7.3倍 4257万円
建売住宅 6.7倍 3494万円
注文住宅 6.5倍 3454万円
中古戸建て 5.5倍 2574万円
マンション 7.1倍 4521万円
中古マンション 5.8倍 3110万円

土地付注文住宅を購入した世帯の年収倍率を見ると、土地の価格が高いといわれる首都圏・近畿圏・東海圏で全国平均を上回っています。ちなみに、年収倍率の上限は8倍といわれていますが、上限額ギリギリまで借りると、月収に占める返済額の割合が大きくなり、家計を圧迫することが想定されます。

世帯年収が500万円だと最大で4000万円前後を借りられる可能性はあるものの、金融機関の審査によって、借入上限額は異なります。したがって年収倍率を5~6倍以内で考えると、年収500万円の世帯の場合は、2500万~3000万円が一般的な住宅ローン借入額といえます。

返済負担率から考える

返済負担率とは、1年間に返済する額が年収のどのくらいの割合を占めるのかを示す率です。「返済負担率=年間の返済額合計÷現時点での年収×100」という計算式で算出でき、返済比率と呼ばれることもあります。住宅ローンの審査で重要視される項目の一つであり、住宅ローンの返済額だけでなく、マイカーローン・教育ローンやカードローンなど、他の返済額を含めて計算します。このように、すべてのローンを含むという意味で、総返済負担率ともいわれます。

例えば、年収500万円の人が住宅ローンで月々10万円(年間120万円)を返済する場合には、返済負担率は24%です。手取収入にすると、月額は約33万円、年額391万円※となり、手取年収に対する返済負担率は約31%(年間返済額120万円÷手取り年収391万円×100)と高くなります。手取月額33万円の中から10万円のローンを返済すると、月額23万円で生活をするイメージです。返済負担率は24%でも、手取年収に対する返済負担率は31%になり、決して生活費に余裕があるわけではありません。仮に金融機関が40~45%の返済負担率を容認したとしても、実際の手取収入を考えると25%を超えると月々の返済が厳しくなることがわかるでしょう。ボーナスも併用して住宅ローンを返済する場合には、ボーナスが減るリスクも考慮しておく必要があるでしょう。

※39歳以下、税法上の扶養家族なし、ボーナス支給なしとして考えます。

したがって、他のローン返済分を含めて月々の返済負担率を20~25%以内に設定すれば、家計への負担は比較的が少なくなります。なお「フラット35」では、総返済負担率が利用条件に定められており、年収400万円未満の場合は30%以内、年収400万円以上の場合は35%以内となっています。

02住宅ローンを最大借入可能額まで借りることのリスク

年収500万円で住宅ローンの最大借入可能額の4000万円(年収倍率8.0倍)を借りる場合などは、働く環境やライフイベントの変化など想定外の事態によって返済が続けられなくなるリスクを、より慎重に考えておかなければなりません。住宅ローンの借入額を決める前に、自分や家族の人生設計を十分検討しておくことが、健全に住宅ローンを返済していくためには大切です。

身近な例だと、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、給与・ボーナスが減額になった企業、あるいはリストラを実施した企業があり、住宅ローンの返済に影響が出た人もいます。金融機関によっては、住宅ローンの支払い計画の変更(リスケジュール)に応じてくれる場合もありますが、最終的に支払う利息が増える点には留意が必要です。

子どもの教育費用が思いの外かさむ、あるいは親の介護費用の支出を余儀なくされるケースも考えられます。妻の妊娠・出産により夫だけの収入で住宅ローンを返済する期間が生じる可能性もあるでしょう。特に完済時期を65歳以上に設定した場合には、定年退職後は年金収入だけで住宅ローンを返済することになり、最悪の場合は老後破綻という事態を招く恐れもあります。

変動型の住宅ローンでは、借入期間中に金利が上がり、当初の予定より総返済額が増える可能性もあります。住宅選びには「いくらまで借りられるのか」という視点よりも、住宅購入後に家計が破綻しないようにするためには「いくらまでなら無理なく返済できるのか」という視点が重要です。

03世帯年収500万円の現実的な借入額

そこで、世帯年収が500万円の方が無理なく返済できる、現実的な住宅ローンの借入額をシミュレーションしてみましょう。

前述したように年収倍率の全国平均が5.5~7.3倍とすると、年収500万円だと住宅ローンの借入額は2750万~3650万円が平均的だといえます。しかし、総務省統計局「2021年3月分家計調査報告」によると、2人以上の世帯※1での平均消費支出はひと月30万9800円、そのうち住居費を除くひと月の平均消費支出は28万8134円です。年収500万円の人の月々の手取額約33万円※2から平均的なひと月の消費支出を引くと、住宅ローンの返済に回せる月額は約4万2000円(返済負担率は約10.1%)になります。平均消費支出には、交通・通信費や娯楽費といった暮らしの中の工夫で節約できる項目もあるため、住宅ローンの返済に回せる金額はもう少し増やすことができる場合もあるでしょう。このように、適正と考えられる返済負担率20~25%(年間返済額100万~125万円、月額約8万~10万円)の範囲内であっても、実際の手取りから考えると、家計に与える影響はかなり大きいといえます。

※1 「勤労者世帯」「無職世帯」のほか、世帯主が個人経営者、法人経営者、自由業者などの世帯が含まれます。

※2 39歳以下、税法上の扶養家族なし、ボーナス支給なし、として考えます。

例えば、毎月6万円(年間72万円)ずつ返済する場合(借入期間35年、金利年1.04%、全期間固定型)は、借入元金は2111万円、総返済額は2520万円(うち支払利息合計額409万円)です。購入する住宅の種類や地域、家計の状況、ライフプラン、さらには金利の種類(変動金利・固定金利)によって、現実的な借入額は変わります。返済に無理が生じない借入額を決めるためには、定年までに完済できるか、子どもの教育費を支払えるのかなどにも考慮をしつつ、家庭の全体支出がどのくらいかを把握した上で検討することが大切です。

また、転勤や社宅在住などでマイホームを購入するタイミングが遅いなどの理由から、借入期間が短い場合には、年収倍率だけでは適正な借入額を判断しにくいことがあります。その場合は、適正な返済負担率(20~25%)の年間返済額に返済年数を乗じた金額までとするとよいでしょう。例えば年収500万円、返済負担率20%、年間返済額100万円、借入期間20年の場合、適正な借入額(金利を含む)は、2000万円(年間返済額100万円×返済年数20年)となります。

04シミュレーションで適正な住宅ローン借入額を把握しよう

住宅ローンの実際の借入額は年収の5~6倍が平均的な水準ですが、住宅ローンの審査では年収に対する年間返済額(返済負担率)も重要視されます。フラット35の利用条件では、年収400万円以上の人は返済負担率が35%以内と定められています。しかし、ライフステージの変化に対応しながら返済するには、返済負担率を20~25%以内にしておくと家計への圧迫が比較的少なくなるでしょう。まずは現在支払っている家賃と同じ返済額で、いくらまで住宅ローンが借りられるか等を試算できる「借入可能額シミュレーター」を用意しています。ぜひ、お試しください。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

関連キーワード

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0