外国人が永住権なしで住宅ローンを組む条件とは?審査の内容や銀行を紹介

2021.09.16 13

新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人客が激減、街で外国人の姿を見かけることも減りましたが、実は日本に永住する外国人や、特別な技能を持って日本で働く外国人は年々増え続けています。仕事で外国人と日常的に交流のある人も多いと思いますが、彼らから住宅ローンの相談を受けたら上手くアドバイスできますか?今回は外国人が日本の金融機関で住宅ローンを組む方法について解説します。

01外国人が住宅ローンを組むには永住権が必要?

諸外国の中には外国人の不動産所有を認めていない国も少なくありませんが、日本では外国人でも日本人と同様に不動産を購入・所有することが認められています。しかし、日本の金融機関で外国人が住宅ローンを組むことは、そう簡単ではありません。日本の金融機関の多くは、住宅ローンの申込要件を「日本国籍であること、または永住許可を有すること」としており、永住権を持たない外国人には融資をしないこととしているからです。ただし、これは逆に言うと、永住権があり審査に通れば、外国人でも融資を受けられるということでもあります。

永住権とは、日本への在留を希望する外国人が取得できる在留資格のうちの1つで、永住権を取得した外国人は在留期間の制限なく日本に滞在し、職種や業種を問わず就労することも認められます。ただし、永住許可の審査は厳しく、取得できるのは、原則として日本に10年以上在留している人で、かつ次の審査基準を満たしている外国人のみとされています。

永住許可の審査基準

永住許可の審査基準は下記の通りです。

  1. 素行が善良であること
    • 法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
    • 日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
    • 罰金刑や懲役刑などを受けておらず、納税や公的年金の保険料の納付といった公的義務を果たしていること。また、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

ただし、日本人や永住者または特別永住者の配偶者又は子である場合は「1」及び「2」に適合することを要しません。また、難民認定を受けている者の場合は「2」に適合することを要しません。

なお、10年以上日本に在留していなくても、例えば日本人の配偶者となった人や特別な技能を持つ人などは、永住許可を得ることができる特例もあります。

また、住宅ローンの中には申込要件として「永住許可を有していること」以外に「特別永住者であること」を挙げているものもあります。この特別永住者とは、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」によって定められた在留資格を持つ外国人のことで、具体的には第2次世界大戦以前から日本国民として日本に住んでいた外国人(主に韓国人、朝鮮人、台湾人)で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った人とその子孫のうち、一定の要件を満たす人のことを指します。

02永住権なしで住宅ローンを組むには?

では、永住権のない外国人が日本で住宅ローンを利用して住宅を購入するには、どうすれば良いのでしょうか?考えられる方法は、以下のとおりです。

日本人の配偶者に保証人になってもらう

金融機関の中には、日本人または永住権を持つ外国人の配偶者が連帯保証人になることを条件に、永住権のない外国人にも利用できる住宅ローンを提供しているところもあります。また、あまり数は多くありませんが、最近では永住権のない外国人で、日本人の配偶者や永住権を持つ配偶者の保証人がいない人でも利用できる住宅ローンも出てきています(後述)。金融機関によって申込要件や審査基準が異なるので、永住権のない外国人で住宅ローンの利用を希望する場合は外国人向け住宅ローンの取り扱いのある金融機関の担当者に相談してみると良いでしょう。なお、永住権のない外国人の場合は通常よりも適用金利が高くなる傾向にあるので、金融機関に相談する際は適用金利についてもしっかり確認しておくと安心です。

母国の銀行を利用

母国の銀行が日本に支店を出している場合、そこで住宅ローンを組めるケースもあります。母国の銀行なら、過去のローン履歴なども調べやすく、仮に返済途中で母国に帰国した場合も追跡がしやすいため、日本の金融機関で住宅ローンを組めなかった人でも、融資を受けられる可能性はあります。ただし、日本の金利ではなく母国の金利が適用される場合は、金利変動のリスクがあること、つまり、母国の経済状況の急変などで金利が上昇した場合に返済が苦しくなるおそれがあることに注意しましょう。

頭金を多めに用意する

外国人の場合も日本人と同様、頭金が多ければ多いほど融資の審査に受かりやすいと言われています。特に厳しい審査基準が課される永住権のない外国人の場合は、収入が安定していることを金融機関に証明するためにも、頭金をできるだけ多く用意するようにしましょう。頭金が多いほど、借入金額が少なくて済むので、返済期間を短くし、総返済額を抑えられるというメリットもあります。

03永住権のない外国人、住宅ローンの審査内容は?

では、永住権のない外国人が住宅ローンを申し込んだ際、どのような審査を受けるのでしょうか?金融機関やローンの種類によって異なるので、一概には言えませんが、一般的には主に次のような点を審査されると考えておくと良いでしょう。

年齢

借入時と完済時の年齢に制限が設けられており、それぞれ制限を超える場合は借り入れができません。

健康状態

返済途中で病気になったり死亡したりして返済ができなくなるリスクを防ぐために、団体信用保険への加入が義務となるケースがほとんどです。健康状態に問題がある場合は団体信用保険に加入できず、したがって住宅ローンも借りられないことになります。

勤続年数

一部の金融機関を除いてほとんどの金融機関が、「勤続年数が2年以上」などの要件を設けています。勤続年数は長ければ長いほど有利とされ、短いと融資が受けられないケースもあります。なお、個人事業主の場合は開業してからの「営業年数」が問われます。また、審査前に担当者との面接で今後のキャリアプランについてヒアリングを受ける場合もあります。

年収

ほとんどの金融機関が「前の年の年収が200万円以上(税込)」などの、収入要件を設けています。当然ながら年収が多い方が高く評価されるため、融資を受けやすくなります。

他の借入金の有無

多くの金融機関が「総返済負担率」(年収に占める借入額の割合)に制限(年収の30~35%)を設けています。借りようとしている住宅ローン以外にもローンや借入金がある場合は審査に通りにくくなります。

居住年数

居住年数については「5年以上」「3年以上」などの要件が設けられているケースがあり、長ければ長いほど有利になります。居住年数が1年未満など極端に短い人については、審査の申し込み自体ができない場合も珍しくありません。

本人や収入を証明する書類の有無

住宅ローンの審査を受けるには、本人の身分や収入を証明するための書類を多数取り揃えて提出する必要があります。必要な書類は金融機関によって異なりますが、少なくとも次のような書類は揃えられるようにしておく必要があります。

  • 身分証明書(パスポート、健康保険証、運転免許証など)
  • 外国人在留カード、外国人登録証明書、特別永住者証明書など
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 確定申告証明書(自営業者、個人事業主の場合)
  • 納税証明書
  • ローンの返済予定表

担当者との意思疎通ができるかどうか

一部には英語や中国語での接客を実施している金融機関もありますが、ほとんどの場合、住宅ローンに関する手続きは日本語で行われます。商品や契約内容の説明を日本語で理解できない場合は、融資を断られることがあります。

このように、永住権のない外国人がローン審査を突破するのは決して簡単なことではありません。準備をして臨んでも落ちてしまうこともあり、いわゆる「くたびれもうけ」になってしまうことも珍しくありません。永住権を取得すると審査に通りやすくなるので、購入を永住権取得後に先延ばしするのも一案です。

04永住権のない外国人向け住宅ローンを扱う金融機関

では実際に、永住権のない外国人向けの住宅ローンを提供している金融機関では、融資の申込・審査にあたって、どのような要件を設けているのか、見ていきましょう。

銀行名 金利タイプ 主な融資条件
SMBC信託銀行プレスティア 変動型、または固定期間選択型 ・日本に居住している外国籍の人
・日本語もしくは英語で意思疎通可能な人
・借入時満20歳以上かつ完済時満80歳未満であること
・所定の団体信用生命保険に加入すること
・前年度の年収500万円以上
・融資金額:1000万円以上5億円以内
・融資期間:1~35年
新生銀行 変動型、固定期間選択型、全期間固定型のいずれか ・日本国内に居住している外国籍の人
・新生総合口座パワーフレックスを開設すること
・借入申込時20歳以上65歳以下完済時80歳未満であること
・団体信用保険に加入すること
・日本国籍を有する、または永住許可のある外国籍の配偶者が」連帯保証人となること
・勤続2年以上の正社員または契約社員で、かつ前年度年収が300万円以上(税込)であること。自営業は業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得があること
・融資金額:500万円以上3億円以下
・融資期間:5年以上35年以内(1年単位)
イオン銀行 変動型、または固定期間選択型 ・日本国内に居住している外国籍の人
・日本在住で就労に制限のない在留資格を持っていること
・借入時満20歳以上満71歳未満かつ完済時満80歳未満
・所定の団体信用生命保険に加入すること
・給与所得者は勤続6カ月以上、会社経営者、個人事業主は事業開始後3年を経過していること
・給与所得者および会社経営者は前年度年収100万円以上、個人事業主は前年度所得が100万円以上であること
・日本語(読み、書き)が理解できること
・住宅購入金額の20%以上の自己資金が用意できること
・融資金額:200万円以上1億円以内
・融資期間:1年以上15年以内
東京スター銀行 変動型または3年5年、10年の固定期間選択型のいずれか ・日本国内に居住している外国籍の人
・借入時25歳以上65歳以下かつ完済時に75歳以下
・所定の団体信用保険に加入すること
・日本語の契約規定を理解できる人(配偶者または法律専門家の助けを得て理解できる場合を含む)
・正社員として1年以上、または会社役員・自営業として3期以上の安定した収入があることを公的書類にて証明できる人
・税込年収400万円以上の人
・融資金額:500万円以上1億円以内(物件の価格以内)
・融資期間:1年以上35年以内
交通銀行(中国五大銀行の一つ) 要問合せ ・在留資格を有する外国籍の人
・満20歳以上64歳以下
・年収300万円以上
・交通銀行の口座を持っている人
・融資金額:500万円以上
・融資期間:要問合せ
中国銀行(中国第3の商業銀行) 要問合せ ・在日居留資格を有する中国籍の人
・中国銀行の口座を持っている人
・融資金額:銀行担保評価額及び売買価格の70%以下(低い金額を選択)
・融資期間:20年以内
セゾンファンデックス 変動型
・日本国内に居住している外国籍の人
・申込時満20歳以上70歳以下かつ完済時85歳未満
・安定した収入があること
・融資金額:100万~5億円
・融資期間:5~30年

※いずれも2021年8月現在
出典:各金融機関のウェブサイト

05外国人とのコミュニケーションに役立つかも?

外国人向けのローンというと日本国籍の人には関係のない話のようにも思えますが、実はそうとも限りません。日本で暮らす外国人の数は増え続けているので、外国人と知り合いになったり一緒に働くようになったりする可能性は誰にでもあります。経営者の場合は外国人を雇用する機会もあるでしょうし、外国人と自分や家族が結婚して家族になる可能性も十分考えられますから、外国人から住まいの購入や住宅ローンの組み方について相談されたとき、ちょっとした情報やヒントを提供してあげられるようにしておきたいものです。言葉や商習慣、文化の違う外国でローンを組むのは大変なこと。ちょっとした手助けでも、外国人の方にはとても心強く感じられるのではないでしょうか。もしかしたら、この小さなサポートが彼らとのコミュニケーションを深めるきっかけとなり、知人や同僚としてより良い関係の構築につながっていくかもしれません。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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