「3000万円の住宅ローン」を組むための年収と返済額を解説

2021.06.04 10

国土交通省「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築マイホームの平均購入金額は、土地付きの新築注文住宅で4615 万円、新築戸建住宅で3851万円、新築分譲マンションで4457万円となっています。これに対して、それぞれの平均借入額は新築注文住宅で3361万円、新築分譲戸建住宅で2830万円、新築分譲マンションで2702万円となっています。つまり、新築マイホームを購入するのに、約3000万円が借入金であることがわかります。そこで今回は3000万円の住宅ローンを組むために、どれくらいの年収が必要なのか、選ぶ金利で月々の返済額がどのくらい変わるのかなどについて、具体的な数値を用いて説明していきます。

013000万円の住宅ローンを組むのに必要な年収は?

住宅ローンを3000万円借りるためには、どれくらいの世帯年収が必要なのでしょうか。結論からいうと、世帯年収450万円以上(借入期間を35年)というのが目安となる年収ラインといえます。世帯年収に対する最適な借入額を計算する際に、特に重要なのが「年収倍率」と「返済負担率」です。それでは、まず「年収倍率」について説明していきましょう。

住宅ローン借り入れした人の平均年収倍率は約6.5倍!

「年収倍率」とは、住宅購入にかかる費用総額を世帯年収で割った数字のことをいいます。たとえば住宅購入費用総額4000万円に対して、世帯年収が500万円であるとき、年収倍率は8倍ということになります。住宅金融支援機構「2019(令和元)年度 フラット35利用者調査」によると、この年収倍率の全国平均は、購入する住宅の種類別にみると次のようになっています。

  • 土地付き注文住宅 7.3倍
  • 分譲新築マンション7.1倍
  • 建売住宅 6.7倍
  • 注文住宅 6.5倍
  • 中古マンション 5.8倍
  • 中古戸建 5.5倍

全体で見ると、平均年収倍率は約6.5倍です。金融機関の中には、条件によっては年収の8倍を融資額の上限にすることもあるようですが、「借りられる金額」と実際に「無理なく返せる金額」は異なります。現実的な借入額は、やはり年収倍率6~7倍といえるでしょう。年収倍率6倍で考えると、借入額3000万円の場合、年収は500万円になります。年収500万円(40歳未満、東京都在住、扶養なし)は月平均の手取りにすると約32万円です。仮に月々7万6000円の住宅ローン(返済期間35年、金利0.375%)を支払うと、月額生活費として使えるのは約24万円になります。住宅ローン返済額が手取りに占める割合は約24%です。

年収300万円で3000万円の住宅ローンを組むと、返済負担率30%以上にも!

住宅ローンの借入額と収入の目安を考える指標は「年収倍率」の他にもう1つ、「返済負担率」という指標があります。「返済負担率」とは、世帯年収に占める年間返済額の割合のことです。住宅ローン以外にもローン(カードローン、自動車ローン、奨学金など)があれば、その返済額も年間返済額に含めて総合的に考えます。以下の数式で計算します。

返済負担率(%)=(年間の返済額合計)÷(世帯年収)×100

例えば、世帯年収500万円で住宅ローンの年間返済額が150万円であれば、返済負担率は30%(年間返済額150万円÷世帯年収500万円×100)になります。そして、この「返済負担率」は一般的に、「20~25%」が家計を圧迫しない範囲とされています。返済負担率が30%を超えると月々の返済負担が重くなり、家計を圧迫してしまう可能性が大きくなるでしょう。

例えば、世帯年収300万円の人が仮に年間96万円(月額8万円)の住宅ローンを返済すると仮定します。この場合の返済負担率は32%(年間返済額96万円÷世帯年収300万円×100)となります。世帯年収300万円(40歳未満、東京都在住、扶養なし)では、月平均約20万円の手取り額から月々8万円の住宅ローンを返済する計算です。月額生活費は約12万円になり、住宅ローンがかなり家計を圧迫することがわかります。

同じ条件で世帯年収450万円では、返済負担率は21.3%(年間返済額96万円÷世帯年収450万円×100)になります。月平均約29万円の手取りから月々8万円の住宅ローン返済額を引いても、月額生活費は21万円になります。世帯年収300万円の時と比べて住宅ローンの負担は減り、家計を切り盛りできる水準といえます。

このように「年収倍率」と「返済負担率」この2つの指標からみると、住宅ローン3000万円を借りる場合は世帯年収450万円以上というのが、現実的な年収の目安になるでしょう。これらの指標の適正水準を大きく超える借り入れは、返済が難しくなる可能性が高いでしょう。

また、覚えておきたいのが「借入限度額」です。金融機関はそれぞれ年収や返済負担率などに関係なく「借入限度額」というものが設定されています。例えば財形住宅融資では4000万円、フラット35では8000万円、一般的な民間銀行の住宅ローンではおよそ1億円(金融機関によって異なる)が、借入限度額と設定されています。借入限度額の仕組みについてもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみましょう。

023000万円の住宅ローンを組んだ場合、月々の返済額はいくら?

それでは住宅ローンを3000万円で組んだ場合、返済期間ごとに月々どのくらい、また総額でどのくらい返済するのかを見てみましょう。

【返済期間別】総返済額、月々の返済額はいくら?

条件として以下の数値を設定します(2021年5月現在)。

【条件】金利:0.375%(変動、ただし借入期間中も同率と仮定)、ボーナス返済額:なし

返済期間 35年 30年 25年
月額総返済額合計 7万6229円 8万8121円 10万4776円
総返済額 3202万円 (うち利息分202万円) 3172万円 (うち利息分172万円) 3143万円 (うち利息分143万円)

住宅ローン3000万円を最長35年で返済する場合(金利0.375%、変動、ボーナス返済はなし)、毎月の返済額は7万6229円になります。仮に年収400万円(40歳未満、東京都在住、扶養なし)とすると、月収手取り約29万円から月々7万6229円(年間91万4748円)の住宅ローンを返済することになります。月額約21万円が手元に残るので、生活費を切り詰めなくてもすむ可能性が高くなります。返済負担率は20.3%(年間返済額91万4748円÷年収450万円×100)です。

以上の例からもわかる通り、年収450万円以上であれば、住宅ローン3000万円(期間35年)の借り入れをしても、月々の返済で無理のない範囲となることがわかります。自己資金が用意できる場合は、返済期間の短縮も検討すると総支払利息が下がるので、トータルでの返済負担が軽減されます。個別のシミュレーションについては下記のリンクから計算してみましょう。

【金利タイプ別】総返済額、月々の返済額はいくら?

続いて、金利タイプ別で住宅ローン3000万円の借り入れした場合についてもシミュレーションしてみましょう。条件としては以下の基準を設定します(2021年5月現在)。

【条件】返済期間:35年、借入金額:3000万円

金利(期間・利率) 全期間固定1.080% 10年固定0.525% 変動0.375%
毎月の支払額 8万5808円 7万8207円 7万6229円
総支払額 3604万円 (うち利息分604万円) 3285万円 (うち利息分285万円) 3202万円 (うち利息分202万円)

変動金利は固定金利と比べて金利負担が少ない分、月々の支払い額が抑えられる一方で、金利が上がった場合は固定金利同様か、あるいはそれ以上の支払い額となる可能性があります。現状では超低金利で推移しており、もし仮に35年間この金利情勢が続けば、トータルでも変動金利の方が総利息を低く抑えられる結果になります。ただし、金利動向は予測が難しく、住宅ローンは長期にわたり金利の影響を受けるため、金利上昇リスクにも家計が耐えられるかどうか慎重に判断しましょう。

変動型と全期間固定型を比べると総利息の額は、400万円以上の差になることもあります。もし固定金利か変動金利かで迷っているなら、目先の10年間だけ固定金利にして様子を見たり、固定金利と変動金利をミックスしたりするなど、柔軟な返済プランを組むこともできます。10年固定金利は、変動金利との金利差が比較的少なく、10年間は金利の上昇リスクがないというメリットがあります。

03金利の違いで月々の返済額を確認したい方は「毎月の返済額シミュレーター」を試してみよう

住宅ローンの借入額が3000万円の場合、借り入れしても返済に無理のない年収ラインは450万円です。この基準は「年収倍率(6倍が基準)」と「返済負担率(適正は20~25%)」で導き出されるという点を押さえておきましょう。そのうえで、個々の事例に合わせて返済額をシミュレーションするとよいでしょう。金利の違いで月々の支払いがどのように変わるか比較したい方は、当サイトの提供する「毎月の返済額シミュレーター」をぜひお試しください。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

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