1正社員と比べて非正規社員の審査基準はなぜ厳しいのか?

住宅ローンを利用する際、「非正規社員の審査は通りにくい」という声をよく耳にします。実際、正社員や公務員に比べると、住宅ローンの審査基準が厳しいのは事実です。住宅ローンは、誰でも借り入れられるものではありません。

マイホームを購入するとなると、それなりの出費が発生します。金融機関側からすれば、ローンを組み、長期間にわたってその額を返済してもらうため、信頼の置ける人物(契約者)でないと融資はできません。そのため、必然的に審査は厳しくなっているのです。

将来的な目で見ると、確かにアルバイトや派遣社員などは、正社員に比べると雇用が保証されていない点で不安が残ります。しかし、非正規社員でも毎月しっかりとした収入がある人もいます。また、正社員よりも収入が高いことだってあります。それにもかかわらず、非正規社員だと審査が厳しくなってしまうのはなぜでしょうか。

非正規社員への審査が厳しい理由

「収入は正社員よりも多いのに、非正規社員だとなぜ審査が通りにくいの?」と思われる方は少なくないでしょう。その理由は、仕事や収入が安定しない恐れがあるからです。例えば、会社が業績不振などで人員削減を考えた場合、リストラの対象として真っ先にターゲットとされるのはアルバイトや派遣社員です。また、たとえリストラされなくても、企業によってはアルバイトや派遣社員に勤続年数の上限を設けている場合があります。もしも契約更新されなかった場合には、次の仕事が見つかるまでの間、収入は減ってしまいます。こうした不安もあるのです。

住宅ローンは車のローンなどと異なり、2〜3年で返済が終わるようなものではありません。住宅金融支援機構の「民間住宅ローンの貸出動向調査結果」によると返済期間の平均は26.4年となっており、20年以上もの期間、返済し続けることがわかります。長ければ30〜35年かかります。その間、滞りなくしっかりと返済してもらわないと金融機関としても困ってしまいます。何千万という大金を貸すためには、しっかりと契約者の信用度を判断しなくてはいけません。そうした理由から、安定的に収入を得るということが、ローン審査の判断をするうえで大切な項目となります。この点で、どうしても非正規社員は不利になってしまうのです。

2非正規社員でも住宅ローンを借りられる可能性はあるの?

非正規社員が民間の金融機関で住宅ローンを借りるのは、現実的に難しいと言わざるを得ません。なぜなら、審査基準の中でも特に雇用形態を重視する傾向にあるからです。雇用形態だけではなく、申込者の借金の有無や延滞履歴などもくまなくチェックします。契約社員や派遣社員であれば、金融機関によって住宅ローンを借りられる可能性がありますが、それでもやはり正社員と比較すると審査に落ちる可能性は高く、不利となります。ただし、仮に民間の金融機関で審査に落ちたとしても、「フラット35」を利用すれば住宅ローンを借りられる可能性はあります。この「フラット35」の審査基準について詳しく見ていきましょう。

一般の銀行よりフラット35の方が審査に通りやすい

「フラット35」とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が協力してできた住宅ローンです。フラット35の特徴は、借入期間中の金利がずっと固定であるというところです。金利がずっと固定されているので、返済額は変わらず、安心して返済計画を立てることができますね。また、フラット35の方が、一般の金融機関に比べると、住宅ローンの審査に通りやすいのです。フラット35に関する仕組みや概要は下記の記事で詳しく触れているので、そちらをご覧ください。

フラット35の審査が通りやすいと言われているのは、理由としては民間住宅ローンでは勤続年数や雇用形態、年収などローン審査で必須になりますが、フラット35では年収の基準を満たしていればローンを借りることができるからです。

フラット35を利用する条件として、下記の様なものが挙げられています。

  • 申込時の年齢が70歳未満である
  • 日本国籍である
  • 永住許可を受けている
  • 返済負担率が基準以下である
    • 年収400万円未満の人は30%以下
    • 年収400万円以上の人は35%以下

フラット35は、民間の金融機関では雇用形態や勤続年数、健康面などの理由によって審査が通らなかった人にお勧めできる住宅ローンです。フラット35は長期固定なので、変動金利よりも金利が少し高くなってしまうというデメリットがあります。ただ、最近の長期固定金利は低めに設定されているので、民間の金融機関では借り入れが厳しそうであれば、フラット35を検討してみるのも良いでしょう。

ただし、「購入する物件が一定の条件を満たしている必要がある」という点には注意してください。フラット35では、個人の審査こそ厳しく見られませんが、物件に関しては「住宅金融支援機構が定めた技術基準を満たす住宅」でないと、ローンの借り入れが厳しくなってしまう恐れがあります。購入する物件の耐震性や省エネルギー性など、定められた基準を1つ以上満たす必要があるため、その物件が基準を満たしているかどうか、しっかりと確認しなければなりません。

物件の基準については、住宅金融支援機構のフラット35のホームページにも記載がされています。事前に目を通しておくと良いでしょう。

「フラット35」などの事前審査が受けられる

スゴい速い住宅ローン審査で家探しがもっと便利に

3非正規社員でも住宅ローンの審査に通りやすくなるポイント

非正規社員といってもその雇用形態は、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員など様々です。派遣社員や契約社員の場合、社会保険に加入できるケースが多くを占める半面、契約期間が定まっているため、審査でマイナスに働く傾向にあります。

ここでは、非正規社員でも住宅ローンの審査に少しでも通りやすくなるポイントを探ってみます。

信用情報の提供

住宅ローンの審査では、契約者が滞りなくしっかりとローン残高を返済していけるかがポイントになります。そのため、勤続年数や年収、勤務先や雇用形態などを金融機関側から審査されます。さらに、住宅ローン契約者本人の信用度もとても重要な項目になります。クレジットカードの利用金額、あるいは、キャッシングなどで借りたお金を返済せずにいると「延滞」の記録が残ってしまい、ブラックリスト入りしてしまいます。

過去にクレジットカードやキャッシングで事故を起こしてしまった人に対して、金融機関側は厳しい目を向けます。審査はより厳しくなり、返済能力がないと判断されれば、住宅ローンを利用できません。そのような事故が過去にないことを金融機関に証明できるように、しっかりと自分の信用情報を提供するようにしましょう。

クレジットカードに関して何も事故を起こしていなくても、キャッシング枠が設定されていると審査に響いてしまうことがあります。何気なく設定していたものでも、審査時に不利に導いてしまう恐れがあるのです。住宅ローンを借りる前に、キャッシング枠が設定されているかどうかも確認しておきましょう。

そのほか、自動車ローン、カードローン、教育ローンなど、他に借り入れがある場合にも、住宅ローンの審査に影響が出てしまいます。住宅ローンを借りるまでには、これらを完済してしまうのがベストです。

頭金を貯める

住宅ローン審査で、頭金の額がどれだけあるかも審査に関わってきます。その額を多く用意できていれば、その分、借入額を少なくできます。借入額を減らすことで毎月の返済額を減らすこともできますし、返済期間を短く設定することもできます。そうすれば、ローンの審査に通る可能性も出てきます。

また、頭金があれば選べる物件の幅が広がるというメリットもあります。頭金の額は購入価格の1〜2割でも多いほうだと言われていますので、まずはそこを目安に頭金を貯めるようにしたいものです。もちろん、頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの返済負担がさらに減ります。ただし、持っている貯金のほとんどを住宅購入の頭金に回してしまうのは考えものです。出産費用、教育費、老後資金など、今後のライフイベントに必要な費用についても、しっかりと考えた上で、頭金に回しましょう。

「いくら頭金に回しても大丈夫なのか」「〇〇万円を頭金に回したいけど、他の生活費などを圧迫しないか?」などのように不安に思っている方は、ファイナンシャルプランナーなど、専門家に相談してみると良いでしょう。不動産会社や建築会社でファイナンシャルプランナーによるセミナーや個別相談会などを催していることが多いので、気になる会社に問い合わせてみるのも一つの手です。

借りたい金融機関の口座を作る

住宅ローンの審査を通過しやすくする方法の一つに、住宅ローンを借りる予定の金融機関で口座を作ることも挙げられます。メイン口座として長く利用することで、預金残高や定期的な収入があるのかなどが確認できるので、信用が高まる可能性が考えられます。

借入条件をよく確認しておく

住宅ローンの審査を受ける際には、各金融機関の借入条件を確認しておくこともポイントです。金融機関によっては、勤続年数や年収などによって基準が異なるところもあります。中には、前年度の年収が100万円以上から借り入れができたり、勤続年数の基準を「半年以上」と設定していたりするところもあります。 また、雇用形態についても契約社員への融資を「可」としているところもあります。さまざまな金融機関を調べれば、非正規社員でも住宅ローンを借りられるところが見つかるかもしれません。不動産会社などでも、借り入れができそうな金融機関を紹介してくれるので、一度相談してみましょう。