土地の購入にはどのくらいお金がかかる?諸費用を紹介

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土地の購入にあたっては、土地そのものの代金以外にさまざまな税金や諸費用がかかります。購入する予定の土地の代金にもよりますが、税金や諸費用だけで数百万円程度かかるケースも珍しくありません。それなりに高額になるケースも多いので、土地の購入にあたっては諸費用の費用感を事前に知っておきましょう。この記事では、土地を購入した際に発生する税金や諸費用について解説します。

01土地の購入時にかかる諸費用の内訳

土地の購入における諸費用は、一般的に土地代金の5%が目安になると言われています。ただし、すべての諸費用が購入時にかかるわけではありません。なかには、購入後にかかる諸費用もあるので注意しましょう。まずは土地の購入時にかかる諸費用の内訳から紹介します。

仲介手数料

仲介手数料とは土地を紹介してくれた不動産会社に支払う費用のことで、宅地建物取引業法によって上限が決められています。上限は売買契約を結ぶ不動産の価格ごとに決められており、正式には「200万円以下の部分は5%」「200万円を超えて400万円以下の部分は4%」「400万円を超える部分は3%」です。つまり1,000万円の土地を購入した場合、「200万円×5%(200万円以下の部分)」「200万円×4%(200万円を超えて400万円以下の部分)」「600万円×3%(400万円を超える部分)」の3つに分けて計算し、合計しなければいけません。この計算方法だと手間がかかることから、一般的には「土地価格×3%+6万円」という速算表を用いて算出します。なお仲介手数料には、消費税が課される点も忘れないようにしましょう。

手付金

手付金は、土地の購入に際して売買契約を結んだ時に支払う代金です。不動産の購入は高額になるので、事情が変わったからといって簡単にキャンセルされるようだと売主も仲介する不動産会社も困ります。そのため「本当にその不動産を購入する気持ちがある」ことを示す、証拠金のような意味を持つ費用です。手付金はあくまでも先払い費用という位置付けなので、頭金の一部として後から土地の購入代金に含めることが多いです。一方で、売買契約後に買主の個人的な事情でキャンセルすると全額没収されます。

手付金には仲介手数料のような上限はなく、土地代金の10%程度が相場です。ただし証拠金という性質上、現金で支払う必要があるため売買契約前に準備しておかなければいけません。手元に手付金を支払うだけの十分な資金がない場合は、住宅ローンを組む金融機関からのつなぎ融資(土地の引き渡し前に必要な資金を一時的に立て替えてくれるローン)で賄う方法もあります。

印紙代

印紙代は、正式な契約書としての効力を担保する意味合いで納める税金です。収入印紙を購入して納める形になり、土地の購入においては「不動産売買契約書」や、ローンを組む時の「金銭消費貸借契約書」で支払う必要があります。印紙税は契約書に記載されている金額によって納税額が変わる仕組みです。例えば土地代金2,000万円における不動産売買契約書だと、2万円の印紙税を支払わなければいけません。ただし2022年(令和4年)3月31日までに作成される不動産売買契約書については軽減措置が適用されており、上述の例だと納める税金は1万円で済みます。

登記費用

登記費用とは、その土地の持ち主が自分であることを登記簿へ記載するために必要な費用です。法務局に保管されている登記簿に自身の所有権を記載すれば、悪意をもった第三者がその土地の所有権を後から主張するようなことがあっても裁判で優位に立ちやすくなります。登記費用には登記する際に必要な登録免許税と、司法書士に手続きの代理を依頼する際にかかる報酬の2つが含まれます。

登録免許税は不動産価格に一定の税率をかけて算出しますが、ここでいう不動産価格とは実際に売買した価格ではなく、固定資産税評価額です。また土地の所有権移転登記にかかる基本の税率は2%ですが、2021年(令和3年)3月31日までの間に登記を受ける場合は、印紙税と同じように軽減措置が適用されて1.5%になります。

一方、司法書士に登記の代行を依頼する時に支払う報酬相場は5~10万円程度です。登記はその気になれば自分で手続きできるので、少しでも諸費用の支払額を抑えたい方は自力で行うことも検討してみましょう。

ローン手数料・保証料

土地の購入で住宅ローンを組む場合は、金融機関にローン手数料、保証会社に保証料を支払う必要があります。ローン手数料とはその名のとおり、金融機関が融資を行うために徴収する費用です。一方、保証料は万が一ローンを組んだ方が返済不能に陥った際に、保証会社に金融機関へ残債を返済してもらう(返済先が保証会社に変わるだけで、本人の債務が免除されるわけではない)ために必要な費用になります。ローン手数料や保証料は民間の事業者が決めるため、宅地建物取引業法および税法のような縛りはありません。ローン総額や融資を受ける金融機関によって必要な費用は変わるので、節約したい人は複数の金融機関を比較して最も安いところを選ぶとよいでしょう。

02土地の購入後にかかる諸費用の内訳

続いて、土地の購入後にかかる諸費用について紹介します。土地の購入後にかかる費用は必ず支払わなければいけないものではなく、その土地の状態によって左右されるのが特徴です。状態によっては高額な費用がかかる場合もあるので、内訳をよく理解しておきましょう。

家の解体費

古家が残っている土地を購入してそこに新しく家を建設する場合、解体費用がかかります。家の解体費用に影響するのは、主に「大きさと構造」です。一般的な坪単価は「木造3~4万円」「鉄骨造4~5万円」「鉄筋コンクリート造5万円以上」が目安になります。ただし、「高い建物で足場が必要」「浄化槽を撤去しなければいけない」というような事情があればさらに費用は高くなるので、土地の購入前に見積もりを取っておくと安心です。

地盤改良費

地盤改良費は、購入した土地がそのままの状態では新築する家を支えられないと判断された時に支払う必要が生じる費用です。地盤を改良しない状態で家を建てると、年数の経過とともに傾いたり地震によって崩れたりする恐れがあるので、地盤調査の結果、工事が必要だと判断されたら基本的には行わなければいけません。かかる費用については改良工事が必要な土地の深さや対策方法によって変わるため相場のようなものはありませんが、一般的には数十万円から数百万円程度です。

水道やガスなどのインフラ設備費

上下水道や都市ガスが整備されていない土地に、新しく家を建てる時は引き込み配管をしなければいけない場合があります。上下水道が整備されているかどうかは上下水道局の窓口で確認できるため、あらかじめチェックしておくとよいでしょう。引き込み配管に対して補助金を出している市区町村もあるので、未整備だった場合は併せて確認しておくことをおすすめします。仮に下水が通っていない土地だと浄化槽を設置しなければならず、設置費用に50~100万円程度かかるケースが多いでしょう。

一方、都市ガスについては対応しているエリアであれば無料で引き込み配管をしてくれるケースが多いので、まずはガス会社に相談してみましょう。インフラ設備にかかる費用は合計すると100万円以上になる場合もあります。しかしその土地があるエリアの事情によって左右されやすいため、土地の購入前に下調べを十分に行っておきましょう。

03土地の購入にかかる税金はいくら?

土地の購入にかかる税金には、不動産取得税や固定資産税、都市計画税があります。不動産取得税は土地を購入した時にだけかかるのに対し、固定資産税や都市計画税は所有している間ずっとかかります。それぞれどれくらいかかるかを知った上で、土地の購入について考えましょう。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物といった不動産を取得した時にかかる税金です。ただし厳密にいうと、購入時にかかるのではなく所有権移転登記をしてから4~6カ月程度経過後に都道府県から送られてくる納税通知書で支払います。本来の計算方法は「取得した土地の固定資産税評価額(課税標準)×4%」ですが、2021年(令和3年)3月31日までに取得した場合は軽減措置の対象になり、「取得した土地の固定資産税評価額(課税標準)×1/2×3%-控除額」となっています。控除額については一定の要件を満たした場合に限り適用され、「4万5,000円」または「(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度))×3%」のどちらか多い金額が控除されます。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点において不動産を所有している人に課される税金です。つまり年の途中で売買された土地については、もともと土地を所有していた人に納税義務があります。ただし実際の不動産売買においては、引き渡し日時点の固定資産税を日割り計算して、売買代金の支払い時に清算するのが一般的です。

固定資産税の計算方法は「固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)」です。税率が標準税率となっているのは、固定資産税が「国税」ではなく「地方税」という扱いになっているため、土地のある市区町村によって税率が若干異なる場合があるからです。自治体が財政難に陥るなど特殊な事情がある場合には、固定資産税の税率が引き上げられたという事例も。念のため、購入予定の土地を管轄している自治体のホームページで調べておきましょう。

都市計画税

都市計画税は、都市計画事業または土地区画整理事業などの費用に充てるための目的税として課されています。固定資産税と同じく地方税であり、納税も固定資産税と一緒に行われるのが特徴です。都市計画税の計算方法は「固定資産税評価額(課税標準)×0.3%(制限税率)」となっています。制限税率という名のとおり、都市計画税の場合は上限が定められているため、0.3%より税率が低い自治体はあっても高い自治体はありません。

04土地の購入にかかる諸費用のチェックリスト

土地の購入にかかる諸費用は多岐に渡り、そのすべてを覚えようとしても漏れが発生してしまいがちです。そこで、土地の購入時と購入後に分けて「それぞれ何にどれくらいかかるか」をリストアップしておきましょう。ここでは3,500万円の土地を7月1日に購入した場合(固定資産税評価額2,500万円)における諸費用を計算するので、参考にしてください。

土地の代金

当然のことですが、土地の購入にかかる諸費用のチェックリストに土地そのものの代金は入れておかなければいけません。ここでのポイントは「土地の購入には消費税がかからない」という点です。同じ不動産であっても、建物は消費するものなので消費税の課税対象です。しかし土地は税法上、消費されないものと考えられているので土地売買に消費税はかかりません。そのためこのケースでは、土地の代金である3,500万円を記載しましょう。

不動産売買契約書の印紙代

不動産売買契約書に必要な印紙代は、「記載されている金額によって異なる」のが特徴でした。3,500万円の場合は「1,000万円を超え5,000万円以下」に該当し、本来は2万円です。しかし2022年(令和4年)3月31日までに作成された契約書は、軽減措置の対象。このケースでは1万円です。

不動産業者の仲介手数料

先ほども紹介した通り、不動産業者へ支払う仲介手数料の計算方法は速算表で「売買金額×3%+6万円」でした。3,500万円の土地の仲介を依頼した場合、「111万円=3,500万円×3%+6万円」になります。ただし仲介手数料には、消費税が課される点を忘れてはいけません。実際に支払う金額は、「122万1,000円=111万円×消費税10%」が上限となります。

登記費用

登録免許税の計算方法は、軽減税率を適用すれば「固定資産税評価額×1.5%」です。そのためこのケースでは、「37万5,000円=2,500万円×1.5%」となります。ただし司法書士に登記を依頼した場合は、別途報酬を支払わなければいけません。所有権移転登記における司法書士報酬は、5~10万円程度が相場です。従ってこのケースを合計すると、45万円前後かかると見込んでおきましょう。

不動産取得税

不動産取得税の計算方法は、軽減措置を適用すれば「取得した土地の固定資産税評価額×1/2×3%-控除額」です。仮に控除額の適用条件を満たしていない場合は、「37万5,000円=2,500万円×1/2×3%」となります。控除額が適用された場合はさらに安くなる可能性があるので、条件を確認しておきましょう。

固定資産税(日割り精算分)

固定資産税の計算方法は「固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)」です。このケースでは、標準税率で計算すると年間で「35万円=2,500万円×1.4%」となります。ただし固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者が全額納税する形になるので、土地売買では買主が所有した時点以降の固定資産税を、代金に上乗せして売主に支払うのが一般的です。今回のケースでは7月1日に所有権が移転すると仮定したので、7月1日から12月31日までの日数で日割り計算します。つまり買主負担分は「35万円×184日(7月1日から12月31日までの日数)÷365日」という計算式になり、17万6,438円です。

都市計画税(日割り計算分)

都市計画税も固定資産税と同じように徴収されるため、年の途中で売買があった場合は日割りで適切な金額を計算して清算します。都市計画税の計算式は「固定資産税評価額(課税標準)×0.3%(制限税率)」であるため、このケースにおける計算式は「7万5,000円=2,500万円×0.3%」です。固定資産税と同じように日割り計算した時の計算式は「7万5,000円×184日÷365日」となり、買主負担部分は3万7,808円になります。

手付金

手付金の相場は、土地価格の10%程度です。3,500万円の土地を購入するのであれば、350万円が必要になります。売買契約締結後に買主側の都合でキャンセルする場合は違約金として手付金の全額(このケースでは350万円)を失うので注意しなければいけません。なお売主側の都合で契約解除する場合は、売主が手付金の倍額(このケースでは700万円)を支払えば解除できる、いわゆる「手付倍返し」というルールがあることも知っておくとよいでしょう。

金銭消費貸借契約書の印紙代

ローンを組む際の金銭消費貸借契約書に貼る印紙代は、不動産売買契約書と同様に契約書に記載されている金額によって異なります。仮に3,000万円のローンを組む場合は「1,000万円を超え5,000万円以下」に該当するため2万円です。金銭消費貸借契約書には、不動産売買契約書のような軽減措置は適用されない点に気を付けましょう。

ローン手数料

金融機関に支払うローン手数料はどこで借りるかによって大きく異なりますが、一般的には3~5万円程度です。一方、保証会社に支払うローン保証料の相場は借入金1,000万円あたり20万円程度なので、3,150万円のローンを組む場合はおよそ63万円かかる計算です。このケースでは、ローンを組む際に支払う手数料や保証料を合計すると65~70万円が目安になります。

05土地の購入時は諸費用を含めた資金を準備しよう

土地の購入の諸費用には、不動産取得税や手付金のように支払わなければならない支出とインフラ設備のように状態によっては支払わなくてもよい支出の2つがあります。住宅ローンの借り入れをする際は、事前にそれらの諸費用を含めた金額で審査に通るかを確認しておくとスムーズです。「スゴイ速い住宅ローン審査」なら購入予定の不動産が決まっていない段階でも、どれくらい金融機関から借り入れできるか把握できるので、理想のマイホームを手に入れる最初のステップとして利用してみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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