不動産売買時に必要な印紙税とはどんな税金?

2020.07.08 8

不動産の売買の際などに課される印紙税。見聞きしたことはあるものの、その課税条件や課税額について明確に理解している人は少ないのではないでしょうか?そこで今回は、印紙税についての基本的な知識、不動産売買にかかわる印紙税額やその納付方法などを解説します。

01印紙税とは?

印紙税とは不動産の売買や工事の請負など、日常的な経済取引に伴って作成する契約書や領収書などに課税される国税です。とはいえ、すべての契約書や領収書が印紙税の課税対象となるわけではなく、印紙税の課税対象となるのは印紙税法で定められた20種類の文書(課税文書)のみ。例えば、不動産取引にかかる文書のうち、不動産売買契約書、土地建物売買契約書、不動産売渡証書、土地の賃貸借契約書などは印紙税の課税文書に該当しますが、建物の賃貸借契約書や不動産媒介契約書などは該当しません。20種類の課税文書については、国税庁の「印紙税額一覧表」で確認することができます。契約書等を交わす際は、その文書が課税文書に当たるかどうかを確認し、納付漏れがないように注意しましょう。

参考:国税庁ホームページ「印紙税額一覧表(2020年4月1日現在)」

02印紙税はいくらかかるの?

印紙税の税額は、課税文書の種類や記載されている金額によって異なります。不動産の取引に係る契約書(不動産の譲渡、土地の賃借権の設定又は譲渡に係る契約書)についても、その契約金額に応じて、下表のとおり印紙税額が決められています。例えば不動産の売買契約書に契約金額として800万円と記載されていた場合の印紙税額は1万円、 1000万円なら2万円です。なお、契約書に消費税を含む金額と含まない金額の両方が記載されている場合は、消費税を含まない方の金額(税抜金額)を記載金額として取扱います。

不動産取引に係る契約書の印紙税額一覧(2020年4月1日現在)

契約金額(契約書1通または1冊あたりの記載金額) 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下のもの 200円
10万円を超え50万円以下のもの 400円
50万円を超え100万円以下のもの 1千円
100万円を超え500万円以下のもの 2千円
500万円を超え1000万円以下のもの 1万円
1000万円を超え5000万円以下のもの 2万円
5000万円を超え1億円以下のもの 6万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

また、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載された契約金額が一定額を超えるもので、2022年3月31日までの間に作成するものの印紙税額については、次の表のとおり、軽減措置が取られています。ただし、契約金額の記載のない契約書の印紙税額は軽減措置の対象にならず、200円のままです。

不動産の譲渡に関する契約書の印紙税額(軽減措置後の金額)

契約金額(契約書1通または1冊あたりの記載金額) 印紙税額
1000万円を超え 5000万円以下のもの 1万円
5000万円を超え 1億円以下のもの 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 32万円
50億円を超えるのもの 48万円

03印紙税はどうやって支払うの?

印紙税は、原則として印紙税相当額の収入印紙を購入し、課税文書に貼り付ける方法によって納付します。収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入できますが、コンビニエンスストアは少額の収入印紙しか取り扱っていない場合が多いため、不動産売買契約など高額の収入印紙が必要な場合は郵便局で購入すればよいでしょう。なお、原則として収入印紙は非課税ですが、いわゆる「金券ショップ」等で購入すると消費税の課税対象となることに注意が必要です。

貼り付けた収入印紙は、不正に再利用されるのを防ぐために、契約当事者やその代理人の印章または署名で消印する必要があります。契約当事者が契約書を2通以上作成する場合は、それぞれの契約書に印紙税相当額の収入印紙を貼り付け、消印しなくてはならないことにも注意してください。

なお、印紙税を納付するのは、「課税文書の作成者」とされています。したがって、1通の課税文書を2以上の当事者が共同して作成した場合は、当事者が連帯して印紙税を納付する義務があります。ただし、当事者のうちの一方が課税文書に係る印紙税をまとめて納めた場合(例えば、契約書2通を作成し、その2通分の印紙税を契約当事者の1人が全て納めた場合など)は、他の者の納税義務は消滅することになります。

また、収入印紙による納付以外の納付方法として、主に以下の方法が特例として認められています。

①税印押なつによる納付

印紙税相当額をあらかじめ現金で納付した上で、課税文書に税印の押印を税務署に請求する方法。税印の押印を請求できるのは「税印押なつ機」を備えている税務署(2020年6月現在、全国118署)に限られています。税印押なつ機を備えている税務署は国税庁のホームページで確認できます。

参考:国税庁ホームページ「税印押なつ機を設置している税務署一覧」

②印紙税納付計器の使用による納付

所轄税務署長による承認を受けた上で、納付印を押印できる「印紙税納付計器」を購入し、課税文書に納付印を押印して印紙税を納付する方法。納付印を押した金額の累計が、あらかじめ現金で納付した印紙税相当額に達すると、納付計器は自動的に停止し、それ以後は、納付印を押すことができなくなる仕組みになっています。

③書式表示による納付

毎月継続して作成される課税文書や、特定の日に多量に作成されることになっている課税文書に関しては、所轄税務署長の承認を受け、印紙を貼り付ける代わりに金銭でその課税文書に係る印紙税を納付することができます。承認を受けた課税文書には「印紙税申告納付につき税務署承認済み」の表示がなされます。

これらの方法は主に大量の課税文書を作成する企業や団体に採用されるケースがほとんどで、個人が使うことはまずありませんが、企業から発行される領収書や受取書などで印紙税納付済みの印や表示を目にすることがあるかもしれません。収入印紙貼付以外にも印紙税納付の方法があることを覚えておきましょう。

04もしも収入印紙を貼り忘れてしまったら?

ここまで述べてきた通り、印紙税の納付は原則として収入印紙を購入して課税文書に貼付し、消印することによって行います。印紙税の納付義務が生じるのは、その課税文書の作成時とされていますので、作成時までに納付しなかった場合(収入印紙を貼付・消印しなかった場合)は、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計、つまり当初納付すべき印紙額の3倍に相当する額の過怠税が徴収されることになってしまいます。ただし、調査を受ける前に、自主的に未納付を申し出た場合は、当初納付すべき印紙額の1.1倍の額に軽減されます。また、印紙を貼り付けるだけで消印がされていない場合は、消印されていない印紙の額面に相当する金額が過怠税として徴収されることになってしまいます。

特に不動産関連の契約などでは、高額な印紙を貼付する必要があるケースも多く、過怠税が高額になってしまうおそれも十分に考えられます。また、誤って収入印紙を過大に貼付してしまった場合や、課税文書ではない文書に貼付してしまった場合は、別途所轄税務署長宛に申請して過誤が認められない限り、還付を受けることができません。課税文書に当たる契約書などを交わす際は、以下の点を十分確認・理解した上で、慎重に収入印紙を貼付・消印するよう心がけてください。

収入印紙を貼る際のチェックポイント

  • その文書は課税文書か?
  • その文書を実際に使用する見込みはあるか
  • 課税される印紙額はいくらか?
  • 共同作成する相手がすでに印紙税を納付済みではないか?
  • 収入印紙に消印できているか

また、不動産売買にあたっては、いざ契約書を作成するという段になって、予想以上に高額の印紙税がかかることに気づき、慌てるケースも珍しくありません。不動産の購入を検討している人は、契約書にかかわる印紙税額を調べておき、その金額も不動産の購入費に算入しておくことをおすすめします。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

関連キーワード

事前審査・相談

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0