不動産業者の仲介手数料の相場ってどのくらい?安く抑えるコツを紹介

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不動産業者を介して不動産を借りたり買ったりした場合に請求される「仲介手数料」。賃貸の場合は「賃料の1カ月」のように明記されているケースが多いのですが、売買の場合はポータルサイトや広告などでも仲介手数料について書かれていないケースがよく見られます。一方で「仲介手数料無料」を謳う広告も見られます。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?今回はその理由とともに、仲介手数料の仕組みや相場、そして仲介手数料を安く抑えるコツについてご紹介します。

01仲介手数料とは?何のために支払うお金なの?

まずは、仲介手数料とは何のために、誰に支払うお金なのかを確認しておきましょう。

仲介手数料とは、不動産の売買や賃貸借の取引の際に、貸主と借主、売主と買主の間に入って取引をまとめる不動産業者(仲介業者)に、原則として貸主と借主、売主と買主の双方が支払う手数料のことです。

仲介手数料には契約事務などを行う手数料のほかに、一般的な広告費用、業者ホームページや不動産ポータルサイトへの広告掲載料、現地案内にかかる費用なども含まれており、原則として、これらの費用を仲介手数料と別に請求されることはありません。

なお、仲介手数料は「成功報酬制」であり、正式に賃貸契約・売買契約が成立したときのみ、不動産業者に請求権が発生します。したがって、賃貸・売買契約が成立する前に仲介手数料を請求されることはありません。つまり、物件の資料を取り寄せたり現地案内をしてもらったりしても、売買契約に至らなければ、仲介手数料を支払う必要はないということです。

また、不動産業者を介さず、土地や建物の所有者から直接借りたり買ったりする場合は、当然ながら仲介手数料はかかりません。不動産業者自身がその不動産の所有者である場合も、原則として仲介手数料を請求されることはありません。不動産業者所有の物件の広告では、多くの場合、「当社売主(貸主)につき、仲介手数料不要」と謳われています。仲介手数料を払いたくない人は、こういった物件に限定して物件探しをすると良いでしょう。

仲介手数料はいつ支払えばいい?

賃貸・売買契約が成立した時点で、不動産業者に仲介手数料の請求権が発生するため、成立時に全額を請求されて支払っても、法律的には問題ありません。

しかし、売買の場合は仲介手数料も高額になりがちである上に、契約時にはまだ物件の引き渡しが終わっていないケースも多いことから、一般的には契約締結時に仲介手数料の半額を支払い、引き渡し後に残り半額を支払う方法が多く採用されています。

仲介手数料には「上限」がある

では、仲介手数料はどのようにして決められているのでしょうか?

実は仲介手数料には、売買・賃貸借の場合ともに、法律で「上限」が定められていて、不動産業者は、これを超える仲介手数料を請求することはできないことになっています。

①賃貸借の場合の上限額(貸主と借主が支払う仲介手数料の合計の上限)

家賃の1カ月分(共益費・管理費などは含まない)+消費税

(例)
家賃が1カ月8万円の物件の賃貸借に係る仲介手数料の上限は?
8万円+消費税10%(8000円)=8万8000円が仲介手数料の上限です。

②売買の場合の上限額(400万円以上の物件の場合。売主・買主それぞれが支払う手数料の上限)

売買代金の3%+6万円+消費税

(例)
3000万円の物件の売買に係る仲介手数料の上限は?
3000万円✕3%+6万円=96万円(税抜)。これに消費税10%(9万6000円)を加えた105万6000円が、仲介手数料の上限です。

ここでいう「上限」について、売買の場合は売主と買主それぞれが支払う手数料についての上限であるのに対し、賃貸借の場合は、貸主と借主が支払う手数料の合計額であることに注意してください。つまり、賃貸借の場合の仲介手数料は、貸主と借主の両方から受け取る場合であっても、家賃の1カ月分+消費税が上限であり、合計が上限を超えなければ、借主と家主の両方から0.5カ月分ずつ受け取っても、貸主または借主のどちらか一方から全額を受け取っても問題ないということです、

一方、仲介手数料には「下限」は決められておらず、賃貸借・売買ともに上限を超えない範囲であれば、不動産業者との間で仲介手数料を決めることができます。したがって、場合によっては不動産業者が仲介手数料の値引きに応じてくれる可能性もゼロではないということです。

02仲介手数料の相場はどのくらい?

結論からいうと、賃貸・売買ともに、不動産の仲介手数料は上限額が提示されるケースがほとんどで、いわゆる相場の変動はありません。言うまでもなく、法律で決められている上限額=定価ではないので、上限額を支払わなければならないというわけではないのですが、ほとんどの契約者は、不動産業者が提示する金額をそのまま支払ってしまうため、上限額が相場のようになっているのが現状のようです。もちろん、業者の仕事ぶりや対応に満足している場合は提示されたとおりに上限額を支払っても問題ありませんが、満足できない場合は値引き交渉をすることができます。交渉しても値引きされるとは限りませんが、可能性はゼロではないので、試してみる価値はあります。

なお、上限額があたかも法律で一律に定められた手数料であるかのように説明し、仲介手数料の上限額を請求する不動産業者には要注意。こういった業者への仲介依頼は再考したほうが良いでしょう。

また、一部の賃貸物件の広告では不動産業者が所有している物件でないにもかかわらず、「仲介手数料半額」もしくは「仲介手数料無料」という表示を見かけることがあります。なぜ借主が負担する仲介手数料が半額もしくは無料で済むのかというと、多くの場合、その分の手数料を貸主が負担しているからです。この場合、もちろん一概には言えませんが、何らかの問題があって借り手がつきにくい物件であるケース、貸主側が「とにかく早く借り手を見つけたい」と焦っているケースが考えられます。後々トラブルになるのを避けるためにも、仲介の不動産業者に「なぜ仲介手数料が安いのか(または無料なのか)」を聞いて理由を確認し、納得した上で契約するようにしましょう。

なお、賃貸借の場合は、サブリース契約物件(個人の貸主から不動産業者が借り上げて管理している物件)の中にも、借主に仲介手数料がかからないものがあります。

03仲介手数料を安く抑えるには?

ここまで述べてきたとおり、仲介手数料を安く抑えるには、大きく分けて以下の方法が考えられます。

①所有者から直接借りる・買う

不動産業者を介さずに賃貸借または売買すれば、貸主・借主、売主・買主ともに仲介手数料を支払う必要はありません。不動産業者自身が所有する物件を借りたり買ったりする場合も、原則として仲介手数料はかかりません。

②仲介手数料が割り引かれている物件を選ぶ

広告などで仲介手数料の割引を謳っている物件を選べば、原則として仲介手数料を安く抑えることができます。ただし、上でも述べたとおり、仲介手数料を安くしている理由を確認して、納得した上で契約するよう注意してください。

③値引き交渉をする

不動産業者に交渉して仲介手数料を値引きしてもらえる可能性もあります。ただし、借り手や買い手が容易にみつかる人気エリアの物件や、進学や就職、転勤などで不動産取引が活発になる繁忙期(例年1月~3月ごろ)は、値引きに応じてもらえる可能性は低いでしょう。

いずれの方法を検討しても、仲介手数料を低く抑えられない場合は、無理をせず、仲介手数料以外の経費を削ることを検討したほうが良いでしょう。たとえば賃貸借契約の場合は敷金や礼金が不要もしくは安く抑えられる物件を探したり、フリーレント(一定期間家賃が無料になる契約)の物件を探したりするのも一案です。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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