住宅ローンの融資金振込みや返済開始タイミングはいつ?

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一般的にマイホームの購入は、人生で何度も経験する出来事ではありません。これから住宅の購入を検討する方のなかには、初めて住宅ローンを利用するにあたり、具体的なお金の流れについて不安を感じている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、住宅ローンを利用した場合の「融資が実行されるタイミング」や、「返済が始まる時期」について解説します。

01一般的に「住宅ローンの融資実行日」=「住宅の引き渡し日」

まず、住宅ローンの融資が実行されるタイミングについては、「住宅の引き渡し日」になるのが一般的です。なぜなら住宅を引き渡すタイミングで、所有権保存および抵当権設定登記が行われるからです。住宅ローンを利用する場合、金融機関は購入する物件を担保にして融資を行いますが、担保にするにはその住宅の持ち主が買主(住宅ローンの申込者)であることを公的に証明する登記がなされている必要があります。貸し出した資金を金融機関がより確実に回収できるように、抵当権設定登記が完了した後に融資が実行されているわけです。

反対にいうと、抵当権の設定がきちんと行われていれば、資金の貸し出し時期を多少遅らせても問題ないので、融資実行タイミングを引き渡し日以降に設定することも不可能ではありません。しかし、買主は引き渡しに伴って購入代金を売主や建築会社などに支払う義務が生じるため、引き渡し日以降に融資を実行するとなると、買主が一時的に融資額の全額を立て替えなければいけません。しかし実際には、個人で融資額を立て替えられるほどの資金力を持っているケースはほとんどないことから、引き渡しと同日に融資実行日を設定するのが一般的となっています。

以上のことから、基本的に新築建売住宅や新築分譲マンションなどは、デベロッパーやハウスメーカーといった売主から引き渡しを受ける日に金融機関から融資金が振り込まれます。多額のお金を扱うことに不安を覚える人は、事前に金融機関へ依頼しておけば買主の口座ではなく、売主へ直接振り込んでもらえることも覚えておきましょう。

ただし注文住宅を購入するケースでは、住宅建築の前に土地を購入しなければいけないので、お金の流れが少し複雑になります。注文住宅を購入する場合に利用する主なローンには「土地先行融資」と「つなぎ融資」の2つがあります。

土地先行融資とは、簡単にいうと「土地と建物それぞれの取引で融資を実行するローン」です。売買契約締結後に土地の引き渡しが行われたときに最初の融資が行われ、住宅の建設が完了したときに次の融資が追加で実行されます。

それに対して、つなぎ融資は「住宅ローンの融資額の一部を必要に応じて、その都度貸してもらえるローン」です。注文住宅の完成までには土地購入代金だけでなく、建築代金も工事の進捗状況に応じて複数回の支払いが必要になりますが、その費用を自己資金でカバーできない場合によく利用されます。つなぎ融資を利用した場合、返済が始まるまでの間に支払う金額は利息分のみなので、元本は減らないものの、家計の負担を抑えられる点も魅力でしょう。

このように、土地先行融資やつなぎ融資は注文住宅を建設するときに特に有用なローンですが、気をつけたいのは、すべての金融機関が取り扱っているわけではない点です。注文住宅建設時にそれらの利用を検討する場合は、利用する予定の金融機関で取り扱いがあるかを事前に確認しておく必要があります。また、どちらを利用するかについては、つなぎ融資の利息と土地先行融資の費用を比較し、どちらか少ない方を選択するようにしましょう。

02住宅ローン返済はいつから開始?

住宅ローンの融資実行日は一般的に引き渡し日となるケースが多いですが、いつから返済が始まるかは利用する金融機関や住宅ローンのプランによって異なります。これは、住宅ローンの返済開始日の基準となる「約定返済日」が各金融機関で異なるからです。たとえば、大手ネット銀行の住信SBIネット銀行では、「融資実行日が約定返済日より前または同日の場合は翌月から返済スタート」ですが、「融資実行日が約定返済日より後の場合は翌々月から返済スタート」という決まりになっています。

住信SBIネット銀行における、返済開始時期の具体的な事例は下記のとおりです。

  • 融資実行日が8月15日、約定返済日が毎月20日の場合、初回返済日は9月20日
    (融資実行日が約定返済日より前なので、翌月から返済スタート)
  • 融資実行日が8月20日、約定返済日が毎月20日の場合、初回返済日は9月20日
    (融資実行日が約定返済日と同日なので、翌月から返済スタート)
  • 融資実行日が8月22日、約定返済日が毎月20日の場合、初回返済日は10月20日
    (融資実行日が約定返済日より後なので、翌々月から返済スタート)

上記例のように、いつから返済が始まるかは融資実行日と約定返済日に大きな影響を受けます。そのため、住宅ローンの利用にあたっては返済開始日についても事前に確認しておくことが重要です。

また、返済開始日の違いによって、支払う利息が大きく変わる恐れがあることも頭に入れておかなければいけません。なぜなら、金利設定のタイミングには「申込時の金利が適用される場合」と、「融資実行時の金利が適用される場合」の2パターンあるからです。一般的にフラット35や民間ローンのほとんどは「実行時金利」、財形住宅融資は「申込時金利」が適用されます。実行時金利の住宅ローンを申し込んだ場合、本審査を受けてから引き渡しまでに時間がかかると、その間に金利が大きく変動する可能性がある点には気を付けましょう。

なお、住宅ローンの返済方法は口座引き落としのみです。住宅ローンの融資額は高額になるケースが多いことから、審査が通った人の口座から直接引き落とされます。なかには、ポイント狙いでのクレジットカード払いを希望する方もいるかもしれませんが、残念ながらそれはできません。

03住宅ローンの振込み・返済口座について

住宅ローンの返済方法は口座引き落としのみなので、利用する金融機関に口座を持っていない場合、新たに開設する必要があります。住宅ローン契約を締結する金融機関を選ぶときは少しでも低い金利のところを選びがちですが、口座開設後の利便性も考えたほうがよいでしょう。

たとえば、口座への入金忘れを防ぐために、住宅ローンの利用にあたって「給与振込と返済を同じ口座にする」という条件を付けている金融機関もあります。もともと利用している金融機関であれば問題ありませんが、給与の振込先を自由に選択できない会社に勤めている場合は要注意です。

また、金融機関によっては給与振込と公共料金などの引き落としを同じ口座から行うと、住宅ローンの金利を優遇してくれるケースもあります。どの金融機関を選んで住宅ローンを利用するかは人それぞれですが、契約にあたっての利用条件をよく確認しておき、金利だけでなく口座の使いやすさなども含めて検討することが大切です。

04住宅ローンを利用する前にお金の流れをよく確認しておこう

住宅ローンの融資は一般的に引き渡し日に実行されますが、返済開始日は各金融機関で異なります。万が一返済が滞ると契約違反となって残金の一括返済を迫られたり、金利優遇措置が撤廃されたりする可能性があるなど、良いことはひとつもありません。住宅購入にあたってはたくさんの資金が必要になるので、お金の流れについては特に慎重に確認しながら住宅ローンの契約を進めていきましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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