フラット35の利用には火災保険加入が必須!条件や選び方を解説
民間の金融機関で住宅ローンを利用するには、契約時に火災保険の加入が必須です。同様に住宅金融支援機構が提供するフラット35に関しても、火災保険に加入しなければ利用できません。 この記事では、フラット35を利用したい人向けに、火災保険の加入条件について詳しく解説します。火災保険の加入時期や選び方、見直すタイミングについても合わせて解説するので参考にしてください。フラット35に申し込む前に、しっかり火災保険についての基本知識を身につけましょう。
01フラット35の利用には火災保険の加入が必須!
なぜ住宅ローンの借り入れ時に火災保険への加入が求められるのでしょうか? その理由は、住宅ローンの返済中に火災や自然災害によって住宅が損害を受けても、金融機関は確実に融資額を回収したいからです。
病気や死亡などで保障される団体信用生命保険(団信)は「人」が対象ですが、火災や自然災害の被災に関して補償される火災保険は「建物」を対象としています。住宅ローン返済中に火事が発生すると多額の修復費用が必要になりますが、住宅ローンを0円にはできません。
このように返済中に万が一のことが起きても、返済が滞るリスクを回避するため、フラット35を含め住宅ローンの利用には火災保険への加入が必要なのです。
火災保険の加入時期
新築住宅の建設や購入をした際、火災保険はどのタイミングで加入するべきなのでしょうか。加入タイミングを事前に知っておくことにより、効率的に手続きが進められます。
フラット35を利用する場合、申し込み完了後、審査に通過したら金融機関との「金銭消費貸借契約」に移行します。申し込みから審査結果が通知されるまでの期間は2週間程度が目安とされていますが、この際に団信の加入申し込みも行います(ただしフラット35では団信の加入は任意)。
金銭消費貸借契約の締結前に住宅の適合証明書を提出しますが、その際に火災保険の契約内容の確認が行われます。融資実行は、金銭消費貸借契約を締結してから1週間以内が基本です。
そのため、フラット35に申し込んだタイミングで火災保険に加入すると良いでしょう。火災保険は引き渡し日から補償の効力が発生するように契約するのが一般的ですが、保険会社によって契約にかかる日数が異なるため、早めに加入しておくと安心です。
利用する金融機関で火災保険を加入すると、金融機関団体割引が適用されます。個人で火災保険に申し込むよりも安く加入できるというメリットがありますが、金融機関によって選べる保険商品が決まっているため、選択肢が少ない点はデメリットといえます。
02火災保険の選び方
フラット35には、以下のような火災保険の要件が定められています。
- 返済終了までの間、火災保険に加入しなければならない(取扱金融機関によっては火災保険金請求権への質権設定が必要なケースあり)
- 損害保険会社の火災保険または法律の規定による火災共済に加入すること
- 建物の火災による損害を補償対象とする
- 保険金額は借入額以上とする
(1)に関しては、返済中に満期になった場合は継続、もしくは新たに火災保険に加入しなければなりません。
(2)の「法律の規定による火災共済」の具体例としては、JA共済、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済などが挙げられます。
(3)の建物の火災の補償では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災は除かれます。
(4)では、借入額が損害保険会社などの定める基準により算出した金額(評価額)を超える場合、借入額が評価額となります。
以上4つの条件を満たした火災保険に加入しなければなりませんが、特に重要なのが、「4.保険金額は借入額以上とする」でしょう。
火災保険は「再調達価額」と「時価額」で保険金額を設定できます。前者は保険の対象となる「財物」と同じ構造・用途、質、規模などのものを、現時点で再建築や再度購入するために必要な金額を基礎とした評価額です。後者の時価額とは、経年や使用による消耗分を再調達価額から引いた金額を基礎とする評価額です。
一般的な傾向として、時間の経過とともに再調達価額が上昇する一方、時価額は下落していきます。万が一、火災に遭った際に、自己資金ではなく保険金のみで建築し直したり買い替えたりするなら、再調達価額で保険金額を設定することをおすすめします。時価額よりも保険料は高くなるものの、リスクに対する安心感を得られます。
なお保険期間に関しては、最長の5年間が最も割安の保険料となっています。
住宅の火災保険料の相場に関しては、以下の記事も参考にしてください。
火災保険を見直ししたい場合
加入した火災保険は、「ローンの借り換え時」や「火災保険が満期になった時」に見直しが必要です。
たとえばフラット35に借り換えしたい場合、現在付保している火災保険がフラット35の要件を満たしていれば継続可能です。その一方で、借入額に満たない保険金額の場合は、契約内容の見直しが必要になります。
また、フラット35の利用中に火災保険が満期になった場合、基本的に要件を満たしてはいるものの、保険内容が現状に合っていないケースがあります。
たとえば、同居家族が増減したケースです。火災保険の対象として家財が含まれている場合、同居家族が増えれば補償すべき家財の金額が増えますし、逆もまた然りです。子どもの独り立ちなど、同居家族が減った際も見直すと良いでしょう。
フラット35の返済が終わった際や、住宅や家族の状況、災害リスクの変化に合わせて、そのたび適切な補償内容への見直しを行うようにしてください。
03【火災保険】住宅ローン利用中によくある質問まとめ
ここからはフラット35に限らず、火災保険に関するよくある質問をまとめて紹介します。
ローン返済中に保険の補償を利用できる?
万が一、住宅ローンの返済中に火災に遭った場合も、火災保険の補償を受けられます。ただし同じ火災でも、地震による火災はカバーできません。そのため、地震による火災をカバーしたい場合は、地震保険への加入を検討してください。
住宅が地震によって損害を受けた場合に支払われる保険金は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で決まります。火災保険が1500万円であれば、30%(450万円)~50%(750万円)の範囲ということです。ただし建物5000万円、家財1000万円という保険金額の上限があります。
地震保険料控除は受けられますか?
地震保険に加入した場合、支払った地震保険部分の保険料に応じて、一定金額の所得控除(所得税と住民税)を受けられます。
ただし建物の用途には注意が必要です。地震保険料控除の対象になるのは居住用の建物で、別荘や空き家は対象外です。住居の一部を店舗や事務所にしている店舗併用住宅は、基本的に居住用資産だけが控除の対象となります。
04フラット35を利用する際は火災保険の加入タイミングが大事!
フラット35を利用するには、火災保険の加入が必須です。保険会社によって契約にかかる日数が異なるため、少なくともフラット35への申し込みと同時期に加入すると良いでしょう。見直しのタイミングは、「ローンの借り換え時」や「火災保険が満期になった時」です。
このように、フラット35の利用を考えている人は、どのタイミングで火災保険に申し込むべきかをしっかり頭に入れておくことが大切です。
事前に火災保険について検討しておくことで、より良い商品選びができます。迷った場合は、フラット35を利用する金融機関に相談すると良いでしょう。金融機関が扱う火災保険に加入すれば金融機関団体割引が適用されます。
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監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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