土地購入手続きの流れ~土地探しから引き渡しまでの7ステップを解説

2021.07.08 14

自分の好きな間取りやデザインの家を建てたい場合、注文住宅を選択することになります。しかし注文住宅の建設にあたっては、まず土地探しから始めなければいけません。これから注文住宅を建設したい人の中には、土地購入の手続きについてよく理解していない人もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、「土地を購入するまでにやること」や「気を付けるべきポイント」など、土地購入における注意点や大まかな流れについて解説していきます。

01土地購入手続き全体の流れを把握しよう

これから各手順の詳細について解説していきますが、まずは全体の流れについて把握しておきましょう。土地購入における流れは下記の通りです。

【ステップ①土地探し】

土地探しに要する期間は3カ月~1年ぐらいが目安。インターネットでの検索も合わせ、不動産業者やハウスメーカーにも依頼しながら、徹底的に土地の情報収集を行う

【ステップ②買付証明書を提出する】

気に入った物件を見つけたら、購入意思を伝えるために売主または仲介業者に買付証明書を提出する

【ステップ③住宅ローン事前審査(仮審査)を受ける】

住宅ローンの借り入れをする場合、購入申し込みしてから1~2週間以内に金融機関で事前審査(仮審査)を受ける。事前審査に要する期間は3~4日ほど

【ステップ④不動産売買契約を結ぶ】

事前審査(仮審査)が承認されたら、物件の「不動産売買契約」に移る

【ステップ⑤住宅ローンの本審査申し込み】

不動産売買契約の締結後、住宅ローンの本審査に進む。結果が出るまでの期間は1~2週間ほど

【ステップ⑥金融機関と金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶ】

本審査に無事通ったら住宅ローンの借り入れをする金融機関と金銭消費貸借契約(金消契約)を締結する。契約後に融資が実行される(融資実行までの日数は金融機関によって異なる)

【ステップ⑦土地の引き渡し・所有権移転登記】

融資が実行された後に、売主が購入代金を確認したら引き渡しが行われ、土地の所有権が買主に移転する

ご覧のように、土地購入におけるステップは全部で7つあります。それでは各ステップの詳細を以下の段落で解説していくので、参考にしてください。

ステップ①土地探し

土地購入における最初のステップは「どのような場所に住みたいか」を考えることです。交通の便や買い物、病院といった日常生活の利便性について考えることはもちろんですが、そのほかにも学校や公共施設、エリアの開発などにもこだわりがある場合には、具体的な条件をイメージしておきましょう。

理想の立地条件が固まったら、実際に土地を探し始めます。土地探しをする方法は主に「自分でインターネットやチラシを参考にして探す」「ハウスメーカーや不動産会社に条件を伝えて探してもらう」の2つです。土地を探すときのポイントは「100点満点の土地にこだわり過ぎないこと」が挙げられます。

なぜ、希望条件すべてを満たす土地にこだわってはいけないかというと、「そうした土地は人気が高く、なかなか市場に流通しないから」です。あまり条件にこだわり過ぎると、不動産会社やハウスメーカーに依頼しても良い場所が見つからず、住宅建設が進まなくなる恐れがあります。すべての条件を満たす土地は簡単には見つからないので、事前に優先順位をつけておき、それを伝えるようにしましょう。

住宅建設を急いでいない人の場合、「理想の土地が見つかるまで待つ」という選択肢もあるかもしれません。しかし、土地探しは長引けば長引くほど「もっとよい土地が見つかるのではないか」という気持ちにさいなまれ、判断が難しくなることがあります。土地探しを始めたころのほうが冷静に判断できる可能性が高いため、あまり欲張り過ぎず、ある程度のところで妥協する姿勢も大切です。

土地探しをした結果、納得する土地が見つかったら、まずは周辺環境をチェックしましょう。具体的には住環境が悪くなる要因の1つである、ごみ焼却場や工場などの施設がそばにないかどうかを確認するとよいです。また、居酒屋やカラオケ店などが近くにあると治安が悪くなったり、騒音に悩まされたりする恐れもあるので気を付けましょう。こうした騒音や悪臭の有無は、自分で現地を訪れれば比較的容易に判断できます。どこまでが騒音や悪臭に該当するかは個人差があり、不動産会社の説明だけでは十分ではないケースもあるため、「必ず自分で確認すること」がポイントです。

住環境をチェックして問題なければ、「災害リスクのチェック」「接道義務を果たしているか」を確認します。災害リスクのチェックは、その土地を管轄している自治体がハザードマップを作成している場合、それを確認するとよいでしょう。仮にハザードマップでは分からないときは、過去に何か災害があったかどうかを不動産会社へ聞くのも1つの方法です。土地の地盤が心配なケースでは、専門業者に調査を依頼することもできます。地盤調査の依頼は購入前でも実施可能なので、不安を感じる場合には早めに不動産会社やハウスメーカーに相談しましょう。

接道義務とは、「建築物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならない」という住宅建設のときのルールです。建築基準法で定められている義務で、都市計画区域内にある土地は条件に該当しないと建築許可が下りず、そこへ新たに住宅を建てることはできません。不動産会社に依頼する場合は、そのような土地を勧めてくることはないと思いますが、個人で探す場合には気を付けてください。

そのほかにも、上下水道や都市ガスの配管有無もチェックしておく必要があります。なぜならそれらの配管が通っていない場合は、自己負担で引くことになるからです。それに伴って引き込み工事が必要になるため、配管が通っていない場合は敷地に接している道路の所有者も調べておきましょう。

ステップ②買付証明書を提出する

購入希望の土地を見つけたら、売主や不動産仲介業者に宛てて買付証明書を提出するのが次のステップです。買付証明書とは正式な売買契約ではなく、購入希望者が所有者に対して「この土地を購入したい」と意思表示を行う書類になります。仲介する不動産業者によっては「購入申込書」や「買受証明書」などと呼ぶこともあり、書式のルールや法的な拘束力は特にありません。

買付証明書に盛り込まれる項目は一般的に下記の通りです。

  • 購入希望金額
  • 物件情報(所在地や家屋番号、構造、面積など)
  • 手付金や中換金、残代金についての記載
  • 支払い方法
  • 買付証明書の有効期限(1~2週間程度が一般的)
  • 買主の情報
  • その他特約についての記載

上記項目のなかに「買主の情報」とありますが、この段階で本人確認書類の提出を求められることはありません。また、基本的に買付証明書の提出によって購入交渉はスタートしますが、人気のある土地だと複数の購入希望者が集まるケースも。その場合は先着順ではなく、購入希望金額が高いなど、売主にとって条件のいい人から交渉が始まるケースもあることは頭に入れておきましょう。

なお、買付証明書に法的拘束力はないため、提出後にキャンセルすることも可能です。ただし、交渉がある程度進み、売主が契約を実行するための準備に取り掛かった段階でのキャンセルは法的責任が問われ、損害賠償を請求される恐れもある点には注意が必要です。

ステップ③住宅ローン事前審査(仮審査)を受ける

買付証明書を提出すると購入交渉が始まりますが、まずは金融機関で事前審査(仮審査)を受けることが必要です。そもそも、資金調達の目途がついていない相手とは、売主も本格的に交渉を進める気にはなりません。そのため、買付証明書の提出後、できるだけ早く(最低でも1~2週間以内)に受けましょう。

事前審査はあくまでも仮の審査なので、本審査に比べると簡略化して行われます。重視される項目は利用する金融機関によって異なり、一般的には申込者の年収や頭金の割合などが影響します。審査期間は3~4日程度のところが多く、なかにはインターネット上で完結でき、即日結果が出る場合もあるので、仕事などで日中忙しい人は利用を検討してみるとよいでしょう。

なお、事前審査は同時に複数の金融機関へ依頼することもできます。そのため、事前にいくつかの金融機関をリストアップしておき、それらへ同時に事前審査を依頼することが、より良い条件で住宅ローンを借りるためのポイントです。

ステップ④不動産売買契約を結ぶ

事前審査に無事通って資金調達の目途がついたら、いよいよ不動産売買契約の締結に入ります。不動産売買契約を締結する際の注意点は「必ず重要事項説明をよく聞き、納得した状態でサインすること」です。よく内容を確認せずに焦って売買契約を結んでしまうと、後悔するかもしれません。説明内容に分からない部分があれば、担当者に質問をして疑問点をなくしてからサインすることが大切です。

なお、重要事項は不動産会社の社員なら誰が説明してもいいわけではありません。宅地建物取引士が行うこととなっており、説明を始める前に宅地建物取引士証を呈示する決まりになっています。万が一、提示もなく説明が始まった場合は念のため確認しておくほうが無難です。

説明を聞くうえで重要なポイントとしては、素人では分かりにくい法令上の制限や敷地の状態が挙げられます。敷地の状態については道路からの高さや傾斜の有無、排水施設の状態なども確認しておきましょう。その他にも、固定資産税の精算金といった土地の購入代金以外にかかる費用や契約解除に関する取り決めも重要なチェックポイントです。

また、不動産売買契約の締結にあたっては手付金が必要になります。不動産会社が土地の売主である場合は上限が20%と決められていますが、一般的には土地価格の5~10%程度が相場です。買付申込時に申込証拠金を支払っている場合はそれを充当できる場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。申込証拠金とは申し込みの意思を明確に示すために支払うもので、「予約金」と呼ばれることもあります。金額についての決まりはなく、また絶対に支払わなければならないものでもありませんが、申込証拠金を支払うことで優先的に仮押さえしてもらうことが可能です。もちろん、契約をキャンセルした場合は全額返金されます。

ステップ⑤住宅ローンの本審査申し込み

不動産売買契約書に署名捺印をして正式に契約を締結したら、住宅ローンの本審査に進みます。本審査で確認される項目は申込者本人の収入を証明する書類以外にも、不動産売買契約書や登記事項証明書といった購入する予定の不動産に関する書類も求められるので用意しておきましょう。

事前審査は金融機関の支店で行われるケースが多いですが、本審査は本店で行われ、さらにローン保証会社による審査も実施されることから審査機関は1~2週間程度かかります。審査の途中で追加資料の提出を求められると、さらに期間が延びて3週間程度かかるケースも珍しくありません。事前審査に通っていても本審査で落ちることもあるので、審査する金融機関の心証を害さないためにも、必要書類はしっかり準備しておきましょう。

ステップ⑥金融機関と金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶ

本審査に通過したら、ローンを組む際の正式な契約書にあたる金銭消費貸借契約書を締結します。金銭消費貸借契約とは、借主が借りた資金を当初の目的どおりに消費し、借入額と利息を合わせた金銭を貸主に返済する契約のことです。簡単にいうと、「お金を借りる条件が記載された書類」で、省略して「金消(きんしょう)契約」と呼ばれることもあります。

金銭消費貸借契約締結後はローン(融資)の実行となりますが、融資金額がいつ振り込まれるかは契約する金融機関によって異なるので、よく確認しておきましょう。また、土地購入後の住宅建設と同時にローンを借りる場合は住宅に抵当権を設定し、担保として金融機関に差し入れるケースが多いです。そのため、金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を1つの契約書にまとめて作成することもあります。

さらに、ローンの借り入れにあたって保証会社を利用する場合は保証委託契約書も締結しなければいけません。手間はかかりますが、書類にサインするときは契約内容に間違いがないかをよく確認し、分からないことがあればその都度担当者に質問しましょう。

ステップ⑦土地の引き渡し・所有権移転登記

金融機関と金銭消費貸借契約書を締結したら、ローンの借入額から先に支払っている手付金を差し引いた残額を売主に支払います。自分の口座を通さず、直接売主の口座に振り込んでもらうことも可能なので、大きなお金を動かすことが不安な人は事前に金融機関に依頼しておきましょう。売主が入金を確認して問題がなければ土地の引き渡しへと進み、その際に引き渡し完了を証明する書類として引き渡し確認書を取り替わす場合もあります。

また、購入金額の振り込みが確認できた時点で所有権の移転も行われます。不動産は高額な取引になるケースが多いので、代金が未払いの状態で所有権だけを先に移転させるケースはほとんどありません。一般的には事前に日時を調整しておき、代金の支払いと所有権の移転を同時に行うことが多いです。

02土地を購入する前には必ず事前調査を行い、土地情報をよく把握しておこう

土地購入は、理想とする住宅建設を始める第一歩です。どれだけ理想とする住宅のイメージが固まっていても、建設する場所がなければ計画を進めることはできません。ただし、一般的に売買は高額になるので、気に入った土地を見つけてもすぐに購入へと進まず、周辺環境も含めて事前のチェックをすることが重要です。土地情報をよく把握したうえで、それでも問題ないと納得した場合は、今回紹介した土地購入の流れに沿って交渉を進めてみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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