不動産投資ローンとは?基礎知識から利用メリット・注意点まで解説

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不動産投資は数千万円単位のお金が必要になることも多く、最初からすべてを自己資金だけで賄うことは難しいでしょう。そこで、頼りになるのが金融機関からの融資です。しかし、一口に住宅購入用の融資といっても不動産投資ローンや住宅ローンなどがあり、その違いについて理解していない人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、不動産投資に興味がある人に向けて、不動産投資ローンについての基本的な知識を解説していきます。この記事を読むことで、不動産投資ローンを利用するべきかどうかを判断できるようになるでしょう。

01不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、その名のとおり「不動産投資を目的としたローン」のことです。主に賃貸用住宅などの投資用物件の購入や建築、または既存のローンの借り換えで利用できます。融資基準や審査基準があらかじめ決められているのが特徴で、賃貸用アパートをイメージした「アパートローン」と呼ばれることも多いです。仮にアパートローンという名称であっても、実際には「投資用物件を購入するためのローン」なので、賃貸用であればアパート以外の一戸建てやマンションでも利用できます。ただし、利用する金融機関によっては建物部分しか対象にならず、土地の購入代金は別のローンを組まないといけないケースもあるので気を付けましょう。

そのほかにも、投資用不動産を購入するときに利用できるローンには、「プロパーローン」もあります。こちらは金融機関が独自に融資を行うローンで、主に事業用に貸し出すお金です。アパートローンとプロパーローンの違いについては次段落で詳しく解説します。

「アパートローン」と「プロパーローン」の違いは?

先述したように、投資用不動産の購入に利用できるローンには、アパートローンとプロパーローンの2種類があります。結論からいうと、この2つのローンの違いは「パッケージ型」か「オーダーメイド型」かという点です。

アパートローンは使用用途があらかじめ決まっており、それに準じた審査基準や融資条件も定められているのが特徴です。つまり、投資用物件の購入に特化したローンで、金利や借入期間、融資額などの上限もそれに基づいて決められている、「パッケージ商品」としての側面が強いローンになります。

アパートローンのメリットは使用用途が不動産投資物件の購入に限定されていることから、金融機関が負うリスクをある程度把握できているため、比較的低金利で借りられることです。一方、デメリットは、万が一返済不能に陥ってしまった場合、強制的に物件を売却される点が挙げられます。もしも、売却価格がローン残債を下回った場合は、負債だけが残るリスクがあることは理解しておきましょう。

それに対してプロパーローンは、名前の由来に「proper(独自の、固有の)」という言葉が入っているように、相談内容に応じて金融機関が独自に設定するオーダーメイド型のローンです。アパートローンと異なる点は、金融機関が独自に調達した資金を金融機関がリスクを背負って貸し出すローンであることで、借主の属性や何に投資するかによって審査基準やローン金利、融資金額の上限はその都度異なります。資金用途は事業向けであれば何でも対象になる可能性がありますが、不動産投資に利用されているケースも多いです。

プロパーローンのメリットは金融機関が独自に融資するかどうかを判断するため、事業の収益性が高いと判断されれば好条件でローンを組める可能性があることです。ただし、保証会社を使わないことによって金融機関側が負うリスクは高くなることから、審査が厳しくなりがちである点は注意しましょう。

「不動産投資ローン」と「住宅ローン」の違いは?

不動産を購入するためのローンとしては住宅ローンもありますが、不動産投資ローンとの大きな違いは「購入する物件の用途」です。基本的には「自分が居住するための住宅」であれば住宅ローン、「他人に貸して収益を期待するための住宅」であれば不動産投資ローンを利用することになります。以下に不動産投資ローンと住宅ローンの違いを表にまとめてみたので、参考にしてください。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い一覧表

  不動産投資ローン 住宅ローン
審査基準 投資用不動産物件の収益性や担保価値などが重視される 契約者の年収や勤務先など、本人の属性が重視される
融資限度額 あり(融資可能上限額としては、一般的に契約者の年収の7~10倍といわれている) あり(借入可能額が算出されるが、契約者の年収や返済負担率、完済年齢に応じて決定される)
金利 住宅ローンより高め。ただし契約者の実績によって金利は安くなる傾向あり(1~15%と幅がある) 変動で0.3%~、固定で1%~と全体的に低金利

02不動産投資ローンはどこで借りられる?

不動産投資ローンは銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などで借りることができます。ただし、それぞれに特徴がある点は注意しなければいけません。例えば、銀行のなかでもメガバンクや都市銀行などの大手だと金利は低くなりがちですが、その分審査が厳しい傾向にあります。一方、地方銀行では資金力の関係から不動産投資ローンに積極的なところとそうでないところがあるので、それぞれの銀行で借り入れ条件が大きく異なる点は気を付けましょう。

また、信用金庫や信用組合の金利は地方銀行と同程度ですが、もともと地域の活性化を図ることを目的に設立された金融機関であることから、融資するエリアを制限している場合があります。このように利用する機関によって特徴が異なるので、最初からひとつの金融機関に絞らず、まずは相談してみることをおすすめします。

03不動産投資ローンは利用した方がいい?利用するメリットは?

不動産投資ローンは多くの人が利用していますが、ローンと聞くとやはり「借金」というイメージが強く、不安な人もいるでしょう。そこで、不動産投資ローンを利用するメリットについて解説していくので、利用するかどうか悩んでいる人は参考にしてください。

レバレッジ効果で、少ない資金を使って大きな投資が可能

不動産投資ローンを利用することの最大のメリットは、不動産投資のおける「レバレッジ効果」を得ることができる点です。レバレッジ効果とは「てこの原理」のことで、不動産投資の世界では「融資を利用して自己資金だけでは購入できない収益性の高い物件に投資し、より多くのリターンを得る」ことを表します。

例えば自己資金1000万円を持っている人が1000万円の物件を購入して利回り4%だった場合、年間収益は40万円です。それに対して、3000万円の物件を購入(自己資金1000万円、借入金2000万円)した場合、利回りが同じ4%でも得られる金額は3倍の120万円になります。これがレバレッジ効果で、経営が上手くいくことが前提ではありますが、不動産投資ならではのメリットとして注目されています。

自己資金を残すことで突然の出費にも対応可能

2つ目のメリットは、手元に資金を残しておけることです。不動産投資ローンを利用すれば初期投資における自己資金の持ち出しは最小限で済むため、余裕を持った経営ができます。例えば、退去による原状回復費や設備の修繕費などにお金をかけて入居促進を図ることもできるでしょう。

また、不動産投資は数十年単位の長い期間にわたって行うのが基本です。その間に、自分自身はもちろん、家族が病気やケガなどで入院や手術などを余儀なくされて予定外の出費がかさみ、資金計画が崩れるリスクは誰にでもあります。返済が滞ると物件を強制的に売却されてしまうため、不動産投資ローンを活用して自己資金をある程度残しておくほうが無難です。

04不動産投資ローン利用時に注意すべきこと

不動産投資ローンは投資用物件を購入する人向けのローンですが、だれでも利用できるわけではありません。審査基準は金融機関によって異なるものの、ある程度の年収がないと利用は難しいとされています。もしも、年収があまり高くない場合には自己資金が貯まるまで待つか、複数の金融機関に相談してみるなどの対策をとりましょう。

また、先述したように不動産投資ローンより住宅ローンのほうが金利は一般的に低いですが、それを利用して住宅ローンで投資用物件を購入してはいけません。住宅ローンの金利が低いのは賃貸用の不動産に比べて返済の不確実性が低く、リスクが少ないと金融機関が判断しているからです。

そのため、住宅ローンで得た資金をマイホーム用の物件の購入以外に使うことは原則禁止しています。万が一、そうした行為が明るみに出たときは、その時点での残債の一括返済を求められたり、信用に傷がついて他の金融機関からも融資が受けられなくなったりするかもしれません。最悪のケースでは物件の売却を余儀なくされ、借金だけが残る状態になることも覚悟しておきましょう。

さらに、住宅ローンには「住宅ローン控除」という税制優遇制度がありますが、こちらもあくまでもマイホーム利用のための物件に対する措置です。収益用物件の購入でマイホーム減税を利用すると脱税とみなされる可能性があります。

05不動産投資ローン申し込みの流れ

不動産投資ローンを申し込むときは、まず金融機関と面談をして内容について相談します。近年ではオンラインで受付をしてくれるところも増えていますが、対面での面談が必要なケースもあるのでよく確認しておきましょう。

面談が終わり、物件が決まったら次に事前審査(仮審査)に臨みます。不動産売買契約は事前審査に通ってから締結するのが一般的です。つまり、事前審査を先に受けておかないと、正式な物件購入の手続きへ進めません。

事前審査に通ったら実際にローンの申し込みを行い、本審査に入ります。事前審査の段階では金融機関の各支店で審査されるケースが多いですが、本審査は本店で融資の可否を判断するのが一般的です。そのため、事前審査より時間がかかりやすいことは理解しておきましょう。また、事前審査に通っていても本審査で否決されるケースがまれにあるので、最後までしっかり気を抜かずに必要書類をそろえるなどの準備をしておくことがポイントです。

本審査を無事通過したら、利用する金融機関とローンの本契約にあたる金銭消費貸借契約を結びます。金銭消費貸借契約を締結すれば、あとは物件引き渡し日に融資が実行されるのを待つだけです。

06不動産投資ローンの特徴を押さえて上手に利用しよう

不動産投資ローンを活用すれば、レバレッジ効果によって大きなリターンを得られたり、自己資金を手元に残しておくことで余裕を持った経営が可能になったりするメリットがあります。もちろん、ローンは借金なのでしっかりした返済プランを立てておくことが前提ですが、上手に活用すれば効率的な資産運用ができるのも事実です。これから不動産投資を始める予定の人は、不動産投資ローンのメリットやデメリットをよく理解した上で、まずは金融機関へ相談してみましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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