夏ボーナス5年連続増でも8割が実感ゼロ。住宅ローンを組む前に知るべき家計の現実

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2026年夏のボーナスは、大企業を中心に好調であることがさまざまなデータから明らかになっています。その一方で、ソニー損保の調査によると「お小遣いが増えた」と感じている人はわずか15.5%にとどまり、実に8割以上がその恩恵を実感できていないことがわかりました。 これは物価高による生活費の増加がボーナス増加分を吸収していることが背景にあると考えられます。このような状況でマイホーム購入を検討している人は、住宅ローンの返済が加わった後の家計を事前に把握しておくことが不可欠です。そこで、この記事では最新データをもとに、住宅ローンを組む前に確認しておきたい家計の現実を解説していきます。

01夏ボーナスは5年連続増なのに、8割が「増えた実感なし」のワケ

2026年夏のボーナスは、各種調査で軒並み好調な結果が出ています。

  • 労務行政研究所(東証プライム上場企業対象/2026年夏季賞与・一時金の妥結水準調査):単純平均88万1915円、対前年同期比2.5%増で5年連続の増加
  • 経団連(大手企業112社/2026年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況[第1回集計]):総平均100万8706円、前年比1.88%増。第1回集計としては比較可能な1981年以降で最高額となり、初めて100万円を超えた
  • 帝国データバンク(2026年夏季賞与の動向アンケート):正社員1人当たりの平均支給額が前年比1万8000円増の47万7000円

数字だけを見れば、どの調査も順調な伸びを記録しているといえるでしょう。

しかし、ソニー損保が2026年夏のボーナスシーズンに合わせて実施した「お小遣いの実態やお小遣いが増減した要因に関する調査」で「お小遣いが増えた」と答えた人はわずか15.5%にとどまり、残りの84.5%は「増えた実感はない」と回答しています。

賞与の調査結果とこれほどのギャップが生まれている主な要因は、物価高による生活費の上昇が家計を直撃していることです。円安の進行と海外情勢の不安定化が背景にあるとみられ、ガソリンや日用品はもちろん数多くの食料品まで値上がりしたことで、多くの家庭ではボーナス増加分がそのまま生活費の補てんに消えてしまっていると考えられます。

さらに注目したいのが、賞与の増加ペースそのものが鈍り始めている点です。労務行政研究所の調査では2022年以降5年連続で増加しているものの、2025年以降は増加幅が縮小傾向にあると分析されています。実際、2025年の3.8%増に対して2026年は2.5%増と、伸び率は1.3ポイント縮小しました。ボーナスは増えているとはいえ、その勢いは物価上昇に追いつくほどではなくなってきているのです。

実際、ソニー損保の同調査ではお小遣いが減った人の減少額平均(1万3189円)が、増えた人の増加額平均(1万958円)を上回っており、物価高の影響の深刻さがうかがえます。賃上げやボーナス増といった明るいニュースが流れる一方で、生活者の体感は真逆であるケースも少なくないのが実情です。

住宅購入を予定している人は、こうした現実を踏まえたうえで、住宅ローンという大きな固定費が家計に与える影響を試算しておくことが大切です。

02持ち家世帯のお小遣いは月平均2万9000円。マイホーム購入後のリアルな家計

今回のソニー損保の調査対象は、住宅ローン返済中のリアルな家計を映す層である「持ち家に住みお小遣い制を導入している20~50代の男女400名」です。同調査によると、1カ月あたりのお小遣いの平均額は約2万9000円でした。

男女別に見ると、男性が3万350円、女性が2万6684円と、男性のほうが約3700円多い結果です。しかし前年比では男性が2547円の減少、女性は1644円の増加となっており、その差は縮まっています。

お小遣いが減った人の要因として最も多かったのは、やはり「物価高などによる生活費の支出増(52.5%)」で、このことからも家計防衛のためにまず削られていくのが個人の自由なお金であることがわかるでしょう。

また、総務省統計局の家計調査(2025年平均)によると、2人以上世帯の月平均消費支出は31万4001円です。ただし注意したいのは、この消費支出に住宅ローンの返済費用が含まれていない点です。月平均消費支出のうち住居費は1万8678円しか計上されておらず、これは主に家賃や修繕費にあたります。

一方、国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅購入者における住宅ローンの月平均返済額は約12万1000円です。つまり住宅を購入した世帯では、家計調査の住居費(1万8678円)に代わって12万円超の返済が発生する計算になり、実際の支出は月平均消費支出よりもさらに膨らむ可能性が高いといえます。

「ボーナスは増えたけど、自分で自由に使えるお金は増えていない」という持ち家世帯の実感は、これからマイホームを検討する人たちにとって決して他人事ではありません。

03住宅ローンを組んだら家計はいくら残る?住宅タイプ別シミュレーション

それでは、住宅ローンの返済が始まったあとの家計がどうなるか、公的データをもとに確認していきましょう。国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」を参考に、手取り月収40万円(年収約600万円)の世帯でシミュレーションしたところ、結果は以下のようになりました。

住宅タイプ ①毎月の返済額(平均) ②生活費の目安 ③手元に残るお金
(40万円-①-②)
注文住宅 約12万1000円 約29万5000円 ▲1.6万円
分譲戸建住宅 約11万円 ▲0.5万円
分譲集合住宅 約9万1000円 +1.4万円
既存(中古)戸建住宅 約9万5000円 +1.0万円
※生活費の目安は、総務省家計調査(2025年平均)の2人以上世帯・月平均消費支出31万4001円から、住居費1万8678円を差し引いた概算。固定資産税・修繕費・火災保険料は含まない
※手取り月収40万円は、ボーナスを含む年間手取り額を12等分した場合の目安

上記からは、年収約600万円の世帯でも住宅タイプによっては家計が赤字になることがわかります。特に注文住宅では毎月1万円以上のマイナスとなり、貯蓄を取り崩さなければ生活が成り立たない計算です。

さらに見落としてはいけないのが、住宅を所有するとかかる「隠れたコスト」です。具体的には固定資産税や火災保険料、修繕積立費などが挙げられ、それらは今回のシミュレーションに含まれていません。そのため、実際の毎月の家計負担はさらに増える可能性が高いといえます。

ソニー損保の調査でも持ち家世帯の67.8%が固定費の見直しの必要性を感じていると答えており、物価高が続く中で住宅関連の費用が家計を圧迫していることがうかがえます。「平均的なローンを組んでも赤字になりうる」というデータは、物価高時代のマイホーム計画において、精度の高い返済シミュレーションがいかに重要であるかを示しています。

04住宅ローンは変動・固定どっちが正解?金利差で総支払額が500万円以上変わる理由

住宅ローンの変動金利と固定金利のどちらが正解かは利用者の家族構成や収入状況によって異なるので、一概にいうことはできません。ただし、金利差は総支払額に大きく影響することは覚えておきましょう。

2026年7月時点での金利タイプ別の金利水準目安は、以下のとおりです。

  • 変動金利…約0.78%
  • 固定10年…約1.59%
  • 全期間固定(フラット35)…約2.64%
※当サイト「最新金利ランキング」掲載の最低金利(2026年7月1日現在)。金融機関により金利は異なります

仮に借入額3500万円・35年返済(元利均等)で変動金利(0.78%)と固定10年(1.59%)を比較すると、毎月の支払額で約1万3000円、総支払額では約570万円の差が生じる計算です※。

ただし、この試算はあくまで変動金利が完済まで0.78%のまま推移した場合の数字である点に注意が必要です。単純に「現時点で変動金利のほうが、総返済額が少ないから選ぶべき」とはいえないところに、現在の住宅ローン環境の難しさがあります。

変動金利は日銀の政策金利に連動するため、利上げが見込まれる現在の局面では、金利上昇リスクを織り込んだ返済計画を立てることが欠かせません。住宅金融支援機構の調査でも、変動金利利用者の53.5%が金利変動リスクに不安を感じていると回答しています。

変動金利には、契約時点の金利が固定金利に比べて低金利であるというメリットはあるものの、将来の総返済額が未確定という点はデメリットです。そのため、将来の支出見通しが立てにくい子育て世帯や収入が不安定なフリーランスほど、毎月の返済額が契約時点で確定する固定金利のほうが安心だという考え方もあります。

今後も物価と金利の上昇が続くことが予想される状況において住宅ローンの金利タイプを選ぶときは「どちらが得か」ではなく、「どちらが自分の家計と人生設計に合うか」という視点を持つことがより重要になるでしょう。複数の金融機関の最新金利を比較したうえで住宅ローンを選ぶことが、長期的な家計防衛への第一歩になるはずです。

※当サイトの「毎月の返済額シミュレーター」による試算。総支払額には諸費用(抵当権設定費用、その他登記関連費用、事務取扱手数料、収入印紙税)を含み、金利タイプ・金融機関により金額は異なります。金利は2026年7月時点の水準
出典:住宅金融支援機構「フラット35」金利情報

05住宅ローンの借りすぎを防ぐ3ステップ|返済額・借入可能額・金利比較の進め方

ここまで述べてきたように、ボーナスが増えているといっても実際には「金利上昇・物価高・生活費増」に悩む人も多いようです。

そんな状況において、マイホームを購入するなら「とりあえず物件を見てから考えよう」というスタンスでは、毎月の返済額が想定より高くなってしまい一層生活が苦しくなる恐れがあります。

そのような事態を防ぐには、事前に具体的な数字を押さえておくことが重要です。ここからは住宅ローンの借りすぎを防ぐ3ステップを紹介します。

Step1:月々の返済額をシミュレーションして生活費と照らし合わせる

最初に取り組むべきなのは「借りたあとの家計を事前に数字で確認しておくこと」です。資金計画を立てる前に気に入った物件を見つけてしまうと、「なんとかあの物件を購入したい」という感情が資金面での判断を狂わせてしまうかもしれません。

そこで、まずは物件を探す前に現在の手取り月収から毎月の生活費を引いて、「ローン返済に回せる金額の上限」を出してみましょう。

その上限を超えない借入額が自分にとっての適正ラインになるはずです。計算するのが難しそうだと感じる人は、借入額・金利・返済期間を入力するだけで月々の返済額がすぐに確認できるスゴい住宅ローン探しの「毎月の返済額シミュレーター」を利用してみてください。

Step2:自分の「借入可能額(銀行が貸してくれる額)」を把握する

住宅ローンの毎月の返済額の上限をある程度把握したら、次は「実際に銀行がどれぐらい貸してくれるか」を確認しましょう。このときに注意したいのは「借りられる額=返せる額」ではないことです。金融機関が提示する借入可能額は利用者の年収をもとに機械的に算出されるため、物価高による生活費の実態は反映されていないことが多いです。

そのため、あくまでもStep1で計算した「返せる額」を上限として、事前審査を活用しながら自分の借入可能額を試算してください。なお、事前審査は物件探しの前に済ませておくと手続きがスムーズに進みます。Step1が終わった人は物件が決まっていなくても最速5分で結果がわかる「スゴ速住宅ローン保証審査」で確認してみることをおすすめします。

Step3:複数の金融機関の金利や条件を比較する

Step1とStep2で具体的な借入額のめどがついたら、最後に実際に借り入れをする金融機関を探しましょう。ここでのポイントは、できるだけ複数社を比較することです。返済期間が35年の長期間にわたることが多い住宅ローンでは、金利が0.5%違うだけで総支払額が数百万円単位で変わります。そのため、1社だけで決めると後悔する可能性が高いので注意してください。

なお、比較する際は金利だけでなく、団信の保障内容や繰上返済の手数料も確認するのがポイントです。特に金融機関同士の競争が激しくなってきている昨今では各社が独自の団信を提供して差別化を図っており、金利が同じぐらいでも保障内容で大きな差が生じていることもあります。

まずは「最新金利ランキング」で条件を横並びで整理し、そのあとで団信や繰上返済を調べてみると効率的に比較できます。ぜひ試してみてください。

06物価高時代のマイホーム購入は「借りられる額」ではなく「返せる額」で決まる

ボーナスが5年連続で増えても物価高による生活費増で8割が「実感ゼロ」と答える時代において、それでもマイホームを購入するなら「銀行が貸してくれる金額」ではなく、「自分が無理なく返せる額」を基本に考えることがポイントです。

判断の順番はとてもシンプルです。まずはシミュレーターで返済額と生活費のバランスをチェックし、次に事前審査で借入可能額を確認します。最後に複数の金融機関の金利や団信の条件を比較して、自分の家計に合った住宅ローンを選びましょう。この3ステップを踏むだけで、マイホーム購入後の家計破綻リスクは大きく下げられるはずです。

「スゴい住宅ローン探し」では、返済額シミュレーションから事前審査、金利比較まで、住宅ローン選びに必要なステップに対応したサービスをそろえています。上記の3ステップをワンストップで完結できるので、ぜひご活用ください。 物件探しをスタートする前に、まずは「毎月の返済額シミュレーター」を利用して、自分の返せる額を数字で確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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