
資産価値を守る!最新の間取りトレンドを取り入れた戸建て住宅の特徴とは?

首都圏を中心にした不動産価格上昇や、日銀の利上げによる住宅ローンの金利上昇など、日本の住宅市場を取り巻く環境は大きく変化しています。新築戸建ての建築数が減少傾向にあることも、こうした変化の一つであり、今後も少子高齢化や人口減少、ライフスタイルの変化によって、さらなる需要低下が懸念される状況です。 そのため、新築戸建て住宅には実用性だけでなく、将来的な資産価値の低下を防ぐための工夫が求められるようになってきています。本記事では、日本の住宅市場の現状を踏まえつつ、資産価値を高めるための戸建て住宅の設計ポイントを紹介します。

01新築戸建て住宅の建築が減少する背景
日本の住宅市場では、少子高齢化や人口減少を背景に、住宅需要が減少しつつあります。その傾向は特に近年の住宅価格の高騰が拍車をかけ、価格の高い新築よりも中古住宅の購入およびリノベーションへの注目が集まっています。また、SDGs(持続可能な開発目標)や地球温暖化防止といった環境問題への関心が高まっていることもあって、住宅市場では、長期的に安心して快適に住み続けられる住宅へのニーズが高まっているのも特徴です。
住宅には資産としての側面もあるため、これから戸建て住宅の建築を検討するにあたっては将来的なことも考え、「売れる家・貸せる家」としての価値を考慮した設計を意識したほうがよいでしょう。具体的には人気のある最新設備を導入したり、時代の変化に対応できる汎用性の高い間取りを採用したりする方法が挙げられます。
新築戸建て住宅の価格動向については、下記の関連記事で詳しく解説しています。関心がある方は、ぜひご覧ください。
02【新築戸建て】最新の間取りトレンドとは?
今後日本では住宅需要が減ることが予想されるため、これからマイホーム探しをするのであれば資産価値の落ちにくい最新トレンドを取り入れた間取りを選ぶことが大切です。例えば、株式会社住環境研究所の調査によると、近年の新築戸建てでは「バルコニーを設けない住宅」が増えていると報告されています。
同調査では、特に若年層ほど住宅にバルコニーを設けない選択をした人が多い傾向にあり、その理由として「メンテナンスが不要になる」「花粉やPM2.5の影響を受けにくくなる」といったメリットを挙げています。バルコニーを設けないことで生じる洗濯物などを干す場所といった問題に対しては、「ランドリールーム」や「洗面・脱衣所に物干しスペース」を取り入れて解決を図るケースが多いとされています。
また、和室が減少している一方で、畳コーナーへの需要が増えているのも近年の特徴です。住宅市場では居室の洋風化が進んでいますが、「子供の遊び場」や「気軽に寝転がれるくつろぎスペース」として畳コーナーの人気は依然として根強いものがあります。そのほかでは、将来的なライフプランを考えて可変性のある間取りも人気です。具体的には子どもの成長に合わせて仕切りを設置または撤去できる間取りが挙げられ、新築の段階から将来的なリフォームを想定した設計を好む世帯が増えています。
03戸建て住宅の資産価値を高めるための設計ポイント
新築戸建てにおいては消費者のニーズを把握し、それに対応した間取りの住宅を選ぶことで、将来的に賃貸や売却をするときも有利に働く可能性が高まります。しかし、戸建て住宅の資産価値を高めるには、それだけでは不十分です。そこで、ここからは戸建て住宅の資産価値を高めるための設計ポイントを3つ紹介します。
- 汎用性の高い間取りを意識する
- 省エネ&耐震性能を高める
- 長期的に価値が落ちにくい家づくりをする
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
汎用性の高い間取りを意識する
資産価値の高い住宅とは多くの人から関心を持たれる物件です。そのためには、たくさんの人にとって利便性に優れた汎用性の高い間取りであることが重要になるでしょう。汎用性の高い間取りのポイントとしては、以下の3点が挙げられます。
- 回遊動線を取り入れる
- ワークスペースを確保する
- 家族構成の変化に対応できる設計にする
まず、1つ目の回遊動線については、生活の利便性向上に大きく役立ちます。例えば、玄関からキッチン、リビング、洗面室などをスムーズに移動できるようにすれば家事動線が短縮され、共働き世帯や子育て世帯にも適した間取りになります。
2つ目のワークスペースの確保については、近年普及してきたテレワークに対応した間取りを意識するとよいでしょう。自宅での仕事に対応した個室やカウンターデスクを備えたワークスペースのある間取りは住宅市場での需要が高まっています。そうした部屋がある住宅は仮にテレワークが必要ない人であっても、子どもの勉強スペースや趣味の部屋として活用できる点もメリットです。
最後に3つ目の家族構成の変化に対応できる設計については、将来的に壁を設置もしくは撤去できるような、可変性のある間取りが代表的です。部屋の仕切りに柔軟性を持たせることで、子どもが巣立った後に壁を撤去して一つの広い部屋作るといった柔軟な間取りが可能になるうえ、賃貸物件としての活用の幅も広がります。
省エネ&耐震性能を高める
近年の住宅市場では環境に優しいうえ、高騰気味の光熱費削減にもつながる省エネ性能の高い住宅の注目度も上がっています。断熱材の適切な使用や気密性の高い窓およびドアを採用した高断熱・高気密の住宅なら、冬は暖かく夏は涼しい快適な住環境を実現できます。それによって、長期的な省エネ効果を期待できるので、光熱費削減につながるはずです。
特に太陽光発電システムや高効率設備などを導入して、エネルギー収支をゼロにするZEH住宅(ゼロエネルギーハウス)への関心は高まっています。ZEH基準を満たせば補助金を受け取れるケースもあるので、これから戸建てを建築するならそれに対応した住宅設計を頭に入れておくとよいでしょう。
また、住宅設計で忘れてはいけないのが、耐震性能です。日本は世界的に見ても地震の多い国であり、住宅購入時に耐震性能を重視する人は多く、特に地震の多い地域では重要な判断基準となります。そのため、震度7の揺れにも耐えるとされる最高ランクの耐震等級3を取得しておくことで、住宅探しをする人に将来的な安心感を提供でき、不動産としての評価も上がりやすくなります。
長期的に価値が落ちにくい家づくりをする
ここまで紹介した対策はいずれも住宅の資産価値を高めるのに有効ですが、それが一時的なものになっては意味がありません。そのため、家づくりをするときは資産価値を高めるとともに、長期的に価値が落ちにくい工夫を取り入れることも大切です。具体的には以下の3点が挙げられます。
- 人気の設備・機能を取り入れる
- 将来の売却時に有利な間取りにする
- メンテナンス性の高い設計を心がける
人気の設備・機能については、例えば、ウォークインクローゼットまたはパントリーといった使い勝手の良い収納スペースの採用をはじめ、ランドリーや小上がりといった人気の間取りを取り入れる方法が挙げられます。そのほかにも、IoT機器など最先端技術を活用したスマートホーム機能を導入して付加価値を高めるのもよいでしょう。
間取りについては一般的に3LDK~4LDKが流通性に優れ、資産価値を維持しやすいといわれています。ただし、立地や市場のニーズによってファミリー向けや単身者向けなど、求められる間取りは変わるので、それを意識した設計を心掛けることが大切です。
また、どれだけ優れた設備や機能が備わっている住宅であっても、維持管理に高額なコストがかかる住宅は、将来的な資産価値が下がる可能性があるため注意が必要です。そのため、設計の際にはメンテナンスしやすい外壁や床材を使用したり、設備や配管へのアクセスが容易でリフォームしやすい構造にしたりといった工夫をすると、長期的な資産価値の維持につながりやすいでしょう。
04長期的な視点を持ち、将来も選ばれる家づくりを心がけよう
新築戸建て住宅が減少傾向にあり、今後の不動産市場でも住宅ニーズの低下が懸念される日本において、これから住宅を建築するなら、「長期的に資産価値を維持できる家づくり」という観点を持つことが大切です。そのためには、住宅市場の変化を見極めたうえで、将来的な需要を考慮した設計が重要になるでしょう。今回紹介した内容を参考にしながら、長期的に資産価値を保ちやすい「売れる家」または「住みやすい家」を実現してください。
なお、家づくりを成功させるには、住宅ローンの選び方も大切なポイントです。いくら優れた住宅を設計しても、無茶な資金計画を立ててしまっては返済が難しくなり、最悪の場合、住宅を手放さざるを得なくなる可能性もあります。 当サイト内には、適切な資金計画に役立つ各種シミュレーターをご用意しています。これから住宅の建築・購入を検討されている方は、ぜひ活用してみてください。

監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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