はじめての住宅ローン

年収800万円でどれだけ借りられる?

年収800万円の適正な住宅ローン額はいくら?返済計画のポイントもチェック

新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

本記事では、世帯年収800万円でこれから住宅を購入する予定の方に向けて「住宅ローンの借入可能額の目安」や「夫婦で住宅ローンを組む際の注意点」などを解説します。具体的なシミュレーション結果も記載しているので、返済計画を考えるときの参考にしてください。

27分

Contents

年収800万円で借りられる住宅ローンって?

住宅ローンの借入可能額は年収だけでなく、返済負担率や金利タイプによっても大きく変わります。

01年収800万円で借りられる住宅ローンは4000万〜5600万円

年収800万円の場合、住宅ローンの借入可能額の目安は4000万〜5600万円です。ただし、この金額を上限まで借り入れると返済が苦しくなるケースもあるため、「年収倍率」と「返済負担率(返済比率)」という2つの指標を事前に理解しておくことが大切です。以下では、まず年収倍率をもとに借入可能額をシミュレーションします。

年収倍率とは、「購入予定のマイホーム価格が年収の何倍に相当するか」を示す指標です。詳細な条件は金融機関によって異なりますが、一般的に住宅ローンの借入可能額の目安は年収の5〜7倍程度とされています。よって、年収800万円であれば、4000万〜5600万円が1つの目安となります。

年収倍率の平均値は、購入する住宅の種類によって差があります。国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」の平均購入資金と平均世帯年収から算出すると、中古戸建住宅を購入した人の平均年収倍率は約4.2倍(平均購入価格は2917万円)です。それに対して、購入価格が高くなりやすい新築注文住宅の平均年収倍率は約6.8倍(平均購入価格は6188万円)となっています。

住宅の種類 平均年収倍率 平均購入価格
新築注文住宅 約6.8倍 6188万円
中古(既存)戸建住宅 約4.2倍 2917万円
出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」p.44、121、186、257
※年収倍率は、報告書の平均購入資金を平均世帯年収(注文住宅907万円、既存戸建住宅699万円)で除して算出

年収800万円で新築注文住宅を購入した場合、全国平均の年収倍率6.8倍を当てはめると購入価格は約5440万円となります。頭金を20%(約1090万円)用意すると借入額は約4350万円となり、借入可能額の範囲内に収まります。ただし三大都市圏では、土地代を含めた購入資金の総額が平均7364万円まで上がるため、年収800万円で借入だけでまかなうのは現実的ではありません。都市部で注文住宅を検討する場合は、頭金を厚めに用意して借入額を抑えるか、分譲住宅や中古住宅も含めて検討することが前提になります。

要点

  • 年収800万円の住宅ローン借入可能額の目安は、年収の5〜7倍にあたる4000万〜5600万円
  • 年収倍率とは、購入予定のマイホーム価格が年収の何倍に相当するかを示す指標で、借入可能額の目安を把握するために活用される
  • 国土交通省の調査によると、新築注文住宅の平均年収倍率は約6.8倍(平均購入価格6188万円)、中古戸建住宅は約4.2倍(平均購入価格2917万円)と、住宅の種類によって差がある

借りられる額と無理なく返せる額は別物です

借入可能額の上限いっぱいまで借りることが、必ずしも安全とは限りません。

02年収800万の場合、無理なく返せる借入額は4000万〜4800万円

年収800万円の場合、無理なく返済できる借入額の目安は4000万〜4800万円、月々の返済額の目安は10万6000円〜13万2500円です。

借入可能額の上限を把握する「年収倍率」と同様に重要な指標が「返済負担率」であり、この2つを組み合わせることで、より現実的な借入額を判断できます。

返済負担率とは、年収に占める住宅ローンを含めた年間返済額の割合を示す指標です。金融機関の審査では額面年収で判定されますが、家計の安全性を測るうえでは「年間のローン返済額合計 ÷ 手取り年収 × 100」で計算するのが実態に近くなります。一般的に、家計に無理のない範囲とされるのは、手取り年収の20〜25%で、30%を超えると返済負担が重くなるといわれています。なお、返済負担率は住宅ローンだけでなく、カードローンや教育ローンなど他の借入れの返済額もあわせて計算する必要があります。

たとえば、年収800万円(都内在住、40歳未満、扶養なし)の方の場合、一般的な手取り収入は年額で約635万円(月額で約53万円)です。したがって、返済負担率が20%の場合は月々10万6000円、返済負担率25%の場合は月々13万2500円が返済額の目安となります。

仮に変動金利0.375%、返済期間35年、ボーナス返済なしという条件で毎月10万円の返済をする場合、総返済額の目安は4199万円になります。同じ条件で月々14万円の支払いをする住宅ローンを組んだ場合、総返済額の目安は5879万円です。

返済負担率 月々の返済額の目安 総借入額の目安
20% 約10万6000円 約4199万円
25% 約13万2500円 約4800万円

月々14万円の返済は、借入額5500万円程度の住宅ローンに相当し、総返済額の目安は約5870万円となります。この場合の返済負担率は約26.4%(年間返済額約168万円 ÷ 手取り635万円 × 100)と、25%をやや上回る水準です。他に借入れがある場合は30%近くに達する可能性もあるため、注意が必要です。また、価格の高い住宅を購入する場合は、年収倍率の適正範囲を超えないよう、できるだけ頭金を用意して借入額を抑えることが重要です。

実際のマイホーム購入にあたっては物件の予算も関係してくるため、返済負担率を低くすることだけにこだわると、理想とする住宅の購入が難しくなるかもしれません。無理のない範囲で返済できる金額は各家庭の家計状況によっても異なるので、予算と返済のバランスを考えて住宅ローンの借入金額を決めることが大切になります。

要点

  • 年収800万円の場合、無理なく返済できる借入額の目安は4000万〜4800万円
  • 返済負担率とは年間のローン返済額合計が手取り年収に占める割合のこと
  • 返済負担率は、手取り年収の20〜25%以内が家計に無理のない範囲の目安とされ、30%を超えると返済負担が重くなるといわれている
  • 年収800万円(手取り約635万円)の場合、返済負担率20%で月々約10万6000円、25%で月々約13万2500円が返済額の目安となる
  • 返済負担率を低く抑えることだけを優先すると理想の住宅を購入できなくなる可能性もあるため、物件の予算と返済のバランスを見ながら借入額を決めることが大切

返済期間で総返済額はどう変わる?

返済期間を長くすれば月々の負担は減りますが、支払う利息の総額は増えます。

03【返済期間別】総返済額、月々の返済額はどのくらい?

まずは、返済期間別のシミュレーションを紹介します。借入条件は借入金額5500万円、変動金利0.375%(ただし、借入期間中は同率と仮定)、ボーナス返済なしです。これは、高額になりがちな新築注文住宅を購入すると仮定した条件となります。以上の条件により算出したシミュレーション結果は以下の通りです。

【返済期間別シミュレーション(借入5500万円・変動0.375%・ボーナス返済なし)】

借入期間:25年

月々の返済額 総支払額 総利息
19万2089円 約5763万円 約263万円

借入期間:30年

月々の返済額 総支払額 総利息
16万1556円 約5816万円 約316万円

借入期間:35年

月々の返済額 総支払額 総利息
13万9754円 約5870万円 約370万円


返済期間が長くなるほど月々の返済額は抑えられる一方、元本の減りが遅くなる分、支払利息は増えます。ただし、返済期間25年と35年の総返済額の差は約107万円にとどまります。

返済期間25年の場合の返済額

返済期間25年の場合、月々の返済額は19万2089円です。利息は約263万円となり、3つの期間の中で最も少ないといえます。ただし、年収800万円(手取り年収約635万円)の世帯では、返済負担率が36%以上となり、毎月の家計はかなり苦しくなることが予想されます。総返済額の差が小さいことを踏まえると、無理に返済期間を短く設定するよりも、返済期間を長くして月々の返済額を押えるほうが良い場合もあるでしょう。

返済期間30年の場合の返済額

返済期間30年の場合、月々の返済額は16万1556円、総利息は約316万円です。返済期間25年と比べて月々の負担を約3万円抑えられるため、家計への影響を和らげながら利息の増加も一定範囲に抑えられる、バランスの取れた選択肢といえます。

返済期間35年の場合の返済額

返済期間35年の場合、月々の返済額は13万9754円と3つの期間の中で最も少なく、月々の家計負担を最も抑えられます。一方、総利息は約370万円と最も多くなります。返済負担率の観点からは、年収800万円(手取り年収約635万円)の世帯で返済負担率25%以内に収めるには、この返済期間が現実的な選択肢となります。

今回のシミュレーションは借入期間中の金利を同率と仮定しています。変動金利は契約当初の金利が固定金利より低いメリットがある一方、将来的に金利が上昇すると総返済額が増えるリスクがあります。特に5000万円超の高額な借入れでは、金利上昇の影響が大きくなるため注意が必要です。変動金利のメリットを活かしつつリスクを抑えたい場合は、頭金をできるだけ多く用意して借入額を減らすといった対策を検討しましょう。

要点

  • 返済期間が長くなるほど月々の返済額は減るが総利息は増える。ただし借入5500万円・変動金利0.375%の条件では、25年と35年の総返済額の差は約107万円にとどまる
  • 変動金利は金利上昇時の総返済額増加リスクがあり、特に5000万円超の高額借入れでは影響が大きいため、頭金を多く用意して借入額を抑える対策が有効

金利タイプ選びで総利息が約590万円変わる

変動型・固定型・固定期間選択型など、選ぶ金利タイプによって総返済額には大きな差が生じます。

04【金利タイプ別】総返済額、月々の返済額はどのくらい?

次に金利タイプ別の月々の返済額と総返済額をシミュレーションしていきます。金利タイプ別のシミュレーション条件は借入金額5500万円、返済期間35年、ボーナス返済なしです。なお、金利については借入期間中ずっと同率と仮定しています。

【金利タイプ別シミュレーション(借入5500万円・返済期間35年・ボーナス返済なし)】

全期間固定:金利0.940%

月々の返済額 総支払額 総利息
15万3723円 約6456万円 約956万円

10年固定:金利0.495%

月々の返済額 総支払額 総利息
14万2650円 約5991万円 約491万円
※10年固定は11年目以降の適用金利が未確定のため、35年間同率と仮定した参考値です。

変動:金利0.375%

月々の返済額 総支払額 総利息
13万9754円 約5870万円 約370万円

全期間固定金利0.940%の場合の返済額

全期間固定金利0.940%の場合、月々の返済額は15万3723円、総利息は約956万円と3つの金利タイプの中で最も高くなります。一方、返済期間中ずっと同じ金利が適用されるため、金利上昇リスクがなく、計画的な返済ができる点は大きなメリットです。

年収800万円(手取り年収約635万円)の世帯でこのシミュレーション条件を選択した場合、返済負担率は約29%となります。返済が苦しくなる目安の30%は下回りますが、住宅ローン以外の借入れがあると家計が苦しくなる可能性が高まるため、利用する金融機関を吟味して少しでも適用金利の低いところと契約することをおすすめします。

たとえば、全期間固定型のフラット35のなかには、頭金を1割以上入れると優遇金利が適用されるプランがあります。今回は0.940%でシミュレーションしましたが、仮に0.3%低い0.640%で計算すると総返済額は約6140万円となり、約316万円の削減が可能です。全期間固定型を選ぶ場合は、このような優遇金利が適用されるプランを積極的に活用しましょう。

10年固定金利0.495%の場合の返済額

10年固定金利0.495%の場合、月々の返済額は14万2650円、総利息は約491万円です。変動型と比べて金利差が小さいうえ、契約当初から10年間は金利上昇リスクがないというメリットがあります。

頭金を用意することが難しい方や、固定金利と変動金利のどちらにするか判断がつかない方にとって、まず10年間だけ固定金利で様子を見るという選択肢として適しています。また、固定型と変動型をミックスする方法も選択肢の一つです。

変動金利0.375%の場合の返済額

変動金利0.375%の場合、月々の返済額は13万9754円、総利息は約370万円と3つの金利タイプの中で最も低くなります。ただし、将来的に金利が上昇すると総返済額が増えるリスクがある点には注意が必要です。変動型を選ぶ場合は、金利上昇リスクへの備えとして、頭金をできるだけ多く用意して借入額を押えるといった対策を検討しましょう。

シミュレーションからは、選ぶ金利タイプによって総利息に大きな差が生じることが分かります。全期間固定型と変動型の総利息の差は約587万円で、実に2.5倍以上です。ただし、変動型には金利上昇リスクがある一方、全期間固定型は返済期間中ずっと同じ金利が適用されるためそのようなリスクはありません。全期間固定型は低金利の恩恵を受けられないものの、金利上昇局面においても毎月の負担が増えず、計画的な返済ができる点は大きなメリットになります。

要点

  • 借入金額5500万円・返済期間35年・ボーナス返済なしの条件で試算すると、全期間固定(0.940%)で月々15万3723円(総利息約956万円)、10年固定(0.495%)で14万2650円(総利息約491万円)、変動(0.375%)で13万9754円(総利息約370万円)となる
  • 変動型には金利上昇リスクがある一方、全期間固定型は返済期間中ずっと同じ金利が適用されるため計画的な返済ができる
  • 全期間固定型を選ぶ場合は、頭金を1割以上入れることで優遇金利が適用されるプランを活用すると総返済額を削減できる
  • 変動か固定か迷う場合は、10年固定型やミックス契約を選択し、初期の金利上昇リスクを避けつつ様子を見る手法も賢明な判断だ

頭金の平均は住宅価格の約3〜4割

頭金を多く用意するほど借入額を抑えられますが、手元資金とのバランスを考えることも大切です。

05用意する頭金の平均額は?

住宅購入時の頭金は住宅価格の1〜2割が目安といわれていますが高国交省の調査によると、実態では購入資金の3〜4割を自己資金(頭金含む)で用意している世帯が多い傾向にあります。年収倍率や返済負担率を抑えるためには借入額を減らすことが重要であり、頭金を用意することがポイントです。

国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、住宅の種類別に見た購入資金と自己資金の平均は以下のとおりです。

区分 購入資金・建築資金 うち自己資金 自己資金比率
注文住宅(全国・土地代を除く) 4695万円 1825万円 38.9%
注文住宅(三大都市圏・土地代を除く) 5243万円 2148万円 41.0%
分譲集合住宅(新築マンション) 4679万円 2091万円 44.7%
分譲戸建住宅 4591万円 1256万円 27.3%
出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」p.117、118、186

住宅の種類による幅はあるものの、購入資金の約4割を自己資金で賄っており、多くの世帯が3〜4割の頭金を用意していることが分かります。仮に5500万円の住宅を購入する場合、自己資金の目安は550万円(1割)〜2450万円(4割強)程度となります。頭金を多く用意するほど借入額が減り、支払う利息が少なくなるため、総返済額を押えられる点は大きなメリットです。

ただし、手元にある預貯金のすべてを頭金として入れてしまうと、突然の病気や事故など、不測の事態が起きたときに対応出来ない恐れもあります。突然の出費があったときに慌てないように、最低でも毎月の生活費の3カ月分は現金で確保しておくほか、それ以外の出費にも備えるのであれば6カ月分は手元に置いておきたいところです。子どもがいる場合の教育資金など、直近で予定されているライフイベントを考慮しながら、何かあってもしばらくは困らない程度の資金を手元に残すことに留意して頭金の額を検討しましょう。

要点

  • 返済負担率を抑える頭金は1〜2割が目安だが、実際は住宅価格の3〜4割を用意する世帯も多い
  • 頭金を増やすほど借入額と利息が減り、総支払額を抑えられるメリットがあるため、無理のない範囲で多めに検討する
  • 万が一の病気や不測の事態に備え、最低でも生活費の3〜6カ月分は手元に現金を残した上で、頭金の額を決めることが大切

共働きなら夫婦2人でローンを組む選択肢も

夫婦で住宅ローンを組む方法は3種類あり、それぞれメリット・デメリットが異なります。

06夫婦・共働きで住宅ローンを組む3つの方法と注意点

夫婦どちらかの単独契約(シングルローン)では審査に通らないことが予想される場合、夫婦2人で住宅ローンを組む方法として「ペアローン」「収入合算(連帯債務型)」「収入合算(連帯保証型)」の3種類があります。ただし、共働きであっても将来のライフイベントによる収入減少リスクを考慮した返済計画を立てることが重要です。

ペアローンとは?

ペアローンとは1つの住宅に対して、夫婦それぞれが別々の住宅ローンの契約者となるローンです。1人で契約するよりもトータルでの借入可能額を増やせる点や2人分の住宅ローン控除を受けられる点がメリットになります。一方で、住宅ローンの契約が2つになることで、契約にかかる諸費用も2本分かかってしまう点はデメリットです。

連帯債務型とは?

収入合算の連帯債務型は、夫婦のどちらかが主債務者、もう一方が連帯債務者となる形態のことです。1つの住宅ローンに対して最初から夫婦それぞれが債務の全額を負います。借入可能額を増やせる点、2人分の住宅ローン控除を受けられる点、契約は1本のみのため諸費用も1本分で済む点がメリットです。ただし、返済途中で離婚した場合でも連帯債務者の返済義務はなくならない点、また取り扱い金融機関が少ない点はデメリットとして挙げられます。

連帯保証型とは?

収入合算の連帯保証型は、夫婦のどちらかが債務者となり、もう一方がその連帯保証人となるローンです。連帯債務型と異なるのは、連帯保証人は債務者が返済できなくなった場合に限り、その時点で返済能力があるかないかを問わず、返済義務が生じる点です。ほかのローンと同じく単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額は増やせますが、債務者が1人であることから住宅ローン控除は1人分しか適用されません。

夫婦で支払う住宅ローンの詳細については、下記の記事も参考にしてください。

ペアローンと連帯保証と連帯債務。夫婦で住宅ローンを組むならどれがお得?
[基礎知識] 2026.03.09

要点

  • 夫婦で住宅ローンを組む方法は「ペアローン」「連帯債務型」「連帯保証型」の3種類があり、単独審査が難しい場合の選択肢となる
  • ペアローンは夫婦それぞれが別々の契約者となる形態で、借入可能額の増加と2人分の住宅ローン控除が主なメリットだが、契約が2本になるため諸費用も2本分かかる
  • 連帯債務型は1本の契約で夫婦それぞれが全額の返済義務を負う形態で、2人分の住宅ローン控除と諸費用1本分というメリットがある一方、離婚後も連帯債務者の返済義務は消えない
  • 連帯保証型は住宅ローン控除が1人分のみという点が他の2つと大きく異なり、連帯保証人の返済義務は債務者が返済不能になって初めて発生する
  • 共働きでも将来のライフイベントによる収入減少リスクを織り込んだ返済計画が不可欠であり、どの形態を選ぶかに関わらず長期的な視点での検討が求められる

返済計画で見落としがちな3つのポイント

無理のない返済のためのポイントを解説します。

07無理のない返済計画のために気をつけたいこと

無理のない返済計画を立てるには、諸費用の現金準備・ライフイベントによる収入減少リスクへの備え・減税制度の活用という3つのポイントを押さえることが重要です。

諸費用は別で現金を用意する

住宅購入にあたっては、登記費用や住宅ローンの事務取扱手数料などの諸費用が別途かかります。5000万円程度の住宅を購入する場合、諸費用だけで一般的に150万円以上となるため、予算を考える際には忘れずに含めておく必要があります。借入額が多くなるほど返済負担率も高くなるため、諸費用はできるだけ住宅ローンに含めず、現金で用意しておくことが安心です。

また、返済負担率は住宅ローンだけでなく、カードローンや教育ローンなど他の借入れの返済額も含めて計算する必要がある点にも注意しましょう。

ライフイベントによる収入減少リスクに備える

夫婦共働きで世帯年収800万円の方が住宅ローンを組む場合に気を付けたいのが、ライフイベントによって配偶者の収入が減少することです。具体的には妊娠や出産、育児や親の介護、病気やケガ、会社の業績悪化による給料減少などが挙げられます。安定した生活を営むためには、これらの出来事が起こってもマイホームを手放さなくて済むような返済計画を立てなくてはいけません。また老後のことを考えると、定年退職後にも住宅ローンの支払いが残るような返済計画はできれば避けたほうがよいでしょう。

減税制度を上手に活用する

収入減少リスクを抑えるためのひとつの手段として、住宅ローン控除などの減税制度を上手に活用する方法があります。たとえば、住宅ローン控除は年末時点での住宅ローン残高の0.7%を13年間にわたって所得税や住民税などから控除してくれますが、年間最大31万5000円(借入限度額4500万円の場合)までしか控除されません。
※控除率0.7%・控除期間13年は新築住宅・買取再販住宅の場合。既存(中古)住宅の控除期間は10年。また、2024年以降に入居する新築住宅は原則として省エネ基準への適合が要件となり、借入限度額も住宅の種類・省エネ性能・入居年によって異なります。適用要件(所得金額や床面積の条件を含む)は国税庁の最新情報をご確認ください。

つまり、今回のシミュレーションのように総額4000万円以上の住宅ローンを組む場合は、シングルローンを組むよりもペアローンや収入合算の連帯債務型のように夫婦それぞれで住宅ローン控除を受けたほうがお得になることがあります。

要点

  • 無理のない返済計画には「諸費用の現金準備」「収入減少リスクへの備え」「減税制度の活用」の3つが重要なポイントとなる
  • 5000万円程度の住宅購入では諸費用だけで150万円以上かかるため、借入額増加による返済負担率の上昇を避けるには、諸費用は住宅ローンに含めず現金で用意することが望ましい
  • 妊娠・出産・介護・病気・給料減少などのライフイベントによる収入減少リスクを想定した返済計画が不可欠で、定年退職後に返済が残らないよう長期的な視点で組み立てることが求められる
  • 住宅ローン控除は年末残高の0.7%を最長13年間控除できる制度で、4000万円以上のローンを組む場合はシングルローンよりペアローンや連帯債務型で夫婦それぞれが控除を受けるほうが有利になるケースがある

まずはシミュレーションで返済計画を確認

借入可能額や月々の返済額は、シミュレーターを使って自分の条件に合わせて試算することができます。

08年収800万円でもシミュレーションで無理のない返済計画を立てよう!

国土交通省の資料からは年収800万円の世帯なら、三大都市圏で新築注文住宅を建設することも夢ではないことが分かります。とはいえ、住宅ローンは30年など長期にわたって返済を続けなければいけないので、ローン契約する際は育児や親の介護による収入減少などといったリスクまで考慮しておくことが大切です。無理のない返済計画を立てるために、最適な借入可能額がどれくらいかを把握したい方はサイト内の「借入可能額シミュレーター」や「毎月の返済額シミュレーター」を使って試算してみてください。

要点

09住宅ローンQ&A

Q. 年収800万円は平均的な世帯と比べてどのくらいの水準ですか?

A. 厚生労働省が2024年に公表した「国民生活基礎調査の概況」によると、所得金額の中央値は410万円です。世帯年収800万円はその約2倍にあたり、平均的な世帯よりも多くの収入を得ているケースが多いといえます。

出典:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅱ 各種世帯の所得等の状況

Q. 住宅ローンの借入可能額の目安を知るにはどうすればよいですか?

A. 「年収倍率」と「返済負担率(返済比率)」という2つの指標を活用することが有効です。年収倍率は借入可能額の目安を、返済負担率は家計が苦しくならない返済額の目安をそれぞれ把握するために役立ちます。借り入れ前にこれらの指標を理解しておくことで、計画的に返済を進められるようになるでしょう。

Q. 年収800万円で借りられる住宅ローンの目安はいくらですか?

A. 年収の5〜7倍が一般的な借入可能額の目安とされており、年収800万円の場合は4000万〜5600万円が目安となります。ただし、上限いっぱいまで借りると返済が苦しくなるケースもあるため、返済負担率も合わせて確認することが重要です。

Q. 年収800万円で無理なく返済できる借入額はいくらですか?

A. 手取り年収に占める年間返済額の割合を示す返済負担率を20〜25%以内に抑えることが目安とされており、年収800万円(手取り約635万円)の場合、無理なく返済できる借入額は4000万〜4800万円程度が現実的なラインです。

Q. 住宅ローンの金利タイプはどれを選ぶべきですか?

A. 金利タイプは大きく「変動型」「固定期間選択型」「全期間固定型」の3種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。変動型は当初の金利が低い一方、将来の金利上昇リスクがあります。全期間固定型は返済額が変わらず計画的な返済ができる反面、総利息は高くなる傾向があります。ご自身の家計状況やリスク許容度に合わせて選択することが大切です。

10まとめ

年収800万円の住宅ローン借入可能額の目安は、年収の5〜7倍にあたる4000万〜5600万円です。ただし、返済負担率20〜25%を基準にすると、無理なく返済できる借入額は4000万〜4800万円程度が現実的なラインです。

返済期間や金利タイプの選び方によって総返済額は大きく変わります。変動・固定それぞれのリスクとメリットを比較したうえで、頭金の準備や諸費用の確保、ライフイベントによる収入減少リスクへの備えも含めた長期的な返済計画を立てることが重要です。

「自分にとって適切な借入額はいくらか」「月々の返済額はどのくらいになるか」を具体的に把握したい方は、サイト内の「借入可能額シミュレーター」や「毎月の返済額シミュレーター」をご活用ください。

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