リバースモーゲージはマンションに適応されにくいって本当?

2021.08.06 10

老後資金不足に悩んでいる方を中心として、自宅を担保に金融機関から融資を受けられるローン「リバースモーゲージ」に注目が集まっています。しかしリバースモーゲージは、一戸建てを対象にしたサービスが多いので、マンション所有者の中には自身が利用できるか心配な方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、「マンション所有者でもリバースモーゲージを利用できるか」を解説したうえで、「リバースモーゲージ以外の資金調達方法」についても紹介していきます。

01マンションにリバースモーゲージが適応されにくい理由

リバースモーゲージとは、60歳以上のいわゆるシニア層を対象にした「自宅の資産価値を活かして資金を借りるサービス(ローン制度)」のことです。具体的には、まず住んでいる自宅を担保に、まとまった金額の生活資金を借り入れます。この時点ではあくまでも自宅を担保に入れただけなので所有権は契約者に残り、そのまま住み続けることが可能です。その後、契約者が亡くなった場合に、担保となっていた不動産を処分(売却など)して借入金を返済する仕組みとなっています。

リバースモーゲージのメリットとして挙げられるのは、「毎月の支払いは利息だけで済むこと」です。なぜなら元本部分は、契約者が亡くなったときに担保である自宅を処分して一括で返済する契約となっているからです。そのため、まとまったお金を借りても毎月の返済額は、元本を同時返済する一般の融資より少なくなり、その分余裕を持った生活を送りやすくなります。

一方、リバースモーゲージのデメリットは、「金利が変動型のみで、年利2~4%程度が多く、住宅ローンと比べると高め」「融資限度額は担保評価額の50~60%が相場(長期優良住宅なら55~65%)」であることです。契約者の生存中は元本の返済をしなくてよいものの、支払う利息は多くなりがちです。しかも自宅の評価額によっては、満足な生活資金を手に入れられない恐れがある点には注意しましょう。

このように、リバースモーゲージは不動産としての評価額に基づき、自宅を担保にしてお金を借りるローンであるため、マンション所有者であっても基本的に利用することはできます。ただし、実際にマンション所有者を対象にしたリバースモーゲージのサービスを扱っている金融機関や事業者はあまり多くありません。

その理由として、経年劣化する建物本体よりも土地のほうに重点を置いて評価されるのが一般的だからです。マンションの土地は他の所有者と共有になっており、持ち分割合によって評価します。一戸建てに比べて土地の資産価値の割合が低くなりがちなマンションは、敬遠されやすくなっています。

さらに、分譲マンションでは、建て替えには管理組合で5分の4以上の賛成が必要になるなど他の所有者との兼ね合いもあり、建物の取り扱い方法に制限がかかる可能性が高いなど、金融機関側に不都合な要素が見込めます。これらの理由から、分譲マンションはリバースモーゲージの対象から外れているケースが多くなっています。

リバースモーゲージが適応されやすいマンションは?

先述のようにマンションを対象にしたリバースモーゲージを扱っている金融機関・事業者はそれほど多くありませんが、まったくないというわけでもありません。ただし、マンションを対象にしたリバースモーゲージには、利用するための細かな条件が決められているケースが多くなります。具体的には、下記の条件を満たしていると利用できる可能性が高くなります。

マンションを対象にしたリバースモーゲージで審査に通りやすくなる主な条件

  • 築年数が15~20年以内
  • 人気のエリア(交通の利便性や治安など、環境が良く住みやすい)
  • 地盤が固く、比較的地震の影響を受けにくい、建物の構造が地震に強い
  • 担保評価額が一定額以上(2000万円以上など、金融機関や契約形態により異なる)

基本的には不動産として価値の高いマンションほど、リバースモーゲージを利用しやすいといえます。たとえば、人気エリアの条件としては「大都市圏」や「公共交通機関(駅などに近い」などが挙げられます。特に駅から徒歩10分圏内にある物件は、評価が高くなりやすいことは覚えておきましょう。

ただし、ここで紹介した項目は、あくまでも審査に通りやすい条件の一例です。実際の審査条件は各金融機関によって異なるので、詳しくはマンションが対象になっているリバースモーゲージを扱っているところへ確認しましょう。また、マンションの場合は評価額の5割程度(たとえば、資産価値が2000万円なら1000万円)が上限となっているケースが多いものの、その上限額も各金融機関によって若干異なります。借り入れをしたい具体的な金額が決まっている場合は、事前に上限額も確認して利用する金融機関を決めましょう。

02リバースモーゲージが適用外なら、リースバックや売却という手も

リバースモーゲージは老後の生活資金を調達する有効な手段のひとつです。しかし、所有しているマンションの状況によっては利用できない可能性もあります。そこで、ここからはリバースモーゲージを利用できない方に向けて、リースバックや売却といった他の資金調達法を紹介します。

リースバックとは?

リースバックとは、「不動産売買契約と賃貸借契約がひとつになった資金調達方法」です。具体的な流れとしては、まず所有しているマンションを運営会社に売却し、資金を得ます。その後、売却した自宅を運営会社から賃貸住宅として借りる(これをリースバックと呼ぶ)ことで、資金を手に入れた後も、そのまま自宅に住み続けられる仕組みです。

リースバックのメリットは、資金の使い道の自由度が高いことが挙げられます。自宅を売却して得た資金で住宅ローンの残債の一括返済を行ったり老後資金の一部に充てたり、また相続トラブルを解消するなど不動産を現金化することで、いろいろな使い道が考えられます。また、一般的な不動産売却では買主を見つけるまでに時間がかかることもありますが、リースバックなら運営会社と条件さえ合えば比較的早く現金化できる点もメリットです。

ただし、リバースモーゲージと違って自宅の所有権は売却した不動産会社に移り、毎月の家賃支払いが生じる点には気を付けましょう。利用にあたっては売却後にかかる毎月の支出を事前にシミュレーションしておくことが大切です。

リースバックの条件ならマンションでも利用しやすい

リバースモーゲージが利用できない方の資金調達としてリースバックをおすすめするのは、契約にあたってのハードルが低いからです。リースバックは自宅の売却で資金を得る方法なので、資金を金融機関から借り入れるリバースモーゲージのような審査はありません。そのため、運営会社が提示する条件と折り合いがつけば、すぐに実行することもできます。

ただし、どのようなマンションであってもリースバックできるわけではありません。「リース契約終了後、不動産市場で販売可能な物件であること」が前提になります。違法建築物はもちろん、資産価値が低下しやすい事故物件などは契約できない可能性が高くなります。また住宅ローンの支払いが残っていて、金融機関が抵当権を設定しているような物件は、売買代金で抵当権を解錠しないと利用できないので気を付けましょう。

売却するメリットデメリット

リバースモーゲージが利用できない場合、リースバックではなく、単純に自宅を売却して資金調達をするのも選択肢のひとつです。自宅を売却することで資金調達するメリットは、「売却後、自宅の維持費を支払う必要がなくなる」「資産の現金化ができる」の2つです。

マイホームの維持費には固定資産税や都市計画税といった税金だけでなく、マンションの管理費、修繕費、火災保険などが挙げられます。売却後はそれらのお金がかからなくなるので、トータルで考えるとかなりの節約となるでしょう。売却して手に入れたまとまったお金は、住宅ローンの一括返済や老後資金の確保に使うなど、柔軟に扱える点もリースバック同様に魅力です。

一方、売却のデメリットは「諸費用がかかる」「現金化に時間がかかる場合がある」の2つが挙げられます。不動産売却時には印紙税や仲介手数料などの諸費用がかかり、売却で得られるお金がすべて手元に残るわけではありません。売却金で住宅ローンを完済できない(オーバーローン)場合、売却後に「賃貸住宅で暮らすための家賃支払い」と「残りの住宅ローンおよび住宅関連費(税金・修繕費など)」に2重の支払いが発生する可能性もあり、家計が苦しくなるかもしれません。

また、運営会社と直接契約するリースバックと違って、売却は第三者の買主を見つけるまでに半年以上かかることもあります。早期の現金化を目指す方は、運営会社と直接交渉するリースバックを選択したほうがよいでしょう。

03マンションでもリバースモーゲージを利用できる場合はある!メリットとデメリットを理解して申し込もう

マンション所有者向けのリバースモーゲージを取り扱っている金融機関や事業者はそれほど多くありません。しかし、まったくないというわけではないので、老後資金の調達などに興味がある方は利用を検討してみるとよいでしょう。また、仮にリバースモーゲージを利用できなくても、リースバックや売却で資金調達をする方法もあります。大切なことは、老後にどれくらいの資金が必要かを事前に把握しておき、それに合った方法を選択することです。サイト内の「老後のお金シミュレーション」なら老後に必要なお金がどれくらいかが簡単に分かるので、老後資金に不安のある方は試してみてください。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

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