はじめての住宅ローン

年収1000万で
いくら借りられる?

世帯年収1000万円で住宅ローンはいくら借りられる?ペアローンの注意点も解説

新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

世帯年収1000万円の場合、住宅ローンでいくら借りられるのか、返済の目安はどのくらいかを具体的なシミュレーションをもとに解説します。ペアローンの注意点もあわせてご確認ください。

28分

Contents

住宅ローンの目安はいくら?

返済負担率や金利タイプによって異なりますが、世帯年収1000万円の住宅ローンの目安は5000万〜7000万円が一般的です。

01世帯年収1000万円の住宅ローンの目安は5000万〜7000万円

世帯年収1000万円の住宅ローン借入可能額の目安は、年収倍率をもとにすると5000万〜7000万円です。

住宅ローンの利用を検討する際、「どれくらい借りられるか」を客観的に判断する指標として「年収倍率」があります。年収倍率とは、「購入予定の住宅価格が年収の何倍にあたるか」を示す指標で、金融機関が融資可能額を判断する審査基準としても用いられています。一般的に年収倍率の目安は5〜7倍とされており、年収1000万円世帯であれば5000万〜7000万円が借入可能額の目安です。

ただし、審査基準は金融機関によって異なるため、年収倍率8倍にあたる8000万円程度の融資まで受けられる可能性もあります。一方で、上限近くまで借りると毎月の返済負担が重くなる点には注意が必要です。

また、年収倍率の目安は購入する住宅の種類によっても異なります。国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」の平均購入資金と平均世帯年収から算出すると、住宅タイプ別の年収倍率は以下のとおりです。

住宅の種類 年収倍率 平均購入資金 平均世帯年収
注文住宅
(三大都市圏)
約7.07倍 7364万円 1042万円
注文住宅
(全国)
約6.82倍 6188万円 907万円
分譲戸建住宅 約5.39倍 4591万円 851万円
分譲集合住宅
(マンション)
約5.25倍 4679万円 891万円
中古戸建住宅 約4.17倍 2917万円 699万円
中古マンション 約4.07倍 2919万円 717万円

中古住宅に比べて注文住宅や分譲戸建住宅で必要な資金が多いのは、販売価格そのものが高く、その分だけ多額の住宅ローンを組む必要があるためです。最も購入資金が高い注文住宅は、全国平均で6188万円と、世帯年収1000万円の借入可能額(5000万〜7000万円)の範囲内に収まります。ただし三大都市圏では、土地代を含めた購入資金の総額が平均7364万円まで上がるため、借入だけでまかなうのは現実的ではありません。都市部で注文住宅を検討する場合は、頭金を厚めに用意して借入金額を抑えることが前提になります。

要点

  • 年収倍率は5〜7倍が標準で、年収1000万円世帯なら5000万〜7000万円の借入額が無理のない目安となる
  • 金融機関により年収の8倍まで融資可能な場合もあるが、上限まで借りると毎月の返済負担が重くなるため、慎重な判断が必要である
  • 住宅タイプによって必要な資金は異なり、注文住宅は全国平均で年収の約6.8倍、中古マンションは約4.1倍と差があるため、購入する住宅の種類も借入額の検討材料となる

無理なく返せる
金額って
実はこれくらい

借入可能額いっぱいまで借りると返済が苦しくなるケースも多く、年収1000万円で無理なく返せる現実的なラインは5000万〜6000万円です。

02年収1000万円で無理なく返せるのは5000万〜6000万円

年収1000万円で無理なく返済できる借入額は5000万〜6000万円が目安であり、月々の返済額は13万〜16万円程度に抑えるのが理想的です。

返済負担率(返済比率)とは、年収に対する年間返済額の割合です。金融機関の審査では額面年収をもとに計算され、上限は35%前後に設定されることが多い一方、実際に無理なく返し続けるには手取り年収に対して20〜25%以内に抑えるのが理想とされています。

たとえば、年収1000万円(都内在住、40歳未満、扶養なし)の方の場合、手取り年収は約790万円です。月収換算では約66万円となり、毎月の返済額が13万2000円で返済負担率20%、16万5000円で返済負担率25%になります。

仮に毎月13万円を返済する住宅ローン(変動金利0.375%、返済期間35年、ボーナス返済なし)を組んだ場合、借入額は約5120万円で総返済額は約5460万円です。同じ条件で毎月17万円を返済する場合は借入額約6690万円・総返済額約7140万円となり、適正な借入金額の範囲を超えてしまいます。毎月17万円の支払いになる場合、住宅購入費の1〜2割程度の頭金を用意して、借入金額を抑える必要があるでしょう。

要点

  • 年収1000万円で無理なく返済できる借入額の目安は5000万〜6000万円であり、月々の返済額は13万〜16万円程度に抑えるのが理想的である
  • 返済負担率とは年収に対する年間返済額の割合で、金融機関の審査では額面年収をもとに上限35%前後で判定されるが、無理なく返し続けるには手取り年収の20〜25%以内に抑えるのが理想である
  • 月々の返済額が17万円を超えると借入金額が適正範囲を超えるため、住宅購入費の1〜2割程度の頭金を用意して借入額を抑える必要がある

夫婦で組む
住宅ローン、
どれが正解?

夫婦で住宅ローンを組む方法には主に3つの種類があり、それぞれにメリットと注意点があります。

03夫婦で住宅ローンを組む3つの方法と注意点

夫婦2人で組む住宅ローンには、「ペアローン」「収入合算(連帯債務型)」「収入合算(連帯保証型)」の3種類があります。世帯年収1000万円の共働き世帯であっても、希望する借入金額の審査に通るために夫婦2人で住宅ローンを組むケースは少なくありません。それぞれの特徴とメリット・デメリットを以下で解説します。

ペアローン

ペアローンは購入する1つの住宅に対して、夫婦それぞれが契約する住宅ローンです。1つの住宅に対して住宅ローンを2本組む形になり、お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人となります。ペアローンにおけるメリットは、どちらか1人だけで住宅ローンを組むよりも借入可能額が増やせる点と、夫婦2人に住宅ローン控除が適用される点です。

住宅ローン控除は年末のローン残高の0.7%を最長13年間、所得税・住民税から控除できる制度です。控除額の上限は住宅の省エネ性能に応じた借入限度額で決まり、たとえば長期優良住宅(2026年入居)なら年間最大31.5万円で、19歳未満の子がいる世帯または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯なら借入限度額が5000万円に上乗せされ、年間最大35万円になります。ペアローンなら夫婦それぞれが控除を受けられるため、借入額が大きい世帯では控除の総額を増やせる可能性があります。さらに、契約者に万が一のことがあった場合に備えられる団体信用生命保険(団信)にも夫婦で加入できます。

一方、ペアローンのデメリットとしては、住宅ローンが2本分になるため契約にかかる諸費用も2本分必要になる点です。また、育児や親の介護などで夫婦のどちらかが退職を余儀なくされた場合でも月々の返済額は変わらない点や、退職後は所得税の支払いがなくなることから住宅ローン控除を受けられなくなってしまう点にも気を付けましょう。

収入合算の連帯債務型

収入合算の連帯債務型とは夫婦2人の収入を合算したうえで、契約者とその配偶者が連名で1本の契約をする住宅ローンです。たとえば、夫が主たる住宅ローンの契約者となった場合、配偶者である妻は連帯債務者として契約者と同様に全額の債務を負う形になります。後述する連帯保証型と違って、夫婦2人ともに最初から借入金額を返済する義務があるのが特徴です。

連帯債務型のメリットは、住宅ローンの契約が1本であるため諸費用も1本分だけで済む点や、シングルローンよりも借入可能額が増やせる点です。また、住宅ローン控除は夫婦2人分で申請することが可能なので、どちらか1人で住宅ローンを契約するよりも多くの控除額を受けられることがあります。

一方、デメリットとして連帯債務型の住宅ローンを取り扱っている金融機関が少ない点が挙げられます。さらに、「どちらかが退職しても月々の返済額が変わらない」点や、「退職した人は住宅ローン控除の適用が受けられなくなってしまう」点はペアローンと同様なので気を付けましょう。

収入合算の連帯保証型

収入合算の連帯保証型とは、夫婦2人の収入を合算しながらも契約者は1人となる住宅ローンです。たとえば、夫が契約者となったとき、妻は連帯保証人という立場になります。そのため、妻は原則的に契約者である夫の返済が滞った場合に限り、返済能力のあるなしに関わらず返済義務を負う点が連帯債務型との違いです。

連帯保証型のメリットとしては、連帯債務型と同じく「シングルローンに比べて借入可能額を増やしやすい」点や、「諸費用が1本分だけで済む」点が挙げられます。また、連帯債務型と比べて連帯保証型のほうが取り扱っている金融機関が多い点も魅力でしょう。

そうしたメリットがある反面、連帯保証型には「契約者しか住宅ローン控除が受けられない」というデメリットがあります。そのため、連帯保証人が共働きの妻などで所得税を支払っている場合でも、住宅ローン控除2人分の節税効果は受けられません。また、連帯保証人は団信に加入することもできないので、万が一のことを考えると別途民間の生命保険に加入したほうがよいケースもあることは覚えておきましょう。

ペアローンと連帯保証と連帯債務。夫婦で住宅ローンを組むならどれがお得?
[基礎知識] 2026.10.01

要点

  • 夫婦で住宅ローンを組む方法は「ペアローン」「収入合算(連帯債務型)」「収入合算(連帯保証型)」の3種類がある
  • ペアローンは夫婦それぞれが別々に契約する方式で、借入可能額を増やせるうえ住宅ローン控除・団信が2人分適用される一方、諸費用が2本分かかり、片方が退職しても返済額は変わらない
  • 連帯債務型は夫婦2人が連名で1本の契約を結ぶ方式で、諸費用は1本分で済み住宅ローン控除も2人分申請できるが、取り扱う金融機関が少ない点がデメリットである
  • 連帯保証型は1人が契約者・もう1人が連帯保証人となる方式で、多くの金融機関で取り扱われているが、住宅ローン控除・団信ともに契約者1人にしか適用されない

頭金って
結局いくら
用意すればいい?

頭金の額によって月々の返済額や総返済額が大きく変わるため、無理のない範囲で計画的に準備することが大切です。

04頭金はいくら準備すればいい?

頭金の目安は住宅購入代金の1〜2割程度とされていますが、実態は住宅の種類によって3〜4割の自己資金を準備している人が多い傾向にあります。年収倍率や返済負担率を抑えて無理のない返済をするためにも、頭金の準備は重要です。

仮に6000万円の住宅を購入する場合、1〜2割の目安では600万〜1200万円程度となります。しかし、国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、住宅の種類別に見た購入資金と自己資金の平均は以下のとおりで、約4割の自己資金を多くの人が準備していることがわかります。

区分 購入資金・
建築資金
うち自己資金 自己資金比率
注文住宅
(全国・土地代を除く)
4695万円 1825万円 38.9%
注文住宅
(三大都市圏・土地代を除く)
5243万円 2148万円 41.0%
分譲集合住宅
(新築マンション)
4679万円 2091万円 44.7%
分譲戸建住宅 4591万円 1256万円 27.3%
出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」p.117、118、186
夢のマイホームのために頭金はいくら貯めるべき?返済額とのバランスで考えよう
[基礎知識] 2025.07.10

新築マンションでは購入価格の44.7%、注文住宅では土地代を除いた建築費の38.9〜41.0%を自己資金で賄っており、住宅の種類によって幅はあるものの、多くの世帯が3〜4割の自己資金を用意しています。この結果を6000万円の住宅に当てはめると、自己資金の目安は600万円(1割)〜2680万円(4割強)程度と幅があります。頭金を入れると総返済額が減る以外にも毎月の支払いが減ることで貯蓄する余裕ができ、繰り上げ返済をしやすくなるメリットがあります。

ただし、頭金を入れすぎると手元の資金が減り、急な出費に対応できなくなるリスクもあります。緊急資金・予備費として毎月の支出の3〜6か月分は現金で手元に残しておくほか、教育資金など今後のライフイベントに必要な費用も確保したうえで、バランスよく頭金の金額を決めるようにしましょう。

要点

  • 頭金の目安は住宅購入代金の1〜2割程度とされているが、実態は3〜4割の自己資金で準備している人が多い
  • 頭金を増やすと総返済額や月々の支払いが減り、貯蓄の余裕が生まれるため、将来的な繰り上げ返済もしやすくなる

返済期間で
こんなに変わる
月々の負担

返済期間を長くすると月々の負担は減りますが、総返済額は増えるため、ライフプランに合わせた期間設定が重要です。

05【返済期間別】総返済額、月々の返済額はいくら?

ここからは、より具体的な返済金額のイメージをつかんでいただけるよう、返済期間別のシミュレーション結果をご紹介します。

まずは返済期間の違いによる月々の返済額や総返済額の差を見ていきましょう。なお、シミュレーションの算出条件は「借入金額6000万円」「変動金利0.375%(ただし、借入期間中は同率と仮定)」「ボーナス返済なし」です。以上の条件から試算したシミュレーション結果は以下のとおりになります。

借入期間 月々の返済額 総返済額
25年 20万9552円 6287万円(総利息287万円)
30年 17万6243円 6345万円(総利息345万円)
35年 15万2459円 6403万円(総利息403万円)

上表のとおり、借入期間が長いほど月々の返済額は少なくなります。借入期間35年の場合は月々15万円程度の支払いで済むため、家計を圧迫するリスクは低くなるでしょう。ただし、今回のシミュレーションでは金利をずっと同じだと仮定して計算していますが、後述の通り、変動金利には金利上昇リスクがある点には注意してください。

要点

  • 借入金額6000万円・変動金利0.375%・ボーナス返済なしの条件では、返済期間25年で月々約20.9万円(総利息287万円)、30年で約17.6万円(総利息345万円)、35年で約15.2万円(総利息403万円)となる
  • 返済期間が長いほど月々の返済額は抑えられるが、利息総額は増加し、25年返済と35年返済では総利息に約116万円の差が生じる

変動?固定?
金利タイプで返済額はどう変わる

固定金利と変動金利では月々の返済額や総返済額が異なります。

06【金利タイプ別】総返済額、月々の返済額はいくら?

次に金利タイプ別に月々の返済額や総返済額の違いをシミュレーションします。なお、シミュレーションに用いた借入条件は「借入金額6000万円」「借入期間35年」「ボーナス返済なし」です。また、変動金利に関しては返済までの35年間、同率と仮定している点は留意してください。

金利タイプ 月々の返済額 総返済額
全期間固定(0.940%) 16万7698円 7043万円(総利息1043万円)
10年固定(0.495%) 15万5618円 6536万円(総利息536万円)
変動(0.375%) 15万2459円 6403万円(総利息403万円)

シミュレーションの結果、全期間固定型(0.940%)の総利息は1043万円となり、変動型(0.375%)の総利息403万円と比べて2.5倍以上になりました。

できるだけ金利の低い金融機関を選んだり、優遇金利を受けられる住宅ローンを契約したりすれば、返済額をさらに抑えられます。特に全期間固定型のフラット35を取り扱う金融機関のなかには、物件価格の1割以上の頭金を用意した人に金利の割引を適用するところもあるため、積極的に活用しましょう。

また、金利水準の選び方次第で総返済額が大きく変わる点も押さえておきたいポイントです。今回のシミュレーションでは全期間固定型を0.940%で計算しましたが、仮に約0.3%高い1.230%で試算すると、総返済額は7387万円(総利息1387万円)になります。35年という長期返済では、わずか約0.3%の金利差が総返済額の約340万円の差につながることがわかります。

固定金利と変動金利にはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらにするか迷う場合は、固定期間選択型(10年)を選んで様子を見たり、固定金利と変動金利をミックスした住宅ローンを検討したりする方法もあります。固定期間選択型(10年)は変動型との金利差が大きくなく、契約当初の10年間は金利上昇リスクを回避できる点が魅力です。判断に迷う場合は前向きに検討してみましょう。ただし、10年の固定期間終了後に変動金利へ切り替わった際、市場動向によっては金利が大きく上昇している可能性もあるため、その点はあらかじめ念頭に置いておくことが大切です。

要点

  • 借入金額6000万円・返済期間35年・ボーナス返済なしの条件では、全期間固定型(0.940%)で月々約16.8万円(総利息1043万円)、10年固定型(0.495%)で月々約15.6万円(総利息536万円)、変動型(0.375%)で月々約15.2万円(総利息403万円)となる
  • 全期間固定型の総利息は変動型の2.5倍以上になるが、月々の返済額は約16.8万円(年間約201万円)で、額面年収1000万円に対する返済負担率は約20%にとどまるため、必ずしも過大な負担とはならない
  • わずか約0.3%の金利差が35年間で約340万円の総返済額の差につながるため、優遇金利の活用や頭金の準備など、少しでも低い金利条件を追求することが重要である
  • 金利タイプの選択に迷う場合は、変動型に近い低金利を享受しつつ当初10年間は金利上昇リスクを回避できる固定期間選択型(10年)や、固定・変動をミックスした住宅ローンも有力な選択肢となる

金利が上がったら返済額はどうなる?

変動金利を選んだ場合、将来的な金利上昇によって返済額が増えるリスクがあることを事前に把握しておく必要があります。

07資金計画の注意点①:金利上昇リスク

世帯年収1000万円であっても、無理のない返済を続けるためには、いくつかのリスクや注意点をあらかじめ把握したうえで資金計画を立てることが大切です。まず押さえておきたいのが、変動金利における金利上昇リスクです。

変動金利は一定期間ごとに金利が見直される仕組みのため、金融機関が負うリスクが少なく、契約当初の金利は固定金利より低く設定されています。そのため、金利が上昇しなければ固定金利よりも月々の返済額を抑えられる点はメリットです。一方で、金利が上昇した場合は支払う利息が増え、固定金利よりも総返済額が膨らむリスクがあります。借入金額が少ないほど金利上昇の影響は小さくなりますが、6000万円といった高額な借入を変動金利で組む場合は、特に慎重に検討する必要があります。

要点

  • 変動金利は固定金利より当初の金利が低く月々の返済額を抑えられる一方、金利が上昇した場合は支払利息が増えて総返済額が固定金利を上回るリスクがある
  • 借入金額が大きいほど金利上昇の影響は大きくなるため、6000万円規模の高額借入を変動金利で組む場合は特に慎重な検討が必要である

住宅費はローンだけじゃない

住宅の維持には固定資産税や管理費・修繕積立金など、ローン返済以外にも毎月・毎年かかる費用があります。

08資金計画の注意点②:ローン返済以外の維持費

住宅ローンの返済額だけで資金計画を立ててしまうと、購入後の家計が想定以上に圧迫される恐れがあります。固定資産税や管理費・修繕積立金といった維持費は毎年・毎月継続的にかかるため、これらを含めた月々の総支出をベースに、無理のない借入額を判断することが重要です。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税の合計額は、年間10万〜15万円程度が一つの目安です。

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に課税され、税額は市区町村が評価した「固定資産税評価額」をもとに算出されるため、物件の立地や広さによって変動します。

なお、新築住宅には一定期間の軽減措置が設けられており、たとえば新築の一戸建てであれば最初の3年間(長期優良住宅は5年間)、マンションであれば最初の5年間(同7年間)は固定資産税の税額が2分の1に減額されます。ただし軽減措置が終了した後は税負担が増えるため、その時点での返済余力もあらかじめ確認しておきましょう。

管理費・修繕積立金(マンションの場合)

マンションでは、管理費と修繕積立金を合わせて月2万〜3万円程度が毎月の返済額に上乗せされるのが一般的です。

管理費は共用部の清掃・設備維持などに充てられ、修繕積立金は外壁補修やエレベーター更新といった大規模修繕の費用として積み立てられます。修繕積立金は築年数の経過とともに増額されるケースが多く、購入時点の金額がそのまま続くとは限りません。

また、駐車場を利用する場合は別途月1万〜2万円程度の駐車場代がかかることも多く、これらをすべて合算すると毎月の実質的な住居費はローン返済額よりもかなり高くなる点に注意が必要です。

修繕・メンテナンス費用(一戸建ての場合)

一戸建ては管理組合のような積立の仕組みがないため、修繕費用は自分で計画的に備えておく必要があります。

代表的な支出として、外壁塗装や屋根の補修は10〜15年周期で必要となり、1回あたり100万〜150万円程度かかることが多いです。また、給湯器・キッチン・浴室などの水回り設備も10〜20年を目安に交換時期を迎え、数十万〜100万円超の出費が生じることがあります。

一般的には年間の修繕積立の目安として建物価格の約1%(例:3000万円の物件なら年30万円)を目安に準備しておくと安心です。住宅ローンの返済計画を立てる際は、こうしたランニングコストもあわせて月々の資金計画に組み込んでおきましょう。

要点

  • 住宅ローンの返済額だけで資金計画を立てると購入後の家計が圧迫される恐れがあるため、維持費を含めた月々の総支出をベースに借入額を判断することが重要である
  • 固定資産税・都市計画税の合計は年間10万〜15万円程度が目安で、新築住宅には一定期間の軽減措置があるが終了後は税負担が増えるため、その時点での返済余力も確認しておく必要がある
  • マンションでは管理費・修繕積立金の合計が月2万〜3万円程度かかり、駐車場代も加えると実質的な住居費はローン返済額よりもかなり高くなる点に注意が必要である
  • 一戸建ては自分で修繕費用を計画的に備える必要があり、建物価格の約1%(例:3000万円の物件なら年30万円)を年間の修繕積立の目安として準備しておくと安心である

共働き前提の
ローン計画、
本当に大丈夫?

出産や育休など、共働きの収入が一時的に減るリスクを想定したうえで返済計画を立てることが重要です。

09資金計画の注意点③:共働きの収入が減る可能性を織り込む

共働き世帯が住宅ローンを組む際は、将来的に収入が減るリスクをあらかじめ想定したうえで、返済計画を立てておくことが重要です。

たとえば、将来的に子どもを持つ予定であれば、産休・育休による一時的な収入減を見込んでおく必要があります。また、勤め先の経営悪化による収入減少や、転職を余儀なくされるケースも想定しておきましょう。こうした返済が困難になる状況をあらかじめシミュレーションしたうえで、それでも夫婦で協力して乗り越えられる借入額に抑えることが、返済が滞るリスクを減らすことにつながります。

あわせて、住宅ローン契約後を見据えた対策も講じておくと安心です。住宅ローンの利息は元本に対してかかるため、少しでも早く繰り上げ返済を行うことで総返済額を抑えられます。たとえば、住宅ローン控除で還付された税金分を繰り上げ返済に充てるといった方法も有効です。また、フラット35以外の住宅ローンでは団信への加入が条件となるケースが多いため、加入後は生命保険の内容を見直すことで保険料の節約につながる場合もあります。こうした対策を組み合わせながら、計画的に返済を進めていきましょう。

要点

  • 共働き世帯が住宅ローンを組む際は、産休・育休による収入減や転職・勤め先の経営悪化など、将来的に収入が減るリスクをあらかじめ想定したうえで返済計画を立てることが重要である
  • 収入が減った状況でも夫婦で協力して返済を継続できる借入額に抑えることが、返済が滞るリスクを減らすことにつながる
  • 住宅ローン控除による還付金を繰り上げ返済に充てるなど、早期の繰り上げ返済を実行することで総返済額を効果的に抑えられる
  • フラット35以外の住宅ローンでは団信加入が条件となるケースが多いため、加入後に生命保険の内容を見直すことで保険料の節約につながる場合がある

10住宅ローンQ&A

Q. 世帯年収1000万円の場合、住宅ローンはいくらまで借りられますか?

A. 年収倍率(5〜7倍)を基準にすると、5000万〜7000万円が借入可能額の目安です。金融機関によっては年収の8倍、つまり8000万円程度まで融資を受けられる場合もあります。ただし、上限近くまで借りると月々の返済負担が大きくなるため、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が、手取り年収ベースで20〜25%以内に収まる借入額を目安にすることをおすすめします。

ペアローンと連帯債務型・連帯保証型では、どの方法が最もお得ですか?

A. 一概にどれが最もお得とはいえず、ご夫婦の状況によって最適な選択肢が異なります。住宅ローン控除を夫婦2人分受けたい場合はペアローンまたは連帯債務型が有利ですが、ペアローンは諸費用が2本分かかります。連帯保証型は多くの金融機関で取り扱われている反面、住宅ローン控除・団信ともに契約者1人にしか適用されません。将来の収入変動や諸費用も含めてトータルで比較検討することが大切です。

Q. 頭金はどのくらい用意すれば良いですか?

A. 一般的な目安は住宅購入代金の1〜2割程度ですが、国土交通省の調査によると実態では約3〜4割の自己資金を準備している人が多い傾向にあります。頭金を多く用意するほど月々の返済額や総返済額を抑えられますが、手元資金が不足すると急な出費に対応できなくなるリスクもあります。毎月の支出の3〜6か月分は緊急資金として手元に残しつつ、教育費などの将来の支出も見据えてバランスよく準備しましょう。

Q. 変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?

A. 変動金利は当初の金利が低く月々の返済額を抑えられる一方、将来的な金利上昇によって返済額が増えるリスクがあります。全期間固定金利は返済額が安定しますが、総利息は変動金利の2.5倍以上になることもあります。判断に迷う場合は、変動金利に近い低金利を享受しつつ最初の10年間は金利上昇リスクを回避できる「固定期間選択型(10年)」や、固定と変動をミックスした住宅ローンも選択肢の一つです。ご自身のリスク許容度やライフプランをふまえて選択しましょう。

Q. 住宅ローン以外に、毎月どのくらいの費用がかかりますか?

A. 住宅の維持には、ローン返済以外にもさまざまな費用が継続的にかかります。固定資産税・都市計画税は年間10万〜15万円程度が目安です。マンションの場合は管理費・修繕積立金として月2万〜3万円程度、駐車場代が別途かかるケースもあります。一戸建ての場合は外壁塗装や設備交換などの修繕費用を自分で積み立てる必要があり、建物価格の約1%(例:3000万円の物件なら年30万円)を目安に準備しておくと安心です。こうした維持費も月々の資金計画に組み込んで借入額を検討しましょう。

11まとめ

世帯年収1000万円の借入可能額の目安は5000万〜7000万円、そのうち無理なく返せる現実的なラインは5000万〜6000万円です。国土交通省の調査では注文住宅の購入資金は全国平均6188万円なので、頭金を用意すれば十分に手が届く水準ですが、三大都市圏では土地代を含めて平均7364万円まで上がるため、エリアによっては借入だけでまかなうのは難しい点に注意が必要です。

住宅ローンの契約にあたってはまず実際に返済できるかをシミュレーションしてみることをおすすめします。これから住宅ローンの契約を考えている方はサイト内にある借入可能額シミュレーターや毎月の返済額シミュレーターを試してみてください。

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