1住宅ローンに年齢制限はあるの?

住宅ローンとは、住宅を購入する際や改築する際に金融機関から借りるローンのことを言います。一括で支払いが可能な場合は必要ありませんが、新築マンションや戸建て住宅の購入は数千万円もの費用が必要となるため、多くの方が住宅ローンを利用し、月々の返済をしています。

住宅ローンは複数の金融機関で取り扱っており、利用できる年齢はそれぞれで異なります。完済年齢の上限は80歳頃。例えば35年返済のローンを組む場合、逆算すると45歳頃までには住宅ローンを組まなければなりません。

資産状況や収入状況次第で審査通過も

年齢が40代や50代という理由から、「住宅ローンの審査に落ちてしまうのでは?」と悩む方がいるかもしれません。しかし、実際に住宅を購入する人たちの平均年齢は30代後半から40代前半、中古住宅を購入する方の多くは40代とも言われています。40歳を過ぎたからと言って、必ずしも住宅ローンを組むには遅いというわけではないのです。

住宅ローンの審査には複数の項目があります。年齢上限も重要視されていますが、それ以外にも勤続年数や年収、健康状態など、さまざまな審査項目から総合的に判断されます。収入が安定し、貯金が比較的多くある40~50代の場合は、住宅ローンの審査において有利に働くこともあるようです。住宅ローンを組む際、貯金額に余裕があれば頭金として返済をし、その後の負担を軽減することができます。

家を購入する人の平均年齢は?

国土交通省が2019年3月に発表した『住宅市場動向調査』によると、住宅ローンを組む際の平均年収は、物件のタイプによって以下のように異なります。

物件タイプ 平均年収
分譲マンション 798万円
都市圏の注文住宅 734万円
民間の賃貸住宅 462万円

返済期間の平均年数は、注文住宅や分譲戸建住宅を購入する方が30年以上、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンションを購入する方が30年未満となっています。住宅を購入する方の平均年齢については、新築の注文住宅・分譲戸建住宅・分譲マンションを購入する方の世帯主の年齢は30歳代が最も多く、建て替えやリフォーム住宅は60歳以上が5割を占めています。中古戸建て住宅や中古マンションの購入者は40代が最も多く、全体的な平均年齢の推移は上昇傾向にあるという結果となりました。

240代、50代が住宅ローン審査に通るためのポイント

40歳以上になると、30代の頃よりも年収が増えているケースが多いかもしれません。35年のローンを組める40代前半であれば、高額の物件を住宅ローンで購入することもできます。しかし、40代後半以降で住宅ローンを借りる場合は、完済年齢が高くなる分、審査基準も厳しくなる可能性があります。

金融機関側は「退職時期がいつか」「推定退職金はいくらか」「退職後も仕事を続けることができるのか」といった内容も審査時に厳しく判断します。30~40代前半に比べると、審査の通過基準が厳しくなるのです。一方、個人事業主の場合は退職時期がない分、年齢は会社員ほど重視されない傾向があるようです。しかし、貯金額や個人の信用情報、会社の経営状況など、住宅ローンの審査基準はすべてクリアする必要があるでしょう。

40~50代でも住宅ローン審査に通りやすくするポイントとしては、「完済時の年齢を低く設定すること」が挙げられます。もし50歳で住宅ローンを申し込んだとしても、返済期間が20年のローンであれば、70歳までに完済できます。完済時の年齢を低くするための主な方法としては、「毎月の返済額を増やす」「借入額を少なくする」「頭金を増やして融資額を減らす」などの方法がありますが、50代は子どもの教育費などの家計支出の負担が増える時期でもあるので、無理のない返済計画を立てるよう心掛けましょう。

借入額や諸経費など、今後の収入を見据えた資金計画を立てる

40歳から住宅ローンを始めると、年金生活となる65歳以降も債務が残っている可能性があります。年金生活をしながら住宅ローンの返済を続けると家計を大きく圧迫するため、徹底した資金計画と返済計画を立てることが不可欠です。

老後の資金対策について考慮すると、退職金がもらえる場合は住宅ローンを退職金で完済してしまうことも選択肢の一つでしょう。もし退職金が残る場合は老後の資金へ充てることができ、年金生活でも充実した老後生活を送れます。子どもの教育費や親の介護費用も家計の負担となる可能性があるので、住宅ローンの資金計画では手取り金額から必要な支出を差し引いた金額で返済ができることが望ましいでしょう。

3年齢別の住宅ローン返済シミュレーション

国土交通省の『住宅市場動向調査』によると、分譲戸建て住宅や分譲マンションを購入した方の自己資金の平均は約1000~1700万円前後、自己資金率の平均は25~40%前後という結果になっています。頭金が多い分、住宅ローンの借入額は少なくて済むため、月々の返済負担が軽くなり、返済期間も短くて済むというメリットがあります。

貯金額については、働き始めたばかりの20代よりも、30代、40代のほうが額も大きく、住宅ローンの返済においても借入額の幅が大きいという特徴があります。しかし、各年代によってライフイベントが異なるため、住宅ローンを組む場合は返済計画のシミュレーションをし、ローンが完済できるかどうか検討する必要があります。

30代~60代の返済例

「退職金をもらえる保証がない」「年金だけでは家計が苦しい」という場合には、定年退職以降に住宅ローンの返済が続くと、老後の生活もますます苦しくなってしまいます。住宅ローンは定年退職までに完済することが理想的ですが、だからといって返済期間を短くすると毎月の返済額が高くなり、不測の事態による急な出費が必要となった場合にはローンの返済自体が難しくなる可能性もあります。

30代~60代の返済例

借入の年齢 30歳 40歳 50歳 60歳
金利タイプ 固定金利 固定金利 固定金利 固定金利
金利 1.2% 1.2% 1.2% 1.2%
借入期間 35年 35年 30年 25年
返済方法 元利均等 元利均等 元利均等 元利均等
借入金額 3000万円 3000万円 3000万円 3000万円
総支払額 3675万4301円 3675万4301円 3573万7974円 3473万9401円
毎月返済 8万7510円 8万7510円 9万9292円 11万5798円
65歳残高 完済 約1050万円(完済時75歳) 約1700万円(完済時80歳) 約2780万円(完済時85歳)

仮に、借入額3000万円、金利1.2%で35年返済の住宅ローンを組んだとします。元利金等返済で全期間固定金利です。この場合、総支払額は3675万4301円で、毎月の返済額は8万7510円となります。このケースで、ローンを30歳から始めれば定年退職時の65歳で完済となります。40歳からとなれば、定年退職時の65歳時点でローン残高は約1050万円となり、その後も75歳までローンの返済を続けていくことになります。

上記と同じ条件で、借入額3000万円、金利1.2%、ローン完済年齢を80歳として、50歳の方が30年返済で住宅ローンを借りた場合は、総支払額が3573万7974円となり、毎月の返済額は9万9292円と、少し高くなります。65歳で定年退職する場合は、その時点でローン残高が約1700万円となります。退職金で繰り上げ返済が可能な場合は問題ありませんが、難しい場合は残りの15年間ローン返済を続けることになります。

さらに上記と同じ条件で、借入額3000万円、金利1.2%、ローン完済年齢を85歳として、60歳の方が25年返済で住宅ローンを借りた場合について考えてみます。この場合、総支払額3473万9401円となり、毎月の返済額は11万5798円と、より高くなります。65歳で定年退職する場合は、その時点でローン残高が約2780万円となります。退職金で繰り上げ返済が可能な場合は問題ありませんが、難しい場合には残りの20年間ローン返済を続けることになります。

※あくまでシミュレーションによる試算であり、実際の金額とは異なる場合があります。

4リタイア後の返済を楽にするポイント

定年退職後も住宅ローンの支払いをする場合、返済の負担を軽減するための方法として、繰り上げ返済やリバースモーゲージといった方法があります。繰り上げ返済もリバースモーゲージも、それぞれメリットとデメリットがあるので、特徴を把握しておきましょう。

「繰り上げ返済」という方法

繰り上げ返済とは、住宅ローン返済中にローン残高の一部、もしくは全額をまとめて返済する方法です。繰り上げ返済をすることでローン返済期間の短縮、あるいは利息の負担を少なくする効果が期待できます。

この方法では、毎月支払う返済額を変えずにローンの返済期間を短くする「期間短縮型」と、ローンの返済期間は変えずに毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」のどちらかを選択することになります。住宅ローンは返済期間が長いほど負担する利子が増えるため、早い時期からこまめに繰り上げ返済をすれば利息負担を軽減できます。

繰り上げ返済を行う上で注意したいのが、「住宅ローン控除」です。住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度の通称で、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度のことを言います。年末時における住宅ローン残高の1%が住宅ローン控除限度額に設定されています。そのため、繰り上げ返済をしてローン残高を少なくすると、戻ってくる税金も少なくなります。年末ではなく年明けに繰り上げ返済を行うことで、利息の軽減率が高くなる可能性もあるため、事前にシミュレーションをして、繰り上げ返済を行うタイミングを決めるのが良いでしょう。

「リバースモーゲージ」という方法

55歳以上の方が利用できる融資の一つとして、リバースモーゲージと呼ばれる制度があります。リバースモーゲージとは、自宅を担保にすることで融資を受け取れる制度です。自宅を所有していても現金収入が少ないという場合に、住居を手放すことなく収入を確保するための手段の一つです。融資額は住宅によって異なりますが、一括で受け取る方法と、毎月受け取る方法があります。

住宅ローンよりも審査基準が低く、契約者が生存中は利息払いのみの返済の場合もあるようです。デメリットとしては、対象となる住宅に制限があったり、不動産の価値が下がった場合に一括返済を求められたりすることが挙げられます。

住宅ローンは最初に融資を受け取り、借入額を毎月返済するのに対し、リバースモーゲージは毎月借りて、死後にまとめて返済する仕組みとなっています。日本の高齢化、長寿化に伴う空き家問題が問題視される中、リバースモーゲージは住居の有効活用、老後資金確保の手段として需要が高まっています。

5リレーローンを利用する

40代や50代で住宅ローンを借りる際に、リレーローンの利用を検討している方もいるでしょう。「将来は親と同居したい」「二世帯住宅を購入して子どもの家族と一緒に住みたい」という場合、親子で協力して返済していくリレーローンを利用することで、一人では住宅ローンの返済が難しい、あるいは、高齢で住宅ローンを組むのが難しいという悩みを解消できます。

リレーローン・ペアローンの概要とメリット

「リレーローン」は、親から子へ引き継いでいく形で2世代にわたって債務を返済していく制度です。最初は親がローンの返済を行い、親が高齢となり定年退職を迎えた時点で、子どもが住宅ローンの返済を引き継ぎます。新築購入だけでなく、借り換えや住み替え、リフォームなどにも利用できるため、長期間のローン返済が難しいと考える高齢者にお勧めのローンです。

リレーローンの他にも「親子ペアローン」というローンがあります。こちらは親子が同時にローンを返済していくシステムとなっています。ペアローンは収入の合計額によって審査が行われるため、融資額が大きくなるという特徴があります。しかし、親子どちらかの経済状況が悪化した場合は返済が厳しくなるリスクがあるので注意が必要です。

リレーローンは高齢でローンを組みにくい時や返済期間を長くしたい場合にお勧めのローンです。これに対してペアローンは、収入が低くてローンが組めない場合や、借入額が大きなローンを組みたい場合にお勧めのローンと言えるでしょう。注意点としては、もし親が亡くなった場合は子どもに債務が引き継がれる点や、相続のトラブルに発展しやすい点などが挙げられます。ローンを完済するまで、子どもは他のローンを借りることも難しくなるので、メリットやリスクについて理解した上で検討するようにしましょう。