別荘購入時に活用したい「セカンドハウスローン」
別荘など、セカンドハウスを購入したいと思った場合、「住宅ローンを利用できるのだろうか?」という疑問が頭をよぎります。大きな買い物なのでローンを組んで購入したいと考えるのは当然でしょう。そこで今回は、ローンを組んで別荘を購入する具体的な方法をご紹介します。
01住宅ローンで別荘を購入することは可能なの?
セカンドハウスとは、遠距離通勤のため勤務先の近くに平日に滞在する、あるいは週末を家族で過ごす郊外の住まいのことです。それに対して別荘とは、非日常的に保養できる住宅を言います。
昨今、こうしたセカンドハウスを第二の生活拠点として用いる方も少なくありません。30代や40代で所持する方も増えており、休日を過ごす場所、あるいは、将来移住することを目的に購入するケースも増えています。庶民にとって“憧れ”と言えるのがセカンドハウスです。
一般的な住宅ローンはセカンドハウスの購入に利用できない
では、マイホームを住宅ローンで購入後、さらに第二の住処を住宅ローンで購入するのは可能なのでしょうか? あるいは、マイホームを即金で購入した場合、初めての住宅ローンとしてセカンドハウスを購入できるのでしょうか?
結論から言うと、セカンドハウスを住宅ローンで買うことはできません。なぜなら一般的に、住宅ローンはセカンドハウスを対象としていないからです。たとえ最初の住宅を現金で購入し、住宅ローンを組むのが初めてだとしても、金融機関に認められないと思ってください。住宅ローンは、購入する家屋で日常的に所有者が居住することを前提としているのです。
住宅ローンの中にセカンドハウス向けの商品がある
住宅ローンでは別荘を購入できませんが、セカンドハウスローンであれば分割で購入可能です。これは通常では対象外となるケースを想定して開発された特別な金融商品です。別荘はもちろん、通勤を楽にするために平日だけ利用する目的で物件を購入する際にも利用できます。
ただ、これはあくまで“特別”に設定されたローンであるため融通が利きません。金利にしても、通常の住宅ローンであれば現在の日銀によるゼロ金利政策の結果、1.0%を切るものがほとんどです。しかし、セカンドハウスローンの場合には金利は3.0%から4.0%台となっています。また住宅ローン控除などの減税措置を受けられません。
02フラット35を別荘の住宅ローンに利用する場合
セカンドハウスを購入する際にオススメなのがフラット35です。これは住宅金融支援機構が民間の金融機関との共同により提供している長期固定金利の住宅ローンです。住宅に関する低金利をセカンドハウスにも適用しています。
国の機構が携わる商品でありながら、フラット35については初めて知ったという方も少なくないと思います。ここ数年でその知名度も徐々に上がりつつありますが、利用するとしたらどの金融機関を訪れればよいかわからない方も多いはず。フラット35はすべての金融機関で扱っているわけではないのでご注意ください。
代表的なのは国内最大のフラット35専門金融機関として知られている「ARUHI」。その他、昨今台頭しつつある「住信SBIネット銀行」「楽天銀行」があります。これら金融機関の窓口などで取り扱いされています。
フラット35を扱っている金融機関の例
フラット35を利用する場合の概要と大まかな流れ
フラット35では、保証会社を利用する必要がありません。通常の住宅ローンでは、万が一返済が滞った場合などを想定して保証会社と契約を結ぶことになっています。保証会社はそうした場合に債務者に代わって残債を支払います。
物件検査を終えた後、取り扱い金融機関へ借入金を申し込み、約1〜2週間程度で審査結果が届きます。提出書類は借入申込書の他に所得を証明する書類、売買金額の確認書類、住宅と土地の登記事項証明書が必要となります。
03セカンドハウスローンとフラット35の比較
以上のようにフラット35には、主に金利の面でセカンドハウスローンの不便な点を補足してくれる利点があります。別荘をローンで購入したいと思う方向けに、とても便利な組み合わせです。
それではここで、このセカンドハウスローンとフラット35について、利用する際のメリットとデメリットをそれぞれ押さえていきましょう。
セカンドハウスローンを利用するメリットとデメリット
セカンドハウスローンについては、新築であろうが中古物件であろうが、融資がおりる対象となるのがメリットです。本人、あるいはその家族が利用するのであれば種類を問わず利用できる使い勝手の良いローンです。現金が今手元になくても、自身の高い返済能力を担保にして、保養目的の第二の住居を買うことができるというのが魅力です。
デメリットとしては、先にも述べたように通常の住宅ローンと比較して金利が高いことが挙げられます。住宅と違って別荘は持っていなくても生活ができるもの、つまり贅沢品であると見なされることが多いためです。富裕層が買うものだから、多少値段が上がっても返済できるだろうと受け取られているという背景が、この高金利の裏側にはあります。
また、住宅ローン控除などの減税措置が受けられない点も挙げられるでしょう。住宅ローン利用者が所得税や住民税の過払い分から還付を受けられるという支援制度の対象外となります。
メリット | 新築・中古物件関係なく融資がおりる対象となる |
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返済能力の高さが証明できれば、審査に通りやすい | |
デメリット | 通常の住宅ローンと比較して金利が高い |
住宅ローン控除などの減税措置が受けられない |
こうした理由により、購入者の年収もより重視されると言われています。通常のローンであれば年収250万程度から対象となるものが、最低でも500万円が必要となります。
フラット35を利用するメリットとデメリット
フラット35のメリットといえば、やはり金利です。一般的な住宅ローンと同じプランで、融資を受けられます。つまり、セカンドハウスローンを金利1~2%で借りることができるのです。通常の住宅ローンと比較しても、利用目的の制限が緩く、セカンドハウスやリフォームなども対象となります(注:投資目的は対象外)。また、他の住宅ローンを借りている場合に重複して借りることもでき、別荘への住民票の移動も不要です。
つまり、利用目的が別荘だからといって、金利が高くなったり、条件が悪くなったりといった不便はないのです。通常の住宅ローンと同じ条件で借りられますが、いくつかのデメリットも挙げられます。
まずは、全期間固定型のみの取り扱いとなる点です。変動型や固定期間選択型といったプランはありません。フラット35の固定金利は、セカンドハウスローンの変動金利より圧倒的に安いのですが、借入期間が短かったり、返済額が少なかったりする場合でもフラット35では割安の変動金利は利用できません。
他には、フラット35に限ったものではありませんが、団体信用生命保険への加入が有料となること、他のローンがあると審査が厳しくなるといった点も挙げられます。さらに、すべての銀行で取り扱っているわけではないので注意してください。
メリット | 一般的な住宅ローンと同じプランで融資を受けることが出来る |
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利用目的の制限が緩く、セカンドハウスやリフォームなども対象になる※ | |
他の住宅ローンを借りている場合に重複して借りることができ、別荘への住民票の移動が不要 | |
デメリット | 金利は全期間固定型のみ |
団体信用生命保険への加入が有料 | |
他のローンがあると審査が厳しくなる | |
一部の銀行しか取り扱っていない |
フラット35については、以下も参照ください。
文・監修:下澤一人
宅地建物取引士
プロフィール
出版社勤務後、宅地建物取引士の資格を取得し、不動産専門新聞記者、不動産会社勤務を経て現在、編集者・ライターとして活動中。