住宅ローン審査の流れ

住宅ローンとは、マイホームを購入する際に利用するローンのことをいいます。住宅の価格は数千万円にもなるため、長期間に渡ってローンを返済していく契約者は、お金を貸す金融機関からの審査を受ける必要があります。審査では、ローンの返済が可能かどうかや、万が一返済できなくなった場合はどのような手段があるかなど、契約者の年収や購入する住宅や土地などの物件の情報を元に慎重に審査されます。

住宅ローンは借りる金額が大きいため、人によっては審査に通りにくいケースもあるようです。一般的な審査の流れとしては、自分が購入したい物件の価格や工事にかかる費用が決まったときに行われる「事前審査」と、事前審査の終了後に行われる「本審査」の2段階になります。事前審査は銀行などの金融機関が行い、本審査は信用保証会社が行います。

事前審査にかかる期間は、一般的には3~4営業日ほどで、最近ではインターネットで事前審査の申し込みができる銀行も増えています。しかし、事前審査を無事に通過したといっても、本審査で落ちてしまうケースもあるため、注意が必要です。

住宅ローン審査の流れの概要

住宅ローン審査の流れ(一般的な期間)

では次に、事前審査と本審査の大まかな流れや概要について具体的に解説します。

住宅ローンにおける事前審査では、購入する物件やローンを借りる人の年収、職業などが審査されます。しかし、あくまで自己申告となり、金融機関によっては源泉徴収票など、収入額が明記された資料の提出を求める場合もあります。

事前審査で考慮される点としては、「住宅ローンを借りるだけの収入が見込めるか」ということです。具体的には、「総借入額が年収の何倍になるか」や、「年間返済負担額が年収の何割になるか」などです。住宅ローンにおける総借入額の目安は、年収の7~8倍が限度とされており、最近では基準も厳しく設定されているといいます。

事前審査を通過した場合は、いよいよ正式な申し込みとなる「本審査」となります。本審査では複数の書類を提出する必要があり、事前審査よりも詳細な確認が行われるため、審査には約1週間程度かかるのが一般的です。

住宅ローンを借りる人の源泉徴収票や住民税の課税証明書、住宅が共有名義の場合はそれぞれの収入証明書や印鑑証明書などの提出が求められます。また、物件の売買契約書や登記事項証明書など、あらかじめ事前に用意する必要があるため、本審査を受ける前には提出書類の確認や書類内容に不備がないか、しっかりと確認する必要があります。

提出書類の確認が済み、無事に本審査を通過することができれば、住宅ローン契約を結ぶことができます。事前審査は金融機関の支店が行い、本審査は金融機関の本部と信用保証会社で行われるため、本審査での厳密な審査をします。そこで通過したら、初めて住宅ローンを借りることが可能になります。

住宅ローンの本審査の意味

住宅ローンの本審査は事前審査よりもより厳しく審査されます。金融機関が本審査で特に重視する点は、以下になります。

  • 住宅ローンの返済完了時の年齢
  • 契約者の勤務形態や勤続年数
  • 返済負担率
  • 勤務先の事業内容
  • 借入申込み金額と頭金の金額
  • 契約者の健康状態

住宅ローンにおいては、返済完了時の年齢が70歳~80歳までが上限として設定されています。また、契約者の勤務形態が正社員なのか、それとも契約社員なのか、勤続年数が3年以上であるかなど、収入面における条件を詳しく審査します。融資条件の前提としては正社員が一般的ですが、もし年収額が基準を満たしている場合は派遣社員でも審査が通る場合もあるといいます。

「3」の「返済負担率」とは、税込みの年収に対する返済額の割合のことで、「年間返済額÷税込み年収×100」によって算出されます。もし住宅ローン以外の借入金がある場合は、年間返済額にその分の金額が加わり、最終的に返済負担率が30%~35%の場合は、一般的には審査基準を満たすとされています。

「4」の勤務先の事業内容とは、例えば会社経営者や自営業者の場合などは、個人の年収だけではなく事業の決算内容も審査項目の対象となります。会社の業績が悪かったり、経費を引いた所得金額の収入が少ない場合などは、審査上不利になることがあるといわれています。

「5」の金額は、マイホームを購入するときに必要な費用のことです。実際にいくら現金を用意できるか、初期費用に支払う現金の割合を指します。また、「6」の「健康状態」は本審査において特に重要なポイントとなっており、契約者の健康状態が悪く、団体信用生命保険への加入ができない場合などは、住宅ローンの審査は受けられないケースがほとんどです。

住宅ローン本審査の審査基準と落ちる理由

では次に、住宅ローンにおける本審査の審査基準について詳しく紹介します。本審査の審査基準を満たしていない場合は、住宅ローンによる融資を受けとることができませんので、あらかじめ契約者は基準を満たすことができるかを確認する必要があります。

住宅ローンの本審査において最も重要な点とは、「契約者の審査」と「物件の審査」になります。貸したお金を返済することが可能かどうか、万が一返済が難しくなった場合における担保物件の価値はどれくらいか、この2つのバランスによって住宅ローンの本審査を通過できるかどうかが決まるといえるでしょう。

本審査の審査基準

住宅ローンの本審査における基準は、各金融機関によって異なります。銀行によっては支店によっても審査基準が異なる場合がありますので、事前に金融機関の審査基準について調べる必要があります。大手銀行である銀行Aの住宅ローンの審査基準では、例えば以下のように審査基準を設定しています。

例:銀行Aの主な審査基準

  • 年齢→借り入れ時の年齢が20歳以上70歳未満(完済時年齢は80歳未満であること)
  • 借入金の上限→1億円以内※年収や物件の担保金額に応じて制限あり
  • 借入期間→2年以上35年未満
  • 団体信用生命保険への加入→必須
  • 住宅ローン保証料→必須※保証会社「銀行A住宅ローン保障」による保証

以上が、銀行Aが設定している住宅ローンの審査基準です。年収や雇用形態などについては金融機関にて直接確認する必要があります。

また、上記以外にも、売買契約書に記載されている物件の担保審査や、個人の信用調査なども行われます。信用調査ではクレジットカードの延滞履歴なども含まれますので、過去に支払いを滞納したことがある場合などは本審査において不利になることもあるようです。

本審査に落ちないためにできること

それでは次に、住宅ローンの本審査で落ちないためにできることについて紹介します。本審査に落ちる理由としては何が考えられるのでしょうか。事前審査が受かっても本審査で落ちるケースもありますので、本審査で落ちないためのポイントについてあらかじめ把握しておくようにしましょう。

本審査に落ちる理由

住宅ローンの本審査に落ちる理由としては、以下のような点が考えられます。

  • 提出書類の不備。
  • 事前審査後に新規で借り入れを行った。
  • 団体信用生命保険へ加入できなかった。
  • 担保となる住宅の評価が低い。
  • 信用情報に記録が残っていた。

「1」の提出書類の不備とは、事前審査で提出した書類内容と、本審査の書類内容が異なっている場合をいいます。事前審査では金融機関ごとに審査金利が設定されており、その金利を元に住宅ローンの返済額を算出しますが、本審査で提出した書類と事前審査で提出した書類の数値が異なる場合は、年収の額や住宅ローンの借入金額によっては、審査結果にも影響します。

もし、事前審査の後で新たに借り入れなどを行った場合は、年収に占める借入金額の割合も変わるため、基準を満たさなくなる可能性も出てくるでしょう。事前審査から本審査までは一定の期間がありますが、その間に審査内容に影響を与えるような変更はなるべくしないように注意が必要です。

「3」の生命保険への加入ですが、前述したとおり、本審査においては契約者の健康状態が重視されます。持病や血糖値などの数値など、審査基準は保険会社によって異なりますが、生命保険への加入が認められない場合は住宅ローンが利用できないことになります。

「4」の「住宅の評価」ですが、金融機関は不動産価値に応じて融資を行います。もし住宅ローンの返済が滞った場合には不動産を売却し、資金を回収します。事前審査でも確認しますが、より細かく審査をするため、不動産の評価額が低かった場合は本審査に落ちる可能性があります。

最後に、「5」の「信用情報の記録」ですが、ここでいう信用情報とは、クレジットカードの契約内容やローンの借り入れなどの取引記録のことをいいます。信用情報を確認した際に、過去に滞納などがあった場合は、審査にも影響する場合があります。

本審査に落ちないためのポイント

では次に、本審査に落ちないためのポイントについて紹介します。まずは、以下の点を意識するようにしましょう。

  • 事前審査の書類控えを参考にしながら、本審査の書類に記入する。
  • 団体信用生命保険への加入が難しい場合は、加入の義務がないローンを選ぶ。
  • 借入金額を洗い出す。
  • 信用情報を扱う会社に開示を申請する。

書類の不備を防ぐために、事前審査で提出した内容の控えを参考にしながら、本審査の書類を用意するようにしましょう。また、生命保険の加入ですが、フラット35の場合は団体信用生命保険の加入が義務付けられていないため、健康状態に心配がある人でも住宅ローンを組むことができます。

「3」の「借入金額の洗い出し」ですが、返済負担率を基準内におさめるために、住宅ローンの他に借入金がある場合は、少しでも減らせるよう資金計画を立ててみましょう。不要なクレジットカードの解約や、奨学金、携帯電話の分割払いなど、可能な限りは返済できるよう、一度借入金額の洗い出しを行いましょう。

「4」の個人の「信用情報」についてですが、信用情報を扱う会社に開示を申請することで、事前に確認することができます。気になる人は、前もって問い合わせをしてみるのも一つの方法です。

本審査に通過するためには、以上の点を踏まえながら、期間に余裕をもって準備するようにしましょう。

事前審査に必要な書類

それでは次に、事前審査に必要な書類について紹介します。事前審査の際に提出する書類はコピーでも可能ですが、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類は両面コピーをする必要があり、印鑑はシャチハタでは不可となります。書類によってはあらかじめ取り寄せる必要があるため、期間を要する場合もあります。あらかじめ必要書類について整理しましょう。

必要書類の種類と入手法

事前審査に必要な主な書類は、以下になります。

  • 印鑑(認印でも可)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康被保険者証 など)
  • 年収の分かるもの(源泉徴収票または課税証明書、個人事業主の場合は確定申告書など)
  • 仮審査申込書
  • 個人情報の取扱いに関する同意書
  • 購入する物件の概要が分かる書類(見積書や間取り図、借り換えの場合は購入時の売買契約書など)

金融機関によっては追加で書類を用意する必要があるため、事前に確認するようにしましょう。源泉徴収所や課税証明書は、勤務先の会社や役所から、あらかじめ取り寄せる必要があります。また、物件の概要が分かる書類は不動産などで資料をもらうか、法務局から入手できる土地登記事項証明書を用意するのがいいでしょう。

新規借入と借換で審査基準は違う?

住宅ローンを新規で契約する場合と、住宅ローンの借り換えでは、審査基準が異なるといいます。別の銀行から借りている住宅ローンを一括返済し、新たに契約する「住宅ローンの借り換え」においては借り換え先の金融機関の審査が必要になります。

不動産価値は住宅を購入してから時間が経つと、資産価値が減っていくため、借り換えをする場合はローン残高に対して物件担保価値が不足している状態になりやすいといいます。そのため、借り換え時の審査では、担保評価の審査は甘く、その分契約者の信用審査を重要視する傾向があるようです。

新規借入と借換の本審査の比較

新規借り入れの場合と借り換えの本審査を比較すると、以下の点において、借り換え時の審査が厳しくなる傾向があるといいます。

  • 返済負担率
  • 契約者の年収と勤続年数
  • 借り換え前の住宅ローンで返済の遅延があったか
  • 団体信用生命保険の審査に通らない

住宅の担保価値は新築の状態が一番高い状態となるため、住宅ローン借り換えの審査においては、物件の審査は甘くなり、信用情報の審査は厳しくなります。そのため、借り換えした場合の返済負担率や、年収、借り換え前に返済の遅延があったかなどは、新規借り入れと比較すると基準値がより厳しく設定されます。

例えば、返済負担率は新規借り入れの場合で30%~35%が平均といわれていますが、借り換えの場合は30%を超えると審査に通らない場合があるといいます。住宅ローン完済時の年齢が80歳以上になってしまう場合も審査に落ちる可能性があります。40歳~50歳以降の借り換えの場合は審査基準がより厳しくなるということを覚えておきましょう。

本審査に落ちたらどうしたらいい?

もし住宅ローンの本審査に落ちてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。本審査に落ちることは珍しいことではありませんので、ほかの金融機関に申し込みをすることで、審査が通る場合もあります。ここではほかの金融機関に住宅ローンの本審査を申し込む際のポイントや注意点について紹介します。

他の金融機関に本審査を申し込むときの注意点

住宅ローンの本審査で複数の金融機関に申し込みをすることは、問題はないとされています。しかし、借り入れをキャンセルする場合は、いつキャンセルを申し出るかによっては不動産会社に影響を与える可能性があるため注意が必要です。

例えば、本審査の結果が出たあとにキャンセルする場合は、「手付金」を放棄する可能性があります。手付金とは、解約手付ともいわれており、契約締結後に契約者の都合などで解約する場合は、「手付金を放棄すること」が契約書に盛り込まれている場合があります。しかし、本審査を通過しなかった場合は、契約がなかったことになるため手付金も戻ってきます。

手付金は不動産売買契約なため、不動産会社との契約に関してのみですが、どのタイミングでキャンセル料が発生するかは、前もって確認するようにしましょう。また、複数の金融機関に申し込む場合や再度住宅ローンを申し込む場合は、以下の点について注意するようにしましょう。

  • 複数の金融機関に申し込む場合はキャンセル料や審査期間について確認する。
  • 一度本審査に落ちた場合は、落ちた理由を考える。
  • 金利が高い金融機関に注意する。

複数の住宅ローンを申し込む人は意外と多いようですが、あくまで落ちた場合の対策なため、キャンセルにかかる費用や契約内容について把握するようにしましょう。また、一度本審査に落ちた場合は、落ちた原因を改善しない限り、別の金融機関でも本審査に落ちてしまう可能性があります。審査基準の見直しをし、落ちた原因について明確にするようにしましょう。

住宅ローンにおける金利は各金融機関ごとに設定が異なりますが、金利設定が高い場合は本審査に通過しやすい傾向があるといいます。一度本審査に落ちたからといって、金利が高い金融機関では経済的負担が増えてしまいますので、無理のない金利を選択するようにしましょう。