はじめての住宅ローン

えっ?
自営業って
住宅ローン
借りられない
んですか?

えっ?自営業って住宅ローン借りられないんですか?

自営業・個人事業主でも住宅ローンの
審査をクリアするコツを紹介!

新井智美

トータルマネーコンサルタント/
CFP/1級ファイナンシャルプランニング技能士

自営業者はローン審査のハードルが高いといわれます。その理由と審査のコツを解説します

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Contents

  • 自営業・個人事業主が住宅ローンを組みにくい理由
  • 自営業者・個人事業主の住宅ローン 審査のポイントは?
  • 住宅ローンお申し込みの際に必要な書類は?
  • 自営業・個人事業主の方でも住宅ローン控除は受けられる
  • 「フラット35」の利用も検討を
  • 自営業者・個人事業主向けの住宅ローンに注力している金融機関の利用も検討を
  • まとめ
  • 自営業住宅ローン Q&A

でも、
なんでローン
組めないの?
何がダメなの?

でも、なんでローン組めないの?何がダメなの?

自営業と会社員との違いについて理解しましょう

自営業・個人事業主が
住宅ローンを組みにくい理由

自営業者が住宅ローンの審査を通過することは難しいと言われます。
会社員の場合は、勤務している会社が返済能力についての信用の一端を担ってくれますが、自営業者の場合は自分自身でそのことを証明しなければならないからです。

審査に消極的な金融機関が多い

近年は低金利が続く中で、金融機関にとって住宅ローンは力を入れる商品のひとつとなっています。
そのため金利をめぐる競争も厳しくなり、さまざまな角度からの審査が必要となる自営業者の方の対応に消極的な金融機関が多いこともその理由のひとつとなっているようです。

継続的な収入が判断材料

金融機関が住宅ローンの審査に当たって返済能力を判断する際に最も重要視するのは「収入」です。

会社員は継続的に給与を受け取りますが、自営業者の収入は毎年の事業内容に左右され流動的なため不安定とみなされるケースが多くなります。健康上の問題や取り巻く環境の変化によっては、収入が激減したり途絶えたりすることもあるため、融資する側の金融機関にとっては、事業の将来性を予測する必要があり取扱いの判断が難しいとされています。

一般的には3期連続の所得を判断

住宅ローンの審査では、会社員は前年の給与支払い額(年収)が対象となりますが、自営業者の場合、多くの金融機関では、年間の売り上げから経費を引いた所得が直近の3期連続で黒字であることが条件とされるのが一般的です。

両者の年収や売り上げが同じ水準でも、自営業者は所得が対象となるため、住宅ローンの審査では、会社員より借り入れ可能金額が少なくなってしまいます。

年収と所得は異なります。所得とは、実際の収入からその事業にかかる経費を差し引いたもので年間の売り上げ(収入)が700万円あったとしても、事業にかかる経費が300万円だった場合、所得金額は700万円-300万円=500万円として申告しなければなりません。

そうなると、返済負担率の計算の元となる年収が所得金額まで下がるため、どうしても借り入れ可能額に影響してしまうのです。

仮に申込条件に「前年の年収(自営業者の場合は所得)が200万円以上あること」と明記されている場合は、収入から経費を差し引いた所得金額が確実に200万円を超えていることを確認しておきましょう。

ただし1期分の所得での借入審査を実施する金融機関や、申告所得金額で評価しない金融機関もありますので、設立間もない方や、直近が赤字決算になっている方は、そういった金融機関を利用することをおすすめします。

でも、
諦めたくないから
審査のポイント
教えてください!

でも、諦めたくないから審査のポイント教えてください!

自営業ならではの審査基準などポイントをしっかりおさえて対策しましょう。

自営業者・個人事業主の
住宅ローン審査のポイントは?

自営業者にも住宅ローンを利用する方法はあります。
住宅ローンの審査のポイントは、主に次の5つと言われています。自営業者が審査にクリアするために必要なことをチェックしましょう。

  • 安定的、継続的な所得があるか
  • 収入に比べて、借り入れ金額が多すぎないか
  • 信用情報がチェックされる
  • 購入予定物件は古すぎないか
  • 年齢や健康状態に問題はないか
  • 安定的、継続的な所得があるか

自営業者の場合、多くの金融機関では3年間、安定的かつ継続的に所得を上げているかが条件とされます。収益は確定申告書の控えなどでチェックされます。
自営業者は、税金対策のために経費を多く計上し所得を抑えたくなるものですが、所得が低いことは住宅ローンの審査には不利となります。ましてや赤字の年があると、審査に通ることそのものが難しくなります。そのため住宅ローンを借りるまでは税金対策にも慎重さが求められます。

ただし、医師や弁護士など、安定した収入が予想される特定の業種によっては、審査基準が緩和されることもあります。また、自営業者向け住宅ローンに注力をしている金融機関や、いつも取引をしている金融機関などでは、確定申告の書類だけでは、判断せず事業内容や世帯全体での資産状態をもとに判断する場合もあります。

  • 収入に比べて、借り入れ金額が多すぎないか

無理な返済が延滞につながらないよう、収入比の借り入れ金額を示す「返済負担率」が審査されます。
返済負担率は年収に占める年間返済額の割合のことですが、自営業者については以下で計算されます。

返済負担率 =
年間の返済金額 ÷
3年間の所得平均額 × 100

返済負担率は35%を超えないことがひとつの目安とされているようです。
年間の返済金額は、「スゴい住宅ローン探し」の住宅ローンシミュレーションで調べることができます。

仮に借入金額を3,000円、ボーナス返済額を0円、借入期間を35年、金利2%とした場合、年間の返済額は119万2,536円となります。返済負担率を35%とすると必要な3年間の所得平均額は約340万円となります。

  • 信用情報がチェックされる

自動車ローンやキャッシング、クレジットカードなどの利用履歴、返済状況などの「信用情報」が全国銀行個人信用情報センター、株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構などの個人信用情報機関の情報をもとにチェックされます。その際に、滞納や債務整理などの情報が登録されていると、審査に通ることは難しくなります。

また健康保険料や国民年金保険料、所得税や住民税などの延滞も好ましくありません。金融機関は審査で提出された確定申告書や納税証明書などの書類からこれらの納付状況を確認します。滞納がわかった際には審査に大きく影響する可能性があります。
マイホームの購入を考え始めたら、借り入れや支払い状況、納付状況などをチェックしておく必要があります。

  • 購入予定物件は古すぎないか

万が一、住宅ローンを返済できなくなった場合に備え、借り入れをする人だけでなく物件の担保価値も審査されます。
築年数が古い物件などは、住宅ローンを組めない場合もあるので、住宅を選ぶ際は慎重に考慮しておく必要があります。

  • 年齢や健康状態に問題はないか

住宅ローンの具体的な審査基準は公表されていませんが、年齢が上がると一般的には審査も厳しくなると考えられています。
年齢が高い場合は、頭金を多くする、返済期間を短くするなどの対応が必要となります。

また住宅ローンを組む場合、ほとんどの金融機関が「団体信用生命保険(団信)」への加入を条件としています。団信は、住宅ローンの契約者が万一、返済途中に亡くなったり、高度の障害状態になったりした場合、保険によりその後の支払いが免除されるものです。
団信の加入に当たっては健康告知が必要となります。健康上の理由で加入できない場合も、住宅ローンを組むことが難しくなります。

こうしたポイントを踏まえて、住宅ローンの審査に臨むことが大切です。

書類集めって
大変?
なに揃えないと
なの?

書類集めって大変?なに揃えないとなの?

自営業・個人事業主の方の必要書類を確認しましょう。

住宅ローンお申し込みの際に
必要な書類は?

自営業者および個人事業主の方が住宅ローンを申し込む際に必要な書類には、以下のものがあります。

本人確認書類

  • ・運転免許証
  • ・パスポート
  • ・マイナンバーカード など

収入証明書類

  • ・確定申告書の控え(過去2~3年分、付表も必要)
  • ・納税証明書の原本
  • ・決算書の控えおよび源泉徴収票の原本(法人の場合。過去2~3年分)

物件確認書類

  • ・売買契約書および重要事項説明書
  • ・登記事項証明書
  • ・建築確認申請書および確認済証
  • ・検査済証

申込時にこれらの書類全てを揃えておかなければならないわけではありません。申込時の物件確認書類はパンフレットなど簡単なものでも構いませんが、本審査になると、上に記載した書類が必要になります。

また、住宅ローンの契約の際には実印や印鑑証明書が必要になりますので、忘れずに準備しておきましょう。

控除あるなら
使いたいけど、
使える?私…

控除あるなら使いたいけど、使える?私…

自営業・個人事業主の方でも住宅ローン控除は受けられます。

自営業・個人事業主の方でも
住宅ローン控除は受けられる

自営業・個人事業主の方でも住宅ローン控除は受けられます

住宅ローン控除とは、要件を満たす場合に最大13年間、年末の借り入れ残高の0.7%が所得税から差し引かれる制度です。所得税から引ききれなかった部分については住民税からも差し引かれます。ただし、住民税から差し引かれる額については上限が決まっている点に注意しておきましょう。

住宅ローン控除を受ける要件の一つに「住宅の床面積が50平方メートル以上あり、かつ、そのうち2分の1が居住用であること」があります。
これは自営業・個人事業主の方に一番注意してもらいたいところです。

仕事の内容によっては、自宅と事務所を兼用しているケースもあるでしょう。その場合は。自宅として利用するスペースが事務所スペースよりも大きくなければなりません。
また、この要件をクリアしていたとしても、住宅ローン控除の対象となるのは、あくまでも居住スペースです。事務所として使っている部分については住宅ローン控除の適用外になります。

ただし、事務所として利用しているスペースの割合が10%以下の場合は全てが居住部分と見なされ、住宅ローン控除の対象です。

みんな大好き
フラット35
って何がいいの?

みんな大好き「フラット35」って何がいいの?

審査基準面から、フラット35は自営業者にとっても利用しやすいローンとなっております

「フラット35」の
利用を検討

フラット35とは

金融機関の審査が難しい場合には、「フラット35」の利用を検討するという方法もあります。
フラット35は、住宅金融支援機構と全国の金融機関が提携して扱う住宅ローンです。
審査基準面からも、多くの自営業者の方が利用をしている住宅ローンとなります。

所得の審査対象は直近1期分のみ

自営業者の場合には一般的な金融機関の住宅ローンでは、平均所得が直近の3期連続で黒字であることが条件とされますが、フラット35で審査されるのは直近の1期分のみです。所得が改善した、あるいは開業後3年経っていない、といった場合でもフラット35なら審査対象になります。

団信は任意加入

フラット35では民間の金融機関の多くでは加入が義務付けられている「団信」が任意です。(加入するか、しないかはリスクを十分理解したうえで検討しましょう)

全期間固定金利

また、フラット35は、全期間固定金利型で、返済金額は、完済まで変わりません。収入が不安定になりやすい自営業者の場合、毎月の返済金額が変わらず返済計画が立てやすいことは大きなメリットだと言えるでしょう。

そのほか、最近では不要な金融機関もありますが、住宅ローンの借り入れ時に必要な保証料もフラット35では不要です。

フラット35と一般的な住宅ローンとの違い

自営業者に関係するフラット35と
一般的な金融機関の住宅ローンの違い

フラット35 一般的な金融機関の
ローン
金利 全期間
固定金利
固定金利や変動金利の選択可能
保証料 不要 金融機関で必要なところが多い
審査
基準※1
直近1期分の所得 直近の3期連続で黒字が必要とされることが多いが、フラット35と異なり、柔軟な対応をしてくれる可能性も
団信※2 任意 必須
  • 求められる所得
  • 団体信用 生命保険

ここに注意!

フラット35を利用するにあたって注意しておきたいこともありますのでご紹介しておきます。

まず、固定金利なので、返済計画は立てやすいのですが、市場金利が下がっても、ローンの支払い額は変わりません。また、購入する物件は、住宅金融支援機構が定める技術基準を物件検査でクリアする必要があります。

物件検査は住宅金融支援機構が紹介する適合証明機関が行いますが、数万円程度かかる手数料は利用者の負担となります。

いずれにせよ、通常の金融機関での住宅ローンの利用が難しい自営業者にとっては、検討に値するものだと言えるでしょう。

「フラット35」「フラット35S」とはどんな住宅ローン?―審査基準やメリット・デメリット、民間住宅ローンとの比較まで―
[基礎知識] 2023.04.25

優しい銀行が
あればいいのに..
自営業向けの。

優しい銀行があればいいのに..自営業向けの。

他では満足な結果が得られなかった人も検討してみてはいかがでしょうか。

自営業者・個人事業主向けの
住宅ローンに
注力している
金融機関の利用も検討を

大手金融機関やネット金融機関などでの審査が難しい場合は、ご自身が普段利用している金融機関や自営業者の方を対象にした住宅ローンを提供している金融機関に相談することも、自営業者がローンを組む時には効果的です。

申告内容以外の経営状況や
財産状況を含めて判断してくれる

世帯全体での資産はあるけれど、申告書類の所得だけで判断されて満足な結果が得られなかった、あるいは、たまたま直近に設備投資などにより、一時的に経費が増え所得が低く満足な結果が得られなかったなどという方は、自営業者向け住宅ローンに注力した金融機関に相談することにより審査対象となることもあります。
形式的な書類審査だけでは見えない、事業内容や中長期的に見た事業計画、世帯全体での資産状態をもとに審査対象になることがあります。

自営業者の方はそうした金融機関の窓口でじっくり相談することも対応方法の1つとして検討してみては、いかがでしょうか?

自営業者に関係するフラット35と
一般的な金融機関の住宅ローンの違い

銀行名 主な融資条件・提出書類 事業年数 (前年度)年収
ARUHI ・確定申告書直近1期分(1回目の確定申告が済んでいれば開業1年未満でも審査可能) 開業1年未満〜
みずほ銀行 ・安定した収入のある方
三菱UFJ銀行 ・納税証明書:直近3期分
・確定申告書:直近3期分
3年以上
りそな銀行 ・確定申告書:直近3期分 3年以上
イオン銀行 ・事業開始後3年を経過していること
・過去3か年の平均または直近年のいずれか低いほうの所得金額(売上から経費を控除した後の金額)が100万円以上ある方
3年以上 100万円以上
auじぶん銀行 ・「所得+減価償却費+青色申告特別控除額」とし、3年平均と直近のどちらか少ない金額を申請 3年以上
埼玉りそな銀行 ・確定申告書:直近3期分
・申告所得税納税証明書(その1、その2)
・事業税納税証明書(各3年分)
3年以上
SBI新生銀行 ・業歴2年以上、かつ2年平均の所得(経費控除後の金額)が300万円以上 2年以上 300万円以上
住信SBIネット銀行 ・確定申告書:直近3期分
・納税証明書 その1、その2:直近3年分納税証明書その3の2:直近1年分
・市県民税・固定資産税の納税証明書:直近2年分
3年以上
ソニー銀行 ・自営業者の場合、前年度の申告所得もしくは直近3期分の平均申告所得のいずれか低い所得が400万円以上
・確定申告書(付属明細含む一式):直近3年分納税証明書(その1、その2):直近3年分
3年以上 400万円以上
楽天銀行 ・安定継続した収入のある方

※2023年5月現在

自営業・個人事業主でも住宅ローンの審査をクリアするコツを紹介!

まとめ

  • 自営業者はさまざまな角度からの審査を求められる。また審査自体に消極的な金融機関もある
  • 審査でチェックされる項目

    • 安定的、継続的な所得
    • 収入に対しての借入金額
    • 信用情報
    • 購入物件
    • 健康状態
  • 安定的、継続的な所得として3期連続での黒字などが基準に
  • 満足な審査結果が得られない場合、以下の検討もオススメ

    • フラット35
    • 普段取引している金融機関
    • 自営業に注力している金融機関

自営業住宅ローン Q&A

自営業は住宅ローンを組みにくい?

自営業が住宅ローンを組みにくいと言われているのは、審査に消極的な金融機関が多いことや、収入が不安定とみなされるケースが多いことが理由です。金融機関の審査が厳しい場合、フラット35は自営業者にとって利用しやすいローンのため検討するとよいでしょう。
詳細は「自営業が住宅ローンを組みにくい理由」をご覧ください。

自営業者の住宅ローン審査のポイントは?

自営業者の住宅ローン審査は安定的・継続的な所得の有無や収入に対する借入金額、信用情報や購入物件の築年数、契約者の年齢・健康状態がポイントになります。
詳細は「自営業者の住宅ローン審査のポイントは?」をご覧ください。

自営業者の住宅ローン借入時の審査基準や借入れする際のコツをを解説しました。

自営業の方で、自分が住宅ローンの審査に通るか不安な方も、まずは自分が借りられるか調べてみてはいかがでしょうか。

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シミュレーション

  • 借入可能額シミュレーター
  • 毎月の返済額シミュレーター
  • 組みにくい理由 自営業・個人事業主が住宅ローンを組みにくい理由
  • 審査ポイント 自営業者・個人事業主の住宅ローン 審査のポイントは?
  • フラット35 住宅ローンお申し込みの際に必要な書類は?
  • 金融機関検討 自営業・個人事業主の方でも住宅ローン控除は受けられる
  • 金融機関検討 「フラット35」の利用も検討を
  • 金融機関検討 自営業者・個人事業主向けの住宅ローンに注力している金融機関の利用も検討を
  • まとめ まとめ
  • 自営業住宅ローン Q&A 自営業住宅ローン Q&A
  • 組みにくい理由 なぜ自営業者は住宅ローンが組みにくいの?
  • 審査ポイント 自営業者の住宅ローン 審査のポイントは?
  • フラット35 「フラット35」の利用も検討を
  • 金融機関検討 自営業者向けの住宅ローンに注力している金融機関の利用も検討を
  • まとめ まとめ

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