一人暮らし・独身でのマンション購入|自分に合ったおすすめの探し方を徹底解説
「一人暮らししているものの、このまま賃貸マンションに家賃を払い続けるはもったいない」と、分譲マンションの購入を検討している人も多いかもしれません。とはいえ、マイホームは一生に一度あるかないかの大きな買い物です。「購入して後悔したらどうしよう」と悩み出すと、なかなか決断できない人もいるでしょう。 この記事では、一人暮らし・独身でマンション購入を検討している人向けに、一人暮らしにおすすめの物件の探し方を解説します。この記事を読むことで、一人暮らしでマンションを購入すべきか、どんな物件が良いのか判断できるようになるはずです。
- 01一人暮らしでマンションを購入するのはあり?なし?
- 新築マンション所有者の約2割が一人暮らし
- 02マンションを購入するのに必要な金額は?
- マンション購入者の世帯年収の平均値は912万円
- 年収別の借入可能額、月々の返済額の目安
- 03マンション購入の流れ
- ①希望条件をリストアップ
- ②資金計画を立てる
- ③物件の情報収集
- ④モデルルームの見学
- ⑤購入申し込み
- ⑥住宅ローン事前審査
- ⑦重要事項説明書の交付
- ⑧売買契約
- ⑨住宅ローン本審査申込
- ⑩内覧会
- ⑪残余金の支払い
- ⑫引き渡し
- 04マンションを購入する前に準備すべきこと
- 借り入れに必要な諸費用を把握しておく
- 住宅ローンの返済以外にかかる費用を把握しておく
- 05一人暮らしの方がマンションを購入するメリット
- 自分の暮らしに合わせて自由にDIYができる
- ライフステージの変化に合わせてリフォームができる
- 老後の住まいの心配がなくなる
- 資産としても活用ができる
- 06一人暮らしの方がマンションを購入するデメリット
- 引っ越しのハードルが高くなる
- 修繕費用などが想定よりも増える可能性がある
- 07一人暮らしにおすすめなマンションの選び方を項目別に解説
- 【駅からの近さ】徒歩10分圏内が理想
- 【部屋の広さ】30平方メートル以上がおすすめ
- 【築年数】新築でない場合は築20年以上が目安
- 【周辺環境】ライフスタイルに合わせた選択を
- 【災害リスク】ハザードマップを確認
- 【その他】管理体制はどうなっているか
- 【その他】売却のしやすさ
- 08一人暮らしのマンション購入でよくある質問
- 購入 or 賃貸どっちがお得?
- 新築 or 中古どっちを選ぶべき?
- マンション購入のベストなタイミングは?
- 病気やケガで働けなくなった場合、ローンはどうなる?
- 相続することになったらどうしたらいい?
- 09まとめ
01一人暮らしでマンションを購入するのはあり?なし?
結論から申し上げると、一人暮らしでマンションを購入すること自体問題ありません。その理由について見ていきましょう。
新築マンション所有者の約2割が一人暮らし
リクルート住まいカンパニーが実施した「2022年 首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、新築マンションの購入世帯の中心は30~40代で、「子どもあり世帯」が36%、「夫婦のみ世帯」が30%を占めています。一方でシングル世帯も23%と2021年に比べてやや増加し、2003年以降最も高い割合になりました。
シングル世帯はファミリー世帯よりも自己資金を多めに準備できるので、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)の低い、比較的堅実な資金計画を立てられるようです。購入目的としては「将来的な資産形成のため」「自分の納得のいく持ち家を確保することで老後に備えたい」などの理由が目につきます。
シングル世帯の購入者の中では、特に「シングル女子」の購入者が増加傾向にあります。同調査によると2011年は6.1%だったのに対して、2021年は10.9%と10年間で1.5倍ほど増加しています。
02マンションを購入するのに必要な金額は?
では、一人暮らし・独身はどのくらいの予算でマンションを購入すべきなのでしょうか?具体的な数値を用いて、確認してみましょう。
マンション購入者の世帯年収の平均値は912万円
国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、分譲マンション購入者の世帯年収は912万円です。3年前の同調査での世帯年収は798万円でしたので、より年収の高い購入者層に推移している状況が読み取れます。都心部を中心としたマンション価格の高騰も影響しているようです。
今後も円安や材料価格の高騰、金利政策の変更、人気エリアへの需要の集中などを理由にマンション価格の上昇傾向は続くと予想されます。マンション購入には高収入であることが条件となりつつありますが、比較的自己資金を多めに確保できるシングル世帯には追い風といえそうです。
年収別の借入可能額、月々の返済額の目安
住宅ローンを借り入れしてマンションを購入する場合、一番のポイントは「自分の年収でいくらまで借り入れできるのか」という点です。住宅ローンの借入可能額は年収の一定割合に収まるように設定されるのが一般的で、この一定割合のことを「返済負担率」といいます。金融機関の融資審査では、返済負担率を25~35%で評価するケースが多いといえます。
フラット35の住宅ローンシミュレーター「毎月の返済額から借入可能金額を計算」を用いて、年収別に借入可能額を算出してみました。
【年収別の借入可能額】※金利年1.5%、返済負担率30%、借入期間35年、元利均等でシミュレーション
年収 | 月々の返済額 | 借入可能額 |
400万円 | 10万円 | 3266万円 |
500万円 | 12万5000円 | 4082万円 |
600万円 | 15万円 | 4899万円 |
700万円 | 17万5000円 | 5715万円 |
800万円 | 20万円 | 6532万円 |
900万円 | 22万5000円 | 7348万円 |
1000万円 | 25万円 | 8165万円 |
実際の返済負担率はローン契約者の職業や資産状況、世帯構成、年収などによって流動的となります。また年収だけでなく、手取り収入から返済負担率を考えることも大切です。手取り収入から返済負担率を考えるなら、20%程度に収まるように借入可能額を計算しましょう。
自身の資産状況や年収に基づき、より具体的なシミュレーションをしてみたい人は、当サイト内にある「住宅購入予算シミュレーター」を活用してみましょう。さまざまなライフイベントも加味しトータルに計算できる住宅予算シミュレーターなので、人生設計に合わせて本当に安心できる予算を検討できます。
03マンション購入の流れ
ここからは、マンション購入までの流れを解説します。おおまかな手順を把握しましょう。
①希望条件をリストアップ
最初に住みたいマンションの条件をリストアップします。価格、広さ、間取り、駅からの距離、周辺環境などの基本的な項目ごとに希望条件を絞り込んでみましょう。特に立地はマンションの価格を大きく左右しますので、通勤圏内を中心にさまざまなエリアをチェックしてください。土地勘のある場合はマンション購入後の生活をイメージしやすいです。
②資金計画を立てる
マンション購入では、一般的に数千万円単位の資金が必要です。資金調達では多くの場合、住宅ローンを利用するため、借入金額と返済期間などを事前にシミュレーションしてみましょう。マンションは毎月のローンの返済に加えて、管理費や修繕積立費、駐車場代なども別途必要となりますので、比較的余裕を持った返済プランを組むことが重要です。
③物件の情報収集
希望するマンションの条件を絞り込んだら、条件に合う物件を実際に探します。ネットや不動産会社のパンフレットなどで物件情報を収集しましょう。現住所と近いエリアで物件を探す場合は、ポストに投函されている不動産情報のチラシなども重要な情報源です。意外にまだ表に出ていない穴場物件が記載されていることもあります。
④モデルルームの見学
新築マンションは、メインとなる物件のモデルルームが展示されているので、少なくとも一度は訪れることをおすすめします。現地では実際の暮らしをイメージしながら、見て回りましょう。すべての設備等を触れても問題ありませんので、できるだけ細かな点までチェックします。
モデルルームでは、担当者が付きます。担当者の案内を聞きつつ、疑問のある点はどんどん質問してください。「どんな人が見学に来ているのか」「このオプションを付けるといくらなのか」など、気になることはどんどん質問してみましょう。
モデルルーム見学が終わったら、実際のマンションのある場所の周辺を歩いてみると、カタログのスペックからはわかりにくい周囲の環境や人の流れ、交通状況なども把握できます。
⑤購入申し込み
購入したい物件があれば、いよいよ購入申込書を記入します。購入申込時には「申込証拠金」といって、購入意思を保証するお金を売主に預けることが一般的です。申し込み証拠金は売買契約時に発生する収入印紙代などに充当されます。購入するマンションによりますが、通常は10万円ほどが必要となりますので、事前に現金を準備しておきましょう。申込証拠金を支払ったら、売主から金額や日付が記載された預り証を受け取りましょう。
⑥住宅ローン事前審査
売買契約を締結した後には、住宅ローンの事前審査が行われます。申し込みをする金融機関に対し、世帯収入や借り入れする本人の職業、資産状況などを伝えます。事前審査とはいえ、実質的には本審査とあまり変わりません。ここをパスできないと本審査の融資実行が成立せず、マンションを購入できません。確実に審査を通すためにも、必要書類等も含めてしっかり準備しておきたいところです。
⑦重要事項説明書の交付
売買契約前に、購入するマンションの契約内容について、宅地建物取引士から「重要事項説明書」の交付と説明を受けます。「重要事項説明書」には、土地・建物の正確な情報や利用に関する注意点、契約内容における注意点や保険契約の内容など、かなり重要な内容が記載されています。書類にはびっしり文字が詰まっていて複雑な印象を受けますが、記載されている情報は物件に関する重要な内容ばかりです。必ず細かなところまで目を通してください。
⑧売買契約
いよいよ売買契約書にサインをします。契約締結時には、売主に対して「手付金」を支払うのが一般的です。手付金とは購入者の「購入意思」を示すために売主に支払う費用のこと。買い手の一方的なキャンセルに対するペナルティーの意味合いのあるお金です。購入者が理由もなくキャンセルした場合は手付金が戻らない仕組みとなっています。ちなみに手付金は物件価格の5~10%程度が相場ですので、場合によっては数百万単位のお金が必要です。
⑨住宅ローン本審査申込
マンションの売買契約を締結と前後して、住宅ローンの本審査を申し込みましょう。「事前審査」をパスしていればスムーズに融資が下りるはずです。だいたい申し込み後2日から2週間程度が審査期間の目安となります。
注意すべき点としては、事前審査と違う内容を本審査で出さないようにすることです。事前審査では提示しなかった他のローンの存在など、後から不利な材料を出すと金融機関側に疑念を持たれてしまいます。
また本審査では運転免許証や住民票の写し、源泉徴収票など、さまざまな書類が必要ですので、審査開始までに収集しておきましょう。
⑩内覧会
新築マンションでは入居前に入居説明会が行われ、続いて実際の物件を見ることのできる「内覧会」が行われます。具体的な引っ越し予定日のスケジューリングや登記手続きの内容についての説明などもあるので、できるだけ参加するようにしましょう。内覧会は入居予定日の2~3ヶ月前に実施されることが多いです。
⑪残余金の支払い
マンションの購入が成立し、住宅ローンの融資も決定した段階で、「残余金」の支払いがあります。残余金とはマンションの購入代金や頭金、手付け金などの他にかかる諸費用のこと。例えば住宅ローンを融資する銀行に支払う「事務手数料」や、不動産登記の「登録免許税」などが該当します。実際の手続きでは、住宅ローン契約時の融資実行とともに決済することがほとんどです。手続きは登記手続きを含め、銀行と不動産会社、司法書士にお任せします。
⑫引き渡し
マンションの残余金支払いや不動産登記申請が終了すると、いよいよ物件の引き渡しです。不動産会社からマンションの部屋のカギを受け取り、引っ越し作業に取りかかります。
マンション購入の流れについてもう少し細かく知りたい方は、こちらの関連記事も参考にしてください。
04マンションを購入する前に準備すべきこと
マンションの購入は、人生に一度あるかないかの大きな買い物です。マンション本体の購入費用はもちろん、その他に必要な諸費用もかかります。マンション購入に必要な諸費用の内容とその額についても、きちんと把握しておきましょう。
借り入れに必要な諸費用を把握しておく
以下で、不動産の購入に必要な諸費用を3つに分類して紹介します。
- 住宅ローン関連の諸費用
- 登記費用
- マンション取得によって発生する税金
不動産購入に必要なもの
住宅ローン関連の諸費用
➀金融機関への事務手数料
住宅ローンを借り入れる金融機関に支払う手数料で「定額型」と「定率型」があります。「定額型」は借入金額の大きさと関係なく一定金額を支払う方式、「定率型」は住宅ローンに組み込む形で支払う方式です。定額型は数十万円程度、定率型は借り入れ額の2~3%程度です。
②保証料
保証会社に支払う手数料のことで、借り入れ時にまとめて支払う「外枠方式」と住宅ローン金利に0.2%ほど上乗せする「内枠方式」があります。
③収入印紙代(金銭消費貸借契約の印紙税)
一定の金銭が動く契約書に対しては「印紙税」が発生します。住宅ローンは1000~5000万円以下のカテゴリーが多く、その場合の印紙税額は2万円です。
登記費用
マンションを購入すると、敷地権付き建物の「不動産移転登記」を法務局に対して申請します。その費用は申請にかかる「登録免許税」と、専門家である司法書士への報酬は必要です。
➀登録免許税
不動産移転登記の登録免許税の税率は土地が売買価格の1000分の15(1.5%、ただし2026年3月31日まで)、建物部分が1000分の20(2.0%)です。この他に住宅ローンのための抵当権設定(債務額可決0.4%)にも登録免許税がかかります。
②司法書士への報酬
相場として10万円前後ですが、司法書士によって費用は異なります。
マンション取得によって発生する税金
➀固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で、不動産所有している人すべてを対象とするのが「固定資産税」です。マンション取得時(引き渡し日)から翌年の起算日前日までの日割り計算で税額が計算されます。「都市計画税」は国の定める市街化区域内にマンションがある場合に支払う税金です。
②不動産取得税
土地や建物の不動産価格(課税標準額:売買価格ではない点に注意)に対してかかる税金で、税率は3%(2024年3月31日までに取得した不動産が対象)です。
⑥収入印紙代(売買契約書の収入印紙代)
「売買契約書」にかされる収入印紙代で、住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)とセットで印紙代を納めます。売買契約書については2026年3月31日までに作成されるものであれば特例が適用されるので、1000~5000万円以下なら1万円です。
住宅ローンの返済以外にかかる費用を把握しておく
不動産取得以外でかかる諸費用も多くあります。主に以下のような費用がかかりますので、把握しておきましょう。
➀管理費
マンションの共有部分の設備維持などに必要な費用です。
②修繕積立金
将来的な大規模改修に備えるためのお金です。大規模改修はだいたい20年ごとに大きな工事が必要となります。マンションの規模や戸数などによって負担額が異なります。
③火災保険・地震保険の保険料
火災保険は火災だけでなく、水害、盗難などの被害に対する補償を行うための保険です。地震保険は地震や津波被害のための保険で、火災保険とは別となっています。保険の種類によって料率や補償範囲などが異なります。なお、地震保険は単独では加入できず、火災保険と合わせて加入する必要がある点に注意しておきましょう。
④引っ越し費用
引っ越し費用は引っ越し時期や移動距離によって違います。できればピーク時(春先など)は料金が高くなるため、避けておきたいところです。
この他、マンション購入にかかる諸費用についてもう少し詳しく知りたい場合はこちらの記事でも解説していますので、気になる方はチェックしてください。
05一人暮らしの方がマンションを購入するメリット
一人暮らしでマンションを購入するメリットを紹介しましょう。自分のライフスタイルに合った住環境を自由に構築できる点が魅力です。
自分の暮らしに合わせて自由にDIYができる
マンションの利用規約に従う必要はありますが、基本的に部屋のレイアウトや家具の選択などは自分の好み、ライフスタイルに合ったものを選べます。DIYなどで自由にアレンジすることも可能です。
ライフステージの変化に合わせてリフォームができる
高齢になってから車いすが必要になった場合に、自宅をバリアフリー化したりトイレに手すりを付けたりするリフォームが賃貸よりもしやすいでしょう。
老後の住まいの心配がなくなる
高齢者は賃貸入居を断られることが多く、持ち家がない状態で老後を迎えることは不安です。マンションを購入して現役のうちにローンを完済すれば、老後の住まい問題は解決します。
資産としても活用ができる
持ち家は資産となります。新たな住まいに移りたい場合は、売却や賃貸などで資産活用することも可能です。
06一人暮らしの方がマンションを購入するデメリット
一人暮らしでのマンション購入におけるデメリットも挙げておきましょう。
引っ越しのハードルが高くなる
ネックとなるのが転勤や転職です。住宅ローンが完済していない場合、原則として賃貸に出すことはできません。新たに住まいを探すのであれば、マンションを売却する、あるいは住宅ローンを支払い続けるなどの選択を迫られます。住まいを移る選択が難しくなる点には、注意しましょう。
修繕費用などが想定よりも増える可能性がある
一人暮らしに限らず、マンション購入で懸念されるのが修繕費用の問題です。今後は少子高齢化の影響やマンションの老朽化の進行により、マンション住民の負担する修繕費用は増加する恐れがあります。住宅ローン完済後も支払いは継続しますので、購入前の段階から修繕費用については調べておいてください。
管理費・修繕積立費については以下の関連記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてください。
07一人暮らしにおすすめなマンションの選び方を項目別に解説
一人暮らしに向いたマンション選びのポイントをまとめました。
【駅からの近さ】徒歩10分圏内が理想
職場での通勤や各地へのアクセスのしやすさの観点から、できれば最寄駅から徒歩10分圏内までのマンションを選びたいところです。不動産情報では徒歩1分が約80mで表記されていますので、距離感をつかむ参考にしてください。
駅近は家賃が高く空き物件も少ない傾向ですが、最近では徒歩15分圏内(半径1.2m)あたりから家賃相場も落ち着き、マンション数も増えていきます。意外と条件の良い物件も多いので狙い目です。
【部屋の広さ】30平方メートル以上がおすすめ
一人暮らしの場合はあまり大きな間取りは必要ありませんが、あまりに狭い間取りも考えものです。おすすめは1DK、1LDKあたりで、1Kや1Rと違って寝室とリビングが分かれているので、一人暮らしの人にとってはゆったりした生活空間を確保できます。1DKの平均床面積は、28~32平方メートルが一般的です。30平方メートル以上を1つの目安にしてみましょう。
【築年数】新築でない場合は築20年以上が目安
中古マンションの場合、築20年以上がお買い得とされます。マンションの建物部分の価格は築25年になると新築時の30~40%程まで下がりますが、それ以降はあまり下がりません。ただし、築古のマンションには、耐震性には注意しましょう。特に新耐震基準(1981年6月)以前に建てられたマンションだと耐震性はもちろん、建物の老朽化も課題となりやすいです。
【周辺環境】ライフスタイルに合わせた選択を
自分のライフスタイルに合った環境を選ぶことが重要です。利便性の観点からはスーパー、郵便局、病院などの生活インフラが徒歩圏内にあるのが理想といえます。ただし、エリアによっては雰囲気や治安状況、住民の家族構成などが異なりますので、カタログのスペックだけでは周辺環境を理解することは難しいでしょう。気になるエリアがあれば、一度実際に周辺を歩いてみることをおすすめします。
【災害リスク】ハザードマップを確認
日本全国どこでも火災や水害のリスクはつきものです。マンションが建築されているところがもともと川や沼だったり、山を切り開いていたりなど、災害リスクの高い立地である可能性もあります。
マンション立地の災害リスクを簡単に調べられるのが、「ハザードマップ」です。ハザードマップは災害発生リスクや各地域の避難場所、避難経路などが網羅されている地図で、国土交通省や各自治体が提供しています。気になる方はこちらの国土地理院のハザードマップで調べてみましょう。
【その他】管理体制はどうなっているか
マンションは管理体制がどうなっているかで、住み心地が大きく変わります。資産価値にも影響をしますので、日頃から管理が行き届いているかをチェックすることも大事です。
最初にチェックしたいのが、郵便ポストの状態です。きちんとした管理会社・管理人は常に空き室を把握しているので、郵便ポストが乱雑に放置されることはありません。また共用部分、駐車場・駐輪場などもきちんと管理されているのかチェックしておきましょう。いずれも外からすぐに見えるポイントですので、確認しやすいでしょう。
【その他】売却のしやすさ
中古マンションの売却で人気のある築年数は、築6~10年ほどです。買い手がつきやすいのはある程度価格を下げても築20年くらいが限界で、それ以上の築古マンションだと立地に恵まれている、短期の住宅ローンで購入できる金額であるなど、何らかの長所がないと売却が難しいのが実情といえます。
将来的に売却を視野に入れている場合は、立地や周辺環境の良さなど、物件のスペックに左右されない強みを持ったマンションを探すことが重要です。
08一人暮らしのマンション購入でよくある質問
ここからは一人暮らしの人がマンション購入でよくある質問についてまとめてみました。参考にしてみてください。
購入 or 賃貸どっちがお得?
長く住み続けることを仮定すると、マンションを購入したほうがお得です。確かに賃貸マンションは住み替えが容易であり、経済状況に合った物件を自由に選べるなど、メリットもいくつかあります。ただ、賃貸を続ける限りは何十年も家賃を支払うことになり、たとえ住宅ローンと同程度の家賃を払い続けたとしても、そのお金は自分の資産にはなりません。
住宅ローンの返済期間(30~35年)以上の長い間の生活をトータルで考えると、マンションを購入したほうが住居費は安く済みます。もちろんマンション購入にも一長一短があるので、ご自分のライフスタイルや状況に合わせて購入か賃貸、どちらのメリットが大きいかを吟味してください。
新築 or 中古どっちを選ぶべき?
新築マンションが向いている人は次のような人です。
- 最新設備で新生活を始めたい人
- 間取りやデザインを自分で選びたい人
- 修繕積立金の費用負担を抑えたい人
- 将来的に売却も視野にある人
築浅だと修繕積立金は安めに抑えられますし、築10年までなら売却先にも困りません。ピカピカの新居に住みたい人や売却を見据えてマンションを選ぶ人に向いています。
中古マンションが向いている人は次のような人です。
- 立地や利便性を重視したい人
- 実際の物件を確認して購入したい人
- 相場より安めの価格で購入したい人
人気エリアはすでにマンションが建っていることが多いので、エリアを重視すると中古マンションしか見つからないこともあります。中古マンションはすでに間取りや管理状況、周辺環境が状況を分かった状態で選べるので、希望に合った物件も探しやすいです。
マンション選びで最も重視したいポイントは何かを整理して、どちらが向いているかを吟味してみましょう。
マンション購入のベストなタイミングは?
ご自分の生活・経済状況、将来へのプラン、さらに住宅ローン金利などの経済市況によってもタイミングは変わるので、ベストタイミングを選ぶのは難しいです。ただ、購入のタイミングになりやすいポイントがありますのでいくつか挙げてみましょう。
- 自分にとって理想的(物件スペックや予算も含めて)な物件が見つかったとき
- 結婚・出産、就職、転勤などのライフイベントのタイミング
- 住宅購入に関する軽減措置などの恩恵が受けられるとき
- 住宅ローンの金利が低いとき
基本的に理想的な物件が見つかったときが買い時です。また、住宅ローンや政府の政策の影響なども大きいので、関連するニュースや報道にも注意しておきましょう。例えば住宅ローン控除は2022年度より控除額や適用条件が変更されており、控除額が以前より少なくなっています。2024年以降は、さらに控除範囲が狭くなります。住宅ローン控除はマンション購入に大きく影響するので、制度変更があれば購入見極めのタイミングとなります。
病気やケガで働けなくなった場合、ローンはどうなる?
団体信用生命保険(団信)によって、仮に病気やケガで住宅ローンを返済できなくなった場合でも、その保険金でローン残債を完済できます。団信は補償の幅を広げる特約なども自由に追加できますので、ご自分の病気やケガのリスクを踏まえたうえで、適切な保障のある団信を選ぶといいでしょう。
住宅ローン返済中に病気になってしまった場合について、以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる人はチェックしてみてください。
相続することになったらどうしたらいい?
一人暮らしの方が亡くなったときの手続きは死亡届の提出、遺品の整理、葬儀の手配などの事務処理と、相続財産である資産の相続手続きの2つがあります。どちらも生前から準備することができますので安心してください。
まず事務処理の方は信頼できる知人、あるいは弁護士、司法書士、行政書士などの専門家と「死後事務委任契約」を結んでおくといいでしょう。死後の手続きをスムーズに済ませることができます。
相続財産の分配については、しっかりと「遺言書」を残しておくことをおすすめします。遺言内容を確かなものにしたい場合は「公正証書遺言」の形式を選択するとよいでしょう。
09まとめ
一人暮らしの方がマンションを購入する割合は、年々増加傾向にあります。資金的に余裕のある方が多く、老後の住居不安にも対応できたり自分の資産形成になったりなど、マンションを購入するメリットは大きいといえます。
ライフスタイルや将来設計に合わせ、計画的にマンション購入を検討することをおすすめします。今回紹介したマンション購入の流れ、選び方、マンション購入のメリット・デメリットなどを参考に、理想的なマンションをぜひ探してみましょう!
当サイト内では、目的別に4つの住宅ローンシミュレーションをご用意しています。マンションの適切な予算を知りたい方は「住宅購入予算シミュレーター」、今支払っている家賃くらいだといくらくらいのマンションが買えるのか知りたい方は「借入可能額シミュレーター」、マンション購入すると、毎月の支払はいくらになるのか知りたい方は「毎月の返済額シミュレーター」がおすすめです。
マンション購入に併せて貯蓄や資産形成の目安を考えたい方は「老後のお金シミュレーション」を試すと、住宅購入と貯蓄のバランスが分かります。ぜひ目的に合わせてシミュレーションを活用してみましょう。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。