2022年度|リフォームに活用できる補助金・助成金、減税制度を紹介

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リフォームを検討する中で、補助金や助成金を使いたいと考えている人も多いのではないでしょうか。リフォームに使える補助金・助成金の制度には、さまざまな種類があります。 同じ内容のリフォーム工事であっても、制度によって給付される補助金の額が異なるケースもあり、どの制度が自身のリフォームに適したものなのかよくわからないといった声も聞かれます。 この記事では、リフォームする際に利用できる2022年度の補助金・助成金制度についてまとめました。減税制度も合わせて紹介しますので、併用してお得にリフォームを実現しましょう。

01リフォームに使える補助金・助成金

まずは国が行っている、以下のリフォームに関する補助金と助成金について紹介します。

  • こどもみらい住宅支援事業(リフォーム)
  • 既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧・断熱リノベ)
  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業

なお、ここで紹介する各種制度の内容は2022年2月時点の情報であり、新年度以降に内容が変更になる可能性もあります。実際に利用を検討する際は、最新の情報を必ず確認してください。

国が提供する補助金・助成金

では、国の3つの補助金制度の内容について詳しく解説していきます。

こどもみらい住宅支援事業

こどもみらい住宅支援事業は、2022年から新たに実施される事業です。子育て支援と2050年カーボンニュートラルの実現を目的として、子育て世帯または若者夫婦世帯が高い省エネ性能を持つ新築住宅を取得する場合、既存住宅に省エネリフォームを施す場合に補助金が交付されます。

補助金の対象

注文住宅および新築分譲住宅の購入においては、子育て世帯または若者夫婦世帯である必要があります。なお、リフォームにおいては世帯を問いません。

  • 子育て世帯:申請時点で2003年4月2日以降生まれの子どもがいる世帯
  • 若者夫婦世帯:申請時点で夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降生まれの世帯

またリフォームの内容については、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結して、自宅のリフォーム工事を行うこと
  • リフォーム工事の発注者が当該住宅の所有者等であること

対象のリフォーム工事

次の3点のいずれかに該当するリフォーム工事が対象です。

  • 開口部の断熱改修
  • 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置

対象期間

事業者登録後に着工、2022年10月31日までに工事完了・交付申請したもの(予算に達した時点で受け付け終了)が対象です。

リフォームにおける補助額

工事内容や補助を受ける人の属性に応じて5万円〜最大60万円

※5万円未満の工事は補助の対象外

世帯属性 既存住宅の購入 補助上限
子育て世帯または若者夫婦世帯 購入あり 60万円
購入なし 45万円
その他の世帯 安心R住宅※を購入 45万円
それ以外 30万円

※安心R住宅:一定の基準を満たす中古住宅のこと

申し込み方法

  • 申請受付は遅くとも2022年10月31日まで(予定)
  • リフォームの補助については、全ての工事完了後に申請する
  • 申請はハウスメーカーや建築会社などの事業者が行うため、リフォームする人が直接申請・直接補助金を受け取る制度ではない

注意点

当事業による補助金を受けるには、事業者登録を受けた「こどもみらい住宅事業者」に施工してもらう必要があります。未登録の事業者による施工だと、補助金対象外となりますので注意しましょう。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧・断熱リノベ)

既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、15%以上の省エネ効果が見込まれる断熱性能の高い断熱材、窓、ガラスの建材を用いて、既存住宅の断熱リフォームを行った際に補助金が交付される事業です。2022年度は詳細未定のため、前年度の内容を記載します。

補助金の対象

常時居住する専用住宅の個人所有者、もしくは個人の所有予定者(戸建て住宅、集合住宅の個別住戸の場合)が対象です。

※交付申請後に所有予定の場合、完了時に登記事項証明書の写しの提出が必要

※賃貸住宅も対象ですが、店舗や事務所との併用住宅は不可

補助対象

  • 外壁や屋根、開口部などに高性能建材(断熱材・窓・ガラス)を使用したリフォーム工事
  • 上記に加えて、家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備・熱交換型換気設備などの高性能設備を導入した場合も対象

補助額

  • 補助率は補助対象経費の1/3以内
  • 高性能建材については一戸につき上限120万円(戸建て住宅)
  • 集合住宅の場合は一戸につき上限15万円

申し込み方法

  1. 公募期間内に申請
  2. 交付決定通知書が発行される
  3. 交付決定通知がされた後、契約・工事を実施
  4. 完了後一定期間内に完了実績報告書を提出し、補助金が交付される

施工会社はあらかじめ事業に登録した業者である必要はなく、補助事業に対応できる業者であればどの会社でも構いません。高性能建材を使用した断熱リフォームを検討している場合には、リフォーム会社に詳細を問い合わせてみるといいでしょう。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、長期間にわたって良好な状態で住み続けられる構造や設備を備えた、長期優良住宅にリフォームする場合に補助金が交付される事業です。2022年度は詳細未定のため、前年度の内容を記載します。

補助金を受けるための要件

この補助金を受けるためには、次の4つの要件に全て当てはまる必要があります。

  1. 工事前にインスペクション(建物状況調査)を実施し、維持保全計画・リフォーム履歴を作成すること
  2. リフォーム工事完了後に一定の性能基準を満たしていること
    ※詳しくは本事業の「住宅性能に係る評価基準」を参照
  3. 性能向上に資する改修工事、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事といった所定の工事を行うこと
  4. 住戸面積、居住環境、維持保全計画の内容などが要件に適合していること

補助額

補助金額は対象となるリフォーム工事の1/3ですが、以下のとおり、工事後の性能によって補助金の上限額が変わります。

  • 認定長期優良住宅型:国土交通省から長期優良住宅(増改築)の認定を受けたもの
  • 高度省エネルギー型:上の認定基準を満たしつつ、さらに高性能であるもの
  • 評価基準型:認定基準に達せずとも、劣化対策・耐震性・省エネ性が一定の性能確保が見込まれる評価基準を満たしているもの
タイプ 1戸あたりの補助上限額
認定長期優良住宅型 200万円(250万円)
高度省エネルギー型 250万円(300万円)
評価基準型 100万円(150万円)

※三世代同居対応改修工事の実施、若者・子育て世代による工事の実施、既存住宅を購入した人が工事を実施する場合には、カッコ内の上限額を適用

申し込み方法

  • 所有する住宅をリフォームする場合、主に補助事業者である施工会社が手続きを行う
  • 施工会社はリフォーム工事の事業者登録を事前に行っている必要があり、申請にあたっては施工会社と工事請負契約の締結が必要
  • リフォーム工事を行う住宅が決まったら、所在地などの情報を登録する
  • 補助金は一度施工会社に交付されるが、その後、リフォーム工事代金から差し引かれて精算するケースが多くなっている

先述したように、上で紹介したものについては2022年2月時点の情報であるため、補助の内容が異なる可能性があります。そのため利用する前に、しっかりHPで確認しましょう。

02地方自治体が提供する補助金・助成金

国が提供している補助金・助成金とは別に、各都道府県や市区町村で住宅関連の補助金や助成金制度を設けているところもあります。自治体の補助金や助成金は国費が充てられていなければ、原則国の補助金制度と併用することが可能です。詳しくは住まいのある自治体に確認してみるのがおすすめですが、ここでは代表的なものを2つ紹介します。

東京都目黒区|住宅リフォーム資金助成

東京都目黒区では、区民が区内の業者を利用して住宅をリフォームする場合、工事費用の一部助成を受けられます。

補助金の対象となる工事

  • 一般リフォーム工事(室内のリフォーム、屋外改修工事)
  • 自宅のアスベスト除去工事(区外の業者による施工でも可)
  • 区民が区内に所有する賃貸用住宅の空き家・空き室バリアフリー工事

助成金額

  • 工事費用の10%(千円未満切り捨て)
  • 一般リフォーム工事、空き家・空き室バリアフリー工事の上限額は10万円
  • アスベスト除去工事の上限は20万円

対象期間

2022年4月1日から審査受け付け

※予算の範囲内で先着順

申し込み方法と注意点

着工前に必要書類を全てそろえて、区の住宅課へ提出します。必ず着工の1週間前までに申請を済ませ、審査結果通知を受けてから工事をスタートしなければなりません。通知前に着工してしまうと助成を受けられないため要注意です。

自治体が実施する住宅リフォーム支援制度を検索しよう

お住まいの自治体でどんな補助金・助成金制度があるのか知りたい方は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が提供する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を活用するのがおすすめです。検索サイトで気になる情報があったら、最新の情報については各自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

03リフォームに使える減税制度

耐震や省エネ、介護のためのバリアフリー化といった目的で自宅をリフォームする場合、減税制度の対象となる可能性もあります。減税制度の対象になると、確定申告することで減税分が還付されます。先に紹介した国や地方自治体による補助金・助成金の制度と併用すれば、よりお得にリフォーム工事ができるかもしれません。

押さえておきたい5つの減税措置

それでは、リフォーム工事で使える以下5つの減税措置について詳細を確認していきましょう。

  • 所得税の控除
  • 贈与税の非課税措置
  • 固定資産税の減額
  • 登録免許税の特例措置
  • 不動産取得税の特例措置

所得税の控除

住宅ローン(一体型ローン)やリフォームローンを利用して自宅をリフォームした場合、一定の要件を満たしていれば所得税の税額控除を受けられます。

中古物件を購入しリフォームを実施し10年以上の住宅ローンを組んだ人であれば、住宅ローン減税が適用されます。これにより、年末のローン残高の1%が所得税から控除されるのです。適用期間は通常10年、特例措置適用の場合は13年です。

借入期間5年以上のリフォームローンを組んだ人は、5年間にわたり年末のローン残高の1〜2%分(工事内容により異なる)の税額控除が受けられる可能性があります。これは一般的に「ローン型減税」と呼ばれます。

また、ローンを利用せず自己資金でリフォームした人であっても、長期優良住宅であれば「投資型減税」を適用可能です。控除額は「一定の掛かり増し費用(1平方メートルあたり)×床面積(平方メートル)×10%」で求められ、1年のみ所得税から控除されます。控除しきれない分は翌年度の所得税から控除される仕組みです。ただし控除対象限度額は650万円、最大控除額は65万円となっています。

贈与税の非課税措置

他人から金銭や資産の贈与を受けた場合には贈与税が課税されますが、自宅のリフォーム費用を親もしくは祖父母(直系尊属)から贈与された場合、一定の要件を満たせば贈与税は非課税となります。この特例を「住宅取得等資金の非課税制度」と呼びます。

当初は2021年末までの特例措置でしたが、2022年度の税制改正によって2023年12月31日までの期間延長が決定しました。期間延長に伴い、以下のとおり内容が一部変更されています。

  • 非課税限度額が最大1500万円から1000万円に引き下げ
  • 中古住宅の築年数に関する要件が廃止
  • 成人年齢の引き下げに伴って、措置を受けられる年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げ

詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

固定資産税の減額

窓の改修工事をはじめとした省エネ改修工事を実施した住宅について、翌年分の固定資産税額(120平方メートル相当分までに限る)が1/3減額されるという制度もあります。この減税を受けるにあたっては、以下に挙げる要件を満たしていなければなりません。

  • 賃貸住宅ではなく、2008年1月1日以前に建てられたものであること
  • 工事後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
  • 工事後の床面積の1/2以上が専ら居住用として使われていること
  • 省エネ改修工事費用が補助金等を除いて50万円超であること
  • 2022年3月31日までに完了する工事であること

固定資産税は地方税のため、詳細については各市区町村へ問い合わせるといいでしょう。

登録免許税の特例措置

マイホームを取得する場合やリフォームされた中古住宅を購入する場合は、家屋の所有権移転登記に係る登録免許税の軽減を受けられる可能性があります。

中古物件購入であれば税率は2.0%から0.3%に軽減されますが、宅地建物取引業者が中古住宅に対して一定の良質なリフォームを実施し、その住宅を個人が取得した場合については、登録免許税の税率が0.1%まで軽減されます。

税率の軽減を受けるにあたっては、市区町村が交付する「住宅用家屋証明書」が必要です。証明書発行のためには、床面積が50平方メートル以上であることや一定の耐震性を有していることなどの要件を満たしていなければなりません。また、新築または引き渡しから1年以内に登記する必要がある点も要注意です。

2022年税制改正で期限が2年間延長され、2024年3月31日まで適用されます。

不動産取得税の特例措置

自分で居住するために一定の要件を満たす中古住宅を取得する場合には、不動産取得税の控除が適用可能です。控除額は新築年月日によって異なりますが、1997年以降に建てられた住宅では1200万円の控除を受けられます。

不動産取得税の特例措置を受けるには、次の2つのうち、いずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 1982年1月1日以降に新築されたもの
  • 新耐震基準に適合していることが証明されているもの(ただし、取得日の前2年以内に調査を行ったものに限る)

なお、2つの要件を満たさない中古住宅でも、取得後6カ月以内に耐震基準に適合するよう改修を行ったうえで証明を受けて入居した場合には、特例を受けられる可能性があります。この場合、所定の手続きを行い、確定申告時に所轄の税務署へ書類を提出するなど手続きが必要です。

04補助・減税制度を利用するときに知っておきたいポイント

ここまで紹介してきた補助金・助成金制度や減税制度を利用するにあたり、あらかじめ押さえておくべきポイントについて紹介していきます。

補助制度と減税制度は併用できる

補助金・助成金制度と減税制度はどちらもお得にリフォームできる仕組みですが、その違いはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。それぞれの制度がどのようなものか、簡単に見ていきましょう。

  • 補助金・助成金制度
    • 国や地方自治体がリフォームを行う個人や事業者に対して、その費用の一部を支給する制度
  • 減税制度
    • 控除などにより、対象者が本来納めるべき税金を減らすことができる制度

このように2つは全く違う制度のため、基本的に併用可能です。まずは利用を希望する補助金制度などに申請し、承認されればリフォーム工事に対する補助金が支給されます。工事費用から補助金制度による交付分を差し引いた金額が、減税制度の控除対象となります。

事前によく制度を確認しておく

リフォームを含む住宅関連の支援事業は、予算や締め切りが決められているものが大半です。そのため、新年度になると制度自体がなくなったり、内容が変更されたりすることがあります。

また、リフォーム工事の着工前に申請しなくてはならない事業も多いので、利用前に制度内容をしっかり確認しておかないと、いざ使いたいときに使えないという事態になりかねません。

要件がたくさんあって、細かな箇所に大切な内容が記載されているケースも散見されます。利用したい場合はあらかじめ入念にリサーチをしつつ、不安な場合は制度を実施している国・市区町村の窓口やリフォーム業者に相談するようにしましょう。

05知らないと損するかも!? リフォームで利用できる補助金や減税制度を大いに活用しよう

新年度を迎えると、リフォームに関する補助金・助成金制度も大きく変わります。中には、こどもみらい住宅支援事業のように今年度から新たに実施されるものもあるため、これからリフォームを検討しているのであれば情報収集は欠かせません。制度を知らないと損してしまうこともあるので、事前のリサーチを忘れないようにしましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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