住宅ローンを借りる前に考える「地震保険」 家計目線で判断する加入の基準

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最新調査によると、全国平均で約52%の人が地震保険への加入を前向きに検討する一方で、残りの約半数は必須ではないと考えていることもわかりました。住宅ローンでは金利や借入額に目が向きがちで、「地震保険」は資金計画の中でも見落とされることがよくあります。 もちろん、地震保険には、必ず入るべきという絶対的な正解があるわけではありません。しかし、自分の家計にとって必要かどうかを考えることは重要です。そこで、この記事ではこれから住宅ローンを借りる人が地震保険への加入を判断する基準について、家計目線で解説します。

01最新調査から見る「地震保険を希望する人」の実態

まずは最新の調査結果をもとに、地震保険へ加入を希望する人の割合や傾向、判断がわかれる理由について紹介していきます。住宅購入者は地震保険をどの程度意識しているのでしょうか。

全国平均は約52%、半数が地震保険の加入を希望

火災保険一括見積もりサービスを手掛ける「wismoney」が2025年2月~2026年1月にかけて寄せられた見積もり依頼データをもとに分析した結果、全国平均で半数を超える約52%の人が地震保険への加入を希望していることがわかりました。ただし、一方では残り約48%の人は地震保険にあまり積極的ではないともいえます。

火災保険への加入は住宅ローン契約において基本的に必須ですが、地震保険はそれに含まれていないケースも多く、保険料が上乗せされることもあって消費者の間でも判断が分かれているのが実態のようです。

地域差はあるものの、「地震リスク」だけでは加入を決められない

同調査では地域別の地震保険希望率も示されており、それによると上位に東海エリアや兵庫県が入っています。このことから、南海トラフ地震など震災リスクの高いエリアや過去の震災への意識が強い地域ほど地震保険への関心が高いことがうかがえます。たしかに、地震リスクは地震保険への加入を前向きに検討する重要な要因となるでしょう。

ただし、忘れてはいけないのは、日本はそもそも地震大国であり、全国どこでも地震被害を受ける可能性があるということです。そのため、実際には「地震リスクの高さ」よりも、家計にどれだけ余裕があるかで判断されているケースも多いと考えられます。

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02住宅ローン借入前に考えるべき現実的なリスク

地震保険は実際には半数程度の人しか前向きに検討しておらず、家計の余力次第で加入有無が決まる傾向にあるようです。しかし、住宅ローンは長期間の返済が続く大きな借り入れであるため、地震保険の加入について判断する際は現実的なリスクについてよく理解しておくことが大切です。

そこで、ここからは住宅ローン借入前に考えるべきリスクを紹介していきます。

住宅ローンは家が損壊しても返済が続く

これから住宅ローンを組む予定の人が、まず理解しておきたいのは、住宅が損壊した場合のリスクです。住宅ローンは「お金を借りた契約」に基づくものであり、建物の状態とは直接関係ありません。仮に地震などで住宅が大きな被害を受けても返済義務がなくなるわけではなく、毎月のローン返済は継続します。

たとえば、3500万円の住宅ローンを借りて残債が3000万円となったタイミングで住宅が大きく損壊し、修繕費として1000万円以上の費用がかかった場合、住宅ローンの返済を続けながら新たに修繕費も負担しなければいけません。つまり、「住宅ローン+修繕費」の二重支出が発生する可能性があるということです。

ちなみに地震保険の補償内容は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、保険の対象である居住用建物または家財が全損、大半損、小半損、または一部損となったときに保険金が支払われる仕組みです。

被災時の修繕費は最終的に自己資金で負担する

地震などで住宅が損壊した場合、修繕費や建て替え費用は基本的に自己資金で負担することになります。被害が広範囲に及ぶと公的支援制度によって住宅再建に必要な費用を補助してもらえる場合もありますが、全額を補ってもらえるわけではなく、一部補助にとどまるケースが多いです。そのため、手元資金の余裕によって地震保険の必要性は大きく変わるでしょう。

たとえば、次のようなケースでは地震による家計への影響が大きくなる可能性があります。

  • 頭金をあまり入れていない
  • 貯蓄が十分にない
  • 今後、教育費の負担が増える予定がある
  • 共働きを前提とした返済計画になっている

いずれのケースでも手元資金に余裕がない場合は地震によって発生する修繕費の負担が重くなりやすいでしょう。また、共働きを前提とした返済計画の場合、地震によってパートナーの収入に影響が出ると家計計画が大きく崩れる可能性もあり、地震保険の優先度は高くなります。

ただし、地震保険はあくまで「被害があったときの金銭的補償」を目的とした商品です。そのため、十分な貯蓄があり、被災時の建て替え資金まで確保している場合は優先度が相対的に低くなります。

自分の家計状況を踏まえ、どこまで自己資金で対応できるかを考えたうえで加入を検討することが重要です。

住宅ローンに保険料が加わり固定費が増える

ここまで述べてきたように、日本ではどこに住んでいても、地震リスクへの備えを検討する必要がありますが、その際に重要になるのが「保険料」です。地震保険の保険料は建物の構造や所在地によって異なりますが、一般的には年間数万円程度になるケースが多いといわれています。

住宅ローンの毎月の返済額ほど高額になるケースはまれで、それほど負担を感じない人もいるかもしれません。しかし、地震保険に加入すると「住宅ローンの返済に加えて、毎年の保険料も支出として発生する」点は注意が必要です。

そのため、加入を検討する際はあらかじめ家計全体で無理がないかを確認しておきましょう。住宅購入時にはつい「いくら借りられるか」に目が向きがちですが、借入可能額と無理なく返済できる額は必ずしも同じではありません。

住宅ローンの返済と地震保険の保険料を含めたトータルでの住居コストを踏まえ、家計に余裕があるかどうかを判断する視点が大切になります。

住宅ローンは30〜35年続くため、災害リスクも長期間続く

住宅ローンの返済期間は一般的に30〜35年程度と長期間にわたって続きます。いつ地震が発生するかは誰にもわかりませんが、返済期間が長ければ長いほど地震被害に遭う可能性も高くなることは頭に入れておきましょう。日本は世界的に見ても地震の多い国であり、高額な買い物となる住宅購入では、長い返済期間の中で災害に直面する可能性を考えておくことが大切です。

特に注意したいのが、ローン残高の多い住宅購入直後です。地震リスクはいつでもあるものの、住宅ローンの返済初期ほど災害による家計への影響は大きくなりやすいといえます。住宅ローンを検討する際は、こうした長期間のリスクと被害に遭う時期による影響の違いを踏まえて、資金計画を立てることも大切です。

03地震保険の加入を検討した方がいい人・必ずしも必要とは限らない人

日本は地震が多い国であるため、できれば住宅ローン契約時に地震保険についても考えたほうがよいでしょう。ただし、すべての人が加入したほうがよいとは限りません。そこで、最後に地震保険への加入を検討したほうがよい人と、必ずしも加入が必要とは限らない人をそれぞれ紹介していきます。

加入を検討した方がいい人

加入を検討したほうがよいのは、地震被害が発生した際に修繕費などの支出への対応が難しい、自己資金の少ない人です。一般的に住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍程度が目安といわれています。逆にいうと、借入額が年収の7倍以上の人はあまり家計に余裕がないことが考えられるので、地震保険への加入を前向きに検討したほうがよいでしょう。

また、共働きを前提に返済計画を組んでいる人や、教育費のピークが住宅ローン返済と重なる人も家計に余力が少なくなる可能性があるため、地震保険の加入を検討する価値があります。

必ずしも加入が必要とは限らない人

地震保険が必ずしも必要とは限らないのは、現金資産が潤沢にあり家計に余裕がある人です。どれくらい資産があればよいかは人それぞれのライフプランによって異なりますが、目安として、借入額が年収の4倍以下であれば家計に余裕があるケースも多く、判断材料の一つになるでしょう。

また、あらかじめ災害時の建て替え計画を持っており、実際に建物に大きな被害があっても修繕できるだけの資金的余力がある場合は、地震保険の優先度は相対的に低くなるでしょう。ただし、資金的な余裕と心理的な安心は別の問題です。想定外の事態が起こる可能性は誰にでもあるため、資金に余裕がある人でも「安心を買う」という意味で加入を検討する価値はあります。

04地震保険は「不安」ではなく「家計」で決める

今回紹介した調査結果では地震保険への加入を希望する人は約52%と半数程度でした。この数字をどう感じるかは人それぞれですが、大切なのは「地震保険は地震によるリスクに備えるための保険であり、加入義務があるわけではない」ことです。

住宅ローンを組む際は返済中に万が一建物に被害が出た場合を想定し、「地震で大きな修繕が必要になっても家計が崩れないか」をよくシミュレーションしたうえで地震保険の必要性を考えましょう。

なお、シミュレーションする際は保険料がどれくらい家計にとって負担となるかを客観的に判断するためにも、

  • 自分がいくら借りられるか
  • 毎月いくらまでなら無理なく返済できるか
  • 金利上昇時でも返済を続けられるか

といったポイントを押さえておくことが重要です。 住宅ローンの比較では、つい金利や借入金額ばかりに目を向けてしまいがちですが、自分や家族が安心して暮らせるための支出をトータルで計算しておいたほうが安心です。自分の未来の家計を見える化するためにも、当サイト内にある各種の住宅ローンシミュレーター最新金利ランキングなどをぜひ利用してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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