9割がホームインスペクションを支持!中古住宅購入で広がる安心の選択肢

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「何千万円もの住宅ローンを組んで、本当にこの家を買って大丈夫だろうか…」 中古住宅の購入を検討する際、多くの方が抱きがちな不安です。入居してすぐに思わぬ欠陥が見つかり、大きな修繕が必要になれば、住宅ローンの返済計画は簡単に狂ってしまうでしょう。 そこで注目されているのが、「ホームインスペクション」です。ホームインスペクションとは専門家による建物診断のことです。ある調査では、中古住宅購入検討者の約9割が「必要」と回答しており、実際に診断を受けたことで安心して購入を決断できた方も多いことがわかっています。 この記事では、ホームインスペクションを受けないリスクや、ホームインスペクションの費用相場について具体的に解説します。安心して中古住宅を購入するために、ぜひ役立ててください。

01中古住宅の購入前に多い不安とは?

中古住宅の購入を検討する際にどのような不安を感じやすいのか、代表的なものを3つ紹介します。

将来の修繕費が不安

中古住宅の購入検討時に、多くの人が不安に感じるのが“見えない劣化”です。屋根や外壁、配管といった部分は築年数が経つにつれて確実に劣化しますが、これらは目視だけでは正確に把握できません。

もし購入後に大きな修繕が必要になれば、住宅ローン返済と修繕費用が重なり、家計に大きな負担となります。こうした将来的な出費への不安が、購入をためらう大きな要因のひとつといえるでしょう。

隠れた欠陥が見つかるかもしれない不安

見た目はきれいでも、中古住宅には雨漏りやシロアリ被害、構造上の欠陥など、目視では発見しにくい重大な欠陥が潜んでいる可能性があります。入居後にこれらが発覚すれば、トラブルや多額の修繕費用につながり、住まいの安全や安心感を脅かします。大きなローンを抱えるからこそ、将来にわたる不安を取り除き、安心して暮らせるかどうかを見極めることが重要です。

本当に購入していいのか判断材料が足りない不安

住宅を購入する際、売主や仲介会社が提示する情報だけでは、隠れた欠陥の有無や将来的な修繕時期・費用の見込みなどが分かりません。重要な情報が不明瞭なまま契約に至り、住み始めてから想定外のトラブルや大きな修繕費用が発生しても、その時点で売主との交渉は難しく、大きな後悔につながる可能性があります。そのため、中立的な第三者の目で正確な情報を把握することが、購入判断の重要なポイントとなります。

02ホームインスペクションで中古住宅購入の不安が和らぐ理由

ホームインスペクションを受けることで、中古住宅に潜む“見えないリスク”を事前に把握できます。売主や仲介業者とは異なる中立的な立場の専門家が、建物の状態を客観的に診断してくれるため、購入するかどうかの判断材料になるはずです。何千万円もの住宅ローンを組むという大きな決断をする前に、心理的な安心感を高めてくれるでしょう。

また、将来的な修繕の時期・費用を予測することもできます。これにより、先を見据えた資金準備が可能になり、住宅ローンと修繕費用の二重負担を避けた無理のない資金計画を立てやすくなります。

ホームインスペクションを受けるメリットについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてお読みください。

インスペクション(建物状況調査)で中古住宅売買をスムーズに!意味や費用相場、メリットを解説
[ニュース] 2021.09.14

03調査データから見るホームインスペクションの必要性

多くの人が中古住宅購入時に不安を抱く一方で、国土交通省の調査によると、2018〜2022年に売買された中古住宅のうち、ホームインスペクションを実施していた割合はわずか36%にとどまっています。未実施の主な理由としては、「インスペクションの費用負担を避けたかった」(19.1%)、「早く購入したかった」(13.5%)といった声が挙げられました。

一方で、別の調査では、実際にホームインスペクションを利用した人の満足度は、非常に高いことが明らかになりました。HIあすなろ事務所のアンケート調査によると、実施した人の約9割が「必要」と回答し、さらに100%が「家族や友人にも勧めたい」と回答しています。

ホームインスペクション利用の主な目的と理由には、以下のような意見が多く見られました。

【目的】

  • 住宅に欠陥や問題があるか確認したい(71.4%)
  • 購入の最終判断をする際に参考にしたい(71.4%)

【理由】

  • 大きな買い物なので、安心材料が必要だった(78.6%)
  • 中立的かつ専門的な意見が欲しかった(71.4%)

これらの声から、専門家による客観的な診断が購入判断の重要な材料になっていることがわかります。

ただし、満足度が高い一方で、「調査の信頼性はどうか」「費用がどれくらいかかるのか」「調査項目がどこまで含まれているのか」など、ホームインスペクションに対する不安の声も見られました。こうした疑問を解消するには、調査を実施する会社の評判や見積もり内容などを事前に確認することが重要です。

04中古住宅購入でホームインスペクションを受けない場合のリスク

では、ホームインスペクションを受けずに中古住宅を購入した場合、どのようなリスクが発生するのでしょうか。ここでは、想定される3つのリスクについて詳しく解説します。

修繕費が予想外に発生し、家計を圧迫するリスク

ホームインスペクションを受けずに中古住宅を購入した場合、多額の修繕費が家計を圧迫するリスクがあります。築15~20年を過ぎた中古住宅は屋根や外壁、水回りなどの大規模修繕が必要になるケースが多く見られます。

国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、リフォームに至るまでの居住年数は新築で平均26.0年、中古住宅は平均19.8年でした。中古住宅は新築に比べ、購入後早い段階でリフォームが必要になる傾向があることがわかります。

さらに、住宅リフォーム推進協議会の調査によると、築20年以上の住宅にかかるリフォーム費用の平均は約286万円でした。修繕費用が住宅ローン返済と重なれば、数百万円単位の出費となり、家計は大きな負担を強いられることになります。

事前にホームインスペクションで建物の状態を把握しておけば、こうしたリスクを回避し、計画的に資金準備を進めることができるでしょう。

資産価値が大きく下がり、売却時にローン残債が残るリスク

雨漏りやシロアリ被害などの隠れた欠陥を放置すると、建物の劣化が進んで資産価値が大きく下落します。特に、売却を視野に入れている場合は注意が必要です。住宅ローン返済中の売却では、売却価格が住宅ローンの残債を下回る“オーバーローン状態”に陥る可能性もゼロではありません。

ホームインスペクションを受けずに中古住宅を購入すると、欠陥を見逃してしまい、将来「思ったよりも資産価値が残らない」という事態になりかねません。建物の状態を事前に把握し、適切なメンテナンスを行うことが、資産価値を維持し、安心して売却できる住まいを守るポイントです。

「やっぱり調べておけばよかった」と後悔するリスク

住み始めてから雨漏りや配管不良といった重大な欠陥が発覚し、「最初に調べておけばよかった」と後悔するケースは決して珍しくありません。売主は、売却する物件に対して契約不適合責任を負うものの、契約後に見つかった問題については責任範囲が限定的になることが多く、修繕費を全額負担してもらえるとは限りません。その結果、買主が自己負担で修繕せざるを得ないケースも多く見られます。

予期せぬ出費だけでなく、「なぜ事前に調べなかったのか」という後悔や精神的なストレスが重なり、せっかくの新しい暮らしの満足度を大きく損なうリスクとなるのです。

05ホームインスペクションの費用相場

国土交通省の「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」によると、実施費用の目安は6万円程度です。建物の規模や調査内容によっては、10万円前後になるケースもあります。

住宅購入時は頭金や諸費用など出費がかさむため、できるだけ初期費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。しかし、将来的に数十万円・数百万円の修繕費用が発生するかもしれないリスクと考えると、ホームインペクションを利用することについて、リスクヘッジとしての費用対効果は極めて高いのではないでしょうか。

診断結果をもとに修繕計画を立てられることや、売主に価格交渉できる可能性を考えると、費用以上のメリットを得られるかもしれません。

06中古住宅購入と住宅ローンを安心に導くカギは「ホームインスペクション」

中古住宅は新築に比べて費用を抑えられる一方で、修繕費や隠れた欠陥などの不安がつきまとうのも事実です。特に、長期にわたる住宅ローンを組む場合、予期せぬ出費は家計を圧迫しかねません。だからこそ、購入前にホームインスペクションを実施して「この家で安心して暮らせるのか」を確認することが、後悔しない住宅購入の第一歩になります。

ただし、安心できる家を見つけても、住宅ローンの条件次第で家計への負担は大きく変わります。無理のない返済を続けるために、当サイト内の「住宅ローンシミュレーション」を活用してみてはいかがでしょうか。

希望する借入額から毎月の返済額を試算したり、年収から借入可能額を調べたりできるため、資金計画を具体的に“見える化”できます。将来の暮らしを見据えた現実的なプランを立てるうえで、心強い味方となるでしょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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