4500万の住宅ローンを組むなら年収いくら必要?頭金や月々の返済額をシミュレーションして解説

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昨今の住宅価格の高騰により、地方や郊外でも4500万円前後で販売される物件が少なくありません。4500万円の住宅ローンを組むには、どれくらいの年収が必要となるのでしょうか。 この記事では、4500万円の住宅ローンを組む場合の頭金や月々の支払額、借入期間による返済額の違いなどをシミュレーションして比較しました。4500万円の住宅ローンを借り入れるのに必要な年収はどれくらいなのか、余裕を持って返済するにはどのような点を意識すべきなのかといった点を解説します。

014500万円の住宅ローンの計算に必要な要素

住宅ローンを借り入れるとき、借入額をそのまま返済すればいいわけではありません。実際には、設定された金利によって利息が発生するため、総返済額は借入額よりも高くなります。

4500万円の住宅ローンを借り入れるときのシミュレーションをするうえでは、次に挙げる変動要素を考慮する必要があります。

  • 返済期間(期間が長いほど総返済額が高くなる)
  • 借入金利(金利が高いほど総返済額が高くなる)
  • 頭金の有無、割合(頭金を多く入れるほど借入額が少なくなる)

同じ金額を借り入れても、上記の変動要素によって返済額が大きく変わるため、不動産会社や金融機関と相談しながら、余裕のある返済計画を心がけましょう。

02返済期間別!4500万ローンの支払額と必要年収

4500万円の住宅ローンを借り入れる際、上述の変動要素によって毎月の返済額や総返済額、借り入れに必要となる年収の目安が異なってきます。ここでは、返済期間(借入期間)と金利の違いに着目して、返済額や必要年収の目安を試算してみましょう。

必要年収の求め方については、このあとの章で詳しく解説します。

試算には、当サイトの「毎月の返済額シミュレーター」を使うものとします。また、いずれも全期間固定金利、元利金等返済、ボーナス返済なしを条件に想定した結果です。

借入期間20年の場合の返済シミュレーション

まずは、借入期間を短めの20年に設定した場合、4500万円の住宅ローンの返済イメージがどうなるか見てみます。

借入期間20年の場合

総返済額 毎月返済額 必要年収の目安
最低年収 適正年収
金利年1.0% 4970万円 20.7万円 621万円 994万円
金利年1.5% 5217万円 21.7万円 651万円 1042万円
金利年2.0% 5470万円 22.8万円 684万円 1094万円
金利年2.5% 5732万円 23.8万円 714万円 1142万円

金利が低くても最低年収で600万円以上、余裕を持って返済できる適正年収では1000万円近く必要という結果になりました。返済期間を短くするには高い収入が必要です。

借入期間50年の場合のシミュレーション

反対に、借入期間が長いケースを想定してみましょう。ここでは近年登場している、最長50年の借入期間で4500万円の住宅ローンを組んだ場合の試算を紹介します。

なお、借入期間50年の場合のみ、住宅金融支援機構のローンシミュレーションを用いて試算しています。

借入期間50年の場合

総返済額 毎月返済額 必要年収の目安
最低年収 適正年収
金利年1.0% 5721万円 9.6万円 288万円 461万円
金利年1.5% 6400万円 10.7万円 321万円 514万円
金利年2.0% 7123万円 11.9万円 357万円 571万円
金利年2.5% 7888万円 13.2万円 396万円 634万円

借入期間が長くなると、年収300万円台でも4,500万円のローンが組めるという結果になりました。適正年収も400〜600万円ほどであり、比較的幅広い人が組めるローンといえるでしょう。

一方、総返済額は借入期間20年のケースに比べて、いずれも非常に高くなっています。

借入期間30年の場合のシミュレーション

借入期間を30年にするとどのようになるのか、同様にシミュレーションしてみましょう。

借入期間30年の場合

総返済額 毎月返済額 必要年収の目安
最低年収 適正年収
金利年1.0% 5214万円 14.5万円 435万円 696万円
金利年1.5% 5596万円 15.5万円 465万円 744万円
金利年2.0% 5996万円 16.6万円 498万円 797万円
金利年2.5% 6410万円 17.8万円 534万円 854万円

最低年収は400〜500万円台、適正年収は700〜800万円台であり、借入期間20年の場合と比べて、年収が低めでも借りられることがわかります。

借入期間35年の場合のシミュレーション

最後に、一般的な住宅ローンの最長年数である35年で借り入れた場合の想定を確認します。

借入期間35年の場合

総返済額 毎月返済額 必要年収の目安
最低年収 適正年収
金利年1.0% 5338万円 12.7万円 381万円 610万円
金利年1.5% 5792万円 13.8万円 414万円 662万円
金利年2.0% 6268万円 14.9万円 447万円 715万円
金利年2.5% 6765万円 16.1万円 483万円 773万円

借入期間35年だと300万円台から住宅ローンを組める可能性があり、600〜700万円台の年収があれば余裕を持って返済できる結果になりました。

03必要な年収は650万円以上を目安に

上記の表で見たとおり、4500万円の住宅ローンを組むのに必要な年収は、借入期間や金利によって大きく異なります。通常の最長借入期間である35年で住宅ローンを組んだ場合、金利1.0〜1.5%での最低年収は400万円台中盤、適正年収は600万円台後半〜700万円台前半となっています。

「最低年収」とは、返済負担率(年収に占める年間ローン返済額の割合)が40%となる年収を表しています。多くの金融機関が「30〜40%」を返済負担率の上限としていることから、最低年収として採用しています。

これに対し、返済負担率が25%となる年収を表したものが「適正年収」です。一般的に「20〜25%以下」に返済負担率を抑えると、余裕を持った返済が可能といわれています。

最低年収は「借りられるギリギリの年収」であり、適正な値とはいえません。できれば適正年収の範囲内で借り入れるのが得策です。そのため、4500万円の住宅ローンを借り入れるには「年収650万円以上」を目安に考えるのがよいでしょう。

適正年収を算出する「返済負担率」とは?

先述のとおり、返済負担率とは年収に占める年間ローン返済額の割合を示します。「年間ローン返済額÷年収×100」で計算可能です。返済負担率が高いと、将来的に返済不能に陥るリスクが高いと考えられることから、金融機関はそれぞれに返済負担率の上限を定めています。

なお、返済負担率の計算には、住宅ローン以外の自動車ローン、教育ローン、カードローン、奨学金といった借り入れの返済額も含まれます。住宅ローン以外の大きな借り入れがある人は、返済負担率が高くなりやすいため注意しましょう。

世帯年収で住宅ローンを組む「収入合算契約」「ペアローン契約」

1人の年収だけでは4500万円の住宅ローンを組めない場合、世帯年収で住宅ローンを組む方法があります。世帯年収で審査を受けることで、1人の年収をベースに借りるより、大きな金額の借り入れが可能になるのです。

世帯年収で住宅ローンを組むには「収入合算契約」または「ペアローン契約」を結ぶ必要があります。

収入合算契約とは、夫婦など2人の収入を合算してローンを借り入れる契約形態のことです。夫婦のいずれか一方が主債務者となり、もう一方が連帯保証人または連帯債務者となって、返済義務を負います。契約者は主債務者1人であり、住宅ローン契約は1本のみです。

一方、ペアローン契約とは、夫婦がそれぞれに別の住宅ローンを借り入れて、1つの物件の費用を負担する契約形態のことです。夫婦どちらも契約者なので住宅ローン契約は2本となります。ペアローンでは、夫婦がお互いに連帯保証人となります。

収入合算契約やペアローン契約は大きな金額を借り入れることができる反面、夫婦どちらかの収入が減少した瞬間に、返済負担が急激に重くなるリスクがあるため注意が必要です。

04審査を通過するコツとは?

住宅ローンは金融機関の審査(事前審査・本審査)を通過できないと借り入れられません。次のようなコツを押さえておくと、審査を通過できる可能性が高まるでしょう。

  • 返済負担率が30%以下(できれば25%以下)になるよう借入額を決める
  • 返済時年齢が65歳を超えないよう返済期間を設定する
  • 頭金をなるべく多く用意する
  • 事前審査から本審査の間に新たな借り入れをしない
  • 同時に複数の金融機関に事前審査を申し込む
  • 税金や社会保険料の滞納がある場合、申し込み前に納めておく

住宅ローン審査の対策に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

住宅ローン審査の基準と落とされる理由
2018.12.18

054500万の住宅ローンはきつい!? 返済計画のポイント

ここまでで4500万円の住宅ローンを返済するのは、正直大変だと感じた人も多いかもしれません。無理なく返済していくには、どのような点を意識して返済計画を立てればいいのでしょうか。4500万円の住宅ローンを組むにあたって心がけるべきポイントを紹介します。

余裕があれば頭金を入れる

頭金を入れることで住宅ローンの借入額を減らせるため、総返済額や毎月の返済負担を低減することができます。住宅ローンによっては、頭金の割合が高いと金利の優遇を受けられるケースもあり、金利面からも返済額を圧縮できるでしょう。

一方、頭金を無理に入れようとすると手元資金が不足し、病気やケガなどによる収入減や支出増といった不測の事態に対応できなくなります。半年分程度の生活費は手元に残しておき、それ以外の範囲内で可能な分だけ頭金を入れるのがおすすめです。

マイホームのために頭金をいくら貯めるべきか、こちらの記事で解説しています。

夢のマイホームのために頭金はいくら貯めるべき?返済額とのバランスで考えよう
[基礎知識] 2020.09.04

税金や諸費用を考慮する

住宅購入時には、不動産取得税や登録免許税、仲介手数料、ローンの事務手数料など、ローン返済以外の諸費用が多くかかります。住宅購入後も毎年固定資産税・都市計画税がかかるほか、住宅に不具合が発生したときに備えて修繕費用を積み立てることも欠かせません。

こうした住宅ローン返済以外にかかる費用も踏まえて、余裕のある返済計画を立てておく必要があるでしょう。

自身にあった金利を選ぶ

先ほどのシミュレーションを見ればわかるとおり、年0.5%どころか年0.1%でも違えば、総返済額や毎月の返済額は大きく変わります。また、金利タイプを固定金利にするか、変動金利にするかによっても、将来の返済額が変わってくるでしょう。金利動向を確認しながら、自身のライフスタイルや家族のライフステージに適した金利の住宅ローンを選ぶようにしましょう。

最新の金利状況は以下のページで解説しているので、ぜひチェックしてください。

住宅ローン金利の最新動向と金利の種類、選び方
2018.12.19

子どもがいるときは学費や貯金額と合わせて計算

子どもがいる家庭では、学費や将来の進学に向けた貯金なども考えなくてはなりません。世帯主が30代後半、18歳未満の子どもが2人いる4人家族を例に家計を簡単にイメージしてみましょう。収入は年収700万円、ボーナスなしの月収58万3000円とします。

食費 8万3000円
住居費(住宅ローン以外) 8000円
水光熱費 2万4000円
家具・家事用品費 1万4000円
衣料品費 1万2000円
保健医療費 1万4000円
交通・通信費用 5万1000円
教育費 1万3000円
教養娯楽費 3万5000円
その他消費支出 4万5000円
消費支出合計 29万9000円
住宅ローン返済 (借入期間35年・金利年1.5%) 13万8000円
支出合計 43万7000円

手元に残る毎月15万円弱の範囲内で、将来に向けた貯金や教育費の積み立てをするイメージです。上記は住宅ローンの適正年収レベルでのシミュレーションのため、最低年収だと家計のやりくりが大変になるというのは容易に想像ができるでしょう。

住宅ローン控除を受ける

住宅ローンによる家計の負担を減らすには、住宅ローン控除の適用を受けることも重要です。要件を満たせば最大13年間、年末時点の住宅ローン残高×0.7%の税額控除が受けられるため、大きな節約効果が期待できます。

近年、毎年のように控除要件や控除額が変更されているため、最新情報を確認しておきましょう。住宅ローン控除に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

【2022年最新版】「住宅ローン控除(減税)」の基本と計算方法
[税金] 2022.01.12

年収600万の場合、4500万の住宅ローンは難しい!?

適正年収で考えると、一般的な最長返済期間である35年で住宅ローンを組む場合、年収600万円で4500万円の住宅ローンを組むのは、少し厳しいかもしれません。最低年収は十分に満たすので借り入れ自体は可能ですが、収入に占める返済額の割合が大きいので、少しでも収入が減ったり支出が増えたりすれば家計が苦しくなるリスクがあります。

対策として頭金を準備する、返済期間のより長いプランを探す、親からの援助を受けるなど、返済負担を減らす工夫を検討するといいでしょう。

06まとめ

4500万円の住宅ローンを組んだとき、総返済額や毎月の返済額は返済期間、金利、頭金の有無などによって大きく変わってきます。返済負担率をベースに考えた場合、35年ローンで組むなら年収650万円以上あれば、比較的余裕を持って返済できるでしょう。

それ以下の年収でも4500万円の住宅ローンを組むことは可能ですが、収入の多くを返済にあてなければならず、生活に影響を及ぼす恐れがあります。頭金を準備したり、余裕のある返済計画を立てたりして、できる限り家計に影響が出ないよう工夫することをおすすめします。

自身の収入でどれだけ住宅ローンを組めるのか、月々の返済額はどれくらいになるのかなど、事前にシミュレーションしておくと資金計画を立てやすくなります。当サイトの住宅ローンシミュレーションを使って、返済の様子を具体的にイメージしてみましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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