はじめての住宅ローン

住民票の異動はいつがいいの?

住宅ローン契約時に必要な住民票の注意すべきポイントとは?

川添典子

住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

住宅ローンの審査を通過し、金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶ際に必要な書類の一つが「住民票」です。金融機関によっては転居後の住民票を求められるケースがあります。その理由に焦点を当てながら、契約時の住民票の取り扱いについて解説します。

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Contents

01契約時に必要な住民票は転居前のもの?転居後のもの?

無事に住宅ローン審査を通過し、契約に至った際に必要になる住民票について、転居前あるいは転居後、どちらのものを用意すべきかご存知でしょうか?

基本的には転居前のものだが、転居後のものの場合もあるので注意

基本的には転居前のものを提出しますが、金融機関によっては転居後の住民票を求めてくるケースもあるので注意しましょう。なお、引っ越しを済ませていないにもかかわらず住民票を異動させてしまうと、法律違反として罰則を受ける可能性があります。その点もしっかり留意しておきましょう。

住民票を異動させるタイミング

住民票の異動届けは、転居後14日以内に行わなければなりません。この期限を過ぎてしまった場合、5万円以下の罰金刑が課せられる可能性があるので注意しましょう。

住民票の異動届けの期限

住民票の異動届けの期限
住民票の異動届けの期限

転居直後は多くの荷物整理や近隣への挨拶回りなどでなかなか時間が取れないかもしれません。手続きは基本的に本人や世帯主が行うものですが、代理人による手続きも可能です。その場合には代理人への委任状が必要となります。

また、期限内にしっかりと異動届を提出できるよう、必要書類を漏れなく準備することが大切です。具体的なものは以下の通りです。転居場所によっては必要書類が異なるので注意してください。

同一の市区町村内で転居する場合

  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 国民健康保険証、高齢者医療受給者証、乳幼児医療証(該当者のみ)

異なる市区町村へ転居する場合

  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 国民健康保険証、高齢者医療受給者証、乳幼児医療証(該当者のみ)
  • 転出証明書

代理人に手続きを依頼する場合

  • 委任状(申請者本人の自署、押印がされたもの)
  • 代理人の印鑑
  • 代理人の本人確認書類
  • 本人確認書類
  • 転出証明書

同一の市区町村内における転居の場合は、「転居届」のみを市区町村に提出します。一方で、異なる市区町村に引っ越したら、まず転居前の市区町村に「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取ります。その後、転出証明書とその他の書類を揃えて、転居先の市区町村に「転入届」を提出します。

本人確認書類には運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどを用いることができます。ただし、顔写真の添付されていない健康保険証の場合、証明書類をもう一つ提出しなければなりません。そのため、顔写真のある書類を提出するのが良いでしょう。

02転居後の住民票が求められるのにはワケがある?

前述したように、住宅ローンの契約時に新住所が記載された住民票を求められるケースがあります。実は新住所の住民票を手配すると、貸し出す側だけではなく、借り入れる側にもメリットがあるのです。その具体的な内容を説明します。

登記にかかる手間を省ける

転居前の住民票だと登記を2回行うことになりますが、転居後の住民票だと1回で済みます。

金融機関と金消契約を結ぶと、購入者に新居が引き渡され「所有権移転登記」を行います。その後、自宅に「登記識別情報通知書」が届き、内容に間違いがなければ完了という流れです。新住所での登記であればこれを踏襲すれば良いのですが、転居前の住民票で「所有権移転登記」を行うと、新しい住所へ住民票を異動させた後、再度、住所変更登記を行わなければなりません。つまり、合計で2回登記を行うことになるのです。

住所変更登記は義務ではありません。したがって、それを怠り罰則を受けることはありませんが、いつまでも住所変更を放置していると、住民票や戸籍で現住所を証明できなくなります。したがって、できれば住所変更登記しておくのが理想的です。

登録免許税の軽減措置が受けられる

登録免許税の軽減措置を受けるためには、新しい住所を管轄する市区町村で住宅用家屋証明書を発行してもらう必要があります。

住宅購入時には「土地の所有権移転登記」「建物の所有権移転登記」「建物の所有権保存登記(新築の場合)」「抵当権設定登記」が必要となります。また、住宅ローンを利用するには持ち家を担保に入れるため、金融機関の抵当権登記も行われます。これらの登記を行なった際に発生するのが登録免許税です。

登録免許税が発生する場面

登録免許税が発生する場面
登録免許税が発生する場面

ただし、居住用の住宅を購入した際に、広さなど一定の条件を満たしていれば、登録免許税の軽減措置を受けられます。そのためには、新しい住所を管轄する市区町村で住宅用家屋証明書を発行してもらう必要があるので、新住所が記載された住民票が望ましいのです。

登録免許税の軽減措置を受けるための条件

登録免許税の軽減措置を受けるための条件
登録免許税の軽減措置を受けるための条件

もっとも、この住宅用家屋証明書」に関しては、転居前の住所による住民票でも「申立書」を添付することによって発行してくれる市区町村もあるようです。事前に市区町村の担当窓口に問い合わせてみると良いでしょう。

契約者本人の居住を確認できる

転居後の住民票を提出してもらうことにより、本人の居住を確認することができます。転居後の住民票を金融機関側が要求する理由には、こうしたものも含まれます。

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