1000万円で家は建つ?ローコスト住宅の特徴と購入時の注意点を解説

2021.07.08 9

近年では1000万円台で建つ、いわゆる「ローコスト住宅」を商品ラインナップに加えるハウスメーカーが増えています。確かに、1000万円台で家を建てられるというのは魅力的ですが、安全性や住み心地などの面で「本当に大丈夫なの?」という疑問があるかもしれません。そこで今回は、1000万円のローコスト住宅について、そもそもどういう仕組みで低価格を実現しているのか、また2000台・3000万円台の住宅と比べて、どこが違うのかなどについて解説します。

011000万円で家は建つの?

20代、30代の若い世代や子育て世代を中心に今注目されているのが、いわゆる「ローコスト住宅」と呼ばれている戸建て住宅です。「ローコスト住宅」とは一般的に、予算1000万円前後(坪単価30~50万円)で建てられる戸建て住宅のこと。通常、一般的な住宅は坪単価50~60万円程度で、土地と建物を合わせると3000~4000万円はかかるものですが、「ローコスト住宅」は1000万円という破格のコストです。いったい、どのような方法でローコストを実現しているのでしょうか?

まず前提として押さえておきたいのが、ローコスト住宅であっても土地の値段にかかる費用は一般的な戸建て住宅と同じという点です。つまり、コストを抑えるのは「建物部分」です。コストを抑える具体的な方法としては、建物の材料費をグレードダウンさせたり、広告費や工事に必要となる人件費をカットしたり、設備や仕様、建具代なども規格化したものを大量一括仕入れしたりしています。

実際によくあるケースが、海外の工場で規格化された建材を大量に準備し、それを日本へ運び込んで、プラモデルのキットのように現地で組み立てるというパターンです。建物の仕様が規格化されているので、プランニングや発注業務、組立にかかる人件費をカットできる、というわけです。資材の大量調達も可能になるので、その分コストも下がります。

ただし、実際に購入する段階になると、「ローコスト住宅」は必ずしもローコストになるとは限らない、という点も注意すべきポイントです。例えば一般的な住宅では、ビルトイン食洗機や床暖房など快適な生活をする上で欠かせない設備が標準装備に付いているケースが多いものです。しかしローコスト住宅の場合、カタログスペック上は低コストの規格を選んだとしても、そういった設備が、標準装備に含まれていないことがあります。結果として別途工事費や設備のグレードアップ、オプションメニューを次々に追加していき、1000万円の住宅だったはずが、いつのまにか1500万円などの費用に膨らんでしまうことも少なくありません。実のところ、ハウスメーカー側もこうしたオプション込みでの利益を見込んでいるところがあるので、低コストだからといって飛びつくと、結果的に想定していたほど割安にならずに後悔してしまうことも。低コストに見えて、通常の戸建て住宅と同じくらいの金額になるというケースもあるでしょう。

021000万円で建てられるローコスト住宅の特徴

1000万円のローコスト住宅は、住宅部分の建築にかかる費用をあの手この手で抑えています。そのため、基本的にシンプルな図面で作られた必要最小限の仕様となっているのが設計上の特徴です。部屋数は全体的に少なめで、ドアやコンセントの数、壁、間仕切りなども必要最低限。間取りをシンプルにすることで、内装下地や壁クロスの面積を節約できるというメリットがあるわけです。

建物も全体的に、凸凹を減らした形状が多いのも特徴です。凸凹が多いと、外壁費用が余計に掛かるうえ、工事そのものが複雑化してしまうので、施工コストがかさんでしまうためです。2階建ての場合は、1階と2階が同じ面積となっている立方体や直方体のような外観デザインが多く、屋根の形も、シンプルな切妻屋根や片流れ屋根がメインとなります。瓦のような高コストな屋根材は、基本的にありません。

住宅の水回りで重要となるキッチン、バス、トイレなどは、給排水管の設備コストを下げるため、効率よく配置された間取りがほとんどです。この点においても、間取り選択の自由度にはある程度の制限がかかります。加えて、内装や水回りの設備そのもののグレードも、若干低めになります。なかにはメーカーの指定した設備しか選択できない場合もあります。

このように、さまざまな制限のもとでコストカットを行っているので、性能面ではある程度の妥協が必要なこともあるでしょう。特に気密性や断熱性は住宅価格に比例する傾向があるので、一般的な注文住宅と比べると住宅性能の差として表れやすい部分といえます。ローコスト住宅でも気密性・断熱性にしっかりお金を掛けたいなら、比較的選択幅のあるサッシ部分などにコストをかけておくといった工夫が必要でしょう。

近年ではローコスト住宅でも、長期優良住宅と認定されるような高性能を実現するハウスメーカーも増えています。日本の建築基準法では、耐震等級が1から3までの3段階あります。最低水準の耐震等級1では、震度6~7の地震で倒壊や崩壊はしませんが、一定の損傷を受ける可能性があり、建替えが必要になることもあるとされています。長期優良住宅の耐震基準では、耐震等級2以上となっています。メーカーによって、基準とする耐震等級は異なりますので、調べてみるとよいでしょう。

032000万円・3000万円の家との違い

大手ハウスメーカーの場合、全国各地に展示場を設置していたり、テレビや新聞などのメディア広告などを積極的に行っていたりするため、その人件費や広告費にもかなりのコストをかけています。実はこれも、ハウスメーカーの注文住宅が割高になっている要因です。その点、ローコスト住宅を売りにしているハウスメーカーは、こうした広告経費を絞ってコストカットしている傾向があります。

とはいえ、2000万円・3000万円の住宅は、ローコスト住宅に比べると、使っている材料や建具のグレードは高く、特に気密性や断熱性、耐火性、遮音性に関しては高性能なのも事実です。間取りや外観に関しても、自由度が高いというメリットがあります。外壁にタイルを使用したり、バルコニーや出窓の数などの希望があったり、外観の見た目にもこだわりがある場合は、ローコスト住宅による理想の実現は厳しいでしょう。

041000万円の家を購入する際の注意点

1000万円のローコスト住宅を検討する際に、注意しておきたいポイントをいくつか挙げておきます。ポイントを押さえたうえで、できるだけ快適で安全な暮らしを手に入れられるよう、自分にとってベストな選択ができるようにしましょう。

耐震性がしっかりしているかを確認する

ローコスト住宅は断熱性や気密性という点では、2000~3000万円台の住宅と比べると劣るという点を説明しましたが、耐震性については耐震等級1以上であれば、相応の構造になっています。ただし、耐震性能は建物の基礎・構造の強さに直結する部分なので、具体的な耐震等級を確認したうえで、妥協せずにしっかりとしたハウスメーカーの商品を選ぶ必要があります。

アフターケアがしっかりしたハウスメーカーを選ぶ

ローコスト住宅のメーカーは、施工を下請け業者に丸投げしている事例もあります。コストカットのためとはいえ、この点でトラブルが起こることも多いので、アフターケアサービスがしっかりしているのか、問い合わせ先や責任の所在が明確になっているのかという点は、しっかり確かめておく必要があります。

提示価格に何が含まれているか確認

ローコスト住宅を検討するうえで注意したいのが「追加オプション」の存在です。そもそも、住宅に欠かせない部分(床のフローリングやドア、水回りの設備など)においても、「追加オプション」扱いになっているケースもあるので要注意。通常は、照明器具やカーテン、アンテナ工事、収納スぺ―ス、食洗器・食器棚などがオプション扱いとなっています。また、追加オプションを依頼した際の図面の変更料や確認申請費、現場管理費、屋外給排水費などが別途かかることもあるので、この点も注意しましょう。なお、ローコスト住宅では追加オプションを利用しても間取り変更がきかないことが多いので、間取りの自由さを求める場合は通常の注文住宅を検討した方がベターな場合もあります。

051000万円のローコスト住宅を建てるにも、資金計画はしっかり立てよう

1000万円のローコスト住宅は、低価格でマイホームを手に入れたい人にとっては魅力的な商品です。また、建築期間が短くて済む、ライフステージに応じて建替えがしやすいなどのメリットもあります。ただし、コストカットによって生じるデメリットも実際問題としてあるので、どの点まで妥協できるのかを見極め、優先順位をしっかり決めてハウスメーカーを選ぶことが重要です。オプションの追加をしていったら、結果的に予算オーバーになりやすいという特徴もあるため、資金計画はしっかりと立てたうえで商品を選びましょう。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

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