中古住宅購入時に仲介手数料はいくらかかる?必要な諸費用を紹介

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住宅の購入を検討するにあたって、まず「新築と中古のどちらにするか」で悩む人も多いのではないでしょうか。新築と中古にはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、購入後に後悔しないためにも正しい知識を理解しておくことが重要です。そこで、今回は住宅購入に興味を持っている人に向けて、中古住宅のメリットから購入時に必要な諸費用までを解説していきます。また、仲介手数料がどれくらいかかるかのシミュレーションも紹介するので、参考にしてください。

01新築住宅にはない中古住宅のメリット

中古住宅の最大のメリットは、やはり「新築住宅に比べて価格が安く、購入しやすい」ことです。一般的に築古の建物は設備が整っていなかったり、見栄えが悪くなったりすることが多く、そこに住みたいというニーズが低下し、土地を含め物件価格全体が安くなる傾向があります。

とはいっても、中古住宅は購入後にリノベーションやリフォームをして、理想のマイホームを築くこともできます。どこまで工事をするかにもよりますが、内容次第では新築住宅のような状態にすることも可能なことから、工事代金を含めても新築住宅を購入するより安く済むケースもあります。

さらに、中古住宅には「すでに建物が建っている」ことならではのメリットもあります。例えば「実物を見てから購入できる」「住む時期が限定されない」といった点です。中古住宅は注文住宅と違って、実際に完成した状態を確認してから入居できます。そのため、「建築前と完成後のイメージが違った」という、注文住宅の場合に起きる問題に悩まされることはありません。また、注文住宅の場合、土地の区画開発などで建設エリアや区画に制限があり、条件を満たした土地を探さなくてはいけないケースがあります。中古住宅ならそのような手間がかからない上、建物が完成するまで待つ必要もないので、すぐに入居可能です。

そのほかにも、新築の注文住宅や建売住宅において入居時に発生する「水道負担金や給水分担金」、新築マンションにおける「修繕積立基金」などといった、入居時に1回だけかかる費用についても、中古住宅では支払わなくて済むこともメリットに挙げられます。もともとの物件価格が新築に比べて安いことに加え、こうした購入時に支払う諸費用までを含めて考えると、住宅購入にかかる費用をかなり安く抑えられるのは中古住宅ならではの魅力でしょう。

02中古住宅の購入時にかかる諸費用

中古住宅のメリットを知って、ますます購入への意欲が湧いてきた人もいるのではないでしょうか。とはいえ、メリットばかりではありません。中古住宅の購入には新築と同じように物件価格に加えて、「税金」「住宅ローン関連」「仲介手数料」といった諸費用がかかります。それらの概要についても理解しておきましょう。

税金

住宅購入にかかる税金は主に、「購入時」と「購入後」に大別できます。まず、購入時においてかかる税金としては、「印紙税」「不動産取得税」「登録免許税」が挙げられます。

印紙税は不動産売買契約書の作成にあたって必要になる税金で、契約書に記載されている金額によって納める税金が異なるのが特徴です。例えば「1000万円を超え5000万円以下」なら2万円、「5000万円を超え1億円以下」なら6万円になります。ただし、2022(令和4)年3月31日までに作成された不動産売買契約書には軽減税率が適用されるため、条件にあてはまれば上記の金額より安くなることを覚えておきましょう。

不動産取得税は、土地や家屋といった不動産を取得したことに対して課される税金です。不動産を取得して、半年から1年半くらい経過したあとに都道府県から納税通知書が送られてくるので、それをもとに支払います。不動産取得税についても、2021(令和3)年3月31日までに取得した不動産については軽減措置が用意されています。軽減措置の要件は下記の関連記事でチェックしてみてください。

登録免許税は、不動産の正当な持ち主であることを公的に証明する「登記」の手続きで必要になる税金です。登記は法務局が管理しており自分で手続することもできますが、それなりの労力がかかるので、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。仮に登記を専門家に依頼するときは、登録免許税とは別にその報酬を別途支払う必要も生じます。中古住宅の場合は土地と建物部分の「所有権移転登記」、住宅ローンを組む場合は「抵当権設定登記」がそれぞれ必要です。

一方、中古住宅の購入後にかかる税金は、「固定資産税」と「都市計画税」です。いずれも市区町村が徴収する地方税であり、毎年1月1日時点での所有者に対して課されるため、新築住宅では購入した年に負担することはほとんどありません。また都市計画税については、市街化区域に土地や建物を所有している場合に限り、課税対象であることも覚えておきましょう。

これらの税金は毎年1月1日時点での所有者が1年分の税金を支払わなければならないため、中古住宅の売買においては売主が不利になってしまいます。そのため、実際の取引では売却する日に応じて固定資産税と都市計画税の負担を日割りで按分する清算を行い、購入後の期間に応じた税金を買主が負担するのが一般的です。ただし、固定資産税等の清算金はあくまでも当事者同士でのお金のやりとりであるため税金ではなく、厳密にいうと諸費用という扱いになります。

住宅ローン関連

住宅ローン関連でかかる諸費用としては、「金銭消費貸借契約書の印紙代」をはじめ、「融資手数料」と「ローン保証料」が挙げられます。金銭消費貸借契約書を簡単に説明すると、「住宅ローンを組むための契約書」のことです。正式な契約書である関係上、不動産売買契約書と同じく記載されている金額に応じて印紙代がかかります。ただし、不動産売買契約書にある軽減措置は、適用されない点に注意しましょう。

一方、融資手数料は「住宅ローンを利用する金融機関」、ローン保証料は「返済が滞ってしまった場合に保証してくれる保証会社」へ支払う手数料です。融資手数料やローン保証料はそれぞれ利用する住宅ローンによって異なるため、少しでも費用を抑えたい場合は複数の金融機関に相談してみるとよいでしょう。ただし、金融機関によって融資手数料が安くてもローン保証料が高かったり、その逆もあったりするので、トータルで安くなるところを選ぶことがポイントです。

住宅ローンを契約するときは、これらの費用以外にもほとんどの金融機関で「団体信用生命保険料」もかかります。これは借主に万が一のことが起きたときでも、残された家族がローンの返済に困らないように加入する生命保険の保険料です。毎月の返済額に保険料が含まれているケースも多いので、ローンを組む時はよく確認しておきましょう。

仲介手数料

不動産の購入における諸費用のなかでも比較的高額になりがちなのが、物件を紹介してくれた不動産会社へ支払う仲介手数料になります。名称に「仲介」という言葉がつくように、あくまでも第三者が所有している物件を仲介してもらった場合にのみ支払う費用です。例えば相談した不動産会社が所有している物件を直接購入する場合は仲介ではないので、手数料はかかりません。仲介手数料は数百万円程度かかるケースも珍しくないので、住宅購入前にどれくらいかかるかの目安を把握しておくことが大切です。そこで、仲介手数料の詳細について次段落から解説します。

03中古住宅を購入すると、仲介手数料はいくらかかる?

仲介手数料は諸費用のなかでも高額になる可能性が高いと知って、不安を感じた人もいるのではないでしょうか。しかし、大切なことは住宅購入前にどれくらいかかるかを知っておき、それに備えることです。そこで、仲介手数料の基本から実際にかかる金額のシミュレーションまで紹介します。

仲介手数料の基本

まず、仲介手数料は不動産会社が自由に決められるわけではなく、宅地建物取引業法(いわゆる宅建業法)で上限が決められていることを知っておきましょう。また、そもそも宅建業者は、国土交通大臣の定めた仲介手数料を事務所に掲示しておかなければならないという義務を負っています。上限額を超えて請求したり、事務所に仲介手数料を掲示していなかったりする状態は違法なので、事前に仲介手数料がはっきりしていない場合は、明示してもらいましょう。

中古住宅の売買は複数の不動産会社を通して取引が進められることもありますが、その場合でも報酬の限度額は「代理契約の上限額まで」と決められています。例えば仲介を依頼した不動産会社が別の不動産会社と連絡を取って取引が成立したとしても、依頼主が支払う上限額は最初に依頼した不動産会社1社分です。仮に取引に2社以上が絡んでいたとしても、支払う仲介手数料の上限が比例して増えることはありません。

このように仲介手数料は宅建業法で上限が決められていますが、下限は決められていないのが特徴です。そのため、多くの不動産会社で上限額が相場になっているようです。できるだけ諸費用を抑えたい人は値引き交渉を行うか、仲介手数料の安い不動産会社に相談するようにしましょう。

仲介手数料の上限額

仲介手数料の上限を算出する計算式は、売買価格の区分ごとによって異なります。具体的には下記のとおりです。

不動産売買における仲介手数料の上限額

購入物件の取引額 仲介手数料の上限(税抜き)
200万円まで 取引額の5%
200万円を超え400万円まで 取引額の4%
400万円超え 取引額の3%

計算式だけを見ると、それほど難しくないと感じる人も多いのではないでしょうか。ただし注意しなければいけないのは、「それぞれの価格区分で計算した金額を最後に合算する」ことです。例えば取引額1000万円の物件を購入する場合は、「200万円までの部分(200万円×5%)」「200万円を超え400万円までの部分(200万円×4%)」「400万円超えの部分(600万円×3%)」をそれぞれ算出し、最後に足し算しなければいけません。毎回そうした計算をするのは手間がかかるため、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」の速算式で計算するのが一般的です。

中古住宅の仲介手数料上限額をシミュレーション

それでは具体的に、仲介手数料の上限額をシミュレーションしてみましょう。今回の事例では「売買価格3000万円の土地・建物(税抜き価格)」を「不動産会社1社が仲介」した場合を想定します。

まず、200万円までの部分については「10万円=200万円×5%」で、200万円を超え400万円までの部分については「8万円=200万円×4%」になります。400万円を超える部分は「78万円=2600万円×3%」となるため、すべてを合計すると「96万円=10万円+8万円+78万円」です。

96万円に消費税相当分にあたる10%を乗じると、「105万6000円=96万円×消費税10%」になります。先ほど紹介した速算式(売買価格×3%+6万円+消費税10%)でも同じ金額になるので、興味がある人は確かめてみるとよいでしょう。仲介手数料についてさらに知りたい方は、こちらの関連記事を参考にしてください。

04中古住宅だからこそかかる諸費用も含め、購入を検討しよう

中古住宅には新築住宅にないメリットがいくつもあります。しかし、固定資産税等の清算金のように中古住宅だからこそ、かかる諸費用もあるため気を付けましょう。特に仲介手数料は新築住宅と同じ計算式を用いるため、諸費用のなかでも高くなりがちです。一般的に中古住宅購入時にかかる諸費用の総額は物件価格の5~10%程度だといわれています。マイホーム購入にあたって予算を検討するときは、そうした諸費用の金額も含めて考えてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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