土地の購入や売却で発生する仲介手数料の仕組み

2021.02.26 13

土地や建物など、不動産の購入で発生する「仲介手数料」。不動産の売買は不動産会社を通じて行うことが一般的ですが、その際に仲介した不動産会社に対して支払うのが「仲介手数料」です。しかし、仲介手数料の仕組みをあまり理解していない方も多いのではないでしょう。そこで今回は、仲介手数料の基本的な仕組みと合わせて、計算方法の基本や手数料が無料になるケースも解説しますので、参考にしてください。

01仲介手数料の基本的な仕組み

不動産の「仲介手数料」とは、売買契約が成立したときに、その契約を仲介した不動産会社に支払う、いわば「成功報酬」のことです。仲介手数料は宅地建物取引業法(いわゆる宅建業法)で受け取ることのできる金額の上限が定められています。そのため支払う仲介手数料は、不動産業者によって定められている上限までの範囲内で多少異なるかもしれませんが、大きな差はありません。業者によって法外な金額が請求されるトラブルがないよう、厳格に法律によって上限が決まっています。

仲介手数料の基本的な仕組みと計算方法を理解しておくと、いざ不動産の売買契約を検討する際にも役立ちます。まずは、仲介手数料の基本的な仕組みを挙げておきましょう。

不動産の仲介手数料の基本的な仕組み

  • 仲介手数料を請求できるのは「宅建業者」のみ(「宅地建物取引業」の免許と営業許可を持っている者のみ)
  • 仲介手数料は法定の上限額が決まっており、その範囲内で宅建業者が決められる
  • 宅建業者は法定の上限額を超えた手数料を請求できない(要求すると違法)
  • 宅建業者は国土交通大臣の定めた仲介手数料を事務所ごとに掲示しなくてはならない(事前に手数料がいくらかわからない状態は違法
  • 報酬額の上限は「売買契約」と「賃貸契約」で異なる。また、依頼者と宅建業者が結んだ契約が「媒介契約」か「代理契約」でも報酬額の上限は異なる
  • 基本的に「代理契約」の上限額は「媒介契約」の2倍
  • 複数の業者が仲介したとしても報酬の限度額は「代理契約」の上限額まで(2社がからんでいるとしても報酬は2倍にならない)
  • 上限額ギリギリまで当たり前のように請求されるということではない(上限額以下であれば業者によって金額は違う)

このなかでも特に押さえておきたいのが、「媒介契約」と「代理契約」で報酬の上限額が違う点です。「媒介」は、売り手と買い手をつなぐ役割をする「仲介」ともいわれます。「媒介」はその機会をつくるまでが仕事で、実際に契約を締結するのは売主および買主自身になります。一方、「代理」は、売主や買主の代わりに契約を結ぶところまで請け負うイメージをするといいでしょう。

不動産賃貸などをイメージするとわかりやすいですが、不動産の仲介では「売り手」と「買い手」、双方を同じ不動産会社が仲介していることが多いです。この場合は両方から、不動産会社は別々に仲介手数料が受け取れます。不動産売買では複数の不動産会社が仲介に関わることもありますが、その場合も報酬の上限は決まっているので、1社の方が有利とか、複数の会社に仲介してもらうと手数料が跳ね上がるといった心配は要りません。

仲介手数料は不動産会社と契約してから発生する報酬なので、契約前に前払いすることもありません(契約前に請求するのは違法)。したがって、契約の前に仲介手数料の支払いを求められた場合は、きっぱりと断るようにしましょう。支払いのタイミングについては、契約の成立後にすぐに全額支払うこともあります。ただし一般的には、契約締結時に50%、引き渡し時に残り50%を払うことがほとんどです。

それでは次に、仲介手数料の計算方法を説明していきましょう。

02仲介手数料の計算方法

今回は不動産の「売買契約」に関する仲介手数料を説明します。賃貸の場合の仲介手数料は、別の計算方法になります。

仲介手数料は宅建業法によって、売買価格の区分ごとに上限が定められています。まずは基本となる報酬計算の決まりを理解しておきましょう。

不動産売買の仲介手数料の上限額

取引額200万円以下の部分 取引額の5%
取引額200万円~400万円以下の部分 取引額の4%
取引額400万円を超える部分 取引額の3%

まずはこのルールを押えましょう。その上で、いくつかの留意事項があるので挙げておきます。

不動産売買における仲介手数料の報酬計算の決まり

  • 上限額の計算時の「取引額」は消費税を抜いた金額
  • 「土地」には消費税はかからないが、「建物」の売買価格は税込みになっているため、消費税を抜いた金額で計算する
  • 事業者の報酬には消費税が含まれるので、上記の上限額に消費税分を乗じた金額が「報酬上限額」となる
  • 仲介手数料の消費税率は課税事業者が10%、免税事業者が4%となる

消費税の計算が少し複雑なのですが、最終的に税抜きの売買価格から上限額を算出し、その金額に対して各金額分に応じた利率をかけます。こうして算出した上限額に対して、消費税率を乗じて出た金額が最終的な上限額です。なお、一般的な不動産会社は課税事業者なので、消費税率は10%になります。免税事業者とは「前々事業年度(個人事業主の場合は前々年)の売上高が1000万円以下」の事業者のことなので、不動産の仲介ではあまり目にする機会はないでしょう。

では以上のルールを踏まえて、簡単な事例を用いて具体的な数字で計算してみましょう。

実際に仲介手数料をシミュレーションしてみよう

事例

売買価格:2000万円の土地・建物(税抜き価格)
不動産売買契約:不動産会社1社(課税事業者)に仲介してもらった場合

仲介手数料の上限額の計算

まず、売買価格2000万円を200万円まで、200万~400万円まで、そして400万円以上の部分の1600万円に分けて、それぞれ決められた利率を乗じていきます

  1. 200万円までの部分
    • 10万円=200万円×5%
  2. 200万円を超え400万円までの部分
    • 8万円=200万円×4%
  3. 400万円を超える2000万円までの部分
    • 48万円=1600万円×3%

この3つを合計すると

66万円=10万円+8万円+48万円

この金額に、仲介手数料の消費税10%を乗じます。

72万6000円=66万円×消費税10%

72万6000円が、仲介手数料の上限額です。この金額を上回って、仲介手数料を設定することはできません。基本的に上記のような流れで計算するのですが、いちいち200万円、400万円と切り分けて計算するのは手間なので、売買価格が400万円以上の場合は、下記の「速算式」を使って計算します。

仲介手数料の速算式

物件価格×3%+6万円

この速算式を用いて、先ほどのパターンの仲介手数料を計算してみましょう。

66万円=2000万円×3%+6万円

先ほどの上限額と全く同じになることがわかりますね。ここに先ほどと同様、消費税率をかけるという点も同じです。

続いて、おおまかに仲介手数料を知りたい方向けに、物件価格ごとの仲介手数料の早見表を紹介します。計算式が決まっており、ほぼ上限額は固定の金額になるので、手数料の目安を考える際に便利です。なお、いずれも報酬額は税込み表示(消費税率10%)となっています。

物件価格の100万~1000万円の仲介手数料の早見表

物件価格 仲介手数料
100万円 5万5000円
200万円 11万円
300万円 15万4000円
400万円 19万8000円
500万円 23万1000円
600万円 26万4000円
700万円 29万7000円
800万円 33万円
900万円 36万3000円
1000万円 39万6000円

物件価格の1100万~2000万円の仲介手数料の早見表

物件価格 仲介手数料
1100万円 42万9000円
1200万円 46万2000円
1300万円 49万5000円
1400万円 52万8000円
1500万円 56万1000円
1600万円 59万4000円
1700万円 62万7000円
1800万円 66万円
1900万円 69万3000円
2000万円 72万6000円

物件価格の2100万~3000万円の仲介手数料の早見表

物件価格 仲介手数料
2100万円 75万9000円
2200万円 79万2000円
2300万円 82万5000円
2400万円 85万8000円
2500万円 89万1000円
2600万円 92万4000円
2700万円 95万7000円
2800万円 99万円
2900万円 102万3000円
3000万円 105万6000円

03仲介手数料が無料になるケースとは?

不動産の取引では動く金額が大きいため、仲介手数料といっても数十万円単位のお金が必要になります。しかも不動産の購入代金とは別に準備しなければならないことから、できれば出費を抑える方法があるなら知っておきたいものです。そこでここからは、仲介手数料が無料になるケースについて説明します。ただし、仲介手数料が無料となるケースには一定のリスクもあることが多いので、その点には注意が必要です。

【ケース1】土地の売主が不動産会社だった場合、仲介手数料は無料

基本的に、仲介する不動産会社の報酬は「仲介手数料」のみなので、この部分が無料になるには、どこかカラクリがあります。その1つ目のケースが、土地の売主がそもそも不動産会社だったというケースです。このケースでは、不動産業者が自社物件を取り扱っていることから売主物件となり、不動産の「仲介」は存在しません。したがって、仲介手数料は不要。いわゆる「直接購入」というパターンです。

ただしこのケースでは、個人である「あなた」と不動産のプロである「不動産会社」との直接交渉になります。したがって、個人である「あなた」側に相当の知識や交渉力がないと、不動産会社の手のひらで転がされてしまうリスクが生じてしまうのです。特に物件になにか欠陥があった時のために重要となる「瑕疵担保責任」など、売買取引の重要事項についても専門知識が必要となるでしょう。

「不動産仲介」は、単に売り手と買い手の仲介をするだけではありません。その取引を「第三者」的な立ち位置で、プロ目線で判断してくれるという点が、「仲介」そのものと同じくらい重要です。この部分を「直接購入」では自分で行う必要があるので、それだけ契約上のリスクは高くなることに注意しましょう。

さらに、当事者として契約を結ぶため、必要書類の準備やローンの手続き、添付書類のための調査など、普通は仲介の不動産会社が進めてくれる手続きを自分で行う手間が生じるのも難点です。特に住宅購入では工事関連の書類なども必要となることが多いため、これを自力でこなすのはあまり現実的ではありません。

不動産仲介によって不動産会社が担う部分も、すべて自分でこなすことができる知識があるのであれば、不動産会社から土地や建物を直接取引するリスクを軽減することができるでしょう。

【ケース2】売主と買主の両方から仲介手数料を受け取れる場合は無料になる可能性も

2つ目は、売主と買主の両方から、不動産会社が仲介手数料を受け取れるケースです。不動産取引において、売り手と買い手が同じ不動産会社を通じて取引するというのは、ごく一般的なことです。通常であれば売主と買主、両方それぞれが仲介手数料を負担するのですが、売主が早く売却したいなどの事情がある場合、「売主が双方の仲介手数料を負担する」、あるいは「不動産会社が売主側の仲介手数料だけで仲介している」ことも。こういった取引では、結果として買主側の仲介手数料が無料になることもあります。

買主側の仲介手数料が無料になるパターンは、このように売主側と不動産会社の努力で実現されるものです。しかし、逆に売り手側の仲介手数料が無料になるというケースは、注意が必要です。なぜなら、これは不動産取引において「囲い込み」と呼ばれる手法を用いている可能性が大きいためです。

「囲い込み」とは、売主の仲介手数料を無料にする代わりに、自社の紹介する顧客とだけ契約をしてほしいと迫ったり、売主の意向を無視して物件情報を公開しなかったりするという方法です。違法性の高い方法であるに関わらず、売主が本来であればもっと高い値段で売れる可能性に気づきにくい手口なので、何の説明もなく売主側へ「仲介手数料無料」を持ちかけてくる会社には注意が必要です。

04仲介手数料の仕組みを理解して、不動産売買を成功させよう

今回は土地や建物の購入に欠かせない、不動産仲介の手数料について説明しました。実際の取引では、不動産そのものの価格交渉や、ローン設定などに神経を使うため、諸費用までなかなか気が回らないかもしれません。しかし、仲介手数料は契約成立後に支払うことが多い上に、その金額も数十万円単位となることが一般的です。きちんとどのような仕組みで決まっているのか、いくらくらい必要なのかを知っておくことは、不動産売買をするなら大切です。基本的な仕組みを理解してから、売買の検討に入りましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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