消費増税による住宅購入の影響とは?支援制度を最大限活用しよう

2021.01.29 17

住宅購入といった大きな買い物では、消費税10%アップによる影響は計り知れません。消費税は住宅そのものだけでなく、住宅購入に伴う諸費用に対しても課税される点はかなり悩ましいところです。そこで今回は、住宅購入を考える際に知っておきたい「消費税の10%アップによって影響のあるポイント」を中心に解説。特例・軽減措置や住宅購入支援のさまざまな施策についても、合わせて説明していきます。

01消費増税による住宅購入への影響は?

住宅購入では、住宅の購入代金以外に税金や仲介手数料、保険料などの諸費用が必要です。しかしそのなかには、消費増税によって「影響がないもの」と「影響があるもの」とが存在します。まずはこの点について、順番に見ていきましょう。

住宅購入で消費増税の影響がないもの

消費税は2014(平成26)年4月1日に8%、2019(平成31・令和元)年10月から10%に引き上げされました。消費税は日本国内で行われる、あらゆる商品販売やサービス提供に関する取引に対して課税される税なので、当然、住宅のような大きな買い物も課税対象です。とはいえ、数千万円単位の住宅に消費税10%そのまま課税されると、かなり大きな金額となるので、一部の費用は非課税になる措置があります。

住宅購入にかかる諸費用のうち、「消費税が課税されない」ものは以下の通りです。

  • 土地代金
  • 売主が個人の中古住宅(消費税課税事業者ではない個人や免税事業者など。土地だけでなく建物も課税対象外となる)
  • 保険(火災・地震保険や団体信用生命保険など)
  • ローンの保証料
  • マンションの管理費・修繕積立金
  • 宅地と一体化している庭園、石垣、庭石など

押さえておきたいポイントとしては、「土地は非課税」であること、そして一般的なご家庭が中古住宅を購入し、かつ売主が個人の場合は「建物も非課税」になる点です。家族の生活基盤となる住居そのものに関する費用については、非課税となることを押さえておきましょう。保険料やローンの保証料なども生活基盤の一部と考えられるため、こちらも基本的に非課税です。

住宅購入で消費増税の影響があるもの

続いて、住宅購入の際に「消費税が課税される」ものを挙げていきます。

  • 住宅の建築費用
  • 土地の造成・整地費用
  • 建築工事やリフォーム工事などの請負工事費用
  • 仲介・媒介手数料
  • 住宅購入時に必要な諸費用の一部(住宅ローンの融資手数料や繰り上げ手数料、登記手数料、司法書士報酬など)
  • 駐車場の賃料(マンション敷地内の管理組合が管理する駐車場以外)
  • 家具・家電の購入費用
  • 引っ越し費用

新築住宅や建売住宅を購入する場合、「建物」の建築費用に対して消費税がかかる点が重要です。この点が中古住宅の購入との大きな違いとなります。建物部分への課税がプラスされる分、新築住宅の購入では消費税負担が重くなるのです。

さらに登記手数料や融資関連の手数料、不動産会社に支払う仲介手数料などは住宅購入に関連した「サービス」となるため、これらすべてに消費税がかかります。トータルすると数百万円単位になることもめずらしくはありません。そこで、消費税を軽減するための措置を利用することが重要になります。

02増税後に政府から打ち出されている住宅購入の支援策

消費税率の引き上げ後、具体的には2019(平成31・令和元)年10月1日以降に「引き渡し」された住宅は、消費税10%が適用されます。しかしこのままでは消費税の引き上げ分の負担が大きくなるため、住宅購入における特例・軽減措置が政策的に用意されています。代表的なものを解説していきましょう。

住宅ローン控除

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンの利用によって住宅を購入する際に、住宅購入者の「ローン金利負担分」を軽減するために用意されている特例制度です。控除額の決め方は、以下の3つのうち、最も少ない額が控除額となります。

  1. 年末の住宅ローン借入残高の1%
  2. 住宅ローン控除の最大控除額40万円(長期優良住宅などは最大50万円)
  3. 各年の所得税+住民税

控除分の金額は、納税する年の所得税から控除が受けられる仕組みです。所得税から控除しきれなかった分は、上限13万6500円まで住民税からも控除されます。そのため、納税額(特に所得税)が少ない場合は、控除上限すべてが還付されるわけではない点に注意しましょう。

住宅ローン控除は、基本的に借り入れから10年が期間の上限ですが、消費税率10%引き上げによる特例として、3年間の期間延長となりました(トータルの適用期間は13年間)。ただし、この13年間の適用を受けるためには「2020(令和2)年12月末までに入居する」ことが条件です。もし新型コロナウイルスの影響によって工期が遅れたなどで入居が難しい場合は、「2021(令和3)年12月末の入居まで」に条件が緩和されます(入居時期が延期となったこと示す書面の申し出が必要)。

もう1つ重要な点が、適用期間が13年に延長された場合、11~13年目はそれまでの10年間と同じ控除額の決め方ではない点です。具体的には以下の2つの金額のうち、いずれか少ない方になります。

住宅ローン控除 延長期間(11~13年目)の控除額決定方法

  1. 年末時点における住宅ローン残高の1% 
  2. 建物購入価格の2%÷3

さらに適用要件が3つあります。

住宅ローン控除 延長期間の適用を受けるための要件

  1. 床面積が50㎡以上
  2. 借入金の償還期間が10年以上
  3. 床面積の2分の1以上が契約者自らの居住用の住宅である

適用要件「1」の床面積は、2021(令和3)年度から要件が緩和され、床面積40㎡以上からとする方針を政府が発表しました。ローン負担の軽減のために特別な措置が取られた形です。なお、「住宅ローン控除」を最大限お得に活用する方法として、住宅を夫婦の共有名義で分けてペアローン、もしくは連帯債務にする方法がよく知られています。必ずしもすべてのケースでお得になるわけではないのですが、もう少し詳しい内容について知りたい方は後の説明をご参考ください。

すまい給付金

「すまい給付金」とは、2014(平成)26年に消費税8%に引き上げられた際、政府によって創設された給付金制度です。消費税8%の場合で最大30万円(年収目安425万円以下)、消費税10%では上限50万円(年収目安450万円以下)の給付となります。具体的な給付金の上限額は、以下の通りです。

収入額の目安 都道府県民税の所得割額※ 給付基礎金
450万円以下 7万6000円以下 50万円
450万円超525万円以下 7万6000円超9万7900円以下 40万円
525万円超600万円以下 9万7900円超11万9000円以下 30万円
600万円超675万円以下 11万9000円超14万600円以下 20万円
675万円超775万円以下 14万600円超17万2600円以下 10万円

※政令指定都市および神奈川県は、他の地域と都道府県民税の税率が異なるため、所得割額のみ上表と異なります。詳しくは、すまい給付金のホームページ をご確認ください

「すまい給付金」も住宅ローン控除と同様に、住宅を共有名義で取得すると、その持分割合に応じて複数の人での給付申請が可能となります。

例えば会社員の夫(年収500万円)一人で住宅を所有した場合(扶養家族なし)を想定すると、給付額は40万円。しかし夫婦で共有名義にし、それぞれすまい給付金を申請すると、給付額が変わります。夫の所有権の持ち分2/3、妻の持ち分を1/3とし、妻の年収を200万円と仮定すると、以下のような計算になります。

  • 夫:すまい給付金26万6000円=40万円×2/3
  • 妻:すまい給付金16万6000円=50万円×1/3
  • 合計:43万2000円

つまり、夫一人のときより3万2000円(43万2000円-40万円)、多く給付金がもらえることになります。なお、給付金の目安となる収入は「都道府県民税」の所得割額で確認されます。そして「都道府県民税の所得割額」は、収入(額面収入)から給与所得控除や扶養控除等の各種項目を控除し税率を乗ずることによって算出します。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例

住宅を「贈与」によって取得する場合、適用される特例があります。「贈与」とは、対価なしに財産を与える法律行為のこと。住宅そのものを贈与する場合だけでなく、その購入資金を「贈与」した場合も適用対象です。

「贈与」では、1年間あたり110万円までは非課税となる基礎控除枠(これを「暦年控除」という)があります。これに加えて、子どもが住宅を購入するための資金援助として親(または祖父母)が贈与した場合、贈与税が課税されない特例が用意されているのです。これを「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」といいます。

この非課税の特例は、2015(平成27)年12月31日までは最大1000万円(省エネ住宅などは1500万円)でしたが、消費税10%で購入した住宅に関しては最大2500万円(省エネ住宅なら3000万円)までに拡大しているので、非常にお得です。具体的には2020(令和2)年4月1日から2021(令和3)年3月31日までの間に、新築契約などを締結した住宅が対象となります。

なお、この期間が過ぎた2021(令和3)年4月からは2022(令和4)年3月31日までに契約した住宅だと最大1000万円(省エネ住宅なら1500万円)、2022(令和4)年4月1日から同年12月31日までに契約を結んだ住宅は700万円(省エネ住宅で1200万円)です。あくまでも消費税10%の切り替え期間の限定になります。

03増税後でも住居を購入した方が得になるケースとは?

2019(平成31・令和元)年の消費増税と同時に、住宅購入に関してはさまざまな軽減措置がとられました。なかでも「住宅ローン」に関する軽減措置は、消費増税とセットで考えるとお得になるケースがあります。代表的な事例について説明しておきましょう。

ローン金利が1%以下で、住宅ローン控除が受けられる場合

住宅ローン控除は「年末時点における住宅ローン残高1%の控除」「納税額(所得税+住民税)」「住宅ローン控除の最大控除額40万円(長期優良住宅は最大50万円)」のうち、最も低額な金額に決定する仕組みです。

仮に「年末時点における住宅ローン残高1%の控除」の適用を受けたケースを想定してみましょう。例えば2000万円の住宅ローンを金利0.8%で借入れしたとします。すると、1年間の金利負担は約16万円。ここで「住宅ローン控除」が「年末時点におけるローン残高の1%控除」ということを思い出していただくと、最大で控除額は20万円前後になります。その結果、実質的に初年度に関しては差し引き、約4万円がお得になる計算です。控除分を金利と相殺して考えると、「実質マイナス金利」となります。

実際には納税額や借入額によって金利や控除額が変わるので、このように上手くいくケースばかりではありません。ただし一般論として、ローン残高が多く残っている段階であれば、数年間は「実質マイナス金利」となる可能性は高いのです。住宅ローン控除の適用期間中で低金利ローンを借り入れできれば、きわめて節税効果が高くなるといえるでしょう。

夫婦で住宅ペアローンを組む場合

2つ目のパターンは「ペアローン」です。先ほども少し触れましたが、夫婦で住宅を共有名義にして住宅ペアローンを組むと、住宅ローン控除との合わせ技によって節税になる可能性があります。具体的に説明しましょう。

例えば4200万円の住宅ローンを夫だけで組んだケースを想定します。夫の年収を500万円、家族は妻のみで子どもなし、妻の年収は300万円(配偶者控除なし)の共働き夫婦とし、年間の返済額は100万円と仮定します

※所得税、住民税の計算は2020(令和2)年の税制改正にしたがっています。所得税の計算において、控除としては給与所得控除、社会保険料控除(年収の14.2%)、および基礎控除のみを加味するものとし、住民税は標準税率の均等割り(5000円)と所得割(所得税×10%)で算出。あくまでも概算値ですので、個々のさまざまなファクターによって変動はあります。

夫一人で住宅ローンを組んだ場合

夫の年収 500万円
所得税 13万9500円(=年収500万円-給与所得控除額144万円-社会保険料71万円-基礎控除額48万円)×10%-9万7500円)
住民税 24万7000円(=所得割24万2000円【年収500万円-給与所得控除額144万円−社会保険料71万円-基礎控除額43万円×10%】+均等割り5000円)
納税額の合計 38万6500円
年末のローン残高 4100万円

この場合、年間の住宅ローン控除は4100万円×1%で控除額は最大40万円となりますが、納税額の合計の方が小さいので、38万6500円が控除額となります。しかし、これが満額控除となるわけではありません。住民税24万7000円のうち、控除額の上限は13万6500円となるため、実質の控除額は27万6000円となります(所得税13万9500円+住民税の上限13万6500円)。

では、次に夫婦の共有名義によるペアローンを想定してみましょう。共有持分は半分ずつ、ローンの借り入れも夫婦それぞれ2100万円ずつ(合計4200万円)で計算します。

夫婦でペアローンを組んだ場合

夫の年収 500万円
所得税 13万9500円(=年収500万円-給与所得控除額144万円-社会保険料71万円-基礎控除額48万円)×10%-9万7500円)
住民税 24万7000円(=所得割24万2000円【年収500万円-給与所得控除額144万円−社会保険料71万円-基礎控除額43万円×10%】+均等割り5000円)
納税額の合計 38万6500円
年末のローン残高 2150万円
妻の年収 300万円
所得税 5万5700円(=年収300万円-給与所得控除額98万円-社会保険料42万6000円-基礎控除額48万円)×5%)
住民税 12万1400円(=所得割11万6400円【年収300万円-給与所得控除額98万円−社会保険料42万6000円-基礎控除額43万円×10%】+均等割り5000円)
納税額の合計 17万7100円
年末のローン残高 2150万円

この場合、夫は21万5000円(ローン残高の1%)、妻は17万7100円(納税額)が控除額となりますから、合計すると39万2100円の控除額となります。夫一人の場合の控除額27万6000円と比べると1年間で11万6100円、10年間で115万円以上もお得になる計算です。

もちろん、すべてのケースでペアローンの方がお得になるわけでありません。全体的な傾向としてはローンが4000万円を超えている場合や、夫婦のうち高い方の年収がローン残高の13~15%前後の場合は、ペアローンの方がお得になることが多いでしょう。

04新型コロナウイルスの影響による不動産購入の影響は?        

新型コロナウイルスの影響で、今後、消費減税などが一部検討される可能性があります。欧米では付加価値税(消費税)の減税に踏み切る国が相次いでいるものの、日本政府は2020(令和2)年12月時点で消費減税に否定的です。ただし不動産の流動性は景気を大きく左右するので、住宅の購入に関しては今後特例措置が実施される可能性があります。

一方で増税対策として導入された住宅ローンは2021(令和3)年の税制改正で、住宅ローン控除の適用期間10年(条件により3年延長される)をさらに延長する方向で議論が進んでいます。住宅ローン控除の控除率を決定している財務省も、1%の控除率をさらに引き上げるかどうかを検討中です。

とはいえ消費減税を実施した結果、住宅ローン控除が適用されないといったバランスを取った施策を実施する可能性もあるため、住宅購入を検討中の方はしばらく住宅ローン関連のニュースや政府発表などを注視しておきましょう。

05消費増税時には特例措置があるので、上手に活用して住宅購入を!

今回紹介したさまざまな特例措置は、消費増税10%アップに伴う特例として実施されています。そのため、残念ながら適用期間が終わってしまうものもあるのですが、不動産売買は経済全体への影響が大きいため、適用期間の延長されるケースはよくあります。特にコロナ禍での経済の冷え込みは相当なものと予想され、今後政策的な特例措置が新たに実施される、あるいはここで紹介した制度の適用期間を延長するといった決定がなされる可能性もあります。住宅購入は選定から購入、入居まである程度の期間がかかるので、こまめに新情報をチェックしつつ、効率よく資金計画を立てていきましょう。

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