分譲マンションとは?賃貸マンションや一戸建てと比較したメリットを紹介
住宅購入を検討している人の中には、分譲マンションも選択肢に入れている人も多いでしょう。しかし「賃貸マンションと、どこが違うのか」「分譲マンションのメリット・デメリットが分からない」という人もいるかもしれません。そこでこの記事では、分譲マンションと賃貸マンションとの違いをはじめ、分譲マンションのメリット・デメリットを解説していきます。さらに単身者、ファミリー、シニア夫婦向けに分譲マンションの選び方のポイントも紹介するので、参考にしてみてください。
01分譲マンションとは?賃貸マンションとは?
分譲マンションとは、一棟を一戸ごとに「分割して販売しているマンション」のことを指します。なお一棟の建物に構造上区分され、複数の部分で独立した住居、店舗、事務所などがある建物のことを「区分所有建物」といい、分譲マンションもこれに該当します。
分譲マンションは「建物の区分所有等に関する法律」により、「専有部分」と「共用部分」に分かれています。壁や床など他から遮断されている住戸部分は「専有部分」で、駐車場やエントランス、ごみ置き場などは、すべて「共用部分」になります。ちなみに意外かもしれませんが、バルコニーや1階の専用庭も「共用部分」に該当します。しかし構造上は共用部分なのですが、マンションの管理規約によって「専用使用部分」に定められており、特定の人しか利用できない部分です。反対に自分のバルコニー、専用庭だからといって、マンション管理組合の許可なく改装することもできないので、気を付けましょう。
また分譲マンションを住宅ローンの利用で購入した場合、毎月のローン返済に加えて、マンションの管理費や修繕積立金の費用もかかります。
一方、賃貸マンションとは、賃貸借契約に基づき、人に貸し出すことを前提とする建物のことです。借りている部屋は入居者の専有部分にはなりますが、分譲マンションとは異なり、所有権は大家にあるため勝手にリフォームなどはできません。また賃貸マンションを借りる際、初回のみ敷金や礼金、仲介手数料といった費用が発生し、住み続ける間は毎月の家賃をオーナーや管理会社に支払います。家賃以外にも管理費や共益費がかかる場合もあります。
02賃貸マンションと比べた分譲マンションのメリット
賃貸マンションと比べると、分譲マンションには以下のようなメリットがあります。
設備や構造がハイグレード
一般的に、分譲マンションの外観や設備、構造については、賃貸マンションよりもハイグレードな造りであることが多いものです。一方、賃貸マンションは設備や構造より物件の収益性が重要視されるため、若干低コストであるケースが多くみられます(賃貸仕様の大量生産型の製品が用いられることも)。
居住性の高さ
分譲マンションの専有部分(住戸部分)は自分の持ち物であるため、好きなようにアレンジすることが可能です。住みやすいようにリフォームすることで、居住性を高めることもできます。ただしリフォームを行う場合は、騒音が発生することや共有部分の養生の必要があることから、管理人に事前に伝えておくことが大切です。
一方の賃貸マンションは、大家や管理会社の許可なく勝手にリフォームすることはできません。賃貸マンションは退去する時に原状回復の義務があり、どうしてもリフォームしたい場合は大家や管理会社に交渉する必要があります。
住宅ローンを完済すれば一生、住居費を払わなくてもよくなるいい
分譲マンションの場合、住み続けている間、マンションの管理費や修繕積立金の支出は必要になりますが、住宅ローンを完済すれば毎月の大きな額の住居費(いわゆる家賃)は不要となります。しかし賃貸マンションの場合は、一生家賃を払い続けなければなりません。高齢者になると、支払い能力や保証人がいないなどの問題から、賃貸マンションの貸し渋りなどに遭う可能性もあります。
03一戸建てと比べた分譲マンションのメリット
一戸建てと比べた際、分譲マンションには以下のようなメリットがあります。
セキュリティ面やバリアフリー
分譲マンションは、一戸建てに比べて防犯カメラやオートロック、管理人常駐など、セキュリティ面に安心感があります。エレベーターが設置されていれば、高齢者や障害者など歩行に不安がある人でも、階段の上り下りがなく比較的移動もしやすいでしょう。室内もワンフロアで室内段差がほぼない間取りが多いため、バリアフリーの生活がしやすくなります。
また一戸建ての場合、洗濯を干すために2階に上がるなど家事動線が縦になり、高齢者はそれがもとでケガにつながるケースもあります。しかし分譲マンションならワンフロアなので、家事動線が横だけで済み、階段の上り下りなどの動きがなくコンパクトまとまります。
利便性がよい
分譲マンションは一戸建てに比べて駅近の物件が多く、通勤・通学に便利であるケースが多いことが魅力であり、特長となっています。またマンションの管理を管理会社に委託できるため、マンション回りや共有部分の清掃といった負担もありません。
04分譲マンションのデメリット
分譲マンションのメリットを紹介してきましたが、分譲マンションには複数人が共用で暮らすため、住民間のトラブルなどのデメリットもあります。
例えば上下左右が他の住戸と隣接しているため、特に古い分譲マンションほど騒音問題に発展しやすいでしょう。またマンションの管理規約が細かいため、守らない人が出るなど、迷惑行為につながる点も挙げられます。
他にもペットの頭数や種類の規則を守らない、粗大ごみを出す際に粗大ごみのシールを出さずに出す、共用部分に自転車などを放置する、禁煙部で喫煙をする、上層階から下層階にゴミを捨てる、駐車場を外部に無断で貸し出したり無断で民泊などを始めたりと、さまざまなトラブルにつながることがあります。
さらにマンションの管理費や修繕積立金が値上がりするケースもあり、家計を圧迫することも想定されます。マンションの管理費や修繕積立金、駐車場使用料は、住宅ローンを払い終えても続くため、年金収入だけになった老後の家計には大きな負担になるでしょう。
その点、一戸建てならペットの頭数や種類を気にしなくてよい、足音などの騒音問題が少なくて済むなどのメリットがありますし、賃貸マンションは住み替えが気軽にできるなど、分譲マンションにはないメリットがあります。住宅購入を検討している人は、それぞれのメリット・デメリットを比較することが何より大切といえるでしょう。
05分譲マンションの選び方
分譲マンションのメリット・デメリットを把握した上で、分譲マンションを購入するのであれば、家族構成などを考慮して、購入したい分譲マンションを決めましょう。ここでは単身者、ファミリー、シニア夫婦の3パターンで、分譲マンションを選ぶポイントを紹介します。
単身者
単身者であれば、今流行りのコンパクトマンションがおすすめです。コンパクトマンションとは、一般的に床面積30㎡~50㎡未満のマンションを指します。ファミリー向けの分譲マンションより価格が抑えられており、かつ設備やセキュリティ面は最新である物件が多く見られる点がメリットといえます。
コンパクトマンションの間取りは1~2LDKがメインで、将来的に結婚などを考えているのであれば2LDKなど少し広めの間取りを選んでおくと、結婚後も住むことができます。やはり1LDKのマンションでは夫婦2人で生活する際には少し手狭となり、暮らしにくいことが考えられます。また、IDLKのマンションは立地場所にもよりますが、ファミリー向けのマンションに比べて売却しにくいという特徴があります。2LDKのコンパクトマンションは1LDKがメインのマンションよりも立地条件がよい場所に建てられているケースが多いので、資産価値が落ちにくく、賃貸需要も高い傾向があります。家族構成の変化で引っ越しを検討する際にも、賃貸に出せば家賃収入を得られる可能性もあります。
また2021(令和3)年度の税制改正によって、住宅ローン控除の適用条件が緩和され、床面積が「50㎡以上」から「40㎡以上」になりました。これにより、今まで住宅ローン控除の適用が難しかったコンパクトマンションにも適用される可能性があるでしょう。ただし、新たに対象となる40㎡以上50㎡未満の物件については、所得制限があり「合計所得金額1000万円以下の者」という条件が付いていることに注意が必要です。
ファミリー
ファミリーで分譲マンションの購入をする際、まず考えたい点が「マンションの規模」です。100戸以上ある大規模マンションだとさまざまな世代が集まるため、キッズルームやパーティールームなどの共用施設が充実しているケースも多いでしょう。また大規模マンションの周辺は開発が進み、ショッピングセンターやコンビニ、飲食店、クリニックといった便利な施設が徐々にできるケースもあり、生活はより便利になることが予想されます。
一方、50戸以下の小規模マンションだと住民同士が顔見知りになる場合が多く、不審者の侵入に気づきやすい点がメリットです。大規模マンションに比べて敷地面積が広すぎないため、ゴミ置き場や駐車場までの動線が短いなどのメリットがあります。どちらの方が家族の生活スタイルに合っているか、それぞれの特長を考慮して選ぶと良いでしょう。
シニア夫婦
シニア夫婦であれば、おすすめはシニア向け分譲マンションです。シニア向け分譲マンションとは民間事業者によって販売・運営される、高齢者が生活しやすいように配慮されたバリアフリーが完備された分譲住宅のこと。マンション内に生活支援サービスやレストラン、フィットネスジムなどの施設がある物件もあり、介護レベルが軽度なシニア夫婦でも、生活しやすい点がメリットといえます。
シニア向け分譲マンションは、他の分譲マンション同様、購入後は資産になるため、子どもに相続させたり賃貸に出したりすることも可能ですので、資産形成として利用することもできます。しかも「老人ホーム」やシニア向け賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅」とは異なり、リフォームもできるため、自由度が高いことも特徴の一つです。賃貸マンションでは先述した通り、高齢者への貸し渋りの可能性がありますが、シニア向け分譲マンションなら貸し渋りに遭うことはありません。ただしマンションの管理費や修繕積立金は他の分譲マンション同様に必要になること、そして購入費用が高額になる点はデメリットといえます。
06分譲マンション購入では無理のない資金計画を!
分譲マンションの購入にあたり、資金面で不安があるなら「借入可能額シミュレーション」を利用してみましょう。今払っている家賃から購入できる住宅の予算が分かります。また実際の金利を使ってローン支払いのイメージをしたい人は「毎月の返済額シミュレーション」を試してみましょう。ボーナスの返済額を含めて月々の支払いがイメージできるようになるはずです。シミュレーションにおいては「借りることができる額」ではなく、「無理なく返せる額」を考えることが大切。その点を念頭に置いて、無理のない資金計画で快適な住まいを手に入れましょう。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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