住宅ローン、ボーナス払いに頼って大丈夫?20代の約9割が抱える返済不安と今すぐできる対策

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住宅ローンを組む際、「これからもずっとボーナスが出るはず」と考えて、ボーナス払い(ボーナス併用返済)を選ぶ方もいます。しかし近年は、景気や雇用の変化から「本当にボーナス払いを続けられるのか」と不安を感じる人が増えています。特に若年層に多く、ある調査では20代の約9割が「ボーナス払いに不安を感じている」と回答しました。 この記事では、ボーナス払いが抱えるリスクや実際に後悔した人たちの声、そして困った時の具体的な対処法について解説します。「今は返済できているが将来が不安…」と感じる方は、ぜひ参考にしてください。

01住宅ローンのボーナス払い、20代の約9割が不安を感じている!

住宅ローンの「ボーナス払い」は、月々の返済額を抑え、ボーナス月に増額して支払う仕組みです。子どもの教育費など他の出費が多い世帯にとっては、毎月の負担を軽減できる点が大きなメリットといえるでしょう。しかし近年、ボーナス払いの将来に不安を抱く人が増えています。

インプルーブメント株式会社が2025年6月に実施した「住宅ローンのボーナス払いに関する実態調査」では、住宅ローンでボーナス払いを利用している人のうち、全体の80.8%が「不安を感じている」と回答しました。特に20代では89.6%にのぼり、調査結果から若年層ほど将来への不安が強いことがうかがえます。

不安の理由としては、「金利が急変したら返済が厳しくなる」「ボーナスが本当に支給されるのか不安」といった声があり、不安定な経済状況と将来への不確実性が背景にあります。

とりわけ20代は、収入やキャリアが安定していないケースも多く、将来的な昇給やボーナス支給の有無が読みづらいのが実情です。加えて、結婚・出産・転職などライフイベントが重なる時期でもあり、ボーナス払いに過度に依存すると、返済計画が大きく崩れ、結果的に家計へ大きな負担となるリスクが高まるといえるでしょう。

02ボーナスが減額・未支給になったときのリスクとは?

住宅ローンのボーナス払いは、「月々の返済額を抑えられる」「借入額を増やせる」といったメリットから、多くの人に利用されています。ただし、もしボーナスが減額されたり支給されなかったりした場合、その影響は想像以上に大きくなるおそれがあります。

前述のアンケート調査によると、ボーナスが減額・カットされた場合に「非常に困る(返済が困難になる)」と答えた人が25.4%、「やや困る(家計を切り詰める必要がある)」と答えた人は44.4%にのぼり、実に約7割が返済や生活への影響を懸念していました。

特に、住宅ローン返済額のうちボーナス払いが20〜30%以上を占める家庭は要注意です。月々の返済額を抑える代わりにボーナス払いに大きく依存していると、支給額が減るだけで家計のバランスが一気に崩れてしまいかねません。

返済困難に直面した場合の対応としては、6割以上が「貯蓄の切り崩しを検討する」と回答しています。また、一部では「カードローンなどで一時的に借り入れをする」(5.3%)という声もあり、住宅ローンの返済問題が二次的な家計トラブルに発展することが予想されます。

ボーナス払いは一見便利な返済方法ですが、景気や会社業績の影響を受けやすく、将来の不確実性に左右されやすい点を理解しておくことが大切です。

03住宅ローンのボーナス払いリスクに備えるために今すぐできる3つの対策

すでにボーナス払いを利用していて不安を抱えている人は、どのように備えればよいのでしょうか。ここでは、リスクを減らすための3つの対策を紹介します。

毎月払いへの金額変更を相談する

ボーナス払い分を毎月払いに変更できるか、金融機関に相談してみましょう。ボーナス支給が不安定な状況から解放され、返済計画を立てやすくなります。例えば【フラット35】では、毎月払い分とボーナス払い分の金額内訳の変更が可能です。ただし、この変更には金融機関での審査が必要であり、必ずしも希望通りに変更できるとは限りません(※金融機関によっては制限もあります)。

また、返済総額や毎月の返済額が変わるため、事前にシミュレーションで確認して、検討する必要があります。返済が難しくなってからでは遅いため、早めに金融機関に相談しましょう。

家計を見直し、繰り上げ返済や貯蓄を優先する

支出を整理して、余剰資金を「繰り上げ返済」や「生活防衛資金の貯蓄」に回しましょう。繰り上げ返済は元本を減らし将来の利息負担を軽くできますし、貯蓄はボーナスが支給されなかった場合の備えになります。

教育費の支出が控えている家庭は貯蓄を優先、子どもが独立して余裕がある世帯は繰り上げ返済を優先するなど、ライフステージによって最適な選択は異なります。迷う場合は、住宅ローンシミュレーションを活用して、自分の家計に合ったバランスを試算すると安心です。

当サイト内の「住宅購入予算シミュレーター」なら、教育費やライフイベントも考慮したうえで、回答に応じたプランを3パターン提示してくれます。「貯金を重視したい」などの要望に沿った、無理のない返済計画を見つけることができます。

住宅ローンの借り換えを検討する

将来の返済負担が気になる場合、借り換えによって返済条件を見直すという選択肢もあります。ボーナス払いをなくして毎月払いに統一したり、変動金利から固定金利に切り替えたりすれば、将来の不安を軽減できるかもしれません。

ただし、すでに返済が厳しい状況だと借り換え審査が通りにくくなることもあるため、余裕があるうちに複数の金融機関を比較し、情報を集めておくことが大切です。

ボーナス払いは便利に見えても、将来のリスクを考えると早めの備えが不可欠です。状況に合わせてこれらの対策を実践し、安心できる返済計画を整えましょう。

04住宅ローンの不安から抜け出すために今すぐできること

住宅ローンのボーナス払いは、将来的な支給額の不確実性や減額リスクを伴うため、特に若年層で不安を感じる人が増えています。もしボーナスが減ったり支給されなかったりすると、返済が苦しくなり、家計全体を見直さざるを得なくなる可能性もあります。これから住宅ローンを借り入れる方は、ボーナス払いのリスクを十分に理解したうえで、まずはご自身の返済プランを「見える化」することをおすすめします。当サイトの住宅ローンシミュレーターでは、住宅購入の予算や毎月の返済額など目的に応じて試算できます。条件を比較しながら、教育費や将来のライフイベントも見据えた無理のない返済プランを描くことが、安心できる住宅ローン生活への第一歩です。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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