フラット35が使えない物件はある?基準や条件を徹底解説!
全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は、一般的に民間銀行に比べて審査が厳しくありません。そのため、民間の金融機関で審査が通らなかった人でも比較的、審査が通りやすいでしょう。しかし金利が最長35年間の全期間固定型であることから、「住宅」に関する条件が厳しいという特徴もあります。 この記事では、「フラット35を利用できないケース」を知りたい人に向けて、利用できない物件や、できなかった場合の対処方法、またフラット35を利用できない人の基準や条件などを詳しく解説していきます。 フラット35の基準をクリアできる場合は、さらに金利優遇があるフラット35Sの利用も検討してみてください。
- 01フラット35が使えない物件とは?
- 検査済証が交付されていない物件
- 接道義務規定に適合しない物件
- 住宅の床面積が狭い物件
- 住宅の規格や型式が適合しない物件
- 耐火構造・準耐火構造・耐久性の基準を満たさない
- 02フラット35の基準に適合していない場合の対処法
- 【新築物件のケース】一般的な物件検査の流れ
- 【中古物件のケース】一般的な物件検査の流れ
- 03フラット35を利用できない人とは?
- 申込時の年齢が満70歳未満の人
- 外国籍で「永住者」または「特別永住者」がない人
- 04フラット35の基準をクリアしたら、より金利が低くなるフラット35Sも視野に!
- 05【フラット35】も最短1分で借入可能額がわかる!クイック事前審査を試してみよう
01フラット35が使えない物件とは?
まずはフラット35が利用できない物件について解説します。
検査済証が交付されていない物件
フラット35を利用するには、適合証明書を取得しなければなりません。適合証明書とは、建設または購入する住宅が、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることを示す書類です。
適合証明書を取得するには、適合証明検査機関に物件検査の申請を行い、合格する必要があります。適合証明では、以下の5つがチェックされます。
- 耐久性・可変性
- 省エネルギー性
- 耐震性
- バリアフリー性
- 安全性・快適性
「どのフラット35を利用するか」によって適用される技術基準は異なるものの、適合しなければ適合証明書は交付されません。適合証明書が取れない場合は融資を受けられません。
接道義務規定に適合しない物件
一戸建て、マンションに限らず、原則として「一般道に2m以上接すること」という基準項目があります。これを「接道義務」といい、建築基準法第43条で規定されています。建物の敷地は、建築基準法上の道路(幅員4m以上の道路)に2m以上接していなければならないという規定です。
例えば、建築基準法の道路に面しているものの、間口が2m未満であったり、接している道路が建築基準法の幅員4mに満たなかったりするケースでは接道義務を満たしていないと判断されます。接道義務を満たさなければならない理由として、緊急時に消防車や救急車などの車両が無理なく入れるようにするためです。
ただしケースバイケースで認められることもあるので、判断がつかない場合は取り扱い金融機関に問い合わせるとよいでしょう。
住宅の床面積が狭い物件
一戸建て住宅などでは70平方メートル以上、マンションは30平方メートル以上という住宅の規模も定められています。住宅の規模とは、「住宅部分の床面積のみ」で、車庫や共用部分(マンションの場合)の面積は除かれます。
延べ床面積が70平方メートルに満たない狭小住宅はフラット35を利用できませんが、土地探しの時点でワンフロアの延べ床面積はある程度算出できるため、事前に算出しておくことが大切です。
住宅の規格や型式が適合しない物件
住宅の規格として、原則2以上の居住室(家具などで仕切れる場合でも可)ならびにキッチン、トイレ、浴室の設置が必須です。要するに、生活するうえで必要な設備がない建物を購入してもフラット35は利用できないということです。ちなみにシャワーのみの設置は不可となります。
また、木造の住宅(耐火構造の住宅および準耐火構造を除く)で、フラット35を利用できるのは一戸建てまたは長屋住宅と定められています。長屋住宅の場合は連棟タイプ(連続建て)も重層タイプも対象です。
二世帯住宅に関しては、住宅内部では行き来できない場合も含め、棟全体を一戸建て住宅として取り扱い、融資・物件検査の申請ができます。
耐火構造・準耐火構造・耐久性の基準を満たさない
フラット35では、住宅の構造が耐火構造、準耐火構造または耐久性基準に適合しているかもチェックされます。
耐火構造とは、万が一、建物で火災が起きても建物が倒壊せず、周りの建物への延焼を防止できるよう、壁や柱などに耐火性能を備えた構造のことです。
一方の準耐火構造とは、周りの建築物や建築物が火災により加熱を受ける間、消防活動しなくても、壁や柱などの主要構造部が崩壊・倒壊しない性能を備えた構造(省令準耐火構造を含む)をいいます。
また耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔などに関する基準のことです。土台などの木の部分を床下の湿気や雨水の跳ね返りによって腐食しないよう、地面から基礎の上端まで、または地面から土台の下端までの高さが40cm以上あることが条件です。「湿気がたまりやすい屋根裏に換気孔を2カ所以上設置しているか」なども満たさなければなりません。
02フラット35の基準に適合していない場合の対処法
ここまで紹介してきたように、フラット35を利用するには、住宅金融支援機構が定めるさまざまな基準に住宅を適合させる必要があります。
1つでも適合しなければ適合証明書は交付されず、原則フラット35は利用できません。注文住宅の場合、該当しない部分の追加工事を行う必要があるため、工事費用が上乗せとなります。建売住宅の場合は適合する他の物件への変更が必要になるため、再び物件探しを行わなければなりません。
物件検査には3つの段階あります。ここから新築物件と中古物件に分けて、それぞれの流れを紹介します。
【新築物件のケース】一般的な物件検査の流れ
新築物件の一般的な物件検査の流れは以下の通りです。
- 【ステップ1】設計検査
- 【ステップ2】中間現場検査
- 【ステップ3】竣工現場検査
【ステップ1】の設計検査では、フラット35の技術基準を満たしているかを設計図面や仕様書で確認します。申請時期は中間現場検査の時期までですが、着工後でも問題ありません。
【ステップ2】の中間現場検査では、屋根工事が完了した以降、フラット35の技術基準を満たしているかを、現地で目視できる範囲で確認します。申請時期は屋根工事の完了から外壁の断熱工事が完了した間です(在来木造などの場合)。
【ステップ3】の竣工現場検査では、すべての工事が完了した時点で技術基準を満たしているかどうかを、現地で目視できる範囲で確認します。同時に、建築基準法に基づく検査済証が交付されていることも確認します。申請時期は竣工(検査済証の交付年月日)から2年以内です。
上記の3ステップを経て、物件検査に合格すると適合証明書が交付されます。ただし住宅性能評価書を取得している場合など、他の制度の物件検査が行われている場合は、設計検査や中間現場検査が省略されることもあります。建売住宅など、物件検査を受けずに住宅が完成した場合は、設計検査および竣工現場検査の申請が可能です(竣工済み特例あり)。
一般的な費用として、一戸建ての新築住宅の場合で2~3万円台ですが、建築するエリアによっても異なります。検査期間は家の建築の進行具合によって変わるものの、竣工現場検査の終了後、2週間くらいを目安に交付されます。
【中古物件のケース】一般的な物件検査の流れ
中古物件の場合、以下の要件を満たすと物件検査を省略できます。
- 築年数20年以内で、新築時に長期優良住宅の認定を受けた住宅
- 安心R住宅で、新築時にフラット35を利用した住宅
- 築年数10年以内で、新築時にフラット35を利用した住宅
- 団体登録住宅でフラット35の基準に適合している住宅
- 「中古マンションらくらくフラット35」に該当するマンション
上記以外の場合は物件検査が必要です。その場合の一般的な流れは以下です。
- 【ステップ1】受付・申請書類の確認
- 【ステップ2】書類審査と現地調査の実施
- 【ステップ3】適合証明書および物件検査概要書の交付
【ステップ1】の受付・申請書類の確認は、検査機関または適合証明技術者に申請します。適合証明技術者とは、日本建築士事務所協会連合会および日本建築士会連合会に登録している建築士を指します。引受受諾書が発行された後、調査内容を確認して現地調査日を決めます。
【ステップ2】は書類審査と現地調査の実施です。万が一、現地調査で不適合となる箇所が発見された場合でも、修繕して是正が確認されれば適合となります。
【ステップ3】の適合証明書および物件検査概要書が交付された後、フラット35を利用する金融機関に適合証明書を提出します。有効期限は現地調査実施日から戸建てで1年間、マンションの場合は竣工から5年超の物件で3年間、竣工から5年以内の物件で5年間です。
申請者は買主でも売主でも可能ですが、費用に関しては申請者が支払います。一般的な費用として、一戸建ての中古住宅で4~6万円台です。ただし建築するエリアによっても異なります。交付までの期間は、新築物件同様、現地調査の実施から2週間後が目安です。
03フラット35を利用できない人とは?
民間の金融機関に比べて、比較的審査が通りやすいといわれるフラット35ですが、なかには利用できない人もいるので解説します。
申込時の年齢が満70歳未満の人
フラット35では借入時の年齢が「70歳未満」、返済期間は最長で「80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ」と「35年」を比較して短い年数という申し込み要件が設けられています。ただし親子リレー返済では、一定の条件をクリアすることで、満70歳以上の人でも申し込み可能です。
外国籍で「永住者」または「特別永住者」がない人
外国籍でもフラット35を申し込めますし、連帯債務者や連帯保証人となって住宅を共有することも可能ですが、「永住者」または「特別永住者」の在留資格を持っていない場合は利用できません。
万が一、フラット35を利用後に、「永住者」または「特別永住者」の在留資格がないと判明した場合、借入金を一括返済しなければなりません。
04フラット35の基準をクリアしたら、より金利が低くなるフラット35Sも視野に!
フラット35Sとは、フラット35を申し込んだ人が、長期優良住宅など、耐震性や省エネルギー性などが備わった高品質の住宅を取得する際に、一定期間フラット35の借入金利を引き下げる制度です。ただし、フラット35よりも求められる住宅の技術基準レベルが高いという特徴があります。
フラット35Sには、「フラット35」S(ZEH)、「フラット35」S(金利Aプラン)、「フラット35」S(金利Bプラン)の3タイプがあり、借入金利や金利引き下げ期間が異なります。
最も技術基準が高い「フラット35」S(ZEH)の場合、借入金利が当初5年間は年0.5%引き下げ、6年目から10年目までは年0.25%の引き下げられる制度です。フラット35よりも、総返済額が約112万円お得になります。
フラット35の技術基準をクリアした場合は、よりレベルが高いフラット35Sの技術基準に適合するかを確認するとよいでしょう。
05【フラット35】も最短1分で借入可能額がわかる!クイック事前審査を試してみよう
フラット35の基準に適合していない場合、注文住宅なら該当しない部分の追加工事が必要になったり、建売住宅では適合する他の物件への変更が必要になったりすることもあります。また、申込時の年齢が満70歳未満の人や、外国籍で「永住者」または「特別永住者」がない人は基本的にフラット35を利用できません。
フラット35の基準をクリアした場合は、より金利が低くなるフラット35Sも視野に入れるとよいでしょう。なお、ARUHIの「家探し前クイック事前審査」では、最短1分で借入可能額がわかります。自営業・フリーランスで開業間もない場合でも、1回目の確定申告が済んでいれば申し込み可能です。
「フラット35の金利が業界最低水準」「住宅ローン相談のサポートが充実」「転職したばかりの会社員でも申し込み可能」というメリットがあります。物件情報は不要なので、今すぐ試してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
関連キーワード