フラット35が使える中古住宅とは?手続きの流れや条件を解説

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中古物件の購入時でもフラット35は利用できるものの、融資を受けるためには住宅金融支援機構が定めた技術基準をクリアしなければなりません。新築物件と中古物件で適合条件が異なる点にも注意が必要です。 この記事では、フラット35を利用して中古物件を購入したい人向けに建物の適用条件をはじめ、中古戸建てと中古マンションの違い、中古住宅の物件検査の流れなど基本的な内容を解説します。

01フラット35を利用した中古住宅の建物適用条件は?

フラット35を利用する場合は、住宅金融支援機構が定めている技術基準をクリアする必要があります。そのためには、検査機関もしくは適合証明技術者(日本建築士事務所協会連合会および日本建築士会連合会に登録している建築士)に物件検査の申請を行い、合格しなければなりません。そして、合格後に交付された適合証明書を金融機関に提出することにより、フラット35を利用できます。

技術基準は新築物件と中古物件で多少異なるものの、以下のような基準項目が定められています。

基準項目 条件
接道 住宅の敷地は、原則として一般の交通の用に供する道に2メートル以上接すること
住宅の規模 一戸建て、連続建て、重ね建て住宅は70平方メートル以上 マンションなどの共同住宅は30平方メートル以上 ※ただし住宅部分の床面積のみ。車庫、共用部分(共同住宅の場合)を除く
住宅の規格 原則として2以上の居住室(家具などで仕切れる場合も可能)、炊事室、トイレ、浴室があって、独立した生活を営むことができるもの
戸建て型式など 木造住宅(耐火構造の住宅および準耐火構造・省令準耐火構造の住宅以外の住宅)は、一戸建てまたは連続建て
劣化状況 構造耐力上主要な部分などが安全上および耐久上支障のない状態であること
耐震性 ・建築確認日が昭和56年6月1日以後であること
・それ以前の住宅は、耐震評価基準などに適合させる必要がある

条件に適合していない場合、適合証明書は交付されずフラット35は利用できません。ただし、現地調査で不適合となる箇所が発見された場合でも、修繕して是正が確認されれば適合となり、適合証明書が交付されます(審査の流れについては後述します)。

中古戸建てと中古マンションでの違いは?

同じ中古物件といっても、一戸建て住宅とマンションでは技術基準が多少異なります。それぞれの概要は以下のとおりです。

一戸建て住宅 マンション
接道 原則として一般道に2メートル以上接すること
住宅の規模 70平方メートル以上 30平方メートル以上
住宅の規格 原則として2以上の居住室ならびに炊事室、トイレ、浴室の設置
戸建て型式など 木造住宅は一戸建てまたは連続建て
劣化状況 場合、土台、床組などに腐朽や蟻害がないことなど 外壁、柱などに鉄筋の露出がないことなど
耐震性 建築確認日が昭和56年6月1日以後であること それ以前の住宅は、耐震評価基準などへの適合が必要
維持管理基準(管理規約) なし 管理規約が定められていること
維持管理基準(長期修繕計画 なし 計画期間20年以上

上記のとおり、劣化状況は一戸建ての場合、「土台、床組などに腐朽や蟻害がないことなど」という条件があります。マンションの場合は「外壁、柱などに鉄筋の露出がないことなど」と多少の違いがあります。

また維持管理に関する基準は、3階以上あるマンションの場合のみ設けられています。1つは管理規約で、マンションに管理規約があることが必須です。もう1つは長期修繕計画で、対象とする期間が20年以上の長期修繕計画が定められていることが必須となっています。ただし現在でも計画期間が有効なものに限ります。

耐震性の項目の「耐震評価基準」は、一戸建てとマンションで異なります。一戸建ての場合は以下の(1)および(2)に適合しなければなりません。

  1. 基礎が一体のコンクリート造の布基礎(建物の重みを「点」で支える構造の基礎)
  1. (ア)建物の形、(イ)壁の配置、(ウ)筋かいなどの有無、(エ)壁の割合のそれぞれの評価点を相乗した値(ア×イ×ウ×エ)が1つ以上であること

マンションの場合は以下の(1)~(4)すべてに適合する必要があります。

  1. 構造形式がラーメン構造と壁式構造の併用されていないこと

構造が変わる箇所に地震の負荷がかかりやすくなり、耐震性が損なわれるため。

  1. 平面形状が著しく不整形でないこと

雁行やL字形状やコの字形状で極端に棟がずれていると、突出部の大きい建物は地震のときに接合部分に負荷がかかりやすいため。

  1. セットバックが大きくないこと

セットバックとは、建物の土地は、道路に2メートル以上接しなければならないという接道義務を果たすために、前面道路の幅員を多く広げることです。

  1. ピロティ部分が偏在していないこと

ピロティとは2階建て以上の建物で、1階部分を柱だけで支えている空間を指します。

物件検査を省略できる方法はある?

住宅金融支援機構が定める技術基準に「中古物件が適合しているかどうか」を調べるのも一苦労ではないでしょうか。中古物件は以下の要件を満たすことで、物件検査を省略できます。

  1. 築年数20年以内で、新築時に長期優良住宅の認定を受けた住宅
  2. 安心R住宅で、新築時にフラット35を利用した住宅
  3. 築年数10年以内で、新築時にフラット35を利用した住宅
  4. 団体登録住宅でフラット35の基準に適合している住宅
  5. 「中古マンションらくらくフラット35」に該当するマンション

物件検査が省略できれば検査費用はかかりませんし、適合証明書の交付を待つことなくローン手続きを進められるなどのメリットがあります。

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02中古住宅の物件検査の流れ

前述した物件検査を省略できる中古住宅に該当していなければ、技術基準に適合する中古住宅かどうかを確認するため、物件検査を受ける必要があります。

物件検査は大きく「書類審査」と「現地調査」に分かれます。

まずは検査機関または適合証明技術者に物件検査の申請を行い、引受受諾書が発行された後、調査内容を確認して現地調査日を決めます。

物件検査申請時の提出書類は以下のとおりです。

提出のパターン 提出書類
すべての人が提出する書類 中古住宅適合証明申請書【適既工第1号書式】
中古住宅適合証明申請書類チェックリスト
【適既工第2号書式】
建物の登記事項証明書の写し
敷地面接が確認できる書類
建築確認日が確認できる書類
物件の概要が確認できる書類
一戸建て住宅などの場合 土地の登記事項証明書の写し
マンションの場合 管理規約の写し
長期修繕計画の写し
建築確認日が昭和56年5月31日以前の場合 設計図書など
住宅構造が木造の住宅に該当する場合 設計図書
住宅構造をメーカーに確認した場合 中古住宅構造確認書

現地調査では、住宅の現状を目視などによって確認します。万が一、現地調査で不適合となる箇所が発見された場合でも、修繕して是正が確認されれば適合となります。

物件検査に合格した後、適合証明書および物件検査概要書が交付されるので、金融機関に適合証明書を提出することでフラット35を利用できます。

なお、物件検査の費用は申請者が負担しますが、申請者は買主でも第三者でも問題ありません。

物件検査時の注意点

最後に注意点をいくつか解説します。物件検査申請の書類集めに時間がかかったり、現地調査の日取り決めが遅くなったりすると、住宅ローンの手続きにも影響を及ぼすため、可能な限り早めに取り掛かることが大切です。

物件検査に必要な期間は、依頼する検査機関や技術者によって異なるものの、1週間程度で実施してもらえるケースが多いでしょう。急いでいるなど事情がある場合、その旨を申請時に伝えておくことをおすすめします。

物件検査の依頼は、不動産会社を介して行うこともできますし、自分でフラット35のサイト内にある「検査機関の検索」を利用して選ぶこともできます。

適合証明書が交付されるまでの期間は、新築物件同様、現地調査の実施から2週間後が目安です。適合証明書の有効期限は現地調査実施日から、戸建て6ヶ月間、マンションの場合3年間(竣工から5年超の物件)、もしくは5年間(竣工から5年以内の物件)です。

一般的な費用は、中古住宅(一戸建て)の場合、4万円~6万円台となります。ただし建築するエリアによっても異なるので注意しましょう。

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フラット35を利用する場合、一定の技術基準をクリアする必要があります。技術基準は新築物件と中古物件、同じ中古住宅でも一戸建て住宅とマンションで多少異なります。

物件検査を省略できる中古住宅に該当していなければ、「技術基準に適合するかどうか」の確認で物件検査を受けなければなりません。

物件検査に合格すれば適合証明書および物件検査概要書が交付されるので、金融機関に適合証明書を提出することでフラット35を利用できます。

なお国内最大手の住宅ローン専門金融機関「ARUHI」は、フラット35の金利が業界最低水準です。住宅金融支援機構が定める建築基準を満たせば、当初10年間または当初5年間の金利引き下げ制度がありますし、保証料や繰上返済手数料も不要です。

また、ARUHIには家探し前クイック事前審査が用意されており、自営業・フリーランスで開業から間もない場合や、転職して間もない人でも事前審査が可能です。家探し前でも最短1分で借り入れ可能額がわかるうえに、物件情報の入力は不要というメリットがあります。

全期間固定金利のフラット35を利用したい人は、まずARUHIの家探し前クイック事前審査を試してみるとよいでしょう。

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新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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