日経平均は史上最高値、住宅ローン金利は上昇リスク?衆院選後に変わる今後の見通し
2026年2月8日に行われた衆院選では、自民党が単独で3分の2を超える議席を確保し、高市政権の基盤が盤石のものとなりました。政治の安定は本来ポジティブな材料ですが、現在の不動産市場では「金利上昇への圧力が強まる懸念がある」という皮肉な構図も生まれています。そこで、この記事では住宅ローンの借り手にとって気になる今後の金利見通しを3つのポイントで解説していきます。
01衆院選後、金融市場はどう動いた?
2026年2月8日に行われた衆院選は、自民党が単独で定数の3分の2を上回る316議席を獲得する歴史的大勝という結果になりました。この結果を受けて、金融市場では政治の安定を好感する動きと、高市政権が掲げる積極財政による金利上昇への警戒感が交錯する展開になっています。まずは、株式と債券それぞれの市場への影響を詳しく解説します。
政治の安定で市場に安心感が広がり、株価は大きく上昇
株式市場では与党の圧倒的な勝利によって政権基盤が盤石になったことが、最大の買い材料となりました。選挙明けの2月9日、日経平均株価は一時3000円を超える急騰を見せ、終値でも5万6363円と史上最高値を更新しました。その後も「サナエノミクス」への期待感から5万7000円台に乗せるなど、活況を呈しています。
これほどまで株高が進んだのは、高市首相が選挙前に打ち出した食料品の消費税2年間ゼロや大規模な経済対策がスムーズに実行されるとの見方が広がって、海外投資家を中心とした積極的な投資の動きが広がったためです。
また、衆議院で3分の2以上の議席を確保したことによって、参議院で否決された法案の再可決が可能になるなど、政策遂行能力が飛躍的に高まり「先行きの見通しやすさ」につながったことも要因として挙げられます。
一方で選挙前から長期金利が上昇 住宅ローンへの影響も懸念
一方、債券市場では2026年1月20日に10年物国債利回りが1999年以来、約27年ぶりの高水準である2.38%付近まで急騰するなど、選挙前から金利が上昇する動きを見せていました。これは高市政権が掲げる積極財政によって、「国の借金(国債発行)が際限なく膨らむ」との懸念が拡大したためです。この1月の金利急騰は、2月の住宅ローン固定金利を引き上げる要因の1つとなりました。
ただし、選挙後は選挙前に懸念されていたほどの金利急騰は起きていません。これは市場が落ち着きを取り戻し、高市首相の経済政策の具体的な中身を精査するフェーズに入っているからだと考えられます。「安定した政権下で経済対策が進むというポジティブな側面」と「消費税ゼロや大規模な補正予算による財政悪化リスク」の双方が意識されたことで、長期金利は約2.2%程度の水準で推移しています。
02今後の住宅ローン金利の見通し
衆院選後を経て高市政権の基盤が盤石となった今、住宅ローンを検討している方にとって最大の関心事は「結局、金利は上がるのか?」という点ではないでしょうか。金融市場が「政治の安定」と「財政悪化」の狭間で揺れ動くなか、固定金利と変動金利では、その上昇のタイミングや要因が異なることは知っておいたほうがよいでしょう。
ここからは借り手にとって無視できない「これからの金利の行方」を2つの視点から詳しく解説します。
固定金利は「先行して上昇」の勢い
住宅ローンの固定金利に密接に関係している長期金利については先述のとおり、選挙前から上昇傾向にありました。今回の選挙結果を受けて大きな上昇は見せていないものの、すでに10年物国債利回りは2.3%を超えるなど、約27年ぶりの高水準です。
長期金利の上昇がすぐに住宅ローン金利に結びつくわけではないものの、すでにフラット35の金利(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付き)は2月に入って2.260%と前月(2.080%)に比べて大幅な上昇を見せ、制度創設以来、過去最高を記録しています。
市場では高市政権の積極財政が進むと財政悪化の懸念から長期金利がさらに上がるリスクが指摘されており、今後も政権の予算編成が具体化するたびに金利上昇圧力が高まると予想され、固定金利を選ぼうとする人には厳しい局面が続いています。
変動金利は「日銀との距離感」が鍵
直近で上昇が続く固定金利とは異なり、変動金利には今のところ大きな上昇は見られません。変動金利は、日銀が決定する政策金利に影響を受けるためだと考えられます。日銀は昨年12月に政策金利を0.75%に引き上げましたが、2026年1月の金融政策決定会合では金利引き上げを見送りました。そのため、今のところ変動金利は大きく上昇していない状況です。
ただし、市場では依然として2026年4月の金融政策決定会合までにさらなる利上げが行われるとの予想が根強くあります。その根拠となるのは、2025年10月の植田日銀総裁の「経済・物価の見通しが実現していくなら引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という発言です。選挙後の2026年2月16日に高市首相と官邸で約15分間の会談をした際に植田総裁は「首相からの具体的な要望は特になかった」と説明しましたが、従来の基本的な金融正常化の方針が改めて共有された可能性があります。
日銀は高市政権の積極財政が物価に与える影響などを慎重に見極めつつ判断を下すことになるものの、もし追加利上げを行った場合、変動金利は現在適用されている金利よりも0.25~0.5%程度上乗せされることが考えられます。日銀のスタンスに特段の変化は見られないため、急騰リスクは低いとの見方もありますが、年内までに「緩やかな、しかし確実な負担増が訪れる可能性」には備えが必要です。
これから住宅ローンを借り入れする人が取るべき対策
ここまで述べてきたように、現在の住宅ローンを取り巻く環境は「固定金利は既に上昇局面、変動金利はじわじわと上昇の足音が聞こえる」という状況です。これから住宅ローンを利用する方は固定と変動で金利差が広がっているため、将来の利上げ幅をどう見積もるかが重要になります。仮に将来的な金利差がそれほど生じないと考えるならば、安心を買うという意味で固定金利を選ぶのも選択肢の1つです。
一方、すでに変動金利で住宅ローンを返済している最中という方は、今後日銀が利上げに踏み切った際の返済シミュレーションを事前に行い、繰り上げ返済用の資金を確保するなどの準備をしておくとよいでしょう。従来の低金利環境であれば住宅ローンを繰り上げ返済せずに、その分のお金を運用に回して「ローン金利以上の利回りを目指す戦略」も有効でしたが、今後はこのような考え方が通用しなくなる恐れもあるので、この機会に資金計画を見直してみてください。
03変化の激しい2026年、納得のいくローン選びを
2026年2月の衆院選における自民党の歴史的大勝により、日本の経済・金融環境は新たなステージに入りました。株価の最高値更新という明るいニュースの裏では着実に「金利上昇の影」がちらついています。住宅ローンは数十年という長い付き合いになるからこそ、政治や市場の動きに一喜一憂せず、「自分たちの家計にとっての最適解」を見つけることが何よりも大切です。
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監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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