
注文住宅で夫婦が揉める?約3割が経験した対立と乗り越え方とは

自由度の高い家づくりができる注文住宅は、これからの理想の暮らしを叶える大きなチャンスです。しかし、夫婦で話し合いながら家づくりを進める過程で、意見の食い違いやすれ違いが発生するケースも少なくありません。ある調査によれば、注文住宅の購入にあたって意見の対立を経験した夫婦は約3割にも上ります。 さらに、住宅取得にかかるお金を多く出す夫が家づくりを主導しやすい一方で、購入後の後悔は妻のほうが感じやすい傾向にあります。 この記事では、満足度の高い家づくりを叶えるため、注文住宅の検討において夫婦で揉めやすいポイントやその対策を解説します。後悔を回避するためのコツも一緒に紹介します。

01マイホーム購入で約3割の夫婦が揉める!もっとも多いのは「間取り」と「お金」の話
不動産の情報提供メディア「イエコン」が実施した、注文住宅を購入した既婚男女336人
を対象とする調査によると、全体の約3割の人が夫婦間での意見対立があったと回答しました。対立の原因は、1位「間取り・部屋数」(22.0%)、2位「予算や価格」(16.5%)という結果で、生活空間の使い方やコスト感覚は、夫婦で価値観の違いが生まれやすいポイントと考えられるでしょう。
注文住宅取得時の費用負担の割合については、「夫が100%出す」が27.2%、「夫が5割以上出す」が91.1%、「夫婦半々で出す」が16.0%となっており、夫が多めに負担するケースが一般的です。反対に、妻が過半数を負担するケースは少数でした。こうしたことから、住宅購入の最終決定者は夫:66%、妻:32%で、夫が決定権を持つケースが多いと言えます。
ただし、「意見の対立時に夫婦どちらの意見を採用したか」という質問に対しては、折衷案が46%、妻の提案を採用したという回答が27%となっており、折衷案で歩み寄る夫婦が多いことがうかがえます。
また、中古住宅・リノベーションの流通プラットフォーム「リノベ不動産」を運営する不動産テック企業「WAKUWAKU」の調査では、家探し・住宅購入時に夫婦間で意見が分かれなかったと回答した夫婦に理由を尋ねています。回答の上位には「互いの性格・考え方・好みをよく知っていたから」(42.7%)、「お互いにそこまでこだわりが強くなかったから」(39.2%)という理由が挙がりました。
このように、夫婦間で事前にお互いのこだわりを共有できた夫婦は対立が少ないと考えられます。加えて、家探し・住宅購入を通して、お互いの理想や価値観を開示してすり合わせていくという経験が、夫婦の関係性にも良い影響を与える側面もあるようです。
夫はコスパ重視、妻は快適性重視?注文住宅で分かれる「こだわりポイント」
注文住宅の検討においては、夫婦それぞれで重視するポイントに違いがあることも明らかになっています。
先ほどの「イエコン」の調査によると、夫は予算や価格といったコストパフォーマンス、住宅ローンの借入額や返済計画などで後悔するケースが多く、経済性や合理性を重視する傾向にあります。
【夫が揉めたと感じた例】 ・ローン返済をなるべく抑えるために低価格の住まいを探していたが、妻は「予算ギリギリで後悔のない選択をしたい」と言い出して対立した。 ・自分は少しでも安い住宅を選ぼうとしたが、妻はセキュリティが万全な住宅を選びたがった。 |
一方、妻は快適な間取りや家事動線、収納力、設備など、実際の暮らしやすさや実用性にこだわる傾向が見られます。
【妻が揉めたと感じた例】 ・将来は子ども1人につき1部屋を用意したいと考えていたが、夫は自室と1つの子ども部屋があれば良いと考えていたため、間取りで対立した。 ・浴室乾燥機や浴室暖房をつけたいと思っていたが、夫が必要ないと譲らなかったため、結果的にあきらめた。 |
住宅設備や間取りは、毎日の生活に直結する要素であるため、生活主体者としての目線が強い妻のこだわりが表れやすいポイントです。こうした価値観の違いが、夫婦の意見対立の大きな要因になっているといえるでしょう。
注文住宅の満足度を左右する要素は?
「イエコン」の調査によれば、注文住宅の購入で後悔を感じている割合は夫:13.7%、妻:20.8%となっており、女性のほうが後悔しやすいことが明らかになっています。このため、満足度の高い注文住宅を実現するには、女性の意見をしっかり反映させることがカギといえるでしょう。
注文住宅では住宅費用の負担割合が高い夫の決定権が強くなりがちですが、妻の意見を取り入れることで、家事効率の向上や快適性の確保、長く住みやすい間取りの実現など、生活に直結するメリットを得やすくなります。結果として、毎日の「小さな不満」が積もることを防げ、生活満足度の向上につながるのです。
02注文住宅で後悔しないためにできる3つの対策
夫婦での対立を円満に解決し、夫婦どちらも納得のいく家づくりをするためには、事前に次の3つの対策を実践するのが効果的です。
優先順位を夫婦で見える化する
家づくりには予算があるため、多くの場合、希望をすべて叶えるのは難しいのが実情です。そのため、夫婦でじっくり話し合って「何を最も大切にしたいか」という優先順位を洗い出すことが重要です。
具体的には「譲れない点」「妥協できる点」をお互いに共有しておくことで、その後の検討における意見の食い違いを防ぎやすくなるでしょう。また、リストアップで視覚化しておけば、感情的にならず冷静な話し合いがしやすくなります。
第三者の意見を取り入れる
お互いの意見だけで話し合っていると、どうしても感情的に対立する場面が出てきてしまいます。特にそれぞれがこだわりを持っている項目に関しては、建築士や住宅アドバイザーといった第三者を交えて話し合うのがおすすめです。
また、最近注文住宅を建てた友人などに話を聞いてもいいでしょう。実際に体験した人の声を聞くことで、より具体的な問題点がつかめます。
中立な第三者である専門家の意見を取り入れることで、客観的に見て「最適な意見」に目を向けられます。その結果、お互いに不満を感じにくくなり、納得感の高い決定につながるでしょう。
予算の見直しは「ふたりで納得する」ことを軸に進める
限られた予算の中で「どこにお金をかけるか」は、注文住宅の満足度を大きく左右します。そのため、予算の範囲内で何を優先するか、夫婦であらかじめ共有しておくことが大切です。
たとえ出資割合に差があるとしても、今後一緒に住む「ふたりの家」であるという意識を持ち、お互いに納得する予算に見直すことが、長く快適に暮らせる家づくりにつながります。さらに、夫婦で支え合って暮らしていく土台にもなるのです。
予算を検討する際は、予算を「制限」ではなく、「ふたりの理想をすり合わせるための物差し」として前向きに捉える姿勢も重要でしょう。
03まずは“わが家の予算”を住宅ローンシミュレーターで見える化しよう
注文住宅の購入で後悔しないためには、夫婦間で価値観をすり合わせるプロセスが重要です。しかし、どんなにお互いの理想を語り合ったとしても、現実的な予算を把握できなければ具体的な判断はできません。
満足度の高い家づくりを叶えるには、自分たちの年収やライフプランに応じた「わが家の適正な住宅予算」を確認することが第一歩となります。まずは、当サイトでご用意している無料の住宅ローンシミュレーターを使って、借入可能額や毎月返済額のイメージを夫婦で共有してみてはいかがでしょうか。
また、「スゴ速住宅ローン保証審査」なら物件を決める前でも、いくらまで借りられるかすぐに審査が可能です。借入可能額を目安にして物件探しができるので、「いいと思った物件が予算的に難しかった」という後悔を防ぎ、効率的に理想の住まいを選べるようになります。夫婦の合算収入を元にした審査にも対応しており、共働き夫婦のご利用にも最適です。
これらのサービスを利用し、「感覚ではなく根拠のある予算」をもとに検討することで、納得感のある家づくりを叶えられるでしょう。

監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。