
家を買う前に知っておきたい!近隣トラブルに備える“弁護士保険”とは?

マイホーム探しを進めるときは、つい価格や設備などの物理的な条件ばかりに目が向きがちですが、新しい住まいで快適に暮らせるかどうかは周辺環境に左右される部分も大きいといえます。中でも意外と見落としがちなのが「近隣トラブル」で、騒音やゴミ出し、ペットの飼育といった生活スタイルの違いから、思わぬトラブルやストレスを感じてしまうかもしれません。 さらに、近隣トラブルへの対応が上手くいかないと最悪の場合、法的なトラブルに発展するケースもあります。そのようなリスクに備えて、近年では「近隣トラブル専用の弁護士保険」という新しいサービスも登場しています。 この記事ではマイホーム購入を検討している向けに、近隣トラブルの実態やその備えとして注目される弁護士保険について、詳しく解説します。

01マイホーム購入前に知っておきたい!意外と多い「近隣トラブル」の実態
マイホームは人生で最も大きな買い物の1つです。購入後に後悔しても売却するのは簡単ではないため、住んだあとに「ご近所トラブル」に悩むのは避けたいと感じる人も多いでしょう。
実は近隣トラブルは生活の中のちょっとしたことがきっかけで深刻な問題に発展するケースも少なくありません。そこで、まずは実際に多く寄せられている近隣トラブルの内容と、住宅購入前に意識しておきたい注意点を紹介していきます。
騒音・ゴミ・駐車場…近隣トラブルの原因は身近なところにある
不動産会社「AlbaLink」が428人に調査(複数回答あり)したところによると、ご近所トラブルとして最も多いのは「生活音・騒音」の約44%(188人)で、「ゴミ出し」の約13%(55人)、「駐車・駐輪」の約11%(47人)と続きます。
回答の中には「上階の住人が昼夜問わず楽器の練習をしていた」といった、集合住宅で生活するうえでのマナーに対する不満の声もありましたが、「テレビの音」や「足音」といった日常生活で発生する何気ない音を気にする意見も多数ありました。また、ゴミ出しのルール違反やペットの飼い方も含め、身近なことがきっかけでトラブルに発生するケースが多くみられます。
近隣トラブル解決支援サービスを展開する「ヴァンガードスミス」の調査では、騒音トラブルの約半数が1年以上解決しないまま続いているという結果がでていることも踏まえ、近隣トラブルの多くは身近な問題で発生し、一度問題がこじれると解決までに時間がかかるのが実情のようです。
戸建てでも注意が必要!
共有スペースがあったり、住戸が隣接したりするマンションなどの集合住宅と違い、「戸建てなら近隣トラブルに悩むことなく自由に暮らせるはず」と思う人もいるかもしれません。しかし、戸建てでも都市部でよく見られる隣家との距離が近い住宅では、音や視線などがトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。
また、マンションに比べて戸建て住宅は遮音性や防音性が低いケースも多く、思わぬ音漏れがトラブルの火種になることもあります。騒音トラブルは原因となっている側に自覚がない場合もあり、話し合いで解決しにくいことも長期化しやすい要因のひとつです。
02近隣トラブルに直面したとき、どう対処する?
騒音やマナー違反といったトラブルに直面すると、つい感情的になってしまうこともあるでしょう。しかし、初期対応を間違えるとトラブルがさらにこじれて解決までに時間がかかってしまう可能性が高くなります。そこで、ここからは近隣トラブルに直面したときの適切な対処の流れと、実際にかかる費用について解説します。
まずは話し合い、それでもダメなら弁護士に相談する
近隣トラブルを円満に解決するには、まず「できる限り冷静に対処する姿勢」が大切です。トラブルの原因になっている相手にもそれなりの事情があるため、焦らずに「段階的に解決を目指す」のが基本となります。
以下は、トラブル対処の一般的なステップです。
- 丁寧な口調でトラブルの内容を伝え、相手と冷静に話し合う
- 話し合いで解決しない場合は、管理会社や自治会など身近な第三者に相談する
- それでも難しい場合は、専門機関や弁護士に相談する
まずは相手方に困っている内容を直接伝えることから始めましょう。相手の受け止め方にもよりますが、悪意がない「無自覚トラブル」は話すことで改善するケースも多いです。その際は相手を刺激しないように、必ず丁寧な口調で話しかけることがポイントです。
仮に当事者同士の会話で改善しない場合は、マンションの管理会社や自治会などに相談してみるとよいでしょう。第三者的な立場の人から伝えてもらうことで、より穏便に解決する可能性が高くなります。
それでも解決しない場合や感情的なもつれからさらに大きなトラブルにつながる恐れがある場合は、トラブルの解決を専門としている弁護士などの法律の専門家に相談するのがおすすめです。
逆にこじらせるNG対応とは?
近隣トラブルへの対応で特に注意したいのが「感情的な自己対応」です。例えば、「怒鳴り込む」「喧嘩腰の態度をとる」といった行為は、相手に恐怖心や敵愾心を抱かせるため、場合によってはトラブルがさらにエスカレートする恐れがあります。
また、証拠を残すために無断で写真や動画を撮影することはあっても、それをSNSや掲示板でさらすことはやめましょう。相手の自宅もしくは近隣住民のポストに誹謗中傷するような張り紙やメモを入れるのも同様で、これらの行為をすると自分が「名誉棄損」もしくは「プライバシー侵害」として訴えらえる危険性があるので絶対に避けてください。
近隣トラブル、実際の弁護士費用はどのくらいかかる?
近隣トラブルが発生したら、まず相手にこちらが困っていることを伝えるのが基本ですが、それでも解決しない場合、専門家に相談したほうがよいケースもあります。特に相手がまったく応じないだけでなく、「嫌がらせや危険行為に発展している」といった事例では、弁護士へ依頼するのが現実的な解決策になるでしょう。
とはいえ、弁護士の依頼には費用がかかるので、どれくらいかかるか気になる人もいるのではないでしょうか。弁護士に近隣トラブルの解決を依頼する際の費用目安は以下のとおりです。
弁護士費用の目安
- 初回相談料:5000〜1万1000円/1時間
- 着手金:10〜30万円程度(事案による)
- 成功報酬:得られた経済的利益の10〜20%が一般的
- 内容証明郵便の作成:3〜5万円
弁護士費用は、依頼する弁護士事務所によって異なるのはもちろん、トラブルの事案によっても異なります。仮に訴訟まで発展するケースでは訴訟費用も含め総額で数十万円以上かかることも覚悟しておきましょう。また、解決までに数か月~1年以上の期間がかかる事例も珍しくなく、その間はトラブルが続くことになるので、依頼主の精神的負担も大きいのが実情です。
03注目の新サービス!「近隣トラブル弁護士保険」とは?
近隣トラブルは、自分には関係ないと思いがちですが、ある日突然、身に降りかかってくることもあります。実際に起きてしまったとき、「誰に相談したらいいか分からない」「専門家への相談は費用が心配」という不安から、行動に移せずに悩む人も多いのが実情です。そうした背景から生まれたのが「近隣トラブル専門の弁護士保険」という新しいサービスです。
例えば、ニッセイプラス少額短期保険が提供する「近隣トラブル弁護士保険」では、騒音、悪臭、違法駐車、ゴミ出し、ペットトラブルだけでなく、いじめやストーカー被害といったさまざまな近隣トラブルが補償の対象に含まれています。また、無料の法律相談窓口もセットで付帯しているため、費用を気にすることなく気軽に専門家に相談できるのがメリットです。
補償の対象は、弁護士への相談料、交渉・訴訟など幅広くカバーしています。法律相談は1事案につき最大3.3万円、さらに解決が難しい場合は弁護士費用90%(上限100万円)まで補償されます。
住宅購入者向けに「6か月無料」などの特典も
近隣トラブルを対象にした弁護士保険は徐々に広がりを見せており、中には住宅ローン契約者などを対象に一定期間保険料無料キャンペーンを実施している金融機関もあります。実際に四国労働金庫では2025年1月からの住宅ローン契約者を対象に、弁護士保険を6か月間無料でプレゼントするサービスを始めました。
これは四国地方では初めての取り組みであり、無料期間が過ぎると月額250円の料金が発生するものの、住宅購入時の不安を軽減する“安心材料”として、住宅ローンの新たな付加価値として注目されています。
隣人トラブルを事前に把握できる調査サービスも登場
近隣トラブルは発生すると解決までに時間がかかることが多いため、できれば事前に把握して避けたいものです。そうしたニーズの高まりから、現在は近隣トラブルのリスクを物件購入前に把握できる調査サービスも登場しています。
例えば、調査サービス「トナリスク」では、購入を検討している物件の周辺において、ゴミ屋敷・騒音・迷惑駐車などに関する情報を、近隣住民からの評判や苦情履歴をもとに収集し、過去にトラブルがあった住民がいるかどうかなどを調査してくれます。
平均的な利用額は数十万円とそれなりにかかるものの、住宅購入後に隣人トラブルが起きて後悔しないためにも近隣環境の事前確認は非常に重要です。一生に一度の買い物に対する「保険のような役割」を果たしてくれるサービスだといえるでしょう。
04マイホーム購入前に、万が一に備えた「安心の仕組み」を知っておこう
近隣トラブルは事前に予測することが難しく、ときには避けられないことがあるのは事実です。だからこそ、住宅購入前に「トラブルが起きたときにどうするか」をあらかじめ想定し、準備することが安心して暮らすためのカギになるでしょう。
これからの時代、近隣トラブルには「予防」「冷静な対応」「保険」といった3つのポイントを押さえて「万が一、近隣トラブルが起きても困らないように備えておくこと」が重要です。具体的には隣人トラブルを事前に把握できるサービスや内覧時などの事前確認で予防を心掛け、仮にトラブルが発生した場合は丁寧に話し合う冷静な対応をし、それでもだめなら弁護士保険などを活用して専門家に依頼するといった流れをシミュレーションしておきましょう。
なお、住宅購入は高額になるので、安心して暮らすためには住宅ローンの事前審査や返済シミュレーションを活用し、あらかじめしっかりした返済計画を作成しておくことも重要です。当サイト内にある「住宅ローン保証審査」では物件が決まっていない状態でも簡単に住宅ローンの事前審査を受けることができます。しかも、オンラインで手続きが完了し簡単5分の入力ですぐに結果がわかるので忙しい方にもおすすめです。自分にぴったりな返済計画を立てるためにも「住宅購入予算シミュレーター」や「借入可能額シミュレーター」といった各種シミュレーターと一緒にぜひ利用してみてください。

監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。