【2021年最新路線価】36年連続最高額エリアが下落するも郊外では上昇?税額に影響する路線価のトレンドを知ろう

2021.08.20 9

国税庁は7月1日、2021年の全国の路線価を発表しました。全国平均は前年を下回り、都道府県別で下落したのは前年の26県から39都府県となりました。その一方で、福岡など一部の地域では路線価が前年を上回ったところも。今年路線価が上がった地域、下がった地域には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?住宅価格への影響についても考察します。

01路線価とは?

路線価とは、道路に接する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格で、相続税や贈与税の課税標準になる土地の価格のことです。国税庁が毎年1月1日を評価時点として、公示地価や売買の実例価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額などをもとに判定して7月1日に公表します。路線価は、原則として一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準となる公示地価の80%程度となっていて、国税庁のホームページ(https://www.rosenka.nta.go.jp/)で確認することができます。

実際の土地の取引価格も加味して評価される路線価には、その時々の社会・経済情勢が反映されるため、その後の不動産市況を占う指標の1つとして、毎年、公表日には大きく報道され、注目を集めます。

02全国平均が6年ぶりに前年を下回る

では、今年2021年の路線価には、どのような傾向が見られたのでしょうか。評価対象となった全国約32万地点の平均で前年比0.5%の下落となり、6年ぶりに前年を下回ったことがわかりました。

都道府県別に見ると、39都府県が前年を下回り、東京や大阪、愛知などの13都道府県が今年新たにマイナスに転じました。東京や大阪が下落に転じたのは8年ぶりのことです。全国で最も下落幅が大きかったのは、静岡県で1.6%、次いで岐阜県と愛媛県が1.4%、石川県と鳥取県、徳島県が1.3%と続き、下落率が1%を超えた都道府県は次の18都府県に上りました。

都道府県 前年比変動率
静岡県 -1.6%
岐阜県 -1.4%
愛媛県 -1.4%
石川県 -1.3%
鳥取県 -1.3%
徳島県 -1.3%
三重県 -1.2%
滋賀県 -1.2%
和歌山県 -1.2%
栃木県 -1.1%
東京都 -1.1%
山梨県 -1.1%
愛知県 -1.1%
奈良県 -1.1%
香川県 -1.1%
鹿児島県 -1.1%
群馬県 -1.0%
奈良県 -1.0%

県庁所在地別に見ると近畿圏での下落が目立っており、奈良市では最高路線価が前年比12.5%、神戸市では9.7%、大阪市では8.5%と大きな下落を記録しました。

福岡、沖縄など昨年を上回った県も

その一方で、再開発が進む地域の路線価が高評価だったことなどから、以下の7道県では、路線価の平均が昨年を上回りました。

都道府県 前年比変動率
福岡県 +1.8%
沖縄県 +1.6%
宮城県 +1.4%
北海道 +1.0%
佐賀県 +0.4%
千葉県 +0.2%
熊本県 +0.1%

36年連続路線価日本一、「鳩居堂前」も9年ぶりに下落

なお、最も路線価が高かったのは、36年連続で今年も東京都中央区銀座5の書画用品などの専門店・「鳩居堂」前でした。ただし、鳩居堂前も今年の路線価は昨年の1平方メートルあたり4592万円から同4272万円(前年比-7.0%)に下落しました。鳩居堂前の路線価が下落したのは、2012年以来9年ぶりのことです。

03下落にはコロナ禍の影響も

銀座の鳩居堂前を始め、全国的に見ても今年は繁華街や観光地での路線価の下落が目立ちました。例えば、大阪有数の繁華街として知られる大阪市中央区の心斎橋筋では前年比マイナス26.4%、古い町並みが人気の岐阜県高山市の上三之町下三之町線通りはマイナス12.7%、外国人にも人気が高い浅草寺近くの東京都台東区の雷門通りはマイナス11.9%など、いずれも大きく下落しています。いずれも外出自粛要請や飲食店や商店の営業縮小、インバウンド需要の激減などが影響したものと考えられています。

なお、コロナ禍の影響による地価の下落はすでに2020年から見られており、国税庁は昨年7月1日に1月1日現在の路線価を公表した後、コロナ禍の影響で大幅に地価が下落した大阪市内数地点の路線価について、20年7月~9月と10月~12月の路線価の評価を見直し、減額補正しました。国税庁は2021年の路線価についても、今後、年の途中で大幅に地価が下落した地域が確認された場合には、昨年と同様、路線価等の補正を行うことを検討するとの見解を示しており、今後、緊急事態宣言の対象地域拡大や期間延長などの影響で地価が下落した場合は、今年も路線価が減額補正される可能性があります。

04路線価の下落、住宅購入には追い風か?

このように、一部の地域を除いて路線価は全国的に下落傾向にあり、今後もコロナウイルスの感染拡大が収束しない限りはこの傾向は続くものと考えられます。路線価は不動産市況にも影響を与えるため、その下落は住宅購入の追い風になると考える人も多いかもしれません。しかし、実際にはそうとも限らないようです。というのも、今年、コロナ禍のあおりを受けて路線価が下がったのは、主に繁華街や観光地など住宅地以外のエリアであり、一般的な住宅地への影響はそこまで大きくないと見られているからです。

東京都、千葉県、神奈川県、山梨県を管轄する東京国税局管内で、路線価が前年よりもむしろ上昇した地点は18地点あり、上昇率トップ10は、下表のとおり、神奈川県が5地点、千葉県が4地点、東京都が1地点となっています。多くが都心の郊外で、アクセスの良い住宅地は今後も人気が集まりそうです。

地点 上昇率
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2丁目 市道高島台107号線(鶴屋橋北側) 7%
千葉県千葉市中央区富士見2丁目 千葉駅前大通り 3.5%
千葉県市川市八幡2丁目 本八幡駅前通り 3.4%
千葉県千葉市中央区南町2丁目 蘇我駅東口ロータリー 3.3%
神奈川県横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 3.1%
神奈川県厚木市中町2丁目 本厚木駅北口広場通り 2.4%
神奈川県川崎市川崎区駅前本町 川崎駅東口広場通り 2.3%
神奈川県横浜市港南区上大岡西1丁目 鎌倉街道 2.0%
千葉県習志野市津田沼1丁目 ぶらり東通り 1.9%
東京都足立区千住3丁目 北千住駅西口駅前広場通り 1.9%

出典:令和3年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価「変動率順」

また、東京国税局管内ではありませんが、千葉県や神奈川県と同様に都心へのアクセスが良く利便性が高い、つくばエクスプレス沿線地域の路線価も上昇傾向にあり、特に守谷駅前(茨城県守谷市中央1丁目)の路線価は、前年比3.2%増と大きく上昇しています。

全国的に路線価が下落傾向にあるとはいえ、このように一部には逆に上昇に転じている地域もあります。路線価は固定資産税や贈与税などの税額を決める基準となる価格なので、路線価の高い土地を購入すると、その分、税負担が増えることになります。土地の購入を検討している場合は、国税庁のホームページで目的の土地の路線価を確認しておくと安心です。また、目当てのエリアの土地の路線価がここ数年で大きく変動している場合は、変動の理由や背景、今後の見通しなどについて、地元の不動産業者などに確認してみると良いでしょう。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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