離婚したらペアローンはどうなるの?よくある問題と対処法について解説

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ペアローンを組んでいて離婚した場合、どのような問題が起こってどのような対処が必要なのでしょうか。本記事ではペアローンの概要を説明するとともに、ペアローンを組んでいるなかで離婚した際に起こり得る問題やその対処法について解説します。万が一の離婚に備える方法についても説明するので参考にしてください。

01ペアローンとは?

ペアローンとは、夫と妻それぞれが住宅ローンを組む制度です。夫婦は共に主たる債務者となり、銀行のような金融機関からお金を借り入れます。通常、住宅ローンは申込者である個人が契約しますが、ペアローンは申込者が2人になるため二本立ての契約となります

また、夫婦それぞれが連帯保証人になるのが一般的です。夫と妻が責任を共有することにより、どちらか一方が支払いできなくなった場合、もう一方が支払いの責任を負います

ペアローンの仕組み

ペアローンは夫婦それぞれが契約する仕組みなので、返済方法を自由に設定できます。例えば、「夫は変動金利型、妻は固定期間選択型」といった契約が可能です。

ペアローンの契約の流れとして、まずは金融機関の事前審査が必要です。夫婦それぞれが希望する借入額を申し出た後、仮審査を経て本審査に進みます。本審査を通過した後、ペアローンの契約を締結するという流れです。

なお、ペアローンは夫婦それぞれの口座から返済額が引き落とされるため、個別の管理が求められます。

ペアローンのメリット・デメリット

ペアローンのメリットとデメリットを詳しく解説するので参考にしてください。

メリット

ペアローンのメリットに借入可能額の最大化があります。夫婦それぞれが住宅ローンを組めるため、一人で組むよりも大きな金額の住宅を購入できます。

また、金利タイプを柔軟に選択できるという点もメリットです。例えば、「夫は変動金利型で、妻は全期間固定金利型」といった選択ができるため、将来的に金利が上昇した際のリスクを抑えられます。

夫婦各自が住宅ローン控除の適用を受けられるのもメリットです。それにより、節税効果が大きくなるでしょう。

また、夫婦それぞれが団体信用生命保険(団信)に加入できるというメリットもあります。住宅ローンの返済期間に夫が亡くなった場合は夫の残高、妻が亡くなった場合は妻のローン残高が団信によって保障されます。

デメリット

ペアローンのデメリットとして、諸費用の負担増加が挙げられます。夫婦それぞれが個別に契約するため、事務手数料や印紙代などの費用が倍になります。

また、団信によって残債は保障されるのは、あくまでも亡くなった側(夫が亡くなった場合は夫)の住宅ローンです。生存している側の住宅ローン返済が残る点はデメリットといえます。

他にも離婚時に問題が生じる可能性があるので、次章で詳しく解説します。

なお、ペアローンに関しては以下でも詳しく解説しているので、気になる人はチェックしてください。

ペアローンと連帯保証と連帯債務。夫婦で住宅ローンを組むならどれがお得?
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02ペアローンを組んで離婚する際に起こり得る問題

ペアローンを組んで離婚する際に起こり得る問題を解説します。

売却が困難

ペアローンを組んでいる状態で離婚する場合、住宅の売却が困難という問題があります。売却する際は夫婦各自の同意が必要になるからです。離婚時に相手の承諾を得るのが難しいケースもあるでしょう。

また、相手の同意を得られない間に不動産価値が低下すれば、買い手が見つからない可能性があるため、さらに売却が困難になります。

片方に支払いの負担がかかる

前述したように、基本的にペアローンを組む際は、夫婦それぞれが連帯保証人になります。離婚しても連帯保証人としての義務は解消されません。そのため、離婚後に相手が住宅ローンを返済しなかった場合、支払い負担が増えることになります。

例えば、元夫が住宅ローンを返済しなかった場合、元妻がその分の住宅ローンを支払わなければならないということです。

片方が売却に応じない可能性がある

ペアローンで組んだ物件は夫婦の共有名義となっていることが一般的なため、お互いに同意しなければ売却することができません。

オーバーローン

オーバーローンとは、住宅の売却価格がローンの残債を下回る状態を指します。例えば、住宅の売却価格が3000万円であるにも関わらず、住宅ローンの残債が3500万円というケースです。

オーバーローンの状態で売却しても、住宅ローンの返済は残ります。離婚する際に住宅を手放しても完済まで返済が続くということです。

なお、オーバーローンの対処法に関しては次章で解説します。

03オーバーローンの対処法

ここではオーバーローンの対処法について説明するので参考にしてください。

ローン返済をしながら夫婦のどちらかが住み続ける

住宅を売却せず、夫婦のどちらかが住み続けてローンを返済する方法です。例えば、離婚後に親権者と子どもが自宅に住み、もう一方は住んでいないにもかかわらず、住宅ローンの支払いを継続するという状況が考えられます。

ただし、ペアローンの契約条件として「名義人である夫婦が共に住むこと」となっているケースがあります。その場合は離婚して別々に住むこと自体が契約違反になる可能性があるので、法律の専門家に相談するとよいでしょう。

住宅ローンを一本化する

オーバーローンになっている場合、ペアローンの一本化も効果的な手段です。例えば、離婚後に夫が自宅に住んで妻が転居する場合、妻名義の住宅ローンと所有権を夫名義にするといったケースです。

ただし一本化するには、銀行の審査に通過しなければなりません。そのためには一本化した後の借入金額に対する返済能力などの条件を満たす必要があります。夫婦の収入を合算して借入金額を大きくしたことを考えると、離婚した時点の残債にもよりますが、片方の収入だけでは返済能力に問題ありと判断され、審査に通らない可能性もあります。

住宅を売却し夫婦で借金を返済

オーバーローンの住宅を売却したうえで、残債を返済する方法です。住宅ローンの支払いが滞った場合の最終手段である競売よりも、自分たちで売却するほうが高く売れるため、その後の返済負担を軽減できます。

なお、以下でさらに詳しくオーバーローンについて解説しているので、気になる人はチェックしてください。

オーバーローンとは?最低限おさえておきたいリスクと売却方法を解説
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04ペアローンを組むなら、万が一の離婚に備えよう

ペアローンを組む際は、万が一の離婚を考えたうえで、しっかり備えることが大切です。ここでは3つのポイントを解説します。

無暗に高価な物件を購入しない

ペアローンを利用する際は、無暗に高価な住宅を購入しないことが大切です。ペアローンは夫婦それぞれがローンを借り入れできるため、高額な物件を購入する傾向があります。しかし背伸びしてペアローンに申し込んだ場合、離婚後の返済が難しくなるでしょう。

そのため、事前に返済負担率(年間のローン返済額を年収で割った値)を把握したうえで、夫婦各自の経済状況に合った物件選びが大切です。理想的な返済負担率は約20%なので、その範囲内で住宅を選ぶことをおすすめします。

自己資金を増やしておく

ペアローンを組む前に自己資金を増やすことも有効です。自己資金を増やすことで借入額を小さくできます。そもそもの借入額が小さければ、離婚時に自宅を売却しても、オーバーローンにならない可能性があります。

借入期間を工夫する

借入期間の短縮も住宅ローンのリスクを抑える効果があります。借入期間が長ければオーバーローンが続く傾向があるため、離婚後の返済が難しくなるかもしれません。したがって毎月の返済額が負担にならない程度で借入期間を短縮し、オーバーローンを未然に防ぐほうが効果的といえます。

05まとめ

今回はペアローンを組んだ後、離婚した場合の問題と対処法について解説しました。具体的な問題として、売却が困難、片方に支払いの負担がかかる、オーバーローンが挙げられます。特にオーバーローンの問題が大きいため、住宅ローンの一本化や返済の継続などを検討しましょう。

またペアローンを組む際は、経済状況に見合った物件を購入する、自己資金を増やすなど事前に工夫することが大切です。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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