不動産の表題登記(表示登記)とは?登記をすべき理由と金額の相場を紹介

2021.03.26 11

新築住宅を建てた際には、その建物の登記(以下、表題登記)が必要です。この表題登記とは、不動産の所在や規格などについて公的な登録を行う制度のことで、権利の保全のために行う「所有権保存登記」とは異なります。まずは登記についての基本的なことから解説していきます。

01表題登記(表示登記)とは?

「表題登記」とは、まだ公的に登記がされていない「土地」や「建物」について、「不動産の存在や規格」を新たに登録するために行う登記のことです。以前は「表示登記」といわれていましたが、2004(平成16)年6月の「不動産登記法改正」によって、名称が「表題登記」に変更されました。

「登記」というと、一般に家を買ったり売ったりする際に司法書士を通じて申請する「所有権保存登記」や「所有権移転登記」を思い浮かべるかもしれません。こうした登記は、所有権の「権利の保全」を目的としたものです。これに対し、表題登記は「不動産の物理的状況」を公的に登録するもので、権利に関する登記の前提となるものです。申請は、不動産を新しく取得したときに「土地家屋調査士」を通じて行うのが一般的です。具体的には、建物や土地の所有権を取得してから1カ月以内に、不動産を取得した人が申請を行わなければなりません。表題登記は法的義務があるので、申請を怠ると罰則を受けます(不動産登記法164条「申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する」)。

ちなみに「表題登記」には、「土地」と「建物」の2通りあります。このうち、「土地」は「建物」の表題登記に比べると、新たに登記をする機会は少ないでしょう。例えば、いまだ登記されていない土地、海や河川を埋め立ててできた新しい土地、新たに払い下げられた国有地などを所有する場合が該当するからです。これに対し「建物」の表題登記は、新たに建物を建てたときは必ず申請しなければならないので、より身近な登記申請といえるでしょう。新築した時やまだ登記されていない建物を購入した場合は、建物の表題登記の申請が必要です。

建物の表題登記を申請すると、不動産登記簿の冒頭部分にある「表題部」に記載されます。その内容は建物の「所在」「地番」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「所有者の住所、氏名」などです。申請義務があるのはこの表題登記だけですが、その所有権を他人(第三者)に主張するためには、所有権の保存登記をしなければなりません。「権利の保全」のためには「所有権保存登記」を行います。また、銀行等から融資を受ける際には、住宅ローン契約にもとづく「抵当権設定登記」を行います。

02表題登記(表示登記)の費用はどのくらいかかる?

「表題登記」は自分で申請手続きをすることもできます。その場合は登記書類の作成、添付書類の調査や準備など、すべて自分で行わなければなりません。自分で申請する場合、書類を準備するコスト以外の費用はほとんどかかりません。しかし、「登記申請」は専門的な法的知識、その地域の慣習、実務的な手続きなど、非常に高度な知識や技術が必要とされるため、専門家に頼んだ方が無難です。

「表題登記」の申請手続きを代行するのは、先述の通り「司法書士」ではなく「土地家屋調査士」です。土地家屋調査士とは、表題登記の登記申請を行う専門家で国家資格になります。家を新たに建てる場合は、建設会社や不動産会社が提携している土地家屋調査士に申請してもらうことが多いのですが、自分で探して依頼することもできます。

申請費用の相場は、地域や土地家屋調査士によって異なります。首都圏での一戸建ての場合の費用の目安は以下の通りです。

土地家屋調査士への報酬の目安

  • 建物表題登記の報酬の目安:9万~12万円
  • 土地表題登記の報酬の目安:7万円~(他の登記が必要な場合はさらに上乗せになる)

ちなみに、日本土地家屋調査士連合会の公表データ(令和元年度)によると、土地家屋調査士の「建物表題登記」1件当たりの平均報酬額(全国)は8万3659円です。平均報酬額が最も高い近畿圏では9万2398円となっています。なお、表題登記には登録免許税などはかかりません。

ただし、不動産会社や建設会社などを通じて土地家屋調査士に依頼した場合は、比較的割高になる傾向があります。その理由の1つに、提携する土地家屋調査士は、他の土地家屋調査士と比較されるケースは少なく、競争力が働きにくいことが挙げられます。そのかわり、依頼主が自ら土地家屋調査士を調べて選ぶ手間をかけずに手続きを進められるメリットはあります。

なお、区分建物(マンションなど)の表題登記は、そのマンションを建てた人(会社)が行いますので、マンションを購入した人が行うことはありません。マンションを購入した場合に必要となるのは、司法書士を通じて行う「所有権移転登記」となります。

表題登記は申請義務のある登記

表題登記について注意しておきたい点は、申請には法的義務がある上に、申請期間にも制限があるという点です。不動産登記法に規定が定められていて、新たに建物を建てた場合、完成後1カ月以内に表題登記を申請しなければならないことになっています(不動産登記法第47条第1項)。これを怠った場合には不動産登記法第164条の基づき、10万円以下の過料に処されることがあるので、速やかに申請を済ませることが必要です。

土地家屋調査士に依頼する場合でも、表題登記の申請には必要な添付書類が多いため、建物の完成前からどんな書類をどこで用意すべきかを確認しておくと安心です。また、建物の規模や現地調査の内容に応じて費用が変わることもあるので、不動産会社を通して申請を依頼する場合であっても、費用の内訳についてきちんと説明してもらうとよいでしょう。具体的な登記費用について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

03表題登記(表示登記)の手続きの流れ

表題登記の手続きは、おもに土地家屋調査士に依頼をして進めていきますが、おおまかな手順や流れを知っておくと、スムーズに登記申請を進めることができます。そこで、基本的な手続きの流れと必要な添付書類を一通り説明しましょう。

手続きに必要な書類一覧

手続きに必要な書類は以下の通りです。

  • 検査済証と建築確認通知書
  • 施工業者の工事完了引渡証明書(印鑑証明書、登記事項証明書付き)
  • 住民票
  • 登記申請書
  • 建物図面・各階平面図
  • 案内地図
  • 委任状(代理人に申請してもらう場合)

それぞれの詳細は以下の通りです。

検査済証と建築確認通知書

建物の建設後に、施工業者、もしくは設計会社から建築確認に関する書類一式を受け取ります。そのなかで、建築検査が完了したことを示す「検査済証」(検査が完了していない場合は「確認済証」)と「建築確認通知書」が申請時の添付書類として必要です。この2つは、新たに建てた建物の「所有権を証明する書類」の役割も果たします。表題登記の際には、最も重要な添付書類といえるでしょう。

施工業者の工事完了引渡証明書(印鑑証明書、登記事項証明書付き)

施工業者に依頼して交付してもらう書類で、「引渡証明書」と施行会社の「印鑑証明書」と「登記事項証明書」の3つです。

住民票

申請者の住民票が必要です。お住いの市区町村役場で入手しましょう。

登記申請書

自分で申請する場合は、申請書に登記の目的(建物表題登記)、申請日と申請先、申請人の住所・氏名などを記入し押印して提出します。おおまかなフォーマットは決まっており、申請書はインターネットでも入手できます。ただし、この申請書は申請先となる各法務局によって慣習化しているルールなどもありますので、地元の土地家屋調査士に依頼すると安心です。

建物図面・各階平面図

自力で作成するとなるとハードルが高いのが、「建物図面・各階平面図」です。CADを使った専門的な書類でなくても、パワーポイントなどで作ったものでもかまいません。ただし、規格がB4用紙になっているなど細かなルールがありますので、手間がかかることは覚えておきましょう。施工会社や土地家屋調査士と相談して、用意してもらうと無難です。

案内地図

表題登記申請後、法務局の担当者が現地確認を行うため、必要となる添付書類です。建築確認書類一式の中に住宅地図があるので、これをコピーしても構いませんが、Googleマップなどに現地場所の目印を入れたものでも代用可能です。

委任状(代理人に申請してもらう場合)

申請を代理人が行う場合は、委任状が必要です。

手続きの手順

添付書類が準備できたところで、いよいよ登記申請です。大まかな手続きの流れは次のようになります。

(1)建物の完成

完成次第、登記申請手続きができるように必要書類を準備します。土地家屋調査士に依頼する場合は、ここで申請を委託します。

(2)法務局や市役所等で建物に関する資料の調査

管轄の法務局や市役所で申請する建物に関する資料を調査します。

(3)建物の現地調査

現地で測量調査を行います。建物の周囲の寸法、敷地境界までの距離などを計測し、建築確認書と実際の建物の整合性を確認していきます。

(4)登記申請書類の作成と準備

上記の資料調査と現地調査の結果をもとに、申請書類を作成します。添付書類の1つ「建物図面・各階平面図」も作成します。

(5)表題登記申請

必要書類をすべて添付し、管轄の法務局に申請をします。建物完成後1カ月以内に申請を行わなければなりません。

(6)建物表題登記が完了後、所有権保存登記を申請する

建物表題登記が完了した段階で、「所有権保存登記」の申請をします。「権利の保全」の登記ですので、ここからの担当は司法書士になります。

(7)所有権保存登記完了後、抵当権設定登記を申請する(必要な場合)

銀行等から融資を受ける場合は、住宅ローン契約を元にした「抵当権設定登記」も申請します。こちらも担当は司法書士です。通常は所有権保存登記とセットで申請することになります。

04表題登記の基礎知識を身に付けておこう

新築建物を建てたときに必要となる「表題登記」の基礎知識を紹介しました。一般には土地家屋調査士に依頼することが多いですが、建物完成後1カ月以内に申請する必要があるなど、基本的なところを理解しておきましょう。実際には施工業者や不動産会社が中心となって進めてくれる手続きですが、手続きの概要を理解しておくと、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。

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