アパート購入に必要となる資金はいくら?賃貸経営を始める前におさらい

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収入を増やすための投資の一つとして、アパート経営(いわゆる「不動産投資」)があります。上手に経営できれば安定した家賃収入を得られるので、老後資金や重要な副収入として役立つでしょう。ただしアパートのような不動産は高額な買い物になるため、実際に投資を始める前にしっかりした知識を仕入れておくことが大切です。そこでこの記事では、アパート購入の流れや購入にかかる費用、注意点などについて解説します。これからアパート経営を検討している人は、参考にしてください。

01アパートを購入するまでの流れ

アパート購入は大きく8つのパートに分かれます。それぞれの概要や注意点などをよく理解しておきましょう。

1.購入したいアパートの条件を明確にして、予算を立てる

まずは、購入したいアパートの条件を明確にすることから始めます。このときのポイントは「不動産投資を始める目的は何か」をしっかり考えておくことです。例えば「老後の生活費を稼ぐため」「資産の一部として所有し、いずれ高値で売却するため」など、投資を始める目的を確認しておきましょう。

なぜなら目的を明確にしておくことで、対象となる物件の条件を絞れるからです。仮に資産の一部としてアパートを所有して後に売却を考えているのなら、できるだけ不動産としての価値が下がりにくい都心部で、交通の利便性が良い駅近物件を探した方が無難でしょう。反対に老後の収入を補う目的で投資するのであれば、そうした条件にとらわれず、とにかく安定した家賃収入を期待できる物件を探すことが基本になります。

購入したいアパートの条件を明確にしたら、次にアパート経営に必要なお金について考えます。具体的には「どれくらいの運転資金があるか」「ローンはどれくらい借り入れできるか」などです。投資をする目的と合わせて考え、無理のない範囲で予算を設定しましょう。

2.アパート物件を探す

購入するアパートの条件を明確にして予算を決めたら、実際に物件を探し始めます。物件探しで重要なのは情報収集で、大まかに「不動産情報サイトをチェックする」「新聞広告や雑誌といった紙媒体を見る」「不動産会社に相談する」の3つがあります。それぞれ一長一短があり、一概にどれがいいと言えませんが、大切なのは「できるだけ多くの情報に触れておくこと」です。購入するアパートを探し始めても、最初のうちはどの物件がよいか判断するのは難しいかもしれません。しかし、たくさんの物件を見ていくうちに自然と相場観が身に付き、自分の条件に合う物件が分かるようになります。アパート購入は多くの人にとってかなり高額な買い物になるので妥協せず、自分が納得するまで探しましょう。

なお、気になる物件を見つけたら必ず下見することもポイントです。動画や写真と実際に見たときでは、印象が異なるケースがあるからです。また物件の周辺情報についても、実際に確認した方がよいケースもあります。例えば実際に歩いてみると、坂道や階段があって「実は利便性があまりよくない物件だった」という事例です。徒歩での所要時間は、一般的に対象となる場所までの距離を機械的に算出する仕組みになっています。その基準は「徒歩1分=80m」で、実際の所要時間と大きく異ならないか気を付けましょう。物件のチェックとともに、周辺情報も下見で確認しておくことが大切です。

3.アパート物件の購入申し込みをする

下見をした結果、購入したいアパートが見つかったら不動産会社に購入申し込みをします。購入申し込みをする際は買付申込書に物件所在地や買付希望価格、支払い方法などを記入することになりますが、基本的には仲介する不動産会社の指示に従えば大丈夫です。ただし購入申し込みをしても、必ず購入できるとは限りません。もしも同時期に複数の購入希望者が現れた場合、どの買主を選ぶかは売主次第です。手続きをしたからといって、すぐに安心しないようにしましょう。

なお不動産の購入にあたっては、売買契約を締結する際に手付金を支払うケースがほとんどです。手付金の相場は物件価格の10%程度で、売買契約締結後に買主側の都合でキャンセルした場合は売主にキャンセル料として渡すお金になります。手付金は現金払いが基本なので、売買契約締結時には用意しておかなければいけません。買付申込書に手付金の有無も記載されているので、この段階で確認しておきましょう。

4.不動産投資ローン(アパートローン)を利用するなら、事前審査を受ける

アパート購入にあたって、ローンを組むことを考えている人が多いでしょう。しかし注意しておきたいのは、「賃貸経営用のアパートには、一般的な住宅ローンは利用できない」点です。理由については後述しますが、賃貸経営用の収益を目的にする不動産には専用の不動産投資ローン(別名:アパートローン)があり、ローンを組む場合にはこちらに申し込まなければいけません。アパート購入を申し込んだ段階でまずは事前審査を受け、売買契約締結後に改めて本審査を受けるという流れは、一般的な住宅ローンと同じです。不動産投資ローンは住宅ローンと同じく、それぞれの金融機関で借入上限額や適用される利率は異なります。従って少しでも条件の良いところで借り入れしたい場合、手間はかかりますが複数の金融機関に相談しましょう。

5.不動産売買契約を結ぶ

事前審査に通って資金調達の目途が付いたら、いよいよ売買契約を結びます。宅地建物取引士から重要事項説明を受け、内容に問題がなければ契約書に署名・捺印をしましょう。前述した手付金はこの段階で支払うことになるので、あらかじめ現金の用意も忘れてはいけません。また購入にあたって、不動産会社に紹介を依頼した場合は契約が成立した時点で仲介手数料の支払い義務(実際の支払いは後述する引き渡しの時点で行われるのが一般的)を負います。仲介手数料は法律で上限が決まっていますが、物件価格によって変動し、数百万円程度かかることも珍しくありません。ただし、あくまでも購入する物件を「仲介」してもらった場合だけ発生します。例えば「紹介してくれた不動産会社が所有している物件」を購入する場合は、仲介手数料はかかりません。

6.アパートの管理会社を選ぶ

正式に物件のオーナーになる契約を交わしたら、アパート経営を行うにあたって大切なパートナーになる管理会社を探します。管理会社は入居者とオーナーの橋渡し的な存在で、トラブルがあったときの窓口になってくれるのはもちろん、空室が発生したときはオーナーに代わって入居者を探してくれます。もちろん自分で管理することも可能ですが、例えば入居者から「トイレから水漏れがする」「キッチンの換気扇が動かなくなった」といったトラブルの連絡があったときに、修理を依頼する業者の連絡先を確保しておかなければいけません。そのようなコネクションがある場合には自主管理しても問題ありませんが、知り合いの業者がいない場合、無理をせず管理会社に任せた方が安心でしょう。

ちなみに購入したアパートが中古の場合、売主が委託していた管理会社をそのまま引き継ぐケースが多いです。最初から自分で探すことも可能ですが、初めのうちは様子を見て不満を感じたら別の管理会社に相談するのも一つの方法でしょう。

7.不動産投資ローン(アパートローン)の本審査を受ける

売買契約を締結したら管理会社を探すのと平行して、不動産投資ローンの本審査を受けます。審査にかかる期間は2~3週間程度で住宅ローンとほとんど変わりませんが、条件は不動産投資ローンの方が厳しくなりがちです。なぜなら不動産投資ローンは、住宅ローンより融資額が高額になりやすく、収益用の融資である以上、金融機関は事業計画の実効性についても慎重に判断するからです。アパート経営にそれなりの実績がある人は金利が低くなることもありますが、初めてアパート経営に取り組む人は3~5%程度の金利も覚悟しておきましょう。そういった意味からも、あらかじめその条件でも利益が出ると見込んだ物件に限り、購入手続きを進めていくことが重要となります。

8.アパート物件の引き渡しを行う

無事に管理会社が見つかり、不動産投資ローンの本審査も通ったら、最後に対象物件の引き渡しを受けます。引き渡しは一般的にローンを組む金融機関の店舗に、不動産会社の担当者や売主などの関係者が集まり、その場で融資の実行や登記に必要な書類の確認などを行います。また残代金以外にも、固定資産税や登記費用、不動産仲介手数料といった諸費用も引き渡し時に支払う必要があることも覚えておきましょう。すべての支払いや手続きが終われば、最後に対象物件のカギや関係書類を受け取ってアパート購入の手続きは終了です。

02アパート購入における諸費用一覧

アパート購入にあたっては物件そのものだけでなく、さまざまな諸費用がかかります。諸費用は大きく分けて物件購入時にかかる「初期費用」と、購入後に経営を続けていく上でかかる「維持費」の2つです。諸費用はそれなりに高額になることも多いので、利回りを考えるためにもそれぞれの内容について理解しておきましょう。

初期費用

初期費用としてかかるものとして、まず「物件そのものの購入費用」「不動産仲介手数料」「登記費用」が挙げられます。不動産仲介手数料は上限が宅地建物取引業法によって定められており、物件価格が400万円超えの場合は「(物件価格×3%+6万円)×消費税」以上になることはありません。登記費用は、自らが買主であることを公的に証明するための所有権保存(移転)登記または、ローンを組むときに担保に入れる物件に設定する抵当権設定登記の際に必要となります。また新築住宅に限っては、建物の基本的な構造や面積などを登記する建物表題登記が必要になるケースもあることは覚えておきましょう。登記にかかる費用は登録免許税という税金に加えて、司法書士に依頼する場合はその報酬も含まれます。

その他にかかる初期費用としては、ローンを組む際に必要な「事務手数料」や「保証料」などのほか、「印紙税」または「不動産取得税」といった税金が挙げられます。事務手数料や保証料はローンを組む金融機関によって異なり、一般的には借入金額の1~3%程度が目安です。一方、印紙税や不動産取得税は物件価格によって変わりますが、前者は数万円程度、後者は数十万円から多い場合は百万円程度かかると見込んでおきましょう。

維持費

アパート購入後にかかる諸費用としては「共用部分の光熱費」「管理費」「修繕費」「リフォーム費」「入居者を紹介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料」が挙げられます。光熱費や管理費のひと月あたりの支出額はそれほど多くありませんが、毎月支払いが発生するので注意しましょう。一方、修繕費やリフォーム費、仲介手数料については必要に応じて支払うことになります。一回あたりに支払う金額は光熱費や管理に比べて高くなりがちなので、事前に積み立てておくなどの対策をとっておくことが重要です。入居者を紹介してくれた際に支払う仲介手数料については、法律で原則「家賃の0.5月分×消費税」という上限が決まっていますが、実際には広告にかかった経費を別途広告費として徴収されるケースもあります。

また維持費として忘れてはいけないのが「固定資産税」や「都市計画税」といった税金で、いずれもアパートを所有していると毎年かかります。その他にも所有している部屋が「10室以上」になると、事業的規模とみなされて個人事業税の対象になるケースがあるので、気を付けなければいけません。個人事業税は年間の事業所得が290万円以上になると課税対象になります。ただし事業的規模として認められることで、「青色申告特別控除(最大65万円)」「青色事業専従者給与」の対象にもなります。節税面でのメリットは増えるので、確定申告の際は対象となる節税制度の利用を忘れないようにしましょう。

03アパート購入で利用できる「アパートローン」とは?

結論からいうと、アパートローンと住宅ローンはまったくの別物です。アパートローンとは投資用不動産など、自分が住む住居以外の目的で購入または建築する際に利用するローンです。それに対して住宅ローンは主に居住用として利用する土地や住宅を購入する際に金融機関から受ける融資を指します。つまりアパートローンと住宅ローンの間には、「営利目的かどうか」という部分が決定的に異なるのが特徴です。住宅ローンを組むときは借主の職業や年収、勤続年数などから「きちんと返済できるかどうか」を金融機関は判断して貸し出します。

一方、アパートローンはそれらに加えて「経営が上手くいくか」まで含まれるので、審査は必然的に厳しくなりがちです。不動産投資には空室リスクや家賃下落リスクなどがあり、金融機関はそれらのリスクも考慮しなければいけません。その結果、アパートローンは住宅ローンとは借入期間や金利も異なります。特に金利は住宅ローンに比べて高く、3%台のところも珍しくありません。住宅ローンのなかには1%を切るところもあるのに比べて、かなり割高に感じるはずです。

このようにアパートローンと住宅ローンは基本的にまったく違うローンですが、2つのローンを併用することは可能です。例えばマイホームを購入するときに住宅ローンを利用した人が、その後アパート経営のためにアパートローンを借りるという事例です。ただし当たり前ですが、一般的にローンがある人とない人では、前者の方が審査は通りにくくなる点には気を付けましょう。

04無理なくアパート経営をするにはどうすべき?

アパート経営は世間的に不労所得と言われていますが、実際には何もせずに経営が上手くいくケースはありません。そこでここからは、無理のないアパート経営をしたい人に向けてそのコツを紹介します。

ある程度、自己資金を用意する

アパート経営を始めるにあたって、最も避けたいのが返済不能に陥ることです。アパート経営は基本的に家賃収入でアパートローンを返済し、修繕費などを差し引いて残った金額を収益とするスキームになります。しかし思ったように入居者が集まらないと、ローン返済額よりも家賃収入が少なくなって返済が滞ってしまうかもしれません。そうした事態を避けるためには、できるだけ自己資金を多く用意しておくことが重要です。

頭金を入れるとその分だけ借入金額が減るため支払い利息も減り、毎月の返済額が少なくなります。特にアパートローンは借入期間が長期になるケースが多いので、トータルではかなりの差になるでしょう。自己資金は多ければ多いほどよいですが、最低でも購入価格の1~2割程度を目安に貯めておくことをおすすめします。

賃貸需要のあるエリアを選ぶ

収益が期待できる物件を探すときのポイントは「地域のニーズと物件の間取りが合っているか」をよく確認することです。例えば3LDKや2LDKのように、ファミリー向けの物件であるにもかかわらず、近隣に飲み屋街があり治安が悪いと入居希望者は限られるでしょう。そうした物件はいくら見た目がよく高い利回りが提示されていても、購入後に空室リスクに悩まされる可能性があるので避けた方が無難です。ファミリー向けの物件を探すなら、周辺に公園やスーパー、病院などの生活に便利な施設がそろっているかなどを重視しましょう。物件を探すときは間取りから想定される入居者をイメージし、周辺環境がそのイメージした入居者に合っているかまでチェックすることが大切です。

周辺の家賃相場を調べる

気に入った物件を見つけたら、とりあえずアパート経営にかかる費用がどれくらいになるかを計算してみましょう。その計算結果と設定されている家賃を比べてみて、どのくらいの利益になるかを購入前にシミュレーションしてみることが重要です。なかには、わざと周辺相場よりも高い家賃設定で高利回りをうたって、買主を募集しているアパートもあるので注意しなければいけません。気に入った物件を見つけたら、念のため周辺の家賃相場を賃貸住宅サイトなどで確認しておいた方が無難です。その際は管理費や共益費、駐車場代もオーナーの収益に関わる事項なので、忘れずにチェックしましょう。ただし家賃相場は、築年数や設備といった物件のスペックで変わる部分もあるため、一概に価格だけで比べられないこともあります。できるだけ条件の似た複数の物件で比べることがポイントです。

リスクをきちんと把握する

アパート経営にはさまざまなリスクがあります。代表的なものとして「空室リスク」「家賃下落リスク」「借入金返済リスク」「修繕リスク」などが挙げられます。これらのリスクはアパート経営をする上で避けては通れないものです。建物が古くなれば修繕費は多くかかり、入居率も低下しがちです。入居率向上のために設備の交換やリノベーションをするなどの方法もありますが、いずれも費用がかかるので借入金の返済状況も考えながら行う必要があります。

またその他にも「家賃滞納リスク」「入居者トラブルリスク」「金利上昇リスク」もあります。特に入居者に関するトラブルは長期化するケースが多く、簡単に解決できないことも多いでしょう。入居希望がある段階で不動産会社による審査はありますが、その場で入居希望者の内面まで確認することは難しいのが現実です。たとえ管理会社に管理を任せていたとしても、入居者トラブルの解決にあたってはオーナーにかなりの労力がかかることも。不労所得を得られるという安易な気持ちで、アパート投資に手を出さないようにしましょう。

05アパート投資にはリスクはつきもの!事前に対策を考えておこう

アパート購入にあたって必要となる資金には購入時にかかる初期費用と、購入後にかかる維持費の2つがあります。初期費用はアパートローンで融資を受けられることもありますが、維持費については基本的に家賃収入から支払う形になるので、事前にそれを賄えるくらいの利益が残るかを確認しておくことが重要です。アパート投資にはさまざまなリスクがありますが、「自己資金を多く用意する」「賃貸需要のあるエリアを選ぶ」などの対策を実行すれば、リスクを抑えられます。経営が軌道に乗れば安定した利益を期待できるので、これを機会にアパート投資について考えてみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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