予算2000万円で家を建てられる?ローコストで新築する方法

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新築のための予算が2000万円の場合、どんな家が建てられるのでしょうか?家を建てるときにかかる費用の内訳や2000万円で家を建てる方法、そして実際におよそ2000万円で建築した住宅の実例をご紹介します。

01家の建築にかかる費用の内訳は?

まずは、家を建てるのにかかる費用の内訳を見ていきましょう。
家を建てる費用は大きく分けて土地代、本体工事費、付帯工事費、諸費用で、それぞれの目安は以下のとおりです。

土地代

土地代は家を建てる地域や広さなどの条件によって大きく異なります。国土交通省が発表した「令和3年都道府県地価調査」によると、住宅地1㎡あたりの圏域別・地方別平均価格は以下のとおりでした。たとえば東京圏で100㎡(約30坪)の土地を買う場合の平均価格は約2100万円、最も安い北海道では平均200万円ということになります。

住宅地1㎡あたりの圏域別・地方別平均価格

圏域・地方 平均価格
東京圏 21万3200円
大阪圏 14万1800円
名古屋圏 10万5900円
北海道地方 2万800円
東北地方 2万4500円
関東地方 2万7300円
北陸地方 3万6200円
中部地方 4万7600円
近畿地方 3万8900円
中国地方 3万2900円
四国地方 3万2600円
九州・沖縄地方 3万7700円

出典:国土交通省「令和3年都道府県地価調査」21 住宅地の圏域別・地方別平均価格 表8

もちろん、同じ圏内や地方内でもエリアごとに土地代の相場は異なります。国土交通省が運営するウェブサイト「土地総合情報システム」(https://www.land.mlit.go.jp/webland/)で、不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できるので、家を建てたいエリアの相場を具体的に知りたい人は調べてみると良いでしょう。

本体工事費

本体工事費は、建物本体を建てるときにかかる費用のことで、後述する付帯工事費(建物以外の工事にかかる費用)は含みません。一般的に本体工事費は家の新築にかかる費用(土地代除く)の約70%を占めるとされています。なお、建築会社の広告などで「工事費1000万円」などと謳っている場合は本体工事費のみを指していることが多く、付帯工事費が別途必要になる可能性が大きいので注意が必要です。

付帯工事費

付帯工事費は、たとえば庭や駐車場の造成、門や塀の工事、水道管やガス管、通信回線などの引き込み工事の費用など、建物本体以外の工事にかかる費用のこと。建替の場合は既存の建物の解体工事の費用や整地の費用も含まれます。付帯工事費の目安は新築にかかる費用(土地代除く)の約20%と言われています。

諸費用

家を建てるときには土地代や建築費以外にも、手数料や税金などの諸費用がかかり、その総額は新築にかかる費用(土地代除く)の約10%程度とされています。主な諸経費には、住宅ローン締結時にかかる手数料や保証料、不動産の売買の仲介手数料のほか、不動産取得税や固定資産税の精算、登録免許税(登記料)などがあります。

では、こういった費用をすべて含めると、家を建てるのには平均してどのくらいの費用がかかるのでしょうか。住宅ローンフラット35を運営している独立行政法人住宅金融支援機構が行った「2021年度 フラット35利用者調査」によると、2021年度に注文住宅を購入した人の所要資金の平均は3572万円、土地付き注文住宅の所要資金は平均4455万円と、2000万円を大きく上回る費用がかかっていることがわかります。

出典:独立行政法人住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」p.10

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022000万円の予算で家を建てるには?

しかし、工夫さえすれば予算が2000万円でも一戸建ての家を建てることは決して不可能ではありません。ここからは、予算が2000万円以内のローコストで家を建てるための方法を見ていきましょう。

予算配分を決める

相続などですでに家を建てる土地を所有している場合は、建築費+諸費用が2000万円以内になるように予算を組みます。たとえば本体工事費と付帯工事費を合わせた建築費用の総額が1500万円の場合は、建築費用の10%にあたる150万円を諸費用として足した1650万円が総予算の目安になります。

一方、土地も購入する場合はまず住宅にかける予算を決め、その残りで土地と諸費用をカバーするよう予算配分するようにしましょう。なぜなら、先に土地を買ってしまうと建物にかけられる費用が足りなくなってしまい、予算オーバーに陥りがちだからです。まず、自分の希望を満たす建物の建築費用の見積もりを取って建築費に使える予算を決めてから、その残りの予算で買える土地を探すのが良いでしょう。 たとえば総予算が2000万円で建築費用に1000万円かかる場合は、諸経費として建築費用の10%にあたる100万円を確保し、残りの900万円以内で土地を買うように予算配分します。

妥協点をみつける

せっかくマイホームを建てるのだから・・・とすべての理想を実現しようとすると予算オーバーになってしまいます。家の広さや間取り、建材や設備のグレードなどの条件のうち妥協できる点はあきらめて、費用の抑制につなげましょう。新築時には実現できなくても、経済的な余裕ができてからリフォームや増築をして、理想の家造りを楽しむことも不可能ではありません。

立地を見直す

同じ面積でも立地条件が良ければ良いほど、土地の価格は高くなります。逆に、最寄り駅まで遠い土地や近くに便利な商業施設がない土地など、立地条件の悪い土地の価格は低くなる傾向に。自分や家族が通勤や通学で日常的に交通機関を使わない場合は、立地の見直しを検討すると土地代を抑えられる可能性が高くなります。

建物の形状や間取りをシンプルにする

一般的に建築価格は建物の形状がシンプルなほど、低く抑えられると言われています。特に上下階の大きさが同じ面積で箱を2つ積み重ねたような凹凸のない建物は、屋根や外壁に使う材料が無駄なく最小限に抑えられるだけでなく、施工の手間も省けるため、建築費を安く抑えられるケースが多いようです。

また、室内の間取りもできるだけシンプルに。壁の仕切りや段差が少なければ少ないほど、建築費を抑えやすいとされています。

付帯工事費用を抑える

建築費の約20%を占めるといわれる付帯工事費の見直しも、建築費全体の節約に効果的です。たとえば駐車場の舗装やルーフの設置を見直す、門や外壁の素材のグレードを下げるなどの工夫をして費用削減を図りましょう。

建売住宅を検討する

立地や建物の詳細にあまりこだわらない場合は、建売住宅を検討するのも一案です。建売住宅は建築済みの状態で売られる一戸建て住宅のことで、ほとんどの場合、土地とセットで販売されています。すでに建物が完成しているため、別途費用をかけてリフォームしない限り間取りやデザインの変更はできません。また、土地とセットで販売されているので、立地選びの選択肢も狭まりますが、その分、注文住宅に比べてリーズナブルな価格で購入できるのが魅力で、地域によっては1000万円台で売られていることも珍しくありません。不動産業者を介さずに建築業者から直接購入できる物件では仲介手数料も節約できます。

032000万円以内で建築した実例を紹介!

では、実際に2000万円以内の費用で、どんな家を建てることができるのでしょうか?土地の価格は地域によって異なりますのでここでは本体工事費(本体価格)が1000万円程度の住宅を探してみましょう。

インターネット上で検索すると、そうした住宅を紹介するウェブサイトが多数ありますが、株式会社リクルートが運営する不動産サイト「SUUMO」には本体価格が1000万円台の実例が掲載されています。

<例1>おしゃれなデザイナーズ住宅(大阪府)

出典:https://suumo.jp/chumon/tn_osaka/rn_screatesensyu/501191_0001/jitsurei/jc_0002/

外観は白を基調にしており、スタイリッシュでシンプルモダンな雰囲気を醸し出しいています。1階には広いリビングを設置し、日差しがたっぷり入る設計になっています。リビングの横にはウッドデッキがあり、窓を開けるとリビングと一体感のある空間ができあがる間取りになっています。

  • 本体価格:1080万円(坪単価:43.9万円)
  • 延床面積:81.44m2(24.6坪)
  • 間取り:3LDK
  • 工法:木造軸組
  • 外装などの特長:構造体には構造用集成材を使用し、壁や床には耐力面材を使用した頑強な建物になっています。ウッドデッキもそなえ、自宅でグランピング気分を味わうこともできるとのこと。

詳細はこちらで確認できます。

<例2>こだわりのナチュラルモダンの家(埼玉県)

出典:https://suumo.jp/chumon/tn_saitama/rn_001637/001637_0002/jitsurei/jc_0007/

家族が集うリビングには、ギャラリーを設置しているほか、テレビスペースの上部空間には収納棚を設置しました。窓からは優しい日差しが届き、リラックスできる空間になっています。対面式のキッチンは出入り口が広く、家事動線にも配慮した間取りになっています。さらに、小屋裏には大容量の収納スペースを確保し、生活空間をすっきりさせる間取りになっています。

  • 本体価格:1190万円(坪単価:38.2万円)
  • 延床面積:121.30㎡(36.6坪)
  • 間取り:5LDK
  • 工法:木造軸組
  • 外装などの特長:白枠の窓が規則的に並び、淡いベージュの装いを施した外観。デザインはもちろん、収納や家事動線など、家族の暮らしやすさを徹底的に考えた住空間が広がっているそうです。

詳細はこちらで確認できます。

<例3>遊び心満載な3階建て(埼玉県)

出典:https://suumo.jp/chumon/tn_saitama/rn_001637/001637_0002/jitsurei/jc_0005/

リビングに階段を設置し、家族のコミュニケーションが取れる工夫が斬新で、リビング階段の下には勉強スペースを確保しており、家事をしながらも子どもが勉強している姿を確認できます。また、「ウォークスルー洗面クローゼット」を採用することで、キッチンから10歩以内で洗う、干す、たたむ、着るができる空間を作り出しています。室内だけでなく、玄関やガレージなどさまざまな場所への動線を配慮した間取りになっています。

  • 費用:1350万円(坪単価:44.8万円)
  • 延床面積:99.79㎡(30.1坪)
  • 間取り:4LDK
  • 工法:木造軸組
  • 外装など特長:何度も打ち合わせを重ねた予算1500万円以下のガレージハウスで、子供たちが元気に育ってくれる住まいが実現しました。

詳細はこちらで確認できます。

実例を見ると、予算2000万円以内のローコストでも、想像以上に細部にこだわった住まいを実現できる可能性があることがわかります。予算オーバーになってしまわないように、まずは妥協できる部分とできない部分を見極めて土地と建物にかける予算の配分を決め、予算内での理想の住まいづくりを実現しましょう。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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